「お客さんが求めているのは安心や安定じゃない。私がベルトを獲ったら、きっと“混沌”が生まれる。そのほうがおもしろい!」自らの物語とUNITED EMPIRE再編へ向け、IWGPヘビー級王座を狙うジェイク・リー選手にインタビュー!

チーム・協会

【新日本プロレスリング】

“地獄のバカンス”を経て、1.4東京ドームにUNITED EMPIREの“X”として電撃復帰!
2月11日(水・祝)大阪大会にてIWGPヘビー級王座に挑戦するジェイク・リー選手にロングインタビューを敢行!!

撮影/中原義史

■『ミクチャpresents THE NEW BEGINNING in OSAKA』
2月11日 (水・祝) 13:30開場15:00開始
大阪・大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)
※「ロイヤルシート(最前列)」「ロイヤルシート(2~6列目)」「1階ひな壇」「2階特別席」は完売
※「1階アリーナ」「2階指定席」は残りわずか
※前売りにて全席完売となりますと、当日券・小中高生券の発売はございません。

■全日本プロレスを退団してNOAHを経て、新日本プロレスに来て「さあ、ここからだ!」という時に、何もできずに長期欠場して。それで諦めてたまるかって気持ちになりました。

【新日本プロレス】

――さて、ジェイク選手。1.4東京ドーム大会にUNITED EMPIREの“X”として登場し、およそ1年4ヵ月ぶりの復帰をはたしました。ひさびさの試合の感覚はいかがでしたか?

ジェイク 東京ドームって大きいじゃないですか。会場が大きすぎて、観ている方々が無機質に感じましたね。それがもっと近い環境であれば、視線を感じて緊張の度合いが高まっていたかもしれない。だからこそ、ひょうひょうとしてリラックスして入場して試合ができたのかな。

――1年4ヵ月という長期欠場からの復帰という部分で不安はありましたか?

ジェイク じつはちゃんと受け身を取ったのが1.4のリングが初めてだったんですよ。

――あ、そうだったんですか!?

ジェイク リハビリ中も骨盤の仙骨に痛みが響いちゃって、「ああでもない」「こうでもない」って試行錯誤を繰り返して。それで復帰戦で受け身を取って、そこで動けなさそうだったらもうキャリアを諦めようと思っていました。ここまでやってダメなら「もう、しょうがない……」って、そこまで気持ちがいっていて。それであの日、受け身を取った瞬間に「いける」と感じたんです。この3文字がパッと頭に浮かんで、いまもこうやってリングに立って試合ができている感じです。

【新日本プロレス】

――右膝のリハビリに取り組んでいる最中で、腰も痛めてしまったそうですね。

ジェイク そうですね。2024年の9.11仙台大会で右膝蓋腱断裂、翌年の1月に腰椎椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症で緊急入院してそのまま手術。全身麻酔で右膝の手術をして、半年も経たないうちに腰も大掛かりな手術をすると身体に対するダメージが強すぎる。

なので様子を見る形でヘルニコアという出っ張った椎間板を小さくする薬液を注入しました。そんな中で右膝のリハビリをしなければならないのに、腰を手術してから3ヵ月が経っても走ることもできなくて。それであらためて腰の手術をしようということで、6月に全身麻酔での手術に至ったわけです。

――短い期間で3回も手術をされて、そのうち2回も全身麻酔ですか。

ジェイク 9.11に右膝の大ケガを負って、翌年の6.11に全身麻酔で腰の手術。そして次の2.11大阪でタイトルマッチ。なんか“11”という数字が付きまとうような……(笑)。

――たしかにそうですね(笑)。ジェイク選手はこの長期欠場期間を“地獄のバカンス”と表現されていますが、この期間はどうやってモチベーションを保っていましたか?

