「俺は史上初のマオリのプロレスラーだし、ボルチンは史上初のカザフスタンのプロレスラー。けど、俺はボルチンを倒す方法を知っている」 “あの選手”のUNITED EMPIRE入りにも言及! “完全復活”HENAREにインタビュー!!
長い欠場期間を経て、いよいよシングル戦線へと帰還する闘将・HENAREにインタビュー!
撮影/中原義史
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■バックステージでトレーナーたちが俺のヒザを見て、「ああ、もう腱が全部切れちゃってるね」って言っていたから、そういうことだったんだろう
HENARE いい感じさ。ただ、夏から冬への切り替えが大変だった。いまニュージーランドは夏で、気温が30度越えしているから、ニュージーランドより寒い気温の日本に行くとヒザにくるんだ。でも、リングで闘う時は平気さ。
――あらためて、ヒザを負傷した時の実際の経緯を教えてください。
HENARE なにが起きたかっていうと、ヒザ小僧を支えている腱が断裂したんだ。すでにヒザを痛めていて、テツヤ・ナイトー(内藤哲也)と闘ったら、アイツがその俺のヒザを執拗に攻めてきた(24年12.5宮崎大会)。試合に勝つためなら当然の行動だ。そうしたら、残りの腱も断裂してしまったのさ。それでも、俺は頑として闘い続けたが……。
HENARE ああ、歩いたよ。だから、ただ捻挫しただけだと思った。けど、ヒザ蓋骨がちょうど大腿四頭筋の真上にあった。バックステージでトレーナーたちが俺のヒザを見て、「ああ、もう腱が全部切れちゃってるね」って言っていたから、そういうことだったんだろう。
ヒザ蓋腱はこの前負傷したアキレス腱の2倍の厚さがあるからね。それを聞くと、今回の怪我がどれだけ重症だったかわかるだろ?
――以前、お話したとき、アキレス腱の負傷は痛み度が「8」で顔面のタトゥーが「10」だったと仰っていました。今回の怪我はどれくらいですか?
HENARE 手術後が、耐えられないくらい痛かった。鎮痛剤は使用量に厳しい制限があるから効かなかったしね。当時は120キロも体重があったから、あの量じゃ足りなかった。鎮痛剤なんて服用したことなかったけど、今回の怪我では、貰えなくなるまで「もっとくれ!」と頼んだんだ。ヒザに埋め込んだボルトやネジが痛くて溜まらなかったよ……。
――当時は、長期間の欠場を強いられて、精神的にも辛かったのではないでしょうか?
あの年、俺はNEVER無差別級王座を勝ちとり、9月には1シリーズ中に2回もタイトルマッチを闘った。IWGPタッグ王者にもなったし、9.29神戸大会でタカギ(鷹木信悟)に負けてしまったが、それからは試合に勝つばかりだった。いつも100パーセントのコンディションで試合に挑んで、毎晩100パーセントのパワーを出し切っていた。
振り返ってみれば、やりすぎた面もあったかもしれないし、それの反動で起きたことなのかもしれない。けど、それが人生であり、経験というものだ。
――今年の1.4東京ドーム大会で、待望の復帰をはたしました。復帰に向けて、プロレスのリハビリは十分にできましたか?
俺が負傷する前に俺を最後に負かしたのはシンゴだったから、アイツとの闘いに意識を向けていた。それと、ドリラ・モロニーもだ。俺が欠場している間にアイツは“俺がなるはずだった”タフガイの代表のような存在になっていた。俺がいない間に多くのことが変わってしまった。
■俺が手術後に目を覚ましたら、ジェイク・リーがそばにいた。手術後に最初に会ったのはジェイク・リーだよ
――えっ! そうなんですか?
HENARE そうだ。彼とは全然話したことがなかったし、どんなヤツかも知らなかった。彼は前まで違うユニットにいたし、その前はニュージャパンのレスラーですらなかった。でも、何が起きたかを聞いて、俺が彼みたいに全治に時間がかかる怪我を負ったとわかったのかもしれない。
1.4東京ドームで彼がリングから去る姿やその後のリング上での動きを見て、以前の彼とはまったく違う雰囲気を感じた。自分を貫くヤツは好きだ。ジェイク・リーは、ただありのままの自分でいたいだけだ。
――ジェイク選手は、怪我で欠場している期間を「地獄での休暇」のようだったと説明していました。
HENARE ああ、理解できるよ。俺にとって地獄のイメージは、プロレスがない世界だ。自分の人生を捧げたいほど好きなこの世界から離されるなんて本当に地獄のようだ。とくに、テレビでいろいろなことが起きているのを観ているとき、UNITED EMPIREが去年のあの頃の時のようにバラバラになるのを観ているのが辛かった。
俺が負傷するまではユニットの調子もまあまあ良かったけど、俺が負傷した次の試合でカラムも怪我をして、内部でも不穏な空気が流れて、ユニットは崩壊に向かっていた。けど、なにかを再建したいときは、その地面を一旦燃やしてきれいにして、イチからやり直さなきゃいけないだろう?
