ミラノコルティナ五輪スノーボード男子ハーフパイプ 結果と雑感

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたraplusさんによる記事です。】

1本目

トリプルコークの打ち合いが予想されたミラノコルティナ五輪の男子スノーボードハーフパイプ決勝。

1本目最初に滑ったアメリカのジェイク・ペーツがいきなりトリプルコーク1440を成功させて77.5点。

予想通りトリプルコークの打ち合いの試合になるかと思われたと同時に、トリプルコークをただ決めるだけでも勝てないというレベルの高さを予感させました。

その後、中国のオウシヨウ、韓国のイチェウン、ニュージーランドのメルビルアイブスがトリプルコークを入れてくるも通せず、平野歩夢もFSダブルコーク1620にチャレンジするも失敗という中で迎えた平野流佳の1本目。

SWBSダブルコーク1440
BSダブルコーク1260
FSダブルコーク1440
CABトリプルコーク1440
FSダブルコーク1260

というルーティンで90点。メダル争いの最初の基準を作ります。

その後出てきた山田琉聖。

CABダブルコーク1440
FSダブルコーク1260
BSダブルマックツイスト1080
SWBSマックツイスト
SWBSダブルアーリーチャック

というルーティンでスタイルとHighestが5.5mという高さが評価されて92点。

トリプルコーク無しでも92点を出すというのは、「ただ高難度を連発するだけではなく、しっかり独自のスタイルを追求する滑りにも得点は出しますよ」というジャッジの意思を感じます。

前回の北京五輪も銅メダルは独自のスタイルを出したスイスのヤン・シェラーでした。

ジャッジとしてはこの92点をメダルラインの基準にしたのではないかと。「これを超えるには高難度+完成度や高さやスタイルも求められますよ」という92点です。

そして予選2位通過の戸塚優斗。

CABダブルコーク1440
FSトリプルコーク1440
SWBSダブルアーリーチャック
SWBSダブルコーク1080
BSダブルコーク1260

というルーティンで91点。2位につけます。Highestは4.7m。

日本勢が1,2,3位を占めて2本目に向かいます。

2本目

2本目は1本目失敗した平野歩夢がまずは魅せてきます。

SWBSダブルコーク1260
CABダブルコーク1440
FSダブルコーク1620
BSダブルコーク1260
FSトリプルコーク1440

というルーティン。北京五輪で披露する予定だったというFSダブルコーク1620という大技、そしてラストヒットにトリプルコークを持ってくるというルーティン。

自身が金メダルを獲得した北京五輪より高難度の技を骨盤骨折、膝の感覚も無いという中で決めてきました。

怪我をした3ヒット目のFSダブルコーク1260ジャパングラブを外し、代わりの技をFSダブルコーク1620にするなんてどんな発想なのでしょう。信じられません。

しかし得点は86.5点と辛い得点。Highestが4.7mと本来の平野歩夢に比べて高さが出なかったのが影響したか。

平野流佳は

SWBSダブルコーク1440
BSダブルコーク1260
FSトリプルコーク1440
CABトリプルコーク1440
FSダブルコーク1260

というルーティンを成功。五輪史上初めてトリプルコークのコンボを成功させました。

これだけでも凄いことですが着地にややズレが見えたことから得点は伸びず1回目と同じ90点。しかし3回目に期待を持たせる内容でした。

そして戸塚優斗。

CABトリプルコーク1440
FSトリプルコーク1440
SWBSダブルアーリーチャック
SWBSダブルコーク1080
BSダブルコーク1260

というルーティンを成功。Highestが5.3m。トリプルコークのコンボを平野流佳に続いて五輪で成功させました。

得点は95点と結果的にこれが金メダルを決めたルーティンになります。

同じトリプルコークのコンボを成功させた平野流佳のルーティンと比べるとSWBSダブルアーリーチャックが入っていることでコーク技だけではなくスタイルも入れてきている。そして高さもHighestが5.3mと出ている。着地も完璧。

まさに技の難度、完成度、高さ、スタイルと全て兼ね備えていないと金メダルに相当する得点は出ないというのがわかります。

「どれかが欠けていたらメダルはあげるけど金はあげないよ」というような採点基準が見えてきています。

次に出てきたのは優勝候補と目されていたオーストラリアのスコッティ・ジェームズ。平昌ではショーンホワイト、平野歩夢に続いての銅メダル。北京では平野歩夢に続いての銀メダル。悲願の金メダルに向けて並々ならぬ決意で挑んできています。