【新日本プロレス】

ジェイク 「こんなところで終わってたまるか!」って、この一言に尽きますね。結局、誰も助けてくれないので。支えはしてくれるけど、結局は自分自身で立ち上がらないといけない。そう考えたら、誰かが最後まで面倒を見てくれることはないし、最終的には自分自身の力。周りのサポートももちろん必要ですけど、最後の最後はどれだけ歯を食いしばって目の前の自分と対峙できるかが大事なわけで。その自分と対峙するうえで、魔法の言葉が「こんなところで終わってたまるか!」なんです。

――その言葉でご自身を奮い立たせていたんですね。

ジェイク 全日本プロレスを退団してNOAHを経て、新日本プロレスに来て「さあ、ここからだ!」という時に、何もできずに長期欠場して。それで諦めてたまるかって気持ちになりました。もう何百回、何千回も「もう無理だ、辞めよう」と思ったけれども、ここで終わったら後悔するなと。このまま終えたら、残りの人生これを背負っていくなんて考えたら……想像するだけでもイヤでイヤで仕方がなかったです。

■昨年の1.5東京ドーム大会、ゲイブ・キッドとケニー・オメガの試合を観た時に、涙が流れてしまって……。

【新日本プロレス】

――この長期欠場期間を経て、プロレスへの向き合い方や考え方に変化はありましたか?

ジェイク そうですね、まず最初に取り入れたのが身体の使い方です。いままでと同じ身体の動かし方でやっていたらまた絶対にケガをするだろうし、これよりも上のステージに行けないだろうと感じましたね。だからこそ自分には何が足りなくて、何をするべきかを凄く考えて。いままで考えていたこと、取り組んでいたことをガラッと全部変えて、トレーニング方法から何から何まですべて変えました。

――リハビリにも繋がったんですね。

ジェイク 自分が求めていたモノを一新するわけで、最初のうちは拒否反応が頭の中で起こっていました。けれどそれぐらい変えないと、新たな自分を作ることはできない。いろいろとこの欠場期間で失って、すべてを取り戻すことはできない。それがわかっていたので、いまある余っているモノでどう組み立てるかをテーマに、自分を納得させながらリハビリを始めていきました。

【新日本プロレス】

イチから考えを変えるために、リハビリ施設だけじゃなくていろんなところに通いましたね。「プロレスでその動き必要なの?」って思うようなトレーニング施設だったり。それが自分の個性に繋がって新たな武器になる可能性だってある。そう考えたら喜んでそこに行こうじゃないかって感じでね。

――プロレスラーにとってケガは切っても切れない関係にあると思いますが、ジェイク選手はキャリアの要所でケガと闘ってきたイメージがあるのですが。

ジェイク ああ、たしかにそうかもしれないですね。全日本で三冠ヘビーを初めて巻いて、勢いに乗り出した時も鼻を骨折してベルトを返上して。その前の世界タッグも左膝の前十字靭帯を断裂して返上したし、あの時も長いこと欠場しましたね。

――そして新日本に入団した最初のシリーズでケガを負ってしまいました。

ジェイク その時その時、自分の中では100パーセントで取り組んでいますけど、実際のところはそうじゃなかったのかもしれない。よく「自分の身の丈に合う、合わない」みたいな話をするじゃないですか。もしかしたら自分の身の丈に求めているモノが合わなくて、結果的に身体が壊れたのかもしれない。

――“身の丈”ですか。

ジェイク そう考えることで、自分の中で腑に落ちるところでもあるんですよ。「俺はまだこれくらいだったんだ」って。誰のせいでもなく、自分のどうとでもない動きでケガをしてしまった以上、誰も責められないじゃないですか? そうなったら自分の中でどう落としどころをつけるかって考えた時に、「まだ身の丈に合ってなかったんだ」って一言で済ませたほうがいい。

【新日本プロレス】

そうしたら「しょうがないよな」って思えたんですよね。この大ケガを乗り越えた時に、その身の丈に合うようになれるのかは自分次第でもあるし、その点もモチベーションの糧になってましたね。これで自分の物語を再構築すれば新たなブランドが生まれるなって(ニヤリ)。

――ところで、欠場期間中も試合をご覧になられていたと思うのですが、新日本のリングはジェイク選手の目にどう映っていたのでしょうか?