――カラム・ニューマン選手が持っていた考え方と似ていますね。昨年にかけて、彼の成長をどう感じていますか?
■多様性は、俺たちの大きな強みだ。そして、俺が『NEW JAPAN CUP』で優勝すれば、また今までとは違う挑戦をファンに見せることができる
HENARE こうなることはなんとなくわかっていた。アイツらは、個人主義的なアプローチばかりしていたからな。ゲイブ・キッドが「いろんなものを自分で背負って闘っていきたい」って言っていたように、アイツらはそういう行動が多かった。アイツらは、ユニットの利益を考えていなかった。
俺がポリネシア諸島の島民ならではの考え方をしているからか、リーダーが誰かではなくユニットとしての力が大事だと思うが、アイツらはそれを理解していなかったようだ。あのユニットには、リーダーになろうとするヤツが多すぎた。一人の大将がすべての闘いに勝とうとしてもうまくいかない。プロレス界全体で、大将になろうと躍起になるレスラーが多すぎるから集団全体が苦しくなるんだ。
――辻陽太選手はそういうタイプだと思いますか?
HENARE まあ、そんな感じだな。けど、ナイトー率いるL・I・J(ロスインゴベルナブレスデハポン)はいつも、タカギがチャンピオンになれたり、ツジがIWGPのトップタイトルを狙えたりして、ユニット全体でそれを支えていた。そんなユニットにツジはいた。UNITED EMPIREは、ウィル・オスプレイがIWGP世界ヘビー級王者だったからユニットを引っ張っていたが、それは彼の実力がそうさせていただけだ。
彼は、俺たちみんなをサポートするのを嫌がらなかったし、俺たち一人一人が役割を持って動けるようにしてくれた。常にリーダーでいることはできない。とくに全員が自分のことを狙っている時はな。今誰が一番強いかではなく、誰が一番長く最強でいられるかが大事なんだ。
――「狙う」といえば、ジェイク・リー選手はIWGPヘビー級王座に、アンドラデ・エル・イドロ選手はIWGPグローバル王座に挑戦し、どちらもUNITED EMPIREから王座を狙う者が現れました。
HENARE まさに、多様性がUNITED EMPIREの強みであることを物語っているな。どちらもスタイルが違うタイトルマッチだった。挑戦は成功しなかったけれど、UNITED EMPIREは多様性を表現することができた。俺たちの考え方、ファイトスタイル、民族性においてもだ。
俺たちメンバーの所属も多様だ。ニュージャパン、AEW、テンプラリオはCMLL、ジェフ・コブはWWE、そしてTJPはAAA。別団体に所属していたとしても、彼らは公式にはUNITED EMPIREを離脱していない。多様性は、俺たちの大きな強みだ。そして、俺が『NEW JAPAN CUP』で優勝すれば、また今までとは違う挑戦をファンに見せることができる。IWGPヘビー級王座でも、IWGPグローバル王座でもね。
――辻選手は、IWGP GLOBALヘビー級王座を外部者から、もしくは海外で防衛したいと言っていました。
HENARE 海外はアメリカだけじゃない。太平洋の真ん中にある俺の故郷ラロトンガ島にもアリーナがある。そこでもできるはずだ。もし、アイツが本当にグローバルなチャンピオンになりたければな。
■俺は史上初のマオリのプロレスラーだし、ボルチンは史上初のカザフスタンのプロレスラーだ。けど、俺はボルチンを倒す方法も知っている。
HENARE 最高だよ! 考えてみろよ、元世界ランク5位のアマチュアレスラーをぶっ倒したことがあるって言えるヤツはこの世でどれくらいいるんだ? 2014年にニュージーランドの代表チームに入ってアマチュアレスリングをやった。
当時の俺にはコモンウェルスゲームスのためにトレーニングをするか、ニュージャパンの道場に入門する準備をするか選択肢があった。だから、ボルチンとは少し似たようなバックグラウンドを持っているんだ。
そして、俺たちは自分が属する民族を代表して闘うことがどういうものかを知っている。俺は史上初のマオリのプロレスラーだし、ボルチンは史上初のカザフスタンのプロレスラーだ。けど、俺はボルチンを倒す方法も知っている。数年前の『G1』でボルチンを倒したことがあるけど、もう一度やりたいな。アイツのことはお見通しだ。
――ボルチン選手は、2.28ニュージャージー大会で石井智宏選手を倒し、おおきな勝利を手にしました。
――ボルチン選手に勝てば、その次は成田蓮選手か、怪我で欠場となった石井選手の代打で入った小島聡選手と闘うことになります。
HENARE 運命は、俺に『NEW JAPAN CUP』でイシイ(石井智宏)と闘ってほしくなかったようだな。『NEW JAPAN CUP 2020』でもイシイと闘う予定だったが、コロナが流行したせいで試合が中止になった。そして、今回もその機会がなくなった。イシイからはたくさんのことを学んだし、ぜひリングで闘いたい。
コジマ(小島聡)も、長いことプロレスラーとして活躍するほど驚異的な適応能力と強さを持っている。同時に、ナリタ(成田蓮)はNEVER無差別級チャンピオンだ。ボルチンを倒してからナリタを倒せば、その経験を通して今後のポテンシャルを高められるだろう。
――2.11大阪大会で、成田選手は無法&介入ファイトでウルフ・アロン選手を倒してチャンピオンになりました。それを見て、HENARE選手はどう思いましたか?
