次はホームで違う風を
藤井 雄一郎監督の会見での第一声が、この試合を物語っていた。
ブルーレヴズにとって45得点は、今季では第5節の相模原DB戦の47点に次ぐ大量点。
第6節のトヨタV戦であげた43点も含めると3戦連続の40点オーバー。
そして今季3戦目となるビジター試合では最多得点だ。
昨季でいえば、45点をあげた試合は第2節の浦安DR戦(62-19)、第15節のBL東京戦(56-26)、第17節の浦安DR戦(62-52)と3度あり、全勝していた。
あげたトライもみなクオリティの高い、個々のパワーとセットプレーとオフロードという、レヴズならではの強みが発揮された「らしい」ものだった。
20分には、FLマルジーン・イラウアのパワフル突破からCTBチャールズ・ピウタウ、SO家村 健太が連続オフロードパスをつなぎ、FB山口 楓斗が鮮やかにトライラインを走り抜けた。
後半32分にピウタウがあげたトライも、相手ゴール前のPKでスクラムを選択し、スクラムを押して相手ディフェンスの出足を止めてあげた、実質的にはFWのセットプレーの賜物と言っていい。
さらに前節のトヨタV戦でリーグワンデビューを飾ったばかりのLOダニエル・マイアヴァが、後半27分はWTB奥村 翔とのパス交換で、40分にはCTBセミ・ラドラドラをサポートしてパスを受けてトライゾーンに飛び込んだ。
〆て7トライは3試合連続で今季最多タイ。
あげた7トライを上回る10トライを取られたからブルーレヴズは敗れた。
スコアは45-60。
60失点は無論、今季7戦目で最多の失点だ。
藤井監督の会見コメントは以下のように続いた。
「ちょっと簡単なミスとか、キックオフでうまくいかないところで相手に簡単にボールを預けてしまって。(神戸Sは)ゴール前に来ると本当に得点力の高いチームなので、自分たちで相手の強みを引き出してしまったかなと」
昨季の戦いで強く記憶に刻まれているのは、えどりくでのS東京ベイ戦だ。奪われたのは10トライ62点。今回の神戸S戦で失ったのは10トライ60点。
ほぼ同じだが、違うのは得点だ。
昨季のS東京ベイ戦でレヴズの得点は14点。
48点差という大差をつけられての大敗だった。
藤井監督が言ったように「普通なら勝ってるはず」の得点だ。
視点を変えるとどう見えるか。
神戸Sの側から見ると、45失点は、開幕節のS東京ベイ戦の33点を大きく超える今季最多失点だ。しかも今回は神戸のホームスタジアムでの対戦だった。
ゲームキャプテンのチャールズ・ピウタウは言った。
「ブレイクダウンでは、相手が非常にいいプレッシャーをかけてきました。そこでペナルティが多くなってしまい、オフサイドを取られてしまいました。ペナルティに関しては50/50な部分もあったと思うんですが、自分たちの方に風が吹かない、今日はそんな日でした」
どこのチームもホームゲームでは戦力面でも運営面でもできるかぎりの準備を整え、万全の状態で臨む。
ファンも熱狂的にホームチームの背中を押す。
それはレヴズの立場で考えてもそうだし、プロスポーツとはそういうものだ(実際、対戦チームからは、ヤマスタのレヴニスタの応援には圧倒されると言ってとても嫌がる声をよく聞かされる。それはお互い様なのだ)。
だが敢えていえば、ビジターゲームは強くなるための試合であり、ホームゲームは強くなった姿をファンに見せ、勝利をみせて約束を果たす試合。そしてプレーオフは結果を残すための試合だと思う。
そう考えれば、ビジターで45点をあげての敗戦は、悔しいのは確かだけれど悲観するような内容ではない。
ここで学んだことを、次に出すだけだ。
次節はヤマスタに初めてスピアーズを迎える。
スタジアムを埋めるレヴニスタがきっと、大声で、神戸ユニバーとは違う風を吹かせてくれる。
(大友 信彦|静岡ブルーレヴズ公式ライター)
1962年宮城県気仙沼市生まれ。早大第二文学部卒。1985年からフリーランスのスポーツライターとして活動。『東京中日スポーツ』『Number』『ラグビーマガジン』などで取材・執筆。WEBマガジン『RUGBYJapan365』スーパーバイザー。ラグビーは1985年から、ワールドカップは1991年大会から2019年大会まで8大会連続全期間を取材。ヤマハ発動機については創部間もない1990年から全国社会人大会、トップリーグ、リーグワンの静岡ブルーレヴズを通じて取材。ヤマハ発動機ジュビロのレジェンドを紹介した『奇跡のラグビーマン村田亙』『五郎丸歩・不動の魂』の著作がある。主な著書は他に『釜石の夢~被災地でワールドカップを~』『オールブラックスが強い理由』(講談社文庫)、『読むラグビー』(実業之日本社)、『エディー・ジョーンズの日本ラグビー改造戦記』(東邦出版)など。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