真っ直ぐな強さ──杉浦夏麗が積み上げてきた前進と情熱【東京山九フェニックス】インタビュー
東京山九フェニックスのフランカー・杉浦夏麗(すぎうら・かれん)は、静かな闘志と情熱を武器に、一歩ずつ確かな前進を積み重ねてきた選手だ。
高校時代に培った負けず嫌いな気質、フェニックスでの日々を通して身につけた冷静な判断力。
チームのために体を投げ出すその姿勢は、確実に信頼へとつながっている。
桐蔭学園で培われた、負けず嫌いの原点
女子ラグビー部は創部から年数が浅く、決して恵まれた環境とは言えなかった。
それでも、体の大きさを生かしたプレーや、チームへの貢献の仕方を徹底的に教え込まれ、結果としてフェニックスに加入できるレベルまで成長することができた。
一方で、顧問の指導は厳しかった。
全国大会でトライを量産しても、最優秀選手に選ばれても、褒められた記憶はない。
「褒めてもらいたくて頑張っていたのに、全然褒めてもらえなくて。“まだ足りないんだ”と思ったことが、逆に原動力になっていました」
この経験が、今の揺るがない負けず嫌いの土台をつくっている。
フェニックスとの出会いは、菅平から
そこで声をかけてくれたのが四宮氏だった。
同じ桐蔭学園出身という縁もあり、次第にフェニックスを意識するようになる。
その話を聞いた母親は、本人より先にフェニックスのSNSをチェックし始めたという。
「フェニックスの選手かわいい、いろはさんの服がかわいいって、私より先にハマってました(笑)」
大学とは別の環境でラグビーを続けたいという思いもあり、自宅から通いやすいフェニックスへの加入を決断した。
入団して実感した、チームの魅力
だが、実際に入ってみて感じたのは、その“切り替えの鋭さ”だった。
「楽しむ時は思いきり楽しむ。でも練習に入ると、一気にスイッチが入るんです」
オンとオフのメリハリ。その徹底こそが、フェニックスの強さの源だと感じている。
尊敬する倉持選手の存在
人間性、ラグビー理解、すべてにおいて学ぶことが多い存在だという。
「ラグビーを始めたのが遅いのに、なんでこんなに上手いんだろうって思います」
教育学を学んでいることもあり、説明は的確で分かりやすい。
同じフランカーとして、試合中も常に声をかけてくれる頼もしい先輩だ。
石田茉央選手は“一番怒ってくれる先輩”
「一番私に怒ってくれる人」と笑うが、その裏には深い信頼がある。
食事に連れて行ってもらい、時には厳しく叱ってくれる。
私生活で少し抜けている部分もしっかり指摘し、真正面から向き合ってくれる存在だ。
「フェニックス卒業までに、まともな人間に育ててあげるって言われてます(笑)なんでも相談できて、とても尊敬している先輩です」
チーム内では、何かやらかすと倉持か石田が教育する、という暗黙の役割分担もできているという。
同期だからこそ言える本音
FWとBKでポジションは違えど、不器用な部分も含めて率直に指摘してくれる存在だ。
「同期だからこそ、本音で話せる。“こうした方がいいよ”ってストレートに言ってくれます」
競技者としてだけでなく、人として支え合える関係が築かれている。
迷ったらキャリー。それが自分の強み
夢乃ヘッドコーチから言われている言葉がある。
「迷ったら、キャリーでいい」
体の大きさを生かし、パスよりも自らぶつかってゲインを取る。
今季はモール時のリッパーも任され、強い姿勢で当たり続けられたことで、確かな手応えを感じた。
課題は“バッドエンディング”の克服
ゲイン後の不用意なパスや、寝方の悪さから生まれるジャッカル――いわゆる“バッドエンディング”をいかに減らすか。
「確信がない限りは無理に出さない。ジャッカル対策も個人練習で取り組んでいます」
一つひとつのプレーの質に向き合い、改善を積み重ねている。
オフはしっかり休む。それも大切な準備
渋谷や二子玉川、町田で、ラグビー以外の友人と過ごすことが多い。
映画も好きで、アクションやサスペンス、アニメ作品まで幅広く楽しむ。
夜型の生活リズムもあり、オフ前日は深夜まで作業することも。
「休める時は、しっかり休む。それも大事だと思っています」
揺るがぬ“ケンタッキー愛”
通い詰めて、毎年プラチナ会員に到達している。
タイ遠征中も3週間ほぼ毎日ケンタッキー。
和風カツサンドは必ず注文する定番メニューだという。
現在の体重は約74kg。
目標の80kgに向け、おにぎりや餅を持ち歩きながら体づくりにも励んでいる。
熱さと冷静さを併せ持つフランカーとして
体の強さを武器に前へ出続けながらも、自身の課題には目を背けず、冷静にプレーを磨き続けてきた。
熱く、そして真っ直ぐにラグビーと向き合う姿勢は、やがてフェニックスの土台を支える力になるはずだ。
その存在感はこれから、チームの中でより大きな意味を持っていく。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