HENARE アイツはバックに“軍隊”がいるからな。でも、それは俺も同じだ。ナリタは2024年の『G1』で俺に借りがある。アイツは、2024年8.10仙台大会でプッシュアップバーを使って俺のヒザを攻撃した。もしかしたら、あの時から俺のヒザはおかしくなったのかもしれない。
――現在、EVIL選手が去ったHOUSE OF TORTUREのリーダーは成田選手ですね。
HENARE 俺はいつもナリタに目を付けていた。ナリタはEVILよりもデンジャラスだと思っていた。EVILは他人をイライラさせるのが得意だったが、ナリタは他人の心を読み取るのがうまい。アイツはウルフの考えをはっきりと理解したから、どうすればうまく利用すればいいのかがわかっていたんだと思う。
■ファレと闘うことに躊躇はないよ。多くのファンが俺と比べるとファレの方が強いと思っている。アイツは過去に2度も『NEW JAPAN CUP』の決勝戦まで進んだことがあるからな
HENARE ナリタやコジマに勝ったら、他には誰と闘う可能性があるんだ?
――上村優也選手は闘う可能性がありそうです。あとはドリラ・モロニー選手、鷹木信悟選手、それからドン・ファレ選手も……。
HENARE NEVER無差別級で競いそうなレスラーたちが勢ぞろいしているな。フフフ。ラインナップは悪くないぞ。
――HENARE vsドン・ファレのセミファイナル戦が実現したら、多くの興味を引きそうです……。
HENARE ああ、アイツと闘うことに躊躇はないよ。多くのファンが俺と比べるとファレの方が強いと思っている。アイツは過去に2度も『NEW JAPAN CUP』の決勝戦まで進んだことがあるからな。ニュージャパンに来た時、BULLET CLUBは団体のトップに君臨していた。そして、ドン・ファレはそのユニットで絶対的なゴッドだった。でも、ここ4、5、6年くらいを振り返ってみると、アイツが出してきた結果はそれまでとまったく違う。
アイツは、俺、ヒクレオ、Yuto-IceとOSKARをニュージャパンへと連れてきた。さっき俺たちが話していたタイプとは真逆なんだ。ファレは自分のプロレスラーとしての成功や自分のために闘うことに執着していない。
■ウミノが試合で結果を得られていなくて、ファンに媚びを売っているのに欲しい反応がもらえていないなら、UNITED EMPIREの一員になればいい。
HENARE もちろんカラム(・ニューマン)やジェイク(・リー)の活躍に期待はしているが、一番興味があるのはショウタ・ウミノ(海野翔太)かな……。
――なぜでしょう?
HENARE なんでショウタみたいなヤツがファンからブーイングを受けて、Yuto-Iceみたいな荒々しいギャングが応援されているのか、俺には理解できないんだ。あんな酷い仕打ちを受けるなんて、いったいショウタはなにをやらかしたんだ?
――HENARE選手が欠場中のご自身とUNITED EMPIREに対するファンの反応についても、バックステージコメントで似たようなことを仰っていましたね。
HENARE 俺たちのやっていることは変わっていない。少なくとも、俺はそうだ。ただ、Iceは誰にも媚びを売っていないよな。結局は、試合の結果がすべてだ。自分に正直であれば、ファンがどう反応しようがどうでもよくなる。
俺が興味あるのは、マナ(マオリ語で権威・権力という意味)を手に入れることだ。そして、それ王座を勝ちとることであり、試合に勝つことだ。ウミノが試合で結果を得られていなくて、ファンに媚びを売っているのに欲しい反応がもらえていないなら、UNITED EMPIREの一員になればいい。アイツはもっと成功できるかもしれないな……。
HENARE 今は本当に、自分自身のことと、どうやったらUNITED EMPIREに貢献できるのかを考えているよ。俺のボディは、いままで以上に筋肉が引き締まって洗練されているし、頭脳もスマートになった。それによって、これから、とくにシングルレスラーとしてもっと高みへと昇る。プロレスを始めて最初の10年はいろいろと模索し、発見する時期だった。そして今、準備は整った。複数のシングルの王座、以前よりも多くの勝利、多くのマナをこの手で取りに行くぞ!(了)
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