悔しいが立ち止まっている暇はない

静岡ブルーレヴズ
チーム・協会
NTTジャパンラグビーリーグワン2025-26の第8節。

ブルーレヴズがヤマスタに迎えたのはクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。
今季、リーグワンで最も充実しているチームではないか。

第6節、昨季決勝の再現となったブレイブルーパス戦は最後の最後に逆転負けを喫したものの、ここまで6勝1敗、勝ち点30は首位ワイルドナイツと2差の2位。

FWには、現役南アフリカ代表フッカーで2025年の世界最優秀選手マルコム・マークスを筆頭に、身長205cmのLOルアン・ボタら大型選手を並べて接点を支配。BKは日本代表SH藤原 忍の仕掛け、元オーストラリア代表SOバーナード・フォーリーのキックから元オールブラックスFBショーン・スティーブンソンが空中戦を支配する――バランスの取れた戦いぶりはリーグワンでも随一、得失点差+169はリーグ1位だ。

南アフリカ代表のマルコム・マークスとクワッガ・スミス 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

対するブルーレヴズはここまで3勝4敗、勝ち点15はスピアーズのちょうど半分。
得失点差はちょうど±0で12チーム中真ん中の暫定6位。

スピアーズとは昨年はビジターとして敵地・えどりくで対戦し、14-62で大敗していた。

だが今回はブルーレヴズの本拠地・ヤマスタでの対戦だ。
本拠地のファンの前で、簡単に負けるわけにはいかない。

事実、その相手にブルーレヴズは果敢に挑んだ。
序盤に2つのトライを奪われたが、0-14とリードされてから反撃。

29分、相手陣22m線付近のスクラムを押し込んでアドバンテージを得て左へ展開。FB山口 楓斗が左へ引っ張り、さらにWTBツイタマが相手タックラー3人を引き付けて内側へオフロードのリターンパス。これを受けた山口からさらにパスを出すと、ここへ走り込んだのがSH北村 瞬太郎だ。

長い距離をトップスピードでサポートに駆けつけ、絶妙の幅に走り込み、もぎとるようにパスを受けるとトライエリアの芝に飛び込んだ。第2節のブレイブルーパス戦以来6試合ぶりの今季3号トライ。

山口 楓斗から北村 瞬太郎へのアシスト 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

スピアーズが1トライを加えた後、前半のラストプレーでは相手ゴール前左の密集から右へ展開。ここまで目立たなかったWTBヴァレンス・テファレが相手タックルを弾き飛ばして右隅に突き刺さった。チーム単独最多となるテファレの今季5号トライで12-21と追い上げて折り返す。

さらに後半7分にはトライ濃厚な場面でレヴズのラストパスを相手が叩き落とした(故意落球)ことによるペナルティートライを得て19-21の2点差に迫り、相手にイエローカードが出て数的優位の時間を得た。

一気にひっくり返すチャンス。

ここでレヴズはベンチからCTBセミ・ラドラドラ、LOダニエル・マイアヴァらを一斉に投入する。

「(カテゴリーB/Cで)使いたい選手がたくさんいる。4人に絞るのは大変だけど、クワッガの調子が上がってきたことで、チームのバランスを考えてこの布陣にしました。マフーザもケガから戻ってきたので、セミ(・ラドラドラ)はインパクトで使おうと考えました」

藤井監督はそう狙いを明かした。

戻ってきたマフーザ(中央)とリザーブに回ったラドラドラ(奥) 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

想定通りの展開。

だがこの時間に、レヴズは畳みかけることができなかった。

数的優位と風上の優位を活かせず、自陣に攻め込まれ、相手が持ち込んだボールに足を出したとしてFLヴェティ・トゥポウがイエローカードを課されてしまう。

56分にはSO家村 健太が相手にタックルに行った際に右足首を傷めて担架で退場。数的劣勢と想定外のアクシデントによる交代はチームのリズムを狂わせた。

18分にラインアウトモールを押し切られ、直後の20分にはラインアウトの味方ボールをロストしたところから攻め切られ、連続トライを献上して、19-35と16点差をつけられてしまう。

レヴズはそこからもスクラムやブレイクダウンでPKを得ながら、シルビアン・マフーザと岡﨑 航大が連続でノータッチのミス。普段ならプレースキックもエリア取りのキックも担う家村は負傷で、第2キッカーのピウタウも交代で退いていたのが響いた。

FW戦でも身上のスクラムに加えラインアウトもコンビネーションが思うように合わず、ロストを連発。

途中出場のHO作田 駿介は「予定していなかった交代が多く出て、ちょっと混乱してしまった。スクラムはうまく組めてペナルティを取った時もあったけど逆もあって、自分たちの強みを出し切れなかった」と唇をかんだ。

