「このベルトの輝きを見た時に直感的に『新日本プロレスは大丈夫だ』と確信しました」“二冠王者”辻陽太に直撃インタビュー! ジェイクに関しては「色気のあるジェイク・リーはどこか行っちゃいましたね」新ユニット“Unbound Co.”にも言及!!

チーム・協会

【新日本プロレス】

1.4東京ドーム大会で、KONOSUKE TAKESHITAからIWGP世界ヘビー級王座を奪取、その直後にIWGPヘビー級王座の復活という歴史的な転換を成し遂げた辻陽太。IWGP GLOBALヘビー級王座との二冠王として、棚橋弘至引退以降の“新時代の顔”として、いま何を思うのか? 無料ロングインタビュー!

聞き手/鈴木佑
撮影/中原義史

■ミクチャpresents Road to THE NEW BEGINNING
1月19日 (月) 17:30開場18:30開始
東京・後楽園ホール

※リンク先は外部サイトの場合があります

1月20日 (火) 17:30開場18:30開始
東京・後楽園ホール

※リンク先は外部サイトの場合があります

■観にくるお客さんは基本的に「これが新日本プロレスだよね」っていうものを見たいんじゃないかなって

【新日本プロレス】

――辻選手、IWGPヘビーとIWGP GLOBALヘビーのダブル戴冠、おめでとうございます!

辻 ありがとうございます!

――まず1.4東京ドームの大一番を迎えるまでを伺いたいんですが、今回の年末年始はどのように過ごしましたか? よく新日本のレスラーは、ドームを終えるまでは正月気分にはなれないという意見を耳にしますが。

辻 オレはこの年末年始は、けっこうリラックスしてましたね。年末にちょっと短かったですけど沖縄に行ったのがよかったのかもしれません。で、30日に都内に戻ってきて正月を迎えて。

――沖縄で束の間のリフレッシュを?

辻 はい。そのときにひとつ発見というか、すごく思ったことがあって。沖縄で伝統芸能の「エイサー」を観にいったんですけど、なんというか、“ネオ沖縄”だったんですよ。

――新しい沖縄を感じたということですか?

辻 そうです。民謡がEDM(エレクトリック・ダンス・ミュージック)みたいになっていて、想像していたのとちょっと違って。現地の人たちは聴きなれた沖縄民謡もいいけど、そういうアレンジされた新しい民謡も楽しんでいるのかなと思うんですよね。でも、たまに沖縄に来る人は、その土地ならではの民謡を求めてるんじゃないかなと。そして、これはたぶん新日本プロレスも同じかもしれないなと思ったんです。

――新日本プロレスならではのものを求めていると?

辻 はい。オレたちはプロレスをやってる身なんで、プロレスをどんどん進化させていかなきゃいけないっていう考えかたになりがちですけど、観にくるお客さんは基本的に「これが新日本プロレスだよね」っていうものを見たいんじゃないかなって、すごく思って。やっぱり新日本プロレス伝統のもの、たとえば「闘魂」とか、そういうものを大事にしないとなってあらためて思いましたね。

――新日本のレスラーとして、大切にしなければいけないものを再確認したわけですね。

辻 きっと人を楽しませるエンターテインメントの基本って、そういうところなんだろうなと思うんですよ。 お客さんが求めているものを、こっちが見せることができるかどうか。 もちろん、時代に合わせた変化も必要ですけど、根底にある新日本プロレスらしさはちゃんと残しておかなきゃいけないんだなって思いました。

――団体の年間最大のイベントを前に、いい“気づき”があったと。

【新日本プロレス】

辻 そうですね。今回そう感じたのは、相手が(KONOSUKE)TAKESHITAだったっていうのも大きいと思います。彼はさまざまな面で、どんどん進化を求めているレスラーであり、そこはオレも否定はしないです。でも、その中でやっぱりオレは新日本プロレスの生え抜きとして、「新日本プロレスとは何ぞや?」というものを、今回の東京ドームで見せなきゃいけないんだなって思いました。

――TAKESHITA選手は現在DDT、AEW、そして新日本の3団体所属ですが、生え抜きとしてスタイルの違いというのは感じますか?

