チーム初のヤマハスタジアム 勝負所で底力を発揮しブルーレヴズに勝利

チーム・協会

ブルーレヴズの勝利のポイントとなるスクラムでは、勝負所でペナルティを奪い勝利に繋げた。先発のフロントローは1番紙森選手、2番マルコム選手、3番オペティ選手。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

青く染まるヤマハスタジアム。
スクラムの度に、ビッグプレーの度に、観客席から轟く(とどろく)歓声。
その歓声を背中に受けて、幾度勇気を貰ったことだろう。何回スクラムを押したことだろう。けれど、今はそのブルーの応援とは対峙する。オレンジのジャージーを着た選手と共に。

山村亮アシスタントコーチ。
現役時代は、静岡ブルーレヴズの前身であるヤマハ発動機ジュビロで17年間プレーした。ジュビロのアイデンティティとも表現できるスクラム。その最前列を支えるプロップで活躍し、試合出場数は173試合にものぼる。ジュビロの大黒柱であり、レジェンドとも言える存在、それが山村亮というプレーヤーだった。
トップリーグが終わるとともに現役を引退、国内最高峰の舞台がリーグワンと名前を変えてからはコーチの道に。今シーズンからは、スクラムをメインに指導するアシスタントコーチとして、スピアーズの一員となった。

「やっぱりいいスタジアムだな、と。懐かしい気持ちと同時に対戦相手として来ることに不思議な気持ちもありました。けれどそれ以上に、この試合のポイントとなるスクラムにフォーカスしていたので、それどころじゃなかったですけどね」

試合後、山村コーチは夕日に染まる橙色のグラウンドを見つめて、そう吐露した。
「チームのスクラムの強みはヒットスピード。今日はそれを活かすことにフォーカスしました。互いに取って取られてのいい競争があったなか、リザーブ選手まで含めていいパフォーマンス出してくれました」
と充実の表情を浮かべた。

自身のことで感傷に浸る時間などない。まずは試合、チームの勝利、そして自分の仕事、すなわちスクラム。その仕事への姿勢は、まるでプレーヤーのころに見せたスクラムの姿勢のように真っすぐだった。

練習中の山村亮コーチ 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

後半7分、点差は2点。劣勢の状況で見せた底力

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの第8節はビジターゲームで、レギュラーシーズンで1度のみ対戦が組まれている静岡ブルーレヴズと戦った。昨シーズンは5位で、攻撃力とフォワード戦に自信を持つブルーレヴズ。今季、同じような強みの持つスピアーズにとって、肉弾戦が見どころの激しい勝負になることは必至。戦いの舞台はブルーレヴズの本拠地とも言えるヤマハスタジアム。スピアーズにとって、トップリーグまで遡っても初めての試合会場となる。

この試合にスピアーズは、先発のフォワードにマルコム選手やオペティ選手といった大きな選手たちを配置するパワフルなメンバー。バックスでは両翼に根塚選手と木田選手が戻ってきた。
またなんといってもフッカーのリザーブには、江良選手が今季初のメンバー入り。昨年の代表召集では、オーストラリア代表戦で抜群のパフォーマンスを発揮してアピールしたが、怪我の影響もあり久しぶりの実戦となる。消耗激しいフォワード戦が予想される本節において、江良選手を含めたリザーブ選手の投入タイミングも勝負の鍵を握るポイントとなりそうだ。

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

急こう配の観客席に、ブルーレヴズへの応援がスタジアムに響く。そんなアウェイ独特の雰囲気の中キックオフした前半、ボールを保持したのはスピアーズだった。キックオフ直後からスピアーズがアタックでプレッシャーをかけた。タッチに蹴りだして相手ラインアウトで再開しても、4番ボタ選手と5番ブルブリング選手のツインタワーがラインアウトディフェンスで相手アタックの芽を摘んだ。
9分には、オフロードを使いながら両サイドに大きくボールを動かすと、フォーリー選手のパスからマキシ選手を経由してウィングの木田選手へと渡り、ゴール前で再びマキシ選手へと繋がると先制トライを獲得した。

25分にはディフェンスでプレッシャーをかけて相手ファンブルを誘い、これに反応した藤原選手が独走。連続トライに繋がった。

14対0とペースを奪ったかのように見えたスピアーズだが、この試合ではキックオフ直後から精度の部分で自らを苦しめた。不用意なオフロードパスなどのシーンが見られてペースを完全に掌握するに至らなかった。またブルーレヴズのディフェンスも、スピアーズのバックスのアタックを読み、スピアーズアタックの前進を拒み続けた。
この日の最初の失点は、勝負のポイントとしていたスクラムが起点だった。相手ボールのスクラムで押し込まれると、アドバンテージを貰いながら外に大きく展開したブルーレヴズがトライを取って点差を詰めた。

