【UFC】UFC月間レポート|2026年1月
イベントの少ない月に、この種の記事をまとめるのは時に難しい。多くの月と比べて振り返るイベント数が半分ほどに限られ、仮にフルスケジュールが組まれていたとしても、その内容は結果次第という側面があるからだ。実際、UFC 324では1本勝ちが生まれず、シドニーで開催されたイベントを前に、初めて表彰対象が存在しない月になる可能性すらあった。
だが幸いにも、その後に3つの1本勝ちが生まれ、そうした事態は回避された。2026年最初の月間レポートで素晴らしいパファーマンスを称える準備は整っている。
それでは前置きはこのくらいにして、1月にオクタゴンの中で見られた際立つパフォーマンスを振り返っていこう。
ブレイクアウトパフォーマンス:ジョナサン・ミケイレフ(UFC 325)
“ザ・キャプテン”の異名を持つミケイレフは、昨年2月にUFC 312でデビューを果たした。ケビン・ジュセを相手に予想外のユナニマス判定勝ちを挙げ、ウェルター級における注目すべき新戦力として存在感を示す。その後は数カ月にわたり実戦から離れ、2戦目のオファーを待つ時間が続いた。ようやくパースで開催されるファイトナイトで復帰の機会が巡ってきたものの、対戦相手のエリオットが直前に肺炎を患い、試合は土壇場で中止。結果として、オーストラリア人ファイターはフラストレーションを募らせながら、ルーキーイヤーをわずか1試合で終えることになった。
ウェルター級のように層が厚く、動きの激しい階級では、どんなファイターであっても1年近く試合間隔が空けば存在感が薄れていく。まして物静かな新人であれば、なおさらだろう。だがミケイレフは、シドニーでの1戦でその流れを断ち切る圧巻の復帰を果たしてみせた。
序盤は距離の取り方に苦しみ、リズムをつかみきれない場面も見られた。しかし第2ラウンド開始から数分、ミケイレフはエリオットに有効打をヒットさせる。これを受けてウェールズ出身のエリオットは立て直しを図り、前に出て距離を詰めたが、その一瞬を逃さずミケイレフが背後を奪う。頭の後ろに手を巧みに隠す形で深いリアネイキドチョークを極め、防御する術を失ったエリオットはやがて意識を失った。
ミケイレフがウェルター級で注目すべき存在であることは間違いない。切れ味鋭いグラウンド技術に加え、打撃も着実に成長しており、階級内ではサイズにも恵まれている。さらに、自信に満ち、自らを試すことに飢えている点も見逃せない。母国の舞台で存在感を強く印象づける内容となった今回の戦い。次の試合が早めに決まり、やや格上の相手と対戦する機会を得ることができれば、年内にもトップ15入りへと突き進んでいく可能性は十分にある。
特別賞:タイ・ミラー、ジョシュ・ホキット、中村京一郎、ドム・マー・ファン、ビリー・エレカナ
サブミッション・オブ・ザ・マンス:ジェイミー・ムラーキーからタップを引き出したクイラン・サルキルド(UFC 325)
その好例が、シドニーのイベントでのサルキルドだった。昨年のトップルーキーは、同じオーストラリア出身のジェイミー・ムラーキーを相手に第1ラウンドで1本勝ちを収め、自身の本質を改めて示してみせた。UFC初戦と3戦目で、それぞれアンシュル・ジュブリ、ナスラット・ハクパラストを打撃で仕留める以前から、サルキルドは打撃以上にグラップリングを武器としてきたファイターだからだ。パース出身、26歳のサルキルドは、地域のイベントでロード・トゥ・UFCのライト級優勝者、ドム・マー・ファンと2度対戦し、いずれも1本勝ちを挙げている。その2戦目を終えた後にデイナ・ホワイトのコンテンダーシリーズ・シーズン8に出場すると、そこから一気にプロモーション屈指の有望株へと駆け上がっていった。
ルイストロ・コンバット・アカデミー所属のサルキルドは、攻守にわたって完成度が高く、自信にも満ちたファイターだ。試合を重ねるごとに危険度を増しており、UFCでは4戦全勝。そのうち3勝が1本勝ちと、結果も文句なしだ。トップ15を目前にしたサルキルドが、今後も長きにわたってこの階級の上位戦線に名を連ねていく可能性は高い。
特別賞:ミケイレフvs. エリオット、エレカナvs. ジュニア・タファ
ノックアウト・オブ・ザ・マンス:最後に勝負を決める一撃を見せた中村京一郎(UFC 325)