辻 それはありますね。ただ、彼も新日本所属として団体への思いは絶対にあって、彼は彼なりの新日本プロレスを体現してると思うんですよ。これはどっちがいい悪いではなく、それがぶつかり合うからこそ、おもしろいと思いますし。

――たしかに互いの信念をぶつけ合うイデオロギー闘争はプロレスの醍醐味というか。では、1.4東京ドーム大会当日は、わりとリラックスして迎えたかたちですか?

辻 そうですね。もともと、自分はふだんからあんまり緊張しないんですけど。とはいえ、さすがに人生の大一番だとは思ってました。東京ドームでセミファイナルに立ったことはなかったですし、ましてや二冠王座戦だったので。

――史上初のIWGP世界ヘビーとIWGP GLOBALヘビーのダブルタイトルマッチということで、よきプレッシャーという感じでしょうか?

辻 はい、コンディション的にも問題なく。当日は大好きな“朝マック”も食べましたし。メガマフィンのケチャップ抜きを(笑)。

――お腹と心を満たしてドームに臨んだと(笑)。会場は超満員札止めでしたが、体感していかがでしたか?

【新日本プロレス】


辻 これまで経験したどの東京ドーム大会よりも歓声がすごくて、新日本プロレスのレスラーでよかったなと感じましたし、「これが新日本プロレスだよな、こうじゃなきゃいけないな」って思いましたね。入場ガウンをセコンドの永井(大貴)に渡すときに、「こいういう景色を、オレたちは来年も再来年もずっと作っていかないとな」っていう話をしました。

――これからの新日本を担う若手と団体の未来を語ったと。

辻 そこが大事なんですよね。ヤングライオンっていうのは新日本プロレスの宝であり、その宝が未来を見据えることができなければ、新日本は終わりだと思うので。「いまさら生え抜きどうこう言ってんなよ」っていう声もありますけど、生え抜きがいなければ新日本じゃなくなるっていうことは言っておきたいです。

■オレはもっと、TAKESHITAが新日本に来てくれたらいいなと思ってます。

【新日本プロレス】

――そして二冠王座戦ではTAKESHITA選手を撃破し、IWGP世界ヘビー3度目の挑戦にして初戴冠を成し遂げましたが、団体頂点のベルトを手にしたときの気持ちは?

辻 正直に話すと、その瞬間はベルトを手にした実感よりも、あのTAKESHITAに超満員の東京ドームで勝ったという思いのほうが強かったです。その翌日の大田区大会で、“IWGPヘビー級”のベルトを腰に巻いたときに「あ、オレがチャンピオンなんだ」って実感しました。じつはオレ、今回の1.4東京ドーム含め、いままでチャンピオンベルトというものを腰に巻いたことが一回もないんですよ。

【新日本プロレス】

――そうだったんですね。これまで世界ヘビー、GLOBALヘビー、NEVER6人タッグを戴冠されてますが、大田区で初めてベルトを腰に巻いたと。

辻 それは自分が最初に腰に巻くのは、IWGP ヘビーのベルトだとずっと決めていたので。

――そのくらい、あのベルトへの思いが強かったわけですね。TAKESHITA戦は壮絶な激闘でしたが、攻防の中で印象的なのは?

辻 わりと序盤に食らったブレーンバスターで“バーナー症候群”になっちゃって。これはアメフトやラグビーでよくあるんですけど、首や肩に強い衝撃を受け、燃えるような痛みを感じる症状で、そこでだいぶペースを崩しました。

【新日本プロレス】

――たしかに最初はTAKESHITA選手が主導権を握りました。しかし辻選手も意地を見せ、ブエロ・デ・アギラから猛反撃に転じました。あのブエロ・デ・アギラは過去一といっていい決まり具合だったというか。

辻 過去一キレイでしたね(笑)。正直、ブエロ・デ・アギラは出すか迷ったんですよ。あれはキャリアを重ね故障が増えれば、将来的にできなくなる可能性の高い技だと思いますし、この大一番でやるべきものなのかどうか、悩んでいて。

――繰り出すきっかけは何かあったんですか?