だがスピアーズもやり返す。同じスクラムから今度はスピアーズが相手の反則を奪って敵陣に入り込むと、オペティ選手が相手タックルをものとせず突進してトライ。

ただそれでブルーレヴズは屈さない。スピアーズはその後チャンスの場面はあるが、ギリギリのところでつぶされ、逆にブルーレヴズが終了間際に右サイドにトライを取り切り、21対12で折り返す。この前半終盤にあった嫌な流れは、後半にも持ち越すこととなる。

2トライ獲得のマキシファウルア選手。今シーズンは計6トライを奪う活躍 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

突進力で圧倒したオペティ・ヘル選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

風上でスタートした後半だったが、序盤は互いにTMOによる判定でスコアが分かれる展開となる。後半5分にはスティーブンソン選手がカウンターアタックで抜け出すと、フォーリー選手のキックから木田選手がトライゾーンにボールを抑える。しかし、このプレーの前にノックフォワードがあったとして、ノートライに。
逆にブルーレヴズは、その直後のプレーで中盤から右サイドを抜け出すと、一気にトライゾーンまで駆け抜けた。このプレーでフォーリー選手に故意のノックオンがあったとしてシンビン。さらにはペナルティトライが与えられ21対19と2点差まで詰められた。

後半7分で2点差、1人少ない状況。明らかに流れはブルーレヴズに有り。スタジアムの雰囲気も最高潮に達していた。だがそんなピンチの局面でこそ底力が試される。この苦しい時間帯でスピアーズは、フォワード戦に持ち込むことで時間を使う。ゴールも狙える位置でペナルティを得ると、ショットは選択せずラインアウトを選択した。すぐにトライに持ち込むこはできずとも、敵陣の近場で勝負を続けて相手に圧をかけ続けた。こらえ切れず反則を犯した相手フォワードを1人シンビンで一時退場させると、18分にはモールを押し込んでマルコム選手がトライしてリードを広げる。
さらには、このタイミングでフォワード4人を入れ替えると、投入直後の選手たちがパワフルな突進でボールを前に運び、最後は江良選手が復帰戦にして早速トライ。スコアを19対35と一気に離した。スピアーズは、後半7分の劣勢から先発メンバーの粘りとタイムマネジメント、そしてリザーブのインパクトプレーによって勝負所を制した。

その後、得点を与えなかったスピアーズは、自陣で後半40分を告げるホーンが聞こえてもアタックを選択。全員でボーナスポイントを狙いにトライを取りに行く。怒涛の勢いでアタックを続けたスピアーズはゴール前まで迫ると、最後はマキシ選手がトップスピードでパスを貰ってトライエリアに飛び込んだ。最終スコアは42対19、後の順位にも関わるボーナスポイントもしっかりと獲得して、難敵・ブルーレヴズに勝利した。

第5節以来の試合となった決定力が売りの木田晴斗選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

リザーブのフロントローは、1番海士選手、2番江良選手、3番為房選手 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

試合を振り返れば、後半7分の劣勢の場面はさぞ苦しい心境だったと想像できるが、当のマキシ選手はこれについて「予想通りだった」とコメント。
「ブルーレヴズとの試合はタフなバトルになるので、自分たちのペースにならない時もあります。そんな時こそ自分たちの結束を強めて詳細にこだわる。そうしたことが結果に繋がったのだと思います」

また最後にボーナスポイントを狙って攻めた点についても、キャプテン自らの指示だと明かした。その言葉の責任を果たすかのように、最後は自らトライを取って、その判断を全うした。

こうした試合の流れを掴む結束や、キャプテンの判断をやり切る力は、チームの強化スローガン「GRIT」そのもの。それに加え試合のターニングポイントといえる時間帯での集中力や、ボーナスポイントを取りに行くアグレッシブな姿勢は、昨シーズンを含めた過去の戦いから得た教訓といえる。また、スクラムやラインアウトなどセットプレーで引かずに戦い続けたことも、勝因のひとつだ。

2月の連戦はこれで折り返し。次戦は再びえどりくに戻り、三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦する。

えどりくの次戦は2/21三菱重工相模原ダイナボアーズ戦!当日は BLACK SPEARSを初開催!試合詳細は以下のリンクをご確認ください。 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

※リンク先は外部サイトの場合があります

文:クボタスピアーズ船橋・東京ベイ広報担当 岩爪航
写真:チームフォトグラファー 福島宏治
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著者プロフィール

クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、日本ラグビーの最高峰「ジャパンラグビーリーグワン」に所属するラグビーチームです。。1978年創部し1990年にクボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市の(株)クボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備しました。「Proud Billboard」のビジョンの元、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っています。またSDGsの推進や普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進しています。

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