【サウジカップ回顧】「負けないと思っていた」フォーエバーヤング史上初の連覇、新たな伝説は最高の幕開けに
まさに盤石の横綱相撲。世界最高峰レースでこれだけ安心感を持って見ていられるのだから、やはりフォーエバーヤングは別次元だ。日本が誇るJRA賞年度代表馬の力に、世界のホースマンもあらためて感服したのではないだろうか。
JRA発売分の単勝オッズはダントツの1.2倍。昨年の同レースで歴史に残る激闘を演じた香港のロマンチックウォリアー、3歳時からのライバルである米国のシエラレオーネ、フィアースネスらが不在。となれば、この数字も当然だろう。
だが、今年は米国の伯楽ボブ・バファート調教師が自信を持って送り出してきたナイソス(牡5)がいる。通算8戦7勝2着1回。ケンタッキーダービーの有力候補と目されながら脚元の不安により1年3カ月にわたって戦線離脱したものの、復帰戦2着後はブリーダーズカップ(BC)ダートマイルを含め怒涛の重賞4連勝中だ。同じ5歳から新たなライバル候補が名乗りを挙げていたのだ。
しかし、坂井騎手のフォーエバーヤングに対する信頼は微塵も揺るがない。
「負けないと思っていましたし、自信をもって馬を信じて乗っていました」
五分のスタートから先手を伺った5番枠発進のフォーエバーヤングだったが、内からバニシング、外からタンバランバ、ナイソスが勢いよく飛び出してきたため、ラチ沿いの5番手、インに閉じ込められる形になってしまった。
「あまり揉まれると嫌だなと思っていて、少し嫌な形になりましたが、大丈夫だろうと思っていました」
理想通りのポジションではなかったかもしれない。それでも「大丈夫」と鞍上は慌てることなく、ジッと動かず。これが相棒に対する自信と信頼の表れだろう。すると、最終4コーナーから最後の直線入り口でフォーエバーヤングの目の前が1頭分、ぽっかりと開いた。もちろん、坂井騎手は見逃さない。一気に加速してそのスペースに飛び込むと、逆に内・外のコーナリング差を生かしてあっという間に先頭に躍り出たのだ。
これに合わせるように外から襲ってきたのは、やはりナイソス。だが、馬体が並びそうになったのも、一瞬のこと。一歩、また一歩と前に出ていくフォーエバーヤングに何とか1馬身差で食らいつくのが精いっぱいだ。永遠に縮まることはないだろうとも思えるその差をキープしたまま、フォーエバーヤングは史上初の連覇フィニッシュを決めたのだった。
サウジカップでピークを迎えない仕上げとしたのも、すべては昨年3着と苦杯をなめたドバイワールドカップを制するため。「次走のドバイワールドカップではさらに上積みがあると思います」とトレーナーが語れば、ジョッキーも「次は去年勝てなかったドバイワールドカップもあるので、そこに向けて頑張っていきます」と、気持ちを新たに誓った。
昨秋、BCクラシックを日本馬として初めて制し、ダート世界最強馬に輝いた直後、「フォーエバーヤング自身、まだ勝てていないレースがあるので、そこを全部勝ちたいなと思っています」と坂井騎手は語っていた。有言実行へ、最初のターゲットとなるドバイワールドカップはおよそ1カ月半後の現地時間3月28日(土)に行われる。
フォーエバーヤングの集大成でもあり“最終章”とも言われている5歳シーズン。新たな伝説は最高の形で幕を開けた。
また、この日はサウジカップのほかにも、サウジダービー、リヤドダートスプリント、1351ターフスプリント、ネオムターフカップ、レッドシーターフハンデキャップに日本馬は合計16頭参戦。だが、勝ち鞍を挙げることはできず、サウジダービーに出走したサトノボヤージュ(牡3=美浦・田中博康厩舎)の3着が最高着順と、全般的に厳しい結果に終わった。
文:森永淳洋
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