辻 道場で練習しているときに、たまたま嘉藤(匠馬)がいて、なんとなくいまの話をしたんですね。そうしたら彼が「いや、辻さん、やりましょう! 大一番で飛ばないと始まらないですよ!」と、ヤングライオンに背中を押されました(笑)。

――先ほどの永井選手のように“新日本の宝”とそういう話をするのがいいですね(笑)。1.4東京ドームの前、棚橋弘至社長にこの一戦について伺ったところ、「新世代でTAKESHITAにフィジカルで対抗できるのは辻」という発言をされていましたが、あの一撃でまさに体現したというか。

辻 たしかに運動能力の高さで対抗できるのはオレだけかもしれないですね。ただ、総合的なパワーでいえばTAKESHITAのほうが上だと思います。いまシングルの戦績ではオレが2勝1敗で上回ってますけど、もしTAKESHITAが新日本に常時出場することになって、シングルをやる機会がもっとあったら、たぶん戦績も変わってくると思うので。

【新日本プロレス】

――二冠王者がそこまで言ってしまうくらい評価されているわけですね。たしかに試合後、辻選手は勝利を収めているのに、TAKESHITA選手に「オマエに負けたくない!」と発言されていました。

辻 ふつう、勝者が「負けたくない」っていうのは、ちょっとヘンですよね。でも、そのくらいオレは彼のことを認めているので。その負けたくないというのは試合の勝ち負けだけじゃなく、いろんな意味も込めての「負けたくない」なんです。現状、ギャラに関しては負けてそうですけど(笑)。

――そこは3団体所属でワールドワイドに活躍している相手に分があるんじゃないかと。プロレスは相手あってのものですし、そこまで認めるライバルに出会えたというのは財産というか。

辻 いや、本当にそう思いますよ。だからこそオレはもっと、TAKESHITAが新日本に来てくれたらいいなと思ってます。

――この試合の前、辻選手はTAKESHITA選手について「新日本のトップとして新日本にもっと集中したい、そういう発言もできたはず」、「チャンピオンとしての器はどうかなって思う」など、わりと辛辣な発言をされてましたけど、あれは一種の“ラブレター”みたいなものですよね。

辻 そうですよ。みんながどう受け取っているかわからないですけど、あれはオレからのラブレターですから。

――そして試合は最後、決闘のように相手に向かって同時に突進し、TAKESHITA選手はワガママを狙いましたが、辻選手が先にジーンブラスターを炸裂。しかしカバーではなく、逆エビ固めでギブアップを奪いました。あのフィニッシュにはどのような思いを?

辻 さっきお話したように、新日本ならではのものを見せたかったんです。あの技にはアントニオ猪木の時代から受け継がれてきた新日本の魂が詰まっていると思いますし。

【新日本プロレス】

――たしかに新日本の生え抜きレスラーなら誰しも、一度はあの技で勝利を収めているというか。

辻 生え抜きならスクワットやブッシュアップと同じく何万回と練習してきた技ですからね。

――試合後、TAKESHITA選手は敗因を“覚悟の差”と分析していました。

辻 新日本を背負っていくという部分で、間違いなくオレのほうがこの試合に懸ける覚悟はあったでしょうね。でも、今回の試合を通して、あらためてKONOSUKE TAKESHITAというプロレスラーのすごさを感じましたし、これからもしのぎを削ることで、お互いと新日本プロレスを高め合っていければと思います。

――大会自体が注目を集めましたし、試合後の反響も大きかったのでは?

辻 かなり大きかったですね、大会後にLINEを見たら150件くらい届いてました。本当にありがたいことだと思います。

――辻選手の“替え玉”としてリングに登場したこともある、スタントマンの双子のお兄さん(辻将太)からは?

