【フェブラリーS】「良かった、出た」ルメール騎手もホッ…目覚めた府中の鬼コスタノヴァ史上3頭目の連覇
コスタノヴァは今回の勝利で通算14戦8勝(うち地方3戦0勝)、重賞は2025年GIフェブラリーS、25年GIII根岸ステークスに続き3勝目。ルメール騎手は2020年モズアスコット、21年カフェファラオ以来のフェブラリーS3勝目、木村調教師は昨年に続き同レース2勝目となった。
なお、半馬身差の2着には川田将雅騎手騎乗の3番人気ウィルソンテソーロ(牡7=美浦・高木登厩舎)が入線。1番人気に支持された坂井瑠星騎手騎乗のダブルハートボンド(牝5=栗東・大久保龍志厩舎)はさらに半馬身差の3着に敗れた。
初ブリンカーも「どんなスタートを切るか分からない」
「良かった、出た。これで好きなポジションを取れる」
百戦錬磨の名手、ルメール騎手ですら一歩目をまともに出た瞬間はホッと胸をなでおろしたという。なにせ、前々走のJpnIさきたま杯、前走のGIII武蔵野ステークスはともに大きなゲート出遅れ。まともに競馬に参加できなかった。それだけに、レース前は具体的なプランを立てられなかったとも明かした。
「今回はどんなスタートをするか分からなかったので、もうインプロヴィゼーション(即興)です(笑)。いいスタートだったら前に行くし、悪いスタートだったら後ろから行くしかない」
一方、前走後からこの中間、コスタノヴァはゲート再審査のペナルティを受けたものの、その時の所作などからゲート練習は不要だと木村調教師は判断。また、前走の結果を受けてすぐに「道具を使おう」と考えたトレーナーは、最終的に自らの決断で初めてブリンカーを装着させた。ただ、だからと言って、ゲートをまともに出る確信などなかったという。
瞬発力は「芝馬みたい」上がり最速で一気に突き抜けた
「浦和と前走は全然動かなかったのですが、今回はゲートの中でステップしていました。多分、ブリンカーで少し集中していたのかもしれません。木村厩舎のスタッフもいい仕事をしてくれましたし、コスタノヴァも自分の仕事を分かっている。今回はレースをする準備をしていたんだと思います」
“ゲートの中で寝ている”とまで言われた馬がついにお目覚め。そうなると、もう怖いものなどない。道中はウィルソンテソーロを前に見る形でリズムよく運んでいくと、最後の直線は大外から末脚全開。上がり3ハロンはメンバー最速の35秒2で一気に先頭へと突き抜けた。
「外に出してから馬の手応えはすごかったので、直線は坂を上ってからフルスピードをお願いしました。反応もすごく良かったですね。最後はいい脚を使ってくれましたし、瞬発力は本当に素晴らしいですね。芝馬みたいです」
「大人になった」円熟期の6歳、次はドバイかそれとも…
「ずっとファンの皆さんの期待を裏切り続けて申し訳なかったですし、馬のプライド、尊厳を汚していたので、つらい1年でした」
この間の苦しい胸の内を、木村調教師はそう吐露した。だが、まともに力を出し切ればやっぱり強い。それは8戦7勝の府中コースがコスタノヴァに殊更合っているという理由もあるだろうが、馬自身も6歳となって円熟期を迎えているとルメール騎手は語る。
「多分、ピークになりましたね。前走も出遅れたのにすごくいい脚を使ってくれましたし、今回もGIレベルで素晴らしいパフォーマンスをしてくれました。大人になって、パワーアップもして、本当に強い馬になりましたね」
ジョッキーのこの言葉を聞くと、今後への期待が再び膨らんでいくというもの。3月28日にドバイで行われるG2ゴドルフィンマイルへの招待を受諾したことがすでに発表されており、いよいよ日本のダートマイル王が海外デビューを果たす日が来たとも言える。一方で、木村調教師は「去年は使い倒したのが結果的にダメでしたので、しっかりといい条件で使ってあげたい」と慎重姿勢にとどめており、最終的な結論は今後の馬の様子を見てからということになりそうだ。
海外か国内か、いずれにせよ今回の一戦を機にゲート難が解消されたならば、ますますの飛躍は約束されたようなもの。コスタノヴァの“第2章”は、この日のゲート同様に最高の第一歩で幕を開けた。(取材・文:森永淳洋)
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