途中15分から出場した作田 駿介(中央)と茂原 隆由(右) 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

逆にスピアーズは終了直前、自陣22m線付近から、トライ数で相手に3差をつけてボーナス点を奪い取ろうとロングアタック。最後はゴール前に攻め込まれたレヴズが反則を犯し、スピアーズのマキシ主将が速攻でトライ。3トライ差のBPまで勝ち取って試合を終えた。

「先週は点数をたくさん取られて、取られ方もよくなかったので、今週はディフェンスに取り組んできました。最終的に点差は開いたんですけど、中身は先週と全然違っていて。その中でもちろん直さなきゃいけないところがあるんですけども、先週からの一定の修正はできたかなと」

藤井監督はそう言って、続けた。

「あとは、1個できると何か1個できなくなるみたいな、そういうことがあったので。ああいうチームにはイエローカードを出してもダメですし、ラインアウトでプレッシャーかけられてもダメですし、全てがうまくいかないと勝つことはできないと思うので。課題を修正してまた来週に向かいたいと思います」

全てがうまくいかないと勝つことはできない 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

クワッガ・スミス主将も前を向いた。

「今日の結果は残念ですが、選手たちの頑張りは誇りに思います。全員がハードにプレーしたし、出せるものは全て出したと思う。小さなミスで相手にトライを与えてしまったけれど、スコアボードの得点は、必ずしも今日の内容を反映していないと思う。少しずつですが良くなっている。特にクボタのようなチームにはミスをなくしていかなければならない。小さなことを修正していきます」

この日もヤマスタには7,078人の観衆が詰めかけ、スタンドを青く染め、80分絶えることなく大きな声でレヴズの背中を押し続けた。

試合前、スタジアム前のレヴニスタ広場では大卒新加入選手の公開入団会見が行われた。その席で、立命館大から加入した御池 蓮二は言った。

「去年のプレーオフ、神戸との試合で、アウェーの試合なのにレヴニスタの皆さんの『GO!GO!REVS!』という応援の声がすごくて、ファンに応援されるチームなんだな、ここでプレーしたいなと思いました」

公開会見での御池 蓮二 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

レヴニスタの応援が、新たな才能を静岡の地に招き寄せたのだ――

改めて感じる。チームはファンと一緒に強くなっている。今はその途上にあるのだ。

負けたことは悔しいけれど、立ち止まっている暇はない。

次週は鈴鹿でヒートと。その次はヤマスタでサンゴリアスと。

レヴズはファンとともに、学び続け、戦い続ける。

その先に、次の勝利は待っている。
(大友信彦|静岡ブルーレヴズ公式ライター)

【(C)SHIZUOKA BlueRevs】

大友 信彦(おおとも のぶひこ)
1962年宮城県気仙沼市生まれ。早大第二文学部卒。1985年からフリーランスのスポーツライターとして活動。『東京中日スポーツ』『Number』『ラグビーマガジン』などで取材・執筆。WEBマガジン『RUGBYJapan365』スーパーバイザー。ラグビーは1985年から、ワールドカップは1991年大会から2019年大会まで8大会連続全期間を取材。ヤマハ発動機については創部間もない1990年から全国社会人大会、トップリーグ、リーグワンの静岡ブルーレヴズを通じて取材。ヤマハ発動機ジュビロのレジェンドを紹介した『奇跡のラグビーマン村田亙』『五郎丸歩・不動の魂』の著作がある。主な著書は他に『釜石の夢~被災地でワールドカップを~』『オールブラックスが強い理由』(講談社文庫)、『読むラグビー』(実業之日本社)、『エディー・ジョーンズの日本ラグビー改造戦記』(東邦出版)など。
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著者プロフィール

JAPAN RUGBY LEAGUE ONEに参戦している静岡ブルーレヴズ(旧:ヤマハ発動機ジュビロ)の公式アカウントです。 「静岡ブルーレヴズ/SHIZUOKA BlueRevs 」というチーム名には、変わらない為に変わり続ける、伝統を受け継ぎ、なお「革新」を恐れない精神を象徴する “Blue” と、困難な目標にワクワクして挑み、高ぶる「情熱」を象徴する “Revs”が、一体として込められています。また、ホストエリアとなる「静岡」に貢献し、愛されるチームとなるべくその名を冠しています。 いままでヤマハ発動機ジュビロとして築き上げてきた伝統や技を活かしながらも、新たな挑戦とともに静岡から、心躍る最高の感動を世界へと届けていきます。 静岡ブルーレヴズの活躍にぜひご注目ください。

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