辻 何もないです(笑)。

――現在、海外でスタントマンとして活動されているお兄さんは、辻選手と幼少期からライバルだったということですし、弟の偉業にうれしさと同時に悔しさもあるかもしれないですね。

【新日本プロレス】

辻 これは新日本のスタッフの人から聞いたんですけど、将太が水道橋の駅近くでファンの人に求められて、記念撮影してたみたいです(笑)。

――いい話ですね(笑)。さすがにリング外では“替え玉”ではなく、辻選手のお兄さんとして声を掛けられたと思いますけど。

辻 将太とはもっとうまい感じで協力できたらなとは思ってます。彼の業界のコネクションもありますし。海外だとWWEの選手が映画に出たりしてますけど、新日本の選手たちももっとスターになっていかなきゃいけないと思うので。

■オレはあの日の棚橋弘至に、プロレスラーの“最終形”を見た気がします。

【新日本プロレス】

――辻選手とTAKESHITA選手の二冠王座戦のあと、メインでは棚橋さんが、オカダ・カズチカ選手を相手に引退試合を行いました。辻選手は自身をプロレスに導いた恩師の最後の勇姿を、どうご覧になりましたか?

辻 試合後にシャワーを浴びて、首を冷やしながら途中から観てたんですけど、「やっぱり棚橋弘至はスゲーんだな」って思いました。あの絶え間なく続いた大観衆の大声援というのは、「棚橋をもっと見ていたい」という気持ちの現れだと思うんですよね。棚橋弘至が花道を歩くこと、棚橋弘至がリングに上がることに価値がある。オレはあの日の棚橋弘至に、プロレスラーの“最終形”を見た気がします。

――尊敬の念を抱いたと。

辻 試合内容もすごかったですし、終盤には“たぎって”ましたしね(笑)。

【新日本プロレス】

――中邑真輔選手のような動きを見せてましたね。そういえばドームではTAKESHITA選手が、中邑選手に託された赤いバンダナを左腕に巻いていましたが、それについては?

辻 気づいたときは一瞬、取ってやろうかと思ったんですよ。でも、すぐにそれは中邑さんにも棚橋さんにも失礼だなと。やっぱりあの大会には、いろんな選手がいろんな想いを抱いてたんだなって思いますね。

――また、東京ドームでは東京五輪の柔道金メダリストであるウルフアロン選手が、EVIL選手からNEVER無差別級王座を奪取し、衝撃のプロレスデビューを飾りました。

辻 いやあ、すごかったですね。オレは次の試合だったんで入退場ゲートの裏のモニターで観てたんですけど、「金メダリストってすごいんだな」って再認識しました。

――アスリートとしては当然のこと、プロレスラーとしての立ち振る舞いも堂々たるものだったというか。

辻 当日にバックステージで見かけたとき、ウルフアロンが坊主になってたんですけど、その時点で「この人、プロレスわかってるな」と思いました。

【新日本プロレス】

――前日会見でEVIL選手に「負けたら坊主」と理不尽に要求されていたのが、いい前フリになってましたよね。シングルのベルトの順列でいうと1位と2位を辻選手、そして3番目にいきなりウルフ選手が位置づけたというか。

辻 たしかにそうですね。また無差別級というのが彼にピッタリだと思いますし。いまはチャンピオン同士なので、なかなか対戦する機会もないと思いますけど、いずれ戦うのが楽しみです。

■ジェイクの襲撃は、単純にムカつきますね。「オレがどれだけの思いでこの IWGP ヘビーのベルトを獲ったと思ってるんだ?」って

【新日本プロレス】

――棚橋さんが引退し、今後は団体頂点のベルトを奪取した辻選手がリング上を牽引する立場となりますが、1.4東京ドームの試合直後に、ジェイク・リー選手の襲撃を受けました。さっそく、次なる相手が現れた格好ですが、約1年4カ月ぶりに復帰しUNITED EMPIRE入りしたジェイク選手について思うことは?

辻 単純に「何しに来てんの?」って感じですね。それだけ長く欠場して、復帰したと同時に襲いかかって、簡単にベルトに挑戦できるのはおかしいと思います。オレも凱旋したときに、当時IWGP世界ヘビー級王者だったSANADAを襲撃してますけど、欠場開けとは状況が違いますし、王者も納得させているので。

――ジェイク選手は全日本プロレスやプロレスリング・ノアで活躍後、2024年7月にBC WAR DOGSに加入しましたが、そもそもどのような印象でしたか?

