進化の矜持──佐藤優奈が紡ぐ仲間の絆と更なる進化【東京山九フェニックス】インタビュー
東京山九フェニックスのロック・佐藤優奈(さとう・ゆな)は、鍛え上げたフィジカルと尽きることのない運動量を武器に、グラウンドで存在感を示す。
大怪我という逆境を糧に変えた不屈の精神、そして日本代表での経験を通して更なる成長を遂げたスキル。
仲間との絆を何より大切にするその姿勢は、チームを勝利へと導く確かな道標となっている。
キャッチコピーは「ダイナソー」プレーに刻む個性の証明
一度聞いたら忘れられないこの呼び名は、チームやファンの間で彼女の代名詞として親しまれている。
「2019年のシーズン中に、プレーを見たGMが『ダイナソーみたいだな』って言ったのがきっかけで、チーム内のキャッチコピーに採用されました」
「自分としても、昨年のW杯の時に広めたいと思って『ダイナソー』を多めに使ってたんですけど、思ったよりも浸透しませんでした(笑)。ファンの方が試合中に『ダイナソー』って声をかけてくれたり、広報の見出しなどで使ってくれることが増えたかなって感じです」
「どしどしガツガツしたスタイル」という自らの持ち味を象徴する言葉として、誇りを持ってその名を背負う。
陸上を辞めて選んだ「仲間と戦うラグビー」への熱情
弟の付き添いという偶然から始まった競技生活だが、中学生時代には競技人口の少なさから、一度は熱が冷めかけた時期もあった。
「中学1、2年生ぐらいの時に『東北ユース』というチームができることになり、そこで今フェニックスでもチームメイトの那月と一緒にプレーするようになって、もう1回ラグビーを楽しめるようになりました。その後、体力測定の結果が高かったことで、セブンズユースアカデミーに呼ばれて『頑張りたい』と思うようになったんです」
中学校の部活動では陸上の四種競技(100mハードル・砲丸投・走高跳・200m走)にも取り組んだ。
「宮城県で優勝し強化選手にも選ばれましたが、ラグビーの合宿と重なった時に『やっぱりラグビーをやりたい』と思い陸上を辞退してラグビーを選びました。全国の女子の仲間たちと大会や合宿で一緒にラグビーできることが、何より楽しかったんです」
陸上で全国レベルを目指す道もあったが、彼女の心を動かしたのは、仲間と切磋琢磨する「絆」だった。その決断が、ラグビー強豪校でもある石見智翠館高校、慶應義塾大学、そしてフェニックス加入への道筋となり、彼女をさらなる高みへと導く。
驚異の肉体改造。9ヶ月のリハビリが生んだ「進化」
「リハビリ期間の9ヶ月で体重を68kgから80kgまで12kg増やしました。体重を増やしても走れなければいけないので走り込みも徹底した結果、代表でもフォワードの中ではトップクラスの持久力をつけることができました」
「長期離脱でもトレーナーのサポートもあって、体重増加とランニングスピードを両立させて復帰することができたので、復帰後の国内リーグや2025年W杯でほぼ全試合80分間出場し続けられているのは、今の私の強みだと思っています」
体重増加とスピードの両立。努力を積み重ねた佐藤は、逆境を乗り越えて更なる進化を遂げた。
組織を導く責任。次代へ繋ぐ「フェニックスの絆」
「周りの選手やチーム全体といった広い視野でラグビーを見られるようになりました。昨シーズンは組織との向き合い方に課題を感じ、各ポジションにリーダーを作り、意見を聞くためのミーティングを週一で開催したりしました。新キャプテンの日菜多は、誰とでも仲良くできる人柄。日菜多らしさを活かして、いつも通りにやってほしいです」
仲間を思い、次世代の成長を願う。その姿勢こそが、フェニックスの絆をより強固なものにしている。
癒やしの時間。犬と過ごす柔らかな日常
「実家で犬を飼っていたので、犬と触れ合うことが大好きなんです。今は飼えないのでドッグカフェに行ったり、チームメイトの犬に会いに行ったりしています」
特に大きな犬が好きで、海外遠征の際は街で犬を探して触れ合っているそうだ。
「休日は予定がなければ気が済むまで寝ていたいタイプですが、誰かに誘われると遊びに行くことも多いです。チームメイトの真菜さんや凛日とは、陶芸に行ったり海外へ行ったりと、オンオフ問わず絆を深めています」
競技を離れた柔らかな笑顔と、仲間と過ごす温かな時間。
多忙な現役生活の中、心身をリセットするリフレッシュの時間は、彼女が「進化」し続けるための大切なエネルギー源だ。
佐藤優奈の歩みは、そのまま「東京山九フェニックス」というチームが持つ熱量そのものだ。
今シーズン、さらなる進化を遂げた「ダイナソー」が、グラウンドで再び咆哮を上げる。
その進化の目撃者になるのが、今から楽しみでならない。
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