CABトリプルコーク1440
FSダブルコーク1260
BSダブルコーク1080
SWBSダブルコーク1440
BSダブルコーク1440

というルーティンを見事成功。Highestは5.4m。

LAAX OPENを制した4hit目、5hit目の後半に難しい技を繋げるというスコッティの必殺のルーティンです。

得点は93.5点。高さ、完成度は評価されるもトリプルコークのコンボを決めた戸塚より難易度は低いのでこの時点での2位相当の得点になったのでしょう。

戸塚、スコッティ、山田、平野流佳という順位で3本目に進みます。

3本目

最後の3本目は全選手が攻めてきて、良い滑りも続出しました。

まず魅せたのは中国のオウシヨウ

CABトリプルコーク1440
FSダブルコーク1620
BSダブルコーク1260
FSダブルコーク1440
CABダブルコーク1440

というルーティンを成功。Highestは4.8m。

CABトリプルコーク1440からFSダブルコーク1620を繋ぐという驚愕のルーティンで76点。

難易度は凄まじいですがHighestが5mに届かなかったこと、SWBSが入っていなかったこと、全ての技がコーク系でスタイルが評価されなかったことなどが要因と推測され、この得点に。

続いて韓国のイチェウン。

SWBSダブルコーク1260
CABダブルコーク1440
FSトリプルコーク1620
BSダブルコーク1260
FSダブルコーク1440

というルーティンを成功。驚愕のFSトリプルコーク1620という史上最高難度と言って差し支えないトリックを決めてきました。

Highestは4.9m。得点は87.5点とハイスコアですがメダル争いに加わる90点超えとはならず。

ここもHighestが5mに届かなかったことと全ての技がコーク系というのがこの点数に留まった要因か。

続いてルーティンを通してきたのはオーストラリアのグゼリ。

BSアーリーウープ
CABトリプルコーク1440
FS1260
BSダブルコーク1080
SWBSダブルコーク1260

というルーティンを成功。Highestは5.8mとダントツ。

得点は88点。高さは評価されたものの技の難易度が少し足りていなかったか。

そして平野流佳。2本目で少し着地がズレた

SWBSダブルコーク1440
BSダブルコーク1260
FSトリプルコーク1440
CABトリプルコーク1440
FSダブルコーク1260

というルーティンを今度は綺麗にメイクしてきました。

しかし得点は91点とわずかにメダルに届かず本人は悔し涙。Highestが4.5mと低く、直前のグゼリが高かったことも印象に影響したか。

また全ての技がコーク系というのと、印象を残せるラストヒットでFSダブルコーク1260というのが実質的に3hit目のFSトリプルコーク1440の格下げ技のようになってしまったというのも要因かもしれません。

オウシヨウ、イチェウン、平野流佳と良い滑りをしながらもメダルに届かなかった三人はHighestが5mに届いていない、全ての技がコーク系という共通点があります。

高さとスタイルが今大会は評価されたということだったと思います。ジャッジの傾向が今大会はそうだったというだけのこと。別の大会だったら別の選手がメダルに食い込んできた可能性は全然あると思います。

これが採点競技の難しさでもありますが平野流佳も十分実力は証明しました。90点、90点、91点と3本揃えての4位というのは見事です。

大会はオリンピックだけではありませんから下を向かずこれからも前を向いて頑張って欲しい。

そして次に成功させてきたのが暫定3位でメダルを確定させている山田琉聖。

CABダブルコーク1260
CABアーリーウープロデオ
BSダブルマックツイスト1080
SWBSマックツイスト
SWBSアーリーウープロデオ

というルーティンを成功。アーリーウープロデオをCABとSWBSで決めてくるというルーティンできました。

存分にスタイルを出してきてHighestも5.4mと出してきましたが2hit目と3hit目の着地がズレて92点と1回目の得点更新はならず。

そして暫定トップで迎えた戸塚優斗。

CABトリプルコーク1440
FSトリプルコーク1440
SWBSダブルアーリーチャック
SWBSダブルコーク1440
BSダブルコーク1260

と4hit目のSWBSダブルコークを1080から1440まで上げてきました。スコッティしかやってこなかった後半でSWBS1440を入れるというルーティン。

前半でトリプルコークのコンボを決めた上で後半にSWBSダブルコーク1440を入れてくるというスコッティのストロングポイントまでお株を奪いに来る驚愕のルーティンです。

決まっていればとんでもない得点が出たと思いますが、最後わずかにパイプの長さが足りずに失敗となりました。

そして最終滑走のスコッティ・ジェームズ。従来の自分の滑りでは戸塚に勝てないことは2本目を見て理解していたはず。

自分の限界を超えなければ勝てないことを知って挑んだルーティンは

CABトリプルコーク1440
FSダブルコーク1260
BSダブルコーク1080
SWBSダブルコーク1440
BSダブルコーク1620

という構成で来ました。ラストヒットでBSダブルコークを1440から1620まで上げてきました。

決まっていたらこれも世界初の技で、しかも決勝最終滑走者のラストヒットですから決まっていたら戸塚を逆転して金メダルを取れていたでしょう。

しかし着地に失敗して戸塚が金、スコッティが銀、山田が銅という最終結果になりました。

全てが歴史に残る素晴らしい決勝戦。存分に楽しませてくれました。

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