【新日本プロレス】

辻 もともと、他団体にいた頃から興味ある選手ではあったんですよ。色気があって、いつか試合してみたいなと思っていて。ジェイクが内藤さんと抗争してたときにタッグで当たったことがあるんですけど、そのときは若干触れた程度でした。

――ジェイク選手は24年の9.11仙台大会で右足を負傷し、以降は長期欠場に入っていました。

辻 新日本に上がるようになってすぐケガしちゃったわけで、彼としては精神的にもけっこうキツかったと思います。で、いざ復帰したら長い髪も切って、色気のあるジェイクはどこか行っちゃいましたね。どこかサイコパスっぽい感じになって。

――襲撃の際には、ジェイク選手の必殺技であるFBSを初めて被弾しましたが、その威力は?

辻 いや、強烈でしたよ。しかも、TAKESHITA戦で首を痛めたあとに、デカい足で勢いよく顔面と首をガリガリっていかれて。次の日の大田区体育館で当たったときに食らったヒザ蹴りもメチャクチャ効きました。

――その大田区で辻選手はジェイク選手に「アンタが挑戦したいなら、このオレを納得させてみろよ」と詰問。しかしジェイク選手は応えず、IWGPヘビーのベルトを手におちょくる仕草で挑発を見せました。

【新日本プロレス】

辻 単純にムカつきますね。「アンタは休んでいるあいだ、新日本を見てたのか? オレがどれだけの思いでこの IWGP ヘビーのベルトを獲ったと思ってるんだ?」って言いたいです。そんなことレスラーならわかると思うんですけど、あんなふうな動きを見せるあたり、本当にサイコパスだと思いますね。

――ただ、全日本で三冠ヘビー、ノアではGHCヘビーを戴冠しましたし、実力者なのは間違いないというか。

辻 フィジカルの強さや、あの体格であのスピード感はTAKESHITAに似たものを感じますね。やっぱりプロレス界においてデカさは正義なんで、持って生まれた才能がすごいというか。それがないオレは、べつのところで補わないといけないので。

――いちレスラーとしての実力は認めていると。

辻 だからオレはべつに試合をやるのは構わないんですよ。東京ドームのマイクアピールっていう一番イイところもジェイクに潰されて、黙ってるわけにはいかないですし。ただ、IWGPヘビーを懸けるとなると、そんな軽々しいものだと思われたくないですし、なんで挑戦したいのか、なんでUNITED EMPIREに入ったのか、こっちを納得させてくれないと。試合で伝えるだけじゃなく、やっぱり言葉でも思いを示してもらいたいですね。

――以前は饒舌だったジェイク選手が、現時点で言葉を用いてこないのが不気味というか。

辻 ちょっと何考えてるのかわからないですね。まあ、オレは王者なんで、ここからは彼の動き次第かなと思ってます。お客さんのことだって納得させないといけないでしょうし。

ただ、この情報が簡単に手に入る時代でベストなタイミングを見計らっているのであれば、それはオレが好きなジェイクですね!

――ジェイク選手が新たに所属したUNITED EMPIREは、ほかにも新規加入の選手や復帰し合流する選手がいたり、あとは創設者のウィル・オスプレイ選手が1.5大田区で登場したりとさまざまな動きが見られますが、それについては?

【新日本プロレス】

辻 TAKESHITA戦に集中していたのでちゃんとは追えてなかったんですけど、「ユニットとして何がしたいんだろう、何を目指してるんだろう?」とは思いますね。オーカーン(グレート-O-カーン)も思わせぶりでハッキリしたことは言わないし、カラム(・ニューマン)はただただ暴走してるだけだし。ユニットをコントロールできる人間がいないから(ウィル・)オスプレイが出てきた部分はあるんでしょうけど……、いまさらどうなんですかね。

――ちなみにオスプレイ選手とは辻選手が凱旋帰国を果たした2023年の9.24神戸ワールド大会で、IWGP US(UK)ヘビー級王座を懸け激闘を繰り広げましたよね。

