Bリーグドラフトを前に。 筑波大学男子バスケ部・岩下准平と福田健人が体現した「開かれた競争」の4年間
高校時代から全国の舞台で注目を集めてきた2人だが、大学4年間は決して順風満帆ではなかった。それでも、彼らは確実に「ドラフト候補」と呼ばれる現在地へとたどり着き、B.LEAGUE DRAFT 2026へとエントリーした。
なぜ、岩下と福田は筑波大学で成長できたのか。
その答えは、個人の努力だけでなく、筑波という環境そのものにあった。
プロフィール
岩下准平(いわした・じゅんぺい)
179cm/78kg 福岡県出身
福岡大学附属大濠高等学校 卒業
ポジション:PG
福田健人(ふくだ・けんと)
194cm/94kg 徳島県出身
中部第一高等学校 卒業
ポジション:F
「文武両道で、自分を律せる環境だと思った」
競技レベルの高さと同時に、学業にも本気で向き合える環境があること。さらに、将来を見据えた教員免許取得の可能性も含め、バスケットボールだけに閉じない選択肢があった。
筑波大学は、選手を細かく管理する環境ではない。
その分、学生一人ひとりに高い自律性が求められる。練習、生活、学業。どれも「自分で決める」ことが前提となる。
一人暮らしをしながら、競技と学業を両立させる日々。
その中で岩下は、バスケットボールだけでなく、自分自身をマネジメントする力を磨いていった。コート上での冷静な判断や、周囲を見渡す視野の広さは、そうした日常の積み重ねの延長線上にある。
全員が「チームをつくる側」に立つという文化
試合運営、分析、準備。さらに1試合500名近くを動員するホームゲームでは、Bチームの学生が中心となり、会場づくりから進行までを担っている。
「試合に出ていない選手も、全員がチームの一員として役割を持っている」
岩下はそうした環境を、筑波らしさの一つとして挙げる。
日々のミーティングでは、年次に関係なく意見が交わされる。
感覚論ではなく、なぜそうするのかを言葉にし、全体で共有する。そのプロセスを通じて、チームとしての理解度は自然と高まっていく。
「頭がいいチームだと思う」
岩下がそう表現するように、筑波の強さは、思考する文化の上に成り立っている。
異なる役割が交差するチームの中で
対話を重ね、個々の立場や考えを尊重しながら、全体の方向性を整えていく。その姿勢が、多様な背景を持つ選手が集う筑波にフィットしていた。
推薦入学、一般入試。さまざまなバックグラウンドを持つ選手たちをまとめるには、技術以上にコミュニケーションが求められる。岩下はその役割を、自然体で担ってきた。
また、福田健人の成長を語るうえで、2023年の新人戦とインカレは欠かせない。
大学バスケットボールという環境に順応しながら、限られた役割の中で確実に存在感を示していたのが、この新人戦だった。
フィジカルを生かしたリバウンドやインサイドでのコンタクト。どれもチームが必要とする仕事を、淡々と、確実にこなしていた。
推薦、一般、経験値の異なる選手が混在する筑波において、「自分に何が求められているのか」を理解し、最短距離で体現できること。その資質は、この頃からはっきりと表れていた。
新人戦で積み上げた信頼は、その後のキャリアの土台となり、現在の福田健人につながっている。
「開かれた大学」が育てる、開かれたチーム
その考え方は、男子バスケットボール部の在り方にも通じている。
上下関係に縛られず、意見を交わす。
固定化されたやり方に疑問を持ち、より良い方法を模索する。
留学生を擁するチームが主流となる大学バスケットボール界において、筑波は別のアプローチを選んできた。それは否定でも対抗でもなく、自分たちの環境と強みを見つめ直した結果だ。
変化を恐れずに、問い続ける姿勢。
その積み重ねが、筑波というチームの競争力を形づくっている。
それぞれの次のステージへ
しかしそれは、終わりではなく、筑波大学男子バスケットボール部が前へと進むための過程に過ぎない。
岩下と福田は、チームの変化を最前線で見つめ、支えてきた。
そして今、それぞれが次のステージへと歩み出そうとしている。
筑波大学で培った自律心、思考力、役割意識。
それらは、舞台が変わっても揺るがない。
Bリーグドラフトを前に、2人は静かに準備を整えている。
筑波で過ごした4年間は、確かな「現在地」を示す時間だった。
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