ジェイク それがですね……昨年の1.5東京ドーム大会、ゲイブ・キッドとケニー・オメガの試合を観た時に、涙が流れてしまって……。

――感動の涙ではなさそうですね。

ジェイク そうです……。「俺、なんでここにいるんだろう?」って。ここからゲイブとタッグをやっていくタイミングで自分はケガをしてしまって、ゲイブだけがドンドン前に進んでいく。そんな姿を見て申し訳ない気持ちとかではなく、「ホントに俺は何をやってるんだろう……」という気持ちになって。そこからしばらく一切試合が観られなくなってしまったんです。

【新日本プロレス】

――そうだったんですね……。

ジェイク 観たら自分のメンタルが鬱っぽくなるのがわかっていたので……。だから「いま観たらダメだ」と思って。そのすぐ後に腰椎椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症になってしまったこともあって、余計に観られなくなってしまったんです。それでもプロレスの情報は勝手に入ってくるんですよ。

――いまの時代、SNSで情報が入ってきますからね。

ジェイク いや、SNSも見なくなって……。アカウントは残っていますが、シャットアウトするためにSNSも辞めましたね。でも、知り合いを通じて耳に入ってくるんですよ、プロレスの情報が。それで膝も腰もリハビリの強度を上げ始めた昨年の9月頃から、やっと試合が観られるようになりました。

■「新日本プロレスと言えばUNITED EMPIREだよね」って言われるのが未来像。“理想像”ではなく未来像ですよ?

【新日本プロレス】

――そしてリハビリを経て、東京ドーム大会ではUNITED EMPIREの一員として復帰されましたが、WAR DOGSに戻って無所属と共闘していく考えはなかったですか?

ジェイク 私の中の印象で、彼らは強くなり過ぎた。あれだけ、おのおのが自分の強さと存在感を示していて、確固たる地位を確立している中にいまさら戻ったところで「何しに戻ってきたの?」って感じですね。“おんぶに抱っこ”されるために戻りたくはなかった。

――では、なぜUNITED EMPIREに?

ジェイク 危機に立たされたユニットが、物語を作りながら確固たるものになっていく。そう考えたらUNITED EMPIREに行くのがおもしろいのではないかなって。それに栄えている帝国って昔から“宮廷道化師”を雇っているんですよね。だったら自分がその宮廷道化師になろうじゃないかと思って。

――宮廷道化師という言葉にあまり馴染みがないのですが、道化師ということでピエロのことでしょうか?

ジェイク ざっくり言えばそうですが、厳密に言ったらピエロとは違って。宮廷道化師はジェスターとも呼ばれます。ジェスターもピエロのように人を笑わせておどけるのが仕事の一つなんですが、唯一、王に物を言える存在なんです。それからトランプのジョーカーの絵柄に描かれているのが、このジェスター。ジョーカーはキング以上の強さを持つこともあるんですよね。

【新日本プロレス】

――なるほど。ところで復帰するにあたって、いつ頃からUNITED EMPIREのメンバーたちと接触していたのでしょうか?

ジェイク それはホントつい最近ですね。1.4東京ドーム大会の直前とまではいかないけど、まあ最近の出来事。

――加入してまだ間もないですが、居心地やメンバーたちの印象などは?

ジェイク いろんな国の言語が飛び交っていますね(笑)。HENAREもカラムも私と同じくヒザをケガしていたので、その点では仲間意識というか妙な親近感が沸くというか。カラムとは以前『G1 CLIMAX』で対戦したことがありましたけど、あの時とイメージがガラッと変わって独特のオーラを漂わせている。

――全日本プロレス時代に同じコーナーに立つことは少なかったですが、フランシスコ・アキラ選手とは旧知の仲ですね。

ジェイク 巡り巡って新日本のリングで再会。彼と同じユニットになったことは、これもまたドラマチックだと感じますね。

【新日本プロレス】

――UNITED EMPIREをどのように再構築していきたいなど、今後の展望をお聞かせください。

ジェイク これは私とUNITED EMPIREの再編物語であって、未来像というのはUNITED EMPIREをより確固たる地位に引き上げる。「新日本プロレスと言えばUNITED EMPIREだよね」って言われるのが未来像。“理想像”ではなく未来像ですよ? そうなると私は確信しているので。その道中を私がどうやって作っていくのかの物語。「どうしたいか?」というよりも、より確固たる地位になるとわかっているので、その道中の物語をどう楽しもうかなって感覚です。

■言葉って一番の武器にもなる。使いどころを間違えればまったく違う意味を持って、違うように捉えられてしまうこともある。だからこそ、その言葉をどこで出すかが凄く大切であって。ずっと黙っていたわけはそういうことですよ。

【新日本プロレス】

――そしてジェイク選手は1.4東京ドーム大会にて、IWGPヘビーとGLOBALヘビーの二冠王となった辻陽太選手を襲撃しました。

ジェイク 東京ドームの大舞台で二冠王になってマイクアピール。これほどオイシイ機会はないなと。ここしかないだろうと狙ってましたね(ニヤリ)。

――この襲撃はベルトに興味があったからなのか、それとも辻選手に興味があったか。どちらでしょうか?