辻 あの試合は自分の力を示すターニングポイントになった試合でもあるので、オスプレイには感謝してます。じつは今回の東京ドームのバックステージで、ちょっとだけオスプレイとしゃべったんですよ。「ベルトおめでとう、最高の試合だったよ。またいつかオレたちで試合したいな」って言われて、「もちろん、やりたいよ」と応えました。でも、UNITED EMPIREの現状とか踏まえると、いまはちょっと考えにくいですね。

■それぞれから出た案に“Unbound”という言葉があって、これは日本語で「縛られない、解き放たれた」という意味なんですけど、オレらは元L・I・Jのメンバーなので、そのコンセプトにもマッチしているというか

【新日本プロレス】

――次期シリーズはまだ序盤のカードしか発表されていませんが、辻選手が1.5大田区で正式始動を発表した“Unbound Co.”は、昨年から抗争を続けているUNITED EMPIREと火花を散らすことになりそうです。Unbound Co.は昨年10月から共闘してきた“無所属”と“BC WAR DOGS”が合体した新ユニットとなりますが、そもそもは無所属のメンバーで「そろそろユニット名をつけよう」というところから話が始まったそうですね。

辻 そうです、それぞれの意見を集めて。それぞれから出た案に“Unbound”という言葉があって、これは日本語で「縛られない、解き放たれた」という意味なんですけど、やっぱりオレらは元L・I・Jのメンバーなので、そのコンセプトにもマッチしているというか。あと、“Unbound Co.”という響きもいいと思いましたし、結果的に票が集まって決まった感じです。

――多数決で決めたと。

【新日本プロレス】

辻 いろんな案はありましたよ。無所属として動き出した辻陽太、鷹木信悟、高橋ヒロムの頭に全員“T”が付くから“T-BLAZE”とか、あとは“目まい”と“信念”という言葉を組み合わせた“Dizzy DOGMA”っていうのもありました。この話し合いが『WORLD TAG LEAGUE』の期間中で、そこにBC WAR DOGSのメンバーたちも「何か立ち上げるなら、俺たちも一緒にやりたい」と乗っかってきて。

――『WTL』では辻&ゲイブ・キッド組や鷹木&ドリラ・モロニー組、デビッド・フィンレー&ヒロム組と、それぞれ越境タッグを組んでいましたね。

辻 そこで「じゃあ、メンバーも増えるし、BULLET CLUBの“CLUB”に当たるようなものをつけよう」となり、“COMPANY”を意味する“Co.”を付けたかたちです。

――2013年の誕生以降、世界的に名を馳せたBULLET CLUBがなくなるのも、大きな分岐点というか。

辻 正直、BULLET CLUBがなくなるというのは、オレ自身もビックリしました。客観的に「すげえことするな」って思いましたし、逆にいえばBULLET CLUBを捨てる覚悟で来てくれたんだと思ってます。

■このベルトの輝きを見た時に直感的に「新日本プロレスは大丈夫だ」と確信しました

【新日本プロレス】

――復活したIWGPヘビーへの思いも伺わせてください。かねてより辻選手は、IWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタルが一つになり誕生したIWGP世界ヘビーを獲得した場合にベルトを“解体”し、IWGPヘビーの復活をアピールしてきました。そして1月6日の会見で棚橋社長に直談判し、正式にIWGPヘビーの復活が認められましたが、率直なお気持ちは?

辻 感無量です。わりと早い段階からオレはIWGPヘビーの復活を口にしてましたけど、「なんで誰も言わないんだろう?」とずっと思っていて。同じ考えの人はいても、声には出さなかった。オレは実際に声に出して、ファンからも「いまさらそんなこと言うなよ」みたいな意見もありましたし、賛否両論でしたけど、こうして有言実行することができてうれしいですね。

【新日本プロレス】

――会見で棚橋社長からは「これでIWGPヘビー、IWGP世界ヘビーの歴史がつながったので、その先の新しい世界を創ってくれ」という言葉がありました。

辻 これでIWGPヘビーの最多戴冠記録(8回)を持つ棚橋弘至の名をIWGPに戻すことができたと思っています。棚橋さんはIWGP世界ヘビーもIWGP GLOBALヘビーも巻いてないですし、このままだったらその名がIWGPの歴史から消されてしまうと思っていたので。

