「このまま終わりたくない」。年齢ではなく、姿勢で示すオールドルーキー

NTTジャパンラグビー リーグワン2025-26ディビジョン3 第4節2026年1月18日(日)13:00 維新みらいふスタジアム (山口県)中国電力レッドレグリオンズ vs ルリーロ福岡

ルリーロ福岡(D3)

【🄫ジャパンラグビー リーグワン】

第3節のクリタウォーターガッシュ昭島戦。ルリーロ福岡(以下、LR福岡)が接戦を制し、今季2勝目を挙げた試合で、一人静かな存在感を放っていたのが荒牧佑輔だった。37歳。今季、長年在籍した九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)を離れ、新天地に飛び込んできた“オールドルーキー”である。
この試合で、荒牧は今季初先発を果たした。しかも、その決定は試合当日。先発予定だった選手の負傷により、急きょ巡ってきたチャンスだった。それでも、慌てる様子はない。日ごろから「いつでも出られる準備」を積み重ねてきたからこそ、平常心でグラウンドに立てた。ベテランらしい落ち着きが、若いチームに安定感をもたらしていた。
LR福岡は、平均年齢の若いチームだ。昨季は3勝にとどまったが、今季は開幕から3試合で2勝。確かな変化が数字にも表れている。荒牧は、その要因を「やるべきことが明確になり、チームの文化が根付き始めていること」に見ている。若さゆえの勢いに、経験が少しずつ重なり合い、チーム力へと昇華されつつある。その過程を、37歳の新加入選手が内側から実感している。
転機は突然訪れた。九州KVから引退を告げられたとき、一度は「もう終わりかな」と思ったという。周囲では同年代や後輩が次々とスパイクを脱いでいく。それでも、心の奥に残ったのは「このまま終わりたくない」という感情だった。最後のシーズンを不甲斐ない形で終えたことが、その思いをより強くした。自ら動き、リーグワンでプレーできる道を探し、たどり着いたのがLR福岡だった。
新天地での挑戦は、決してラクではない。ほとんど知り合いのいないチーム。20代前半が中心のチームに、37歳で飛び込む不安もあった。それでも、後輩たちは自然に受け入れた。年齢ではなく、姿勢で示す。その積み重ねが、信頼関係を築いていった。
環境も大きく変わった。九州KVでは昼過ぎからの練習が中心だったが、LR福岡ではフルタイム勤務を終え、夜7時から土のグラウンドで汗を流す。往復2時間半をかけて練習場に通う。かつて当たり前だった恵まれた環境が、実は特別だったと気づかされる日々だ。だからこそ、荒牧はいま、「一つひとつに感謝する」ことを忘れない。
目標は明確だ。チームとしてはディビジョン2昇格。そのために、まず目の前の一戦に勝つ。個人としては、試合に出続け、出た以上は必ず勝利に貢献する。それだけを見据えている。
同世代が第一線で戦い続ける姿も、荒牧を突き動かす原動力だ。年齢はただの数字。試合に出てしまえば関係ない――。その言葉に、37歳の覚悟がにじむ。
静かに、しかし確かに。荒牧佑輔の挑戦は、LR福岡に“勝てる集団”の輪郭を与えつつある。
(柚野真也)
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