ジェイク シンプルにどちらもですよ。IWGPヘビーのベルトも欲しいし、辻陽太という存在も倒したい。

――辻選手は二冠王ということですが、IWGP GLOBALヘビーではなくIWGPヘビーのベルトに照準を定めましたね。

ジェイク 狙う物はただ一つ。新日本プロレスといえば、もちろんIWGPヘビー級王座じゃないですか? IWGPのベルトは私にとって存在証明なんですよ。存在を証明するうえで、一番説得力があるのがベルトであり、新日本ではIWGPだと考えています。

【新日本プロレス】

――そして翌日の1.5大田区大会から辻選手との闘いが本格的にスタートし、辻選手から「お前は何がしたいんだ」と問われる場面もありましたが、それには答えずベルトを手にしてただ挑発していましたね。

ジェイク あそこからしばらく沈黙していましたが、言葉はコミュニケーションツールとして非常に優れた手段ですよね。けど、言葉って一番の武器にもなる。使いどころを間違えればまったく違う意味を持って、違うように捉えられてしまうこともある。だからこそ、その言葉をどこで出すかが凄く大切であって。ずっと黙っていたわけはそういうことですよ。「何がしたいのか?」「何を考えているのか?」それでよかったんです。

――心理的な揺さぶりをかける意図もあったのですか?

ジェイク いや、ただジックリと彼を見ていたんです。というよりか、見たかった。いまどういう状況で、何が起こっているのか。それを実際に見ないとわからないことがたくさんあるので。そうじゃなくても“1年4ヵ月ぶりにあんな人前でパフォーマンスをすることがなかったから”というのもある。まずはその空気感を知りたかった。自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じて。何をどうしたらいいか、その確認をする期間でもありました。

【新日本プロレス】

――その沈黙を破って1.20後楽園で正式に挑戦表明をされるのですが、辻選手からは「中途半端な勘違い野郎」と、手厳しい発言もありました。

ジェイク 中途半端で結構、勘違い野郎で結構。何を言われようと、生きていくうえでそんなことどうでもいい。それは二の次、三の次であって、やるべきことが決まったのであれば、周りに何て言われようがそんなことは別にどうでもいい。そう思いましたね。

――なるほど。

【新日本プロレス】

ジェイク ここまで死ぬほど苦しい思いをして、痛い思いをして、やっとリングに立てて試合ができる。それだけでも幸せだけど、ここからまた新たな物語を作るとなったら、いままで人がやっていないものを自分が表現する。そういうフェーズに自分はあると考えています。むしろ何を言われようが批判されるのも、あたりまえかな。だって、常識外のことをやっているんだから、そりゃ中途半端にも見えますよね。

――ここまで辻選手と闘ってみて、その感触や印象というのは?

ジェイク まず頭に浮かぶのは、凄いクレバーでスマート。どんな時でも動じないというか。そして「もう俺が新日本を引っ張っていくんだ」というか、静かなる闘志を感じますね。

【新日本プロレス】

――そう評価されている辻選手よりも、ジェイク選手ご自身が上回っているポイントはどんなところでしょう?

ジェイク 経験であったり、メンタル面であったり、この大ケガを乗り越えたという部分じゃないですか? その点は私のほうが上でしょう。彼もいろいろと大きなものをくぐってきたんでしょうけど、何度も何度も地獄に堕とされて、激痛で夜も眠れず1日の睡眠時間が1時間にも満たない生活を何ヵ月も続けてご覧なさい。人間、正気じゃいられなくなりますよ。

――ジェイク選手しか味わっていない過酷な体験ですね。

ジェイク そういった地獄を乗り越えた先にあるものは何なのか? それをまさしく、いま自分自身を通して表現している。ここからのドラマを作っているわけであって、このドラマは自分以外の誰にも作れないはず。