サレイは最初の2ラウンドを通じて試合を完全に支配していた。巧みに動きながらコンビネーションを当て、最初の10分間は中村を上回る有効打を的確に当て続けている。一方の中村は、なかなかギアが上がらないような戦い振りだった。第3ラウンド中盤に入ってサレイに明らかな疲労が見え始めたとはいえ、このままオーストラリアのベテランが試合終了のホーンまで持ちこたえ、判定で手を挙げる流れになるように感じられた。中村は攻勢を強め、このラウンドでは主導権を握っていたが、試合を終わらせる一撃、あるいは10対8を引き出して形勢を一変させるほど相手を追い込めるかというと、そうは見えなかった。忘れてはならないが、これはトーナメント戦なのだ。
だが試合終了間際、サレイがわずかに姿勢を落とした瞬間を、中村は見逃さなかった。膝を鋭く跳ね上げ、顎を正確に捉える一撃を叩き込む。強烈な膝蹴りを受けたサレイはバランスを失って倒れ込み、キャンバスに崩れ落ちた。そこへ中村が一気に襲いかかり、打撃で試合を終わらせた。鋭い膝蹴りから生まれるフィニッシュは、それだけでも見応えがあるものだが、今回の一撃が格別だった理由は別にある。ロード・トゥ・UFC初戦で、中村がパク・オジンを相手に見せたフィニッシュと重なった点だ。あの試合でも、中村はギアチェンジしてタックルに入ろうとした相手に対し、完ぺきな踏み込みからの膝蹴りを叩き込み、韓国人ファイターを沈めている。
不敵な笑みを浮かべる北海道出身、27歳の中村は、プロデビュー戦で黒星を喫して以降、8連勝を飾っている。そのうちロード・トゥ・UFCの準決勝を除くすべてがフィニッシュ決着だ。より実績のある選手たちと拳を交えなければ、その実力を測るのは難しいが、中村はロード・トゥ・UFCを通じて終始エンターテインメント性に富んだ戦いを見せてきた。少なくとも現時点では、動向を追うに値する存在であることは間違いない。
特別賞:ミラー vs. アダム・フューギット、ジョシュ・ホキット vs. デンゼル・フリーマン、アレックス・ペレス vs. チャールズ・ジョンソン、ニキータ・クリロフ vs. モデスタス・ブカウスカス、マウリシオ・ルフィ vs. ラファエル・フィジエフ
ファイト・オブ・ザ・マンス:パディ・ピンブレットを撃破したジャスティン・ゲイジー (UFC 324)
タイトル戦は、それだけで他の試合とは重みが違う。年間を通じて、この部門には第3ラウンドまでもつれ込んだ激闘が何度も取り上げられることになるだろう。それでも、王座が懸かるメインイベントで、なおかつ内容も拮抗し、見応えのある1戦となれば、評価の面で一歩抜きん出るのは自然な流れだ。
もっとも、今月に関して言えば、たとえ王座が懸かっていなかったとしても、ゲイジーとピンブレットの1戦は間違いなく激戦になっていただろう。
この1戦は、最終的な採点以上に内容が拮抗していた試合だった。だからといって、点数に異議があるという意味ではない。ほぼすべてのラウンドで攻防は競り合っており、勝敗を分けたのは、いくつかの決定的な一撃と、全体を通じて上回っていたパワーと耐久力だった。それによって、ゲイジーが試合を通して主導権を握る展開となった。ピンブレットは、他のライト級選手であれば倒れていてもおかしくない打撃を何発も当てている。それでも“ザ・ハイライト”ことゲイジーは、ほとんど動じることなく前に出続け、より重い打撃で応戦。その衝撃を、“ザ・バディ”の異名を持つピンブレットは同じようには受け止め切れなかった。
ピンブレットは地元リバプール仕込みの打たれ強さを改めて示したものの、顔は腫れ上がり、わずかに出血も見られた。一方のゲイジーは、激しいスパーリングを終えた直後のような表情にとどまっていた。
ピンブレットを下したことで、このアメリカ人スターは2本目となる暫定王座を手にした。同時に、統一王座への再挑戦の機会を引き寄せる、極めて価値のある勝利ともなった。その王座は、いまなお彼にとって長年追い続けてきた悲願でもある。今季の開幕戦に向けて準備を進める中で、ゲイジーはこれまで描き続けていた物語に決着をつけたい、ハリウッド映画のような結末を迎えたいと繰り返し語ってきた。そして今、その目標に手が届く位置へと近づいている。
残る課題はただひとつ。無敗を誇るイリア・トプリアを乗り越えること。トプリアは直近3試合で、アレクサンダー・ヴォルカノフスキー、マックス・ホロウェイ、チャールズ・オリヴェイラを相手に、いずれも危なげなく勝利している。
特別賞:カーン・オフリ vs. イー・ジャー、アレクサンダー・ヴォルカノフスキー vs. ディエゴ・ロペス
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