【箱根駅伝】 12年ぶりのシード復活、箱根路で見せた“古櫻”の意地 〜日大プレイバック(1) 躍動の往路
ハイペースの中で苦しい出だしとなった1区(21.3km)
レース後、「1つ前の集団の中で勝負したかった」と振り返った彰太選手の顔に笑みはなく、「大事なスタートのところで前と離れてしまい、シャドラックには難しい位置でタスキを渡すことになってしまい、悔しかったです」と言葉を絞り出した。
しかし、彰太選手が走り切った1時間2分8秒のタイムは、前回大会の区間2位の記録(1時間2分39秒)を大きく上回っていた。それでも1時間0分28秒の区間新をはじめ0分台が8人もいたことが、今年の1区がいかに高速展開だったかを物語っている。
2区(23.1km)でエースが本領発揮、一気に9位に浮上
大きなストライドで快調にピッチを刻むキップケメイ選手は、まず5.6km過ぎに青山学院大・大東文化大・東海大の集団を一気に抜き去って14位に浮上。さらに11km過ぎの保土ヶ谷駅手前で後退してきた東洋大を捉えて13位に上がると、2区の難所・権太坂で創価大・ムチーニ選手の前に出た。10位グループの神奈川大と日体大に加えて18km付近で東農大も捉えると、19.4kmでは中央学院大を交わして8位に浮上。この時点で鶴見中継所から学生連合の選手を含めて10人抜きを達成した。
最後は、戸塚中継所まで続く3kmの厳しいアップダウン。一時は並走してきた創価大・東農大とともに前を行く順天堂大を追い抜いたが、ラストスパートで伸びを欠いて僅差の9位でのタスキリレーとなった。
2度目の3区(21.4km)で雪辱、自らの力を証明する好走
「青学の選手と並走するというところで自分の中では緊張がすごくありました」というものの、“日本人エース”としての自負と、体調不良も相まって3区20位に沈んだ前回大会の雪辱を果たしたいという強い思いが、確かな力になったと言えよう。そこから藤沢、茅ヶ崎のポイントを経て海沿いの国道134号線を約10km並走、途中からは追いついてきた東農大と3校で懸命に前を追った。残り4kmほどとなった湘南大橋の上で、8位を走る山梨学院大に追いついたが、そこから一気に加速した宇多川選手の背中は次第に遠のいていった。それでも、最後の力を振り絞って飛び込んだ平塚中継所では、東農大に続いて10位でタスキをつないだ。
1つ順位は落としたが、昨年のタイムを2分半も縮める1時間2分30秒、青山学院大の主力としっかり渡り合っての区間14位という結果に、充実した表情を浮かべレースを振り返った冨田選手。「調子はここ2・3日でググッと上がってきていたんですが」と言いつつも、「実は1週間前に胃腸炎になってしまって…」と、まさかの告白。「正直、走らせてもらえないんじゃないかと思いましたが、監督から『いけるだろうっ』と言ってもらえたし、チームのみんなからも『日大の3区は冨田だろう』とか『これだけ走ってきた選手が、走れないわけがない』って言ってもらって…」と、感無量な様子でその時を語り、「とても不安でしたが、仲間たちに背中を押されて箱根路を走って、しっかり結果につながったことがすごくうれしい。この4年間、自分がやってきたことで、駅伝のエース区間でも戦えることを証明できた」と笑顔を見せた。
粘りの単独走で4区(20.9km)もシード圏内をキープ
9位・東農大とは4秒差でタスキを受け取ると、小刻みなアップダウンを繰り返しながら10の橋を渡るコースで終始単独走を展開。ペースを掴むことが難しいと言われる中でも、「とにかく前をしっかり追おうと思っていました」と、淡々と粘りの走りを見せた。
8.9km地点の二宮のポイントで前との差は26秒。タイム差はあまりわかっていなかったというが、「15 kmの酒匂橋を過ぎてからが勝負だと思っていたので、それまでは余裕を持って行って、橋のところから勝負をかけてペースを上げていくような走りをしました」。その言葉通り、酒匂橋のポイントで32秒あった東農大との差を、残り5kmでペースアップし、「最後の上り坂で近づくことができたので良かった」と小田原中継所では11秒差に詰め寄った。
調子の良さを買われての起用に、1時間2分41秒という4区の日大記録を更新する結果で応えるとともに、シード権争いに踏みとどまる貴重なつなぎ役を見事に果たした片桐選手。「今の段階で自分の持っている力をしっかり出せたと思いますが、タイムは区間14番目ですし、往路で上位と勝負していくにはまだ力が足りないと感じました」と冷静だ。高校の先輩である鈴木選手へのタスキリレーについて訊ねると、「お願いします!と言って渡しました」と笑みを浮かべた。
5区(20.8km)の山登りで9位へ、そして芦ノ湖フィニッシュ
「ずっと見える位置にいたので、ここは勝負に行かないといけないと思った」と3.5km地点の函嶺洞門のポイント手前で追いつくと、そのまま前に出て引き離していった。さらに「勾配が急になる塔ノ沢からの4〜5kmをどう攻略するかがポイント」と、夏合宿時からイメージしていた山登りでもこの1年間の成果を発揮。「夏以降、練習していく中で山の攻略法など変えた部分もありますが、大方のところ考えていたような走りができました」と、大平台(7km地点)のポイントでは前回大会より36秒速いタイムを記録し、追いすがる東農大に25秒の差をつけた。その後も、やや苦しげな顔を見せつつも小涌園前、芦之湯の定点ポイントでは前回大会を上回るラップを記録し、8位を走る創価大を懸命に追いかけた。
「20km余りを走って行く中で、至るところで大学の友だちや高校の監督・コーチ、中学時代の顧問の先生や後輩など、たくさんの方々が沿道から応援してくれて本当にありがたかった。きついところも多かったのですが、皆さんの応援のおかげで頑張れました」と、感謝の言葉を口にした鈴木選手。創価大との差を詰めることはできなかったが、芦ノ湖のフィニッシュ地点では総合9位で堂々ゴールテープを切り、往路を走り終えた仲間たちに迎えられて安堵の表情を浮かべた。
区間15位に終わった前回から1分以上縮め、区間9位のタイム(1時間11分59秒)で自らの日大記録も更新した鈴木選手は、「去年は申し訳ないというような気持ちでゴールしましたが、今年は晴れやかな気持ちでテープを切れました」と、最後の箱根駅伝で味わう達成感に笑顔を輝かせた。
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