【新日本プロレス】

普通だったらこんな経験、ほかのレスラーだったらみんな諦めますよ。「もう一線を退いていいかな」なんて。復帰したとしても、それ以上の高みは目指さないはず。それでもいま目指しているのは、それが自分の存在証明の物語であって、その物語の先に待っているのがまだ見ぬ景色だからなんです。これは決していまの辻陽太では作れないドラマであり、ジェイク・リーだからこそ作れるドラマでしょう。

■私がIWGPを獲ったら、きっと混沌が生まれますよね。「え?マジでどうなるの?」みたいな。

【新日本プロレス】

――IWGPヘビー級王座を獲得すると3大メジャータイトル制覇ということで、偉業のかかった一戦にもなりますね。

ジェイク この前、別の取材でもその話題が出たんですけど……その時に「ああ、そういえばそうだったな!」って思い出したんですよ(笑)。三冠ヘビー、GHCヘビーって歴史と名誉あるタイトルを獲ったにも関わらず、今回のケガで積み重ねてきたものが、ガラガラと音を立てて崩れていって……。

過去に“グランドスラム”を意識していた時期もあったんですけど、そんな崩れ去っていく中で自分の記憶の中からすっぽり消えていったんでしょう。いや、消えていったというか、記憶の片隅に忘れさられた存在になっていたのかもしれませんね。なので、メジャータイトル制覇だとかそこまでの意識はしていないです。

【新日本プロレス】

――辻選手はIWGPヘビー級王者として新日本を牽引したい意欲や、新時代の象徴になりたいと発言していますが、その一方でジェイク選手には?

ジェイク フフフ……さあ、それはどうでしょう……。私がIWGPを獲ったら、きっと混沌が生まれますよね。「え?マジでどうなるの?」みたいな。いま、棚橋弘至が引退して、巷では誰が退団するだの変なウワサや情報が流れているみたいですけど、そんな中で私がIWGPを獲ってご覧なさい。余計にグチャグチャになるでしょう。

けど、どの時代もお客さんが求めているのは安心や安定なんかじゃないんですよ。安心・安定を求めているにも関わらず、混沌を望んでいるんです。安心・安定が来たら、混沌を求めて。返って混沌が生まれたら、安心・安定を求めて。お客さんって酷だなって感じるんですよね(苦笑)。だったら私がチャンピオンになって、より混沌さが増す。その中でまた新たなものが生まれていったほうがおもしろい気がする。

【新日本プロレス】

――あえて、混沌を生みたいというお考えですか。

ジェイク それで団体がこういう状況の時に限って、なぜか私の元にベルトが寄ってくるんです。GHCを獲った時も武藤(敬司)さんが引退して、清宮(海斗)がオカダ・カズチカとのチャンピオン対決に敗れた。それで「清宮、そろそろ休んだほうがいいんじゃない?」なんて言ったところから私がベルトを奪って。三冠を初めて獲った時もコロナ渦真っ只中で、空位になった王座を争って史上初の巴戦が開催されたり。そういった状況で、不思議と私のところにベルトがやってくる。だから、きっと時代は混沌を求めているんですよ。決して安心・安定じゃない。

――タイトル獲得後の展望や、2026年のビジョンは何かお考えでしょうか?

【新日本プロレス】

ジェイク まずは獲らないとそれは何も始まりませんが……やはりIWGPを獲った暁には、ベルトが私の存在証明になるし、その時にまた新たな何かが自分の中で生まれるんでしょうね。存在を証明したその次、それがスタートなのかゴールなのか。はたしてそこで満足してしまうのか。もしかしたらその時の感情でベルトを放り投げるかもしれない。1年4ヵ月ぶりに復帰してベルト獲りました! ……けど、「ああ、もうやーめた」なんてね(笑)。あとはこういうアイデアもふと浮かんだんですが……。

【新日本プロレス】

――どんなアイデアでしょうか?