――棚橋さんの引退のタイミングで、歴史がつながったと。

辻 棚橋さんに街中で声を掛けられたことがきっかけで新日本プロレスに入り、付き人として育ってきた自分がその役目を果たしたのも、運命なのかなって思います。

――東京ドーム前のインタビューで、辻選手は「棚橋さんの引退後の新日本は一時的に厳しいんじゃないか」という発言を残していましたが、ベルト奪取後の会見では「このIWGPの輝きを見ていたら、そんなことないっていうふうに思えた」と、前向きにコメントされていましたね。

辻 去年の1.4東京ドームが2万4千ぐらいで、今回は棚橋弘至の引退を観に倍のお客さんが集まった。その事実に正直、「これからきついだろうな」とは思いました。
でも、このベルトの輝きを見た時に直感的に「新日本プロレスは大丈夫だ」と確信しました。

このベルトのためなら命を懸けてこのリングで戦っていきたいですし、ライバルたちもたくさんいますから。大田区では“令和のカリスマ”も誕生しましたし。

――大会を見事なマイクアピールで締めくくったYuto-Ice選手ですね(笑)。

【新日本プロレス】

辻 いま新日本は大きな変革期だと思いますけど、そういうときが一番おもしろいですから。そういうことも踏まえて、オレは「新日本は大丈夫です」と胸を張って言いたいです。

――また、会見ではIWGP GLOBALヘビーの防衛戦について、「海外で試合が行われる際や、外敵のような選手を迎え撃つ」という発言もありました。1.5大田区では前GLOBAL王者のゲイブ・キッド選手が、2.11大阪府立でアンドラデ・エル・イドロ選手と同王座の挑戦権を懸けた一騎討ちの実現をアピールしていますが、何か思われることは?

辻 海外で名の知られているアンドラデをGLOBALの戦いに絡めるのは、ゲイブもオレの意思を尊重してくれてるんだなと感じました。あと、オレとゲイブはいま共闘してますけど、去年の『WORLD TAG LEAGUE』に組んで出場してみて感じたのが、やっぱり対角線にいるべき存在だなと。きっとゲイブも同じ気持ちだと思ってます。

――ライバルとして戦ってこそお互いに輝くと。

辻 もしアンドラデとゲイブの試合が実現し、その勝者とGLOBALを懸けて戦うのなら、海外でやれたらいいですね。アンドラデとなら新しい外国人選手を迎え撃つことになりますし、ゲイブとなら新日本の戦いを世界に発信することになるので、どちらも意味合いのあるものだと思います。

――ジェイク選手との王座戦の行方も気になりますし、2本のベルトを持っていると、より狙われる立場になるというか。

辻 さっそく忙しいですね(笑)。ドームが終わってゆっくりする間もなく、試合以外にも予定がパンパンで。でも、オレはそれがチャンピオンであり、チャンピオンの責任だと思ってます。

【新日本プロレス】

――チャンピオンらしさという部分では、辻選手はファッションにこだわりが強いので、オシャレなスーツにベルトがよく映えるというか(笑)。

辻 ありがとうございます(笑)。オレはやっぱりIWGPを持つ人間として、ふだんからいい格好をしなきゃいけないと思いますし、なんなら最高峰のベルトのチャンピオン専用車として“チャンピオンカー”作ってくれないかなと。これからのチャンピオンたちのためにも、そういうものを残せたらいいなと思いますね。

――王者として会社へのアピールですね。昨年の11.2岐阜の棚橋戦のあと、「オレの追い上げはレスラーが終わっても続くぞ。社長になったアンタにはもっとオレからの突き上げを感じてもらうつもりだ」とおっしゃっていましたけど(笑)。

辻 新たな戦いの始まりです(笑)。

――最後に新日本の中心として、あらためて2026年の所信表明をお願いできれば。

辻 今回のIWGPヘビー復活の件もそうですけど、オレは自分が新日本プロレスにとって必要だと思うことは、どんどん発信していこうと考えてます。きっとレスラーやファンからは、いろんな声があると思いますが、そのすべてを受け止め、オレは命を懸けて新日本プロレスを背負い、その覚悟をこれからも見せていきます。

【新日本プロレス】

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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