ジェイク 私がベルトを返上して、ヘビー級もジュニアヘビー級も混合でトーナメントやりません? あれだけ過酷な闘いなのに、だいたいいつも『G1 CLIMAX』を優勝したらIWGPへの挑戦権しか与えられない。なので「挑戦権じゃなくて優勝したらそのままベルト与えられます」みたいな。もしかして、前代未聞なんじゃないかな。

――ますます混沌としてきますね。

ジェイク なんかそういうのをやってみたいかな。混沌とした中で「誰がベルトを獲るんだ!?」って。ベルトをそういうふうに使ってみたいですね。そこからあらためて、私がイチから勝ち抜いてもう一度ベルトを獲る。そうしたら「ヨシ、じゃあ次は何やろうかな?」って考えたりして。

――これはかなりの仰天プランですね。

ジェイク そう考えたら、おもしろくないですか? やはりお客さんがいま求めているのは混沌ですよ。安心・安定なんかじゃない(ニヤリ)。

■まだ復帰してから1ヵ月も経ってないんですよ。さすがに現時点で全部が固まって、いますぐコレを伝えようなんて、そこまで辻陽太を知らない。まだほんの少ししか彼を知らない。

【新日本プロレス】

――今シリーズはUnbound Co. vs UNITED EMPIREが大きな見どころとなっています。2.11大阪大会でも5大対抗戦が決まっており、ほかのメンバーたちの闘いぶりも気になるところだと思いますが、いかがでしょう?

ジェイク おのおのが仕事をすれば結果は勝手に生まれるので、そこに対して「ああだ、こうだ」言う感情はないですね。みんなやりたいことがいっぱいあるんだから。おのおのがたくさんやればいいって感覚です。

――その中で大将戦ともいえるメインイベントをつとめることに関しては?

ジェイク いや、とくに何も。順番が最後なだけですよ。

【新日本プロレス】

――ユニット同士の対抗戦という意識と、辻選手との個人的な意識、これはどちらが強いですか?

ジェイク どちらかがって感覚はないですね。彼には“ジェイク・リーとUNITED EMPIREの再編物語”に付き合ってもらうので。これはどちらかが勝っているわけでもないんでね。

――あらためて2.11大阪のリングで対峙する辻選手へのメッセージはありますか?

ジェイク 言いたいこと? ……なんか考えておきます。だって、それまでの前哨戦や、どうせ大阪大会前日の調印式だったり、顔を合わせる機会がいっぱいあるわけじゃないですか。その間に言いたいことなんて変わるし、増えてくると思うんです。まだ復帰してから1ヵ月も経ってないんですよ。さすがに現時点で全部が固まって、いますぐコレを伝えようなんて、そこまで辻陽太を知らない。まだほんの少ししか彼を知らない。なので、考えておきます。

【新日本プロレス】

――そうですか……。では、2.11大阪大会への意気込みをお聞かせください。

ジェイク やはり私の存在証明を見せたいですね。左前十字靭帯断裂、右膝蓋腱断裂、ヘルニア、脊柱管狭窄症。鼻も骨折したこともあったし、首もそんなに良くはないし、もういくつものケガを負ってきて。それでもやり方次第で人間は変われる。ケガに悩まされて、大病を患って、夢を諦めて……そんな人って世の中たくさんいると思うんですよ。だからこそ、そういう人たちに言いたい。“やり方次第で人生は変わる”と。そういったものが、2.11大阪ではちょっと見られるのかもしれない。

――プロレスを通じて伝えたいメッセージということですね。

ジェイク そうです。試合を観て「俺にも、私にもできるんだ!」って、なってもらえればなと。そうなったら、やり方は問わないので「誰が何を言おうとやってみればいい」って、私が背中を押してあげますよ。その先が崖だったとしてもね(笑)。

【新日本プロレス】

――突き落とすことになりますね(笑)。

ジェイク フフフ……。まあ、ここまで自分のケガを公表しているので、だったらいまから自分がリング上での闘いを通して何が伝えたいか、何を見せたいかってなった時に、やはりここにたどり着いたんです。けど、ここで大切なのは“やり方次第”なんです。バカ正直にがんばる必要もなく、“そうじゃないやり方”だって何通りもある。

【新日本プロレス】

それに対してとやかく言って来るヤツもたくさんいる。それでも、自分が考えに考えて考え抜いた結果なら、やり通せばいい。それでダメなら諦めもつくでしょう。人生ってそんなことの連続でしょう? 

――たしかにそうかもしれませんね。

ジェイク 良いこともあれば悪いこともある。そういう部分も含めて人生楽しめばいいんですよ。だから「チャレンジする意味って何がある?」「人間っていつか死ぬのになぜチャレンジする?」って聞かれた時に、私はこう答えているんです。だって、それが人生だもの。That's LIFEってことです。

【新日本プロレス】

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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