鹿島アントラーズ 百年構想リーグ編成考察&展望
編成考察
DF大川佑梧(←鹿島ユース)
DF元砂晏翔仁ウデンバ(※プロ契約)
MF林晴己(←明治大)
FW吉田湊海(※プロ契約)
GKパク・ウィジョン(→華城FC)
DF佐藤海宏(→新潟) ※期限付き
MFターレス・ブレーネル(→期限付き移籍期間満了)
MF下田栄祐(→栃木C) ※期限付き
<期限付き移籍組>
MF須藤直輝(→退団)
9年ぶりのリーグ優勝を果たした鹿島だったが、オフは例年になく静かなものとなった。主力の流出はゼロであり、退団者の中でも一番試合に出ていたターレスでさえ昨季のプレータイムは500分を下回っており、ダメージはほとんどない。一方で加入も他クラブからの加入はゼロで、新卒のみの補強に留まった。つまり、この百年構想リーグの半年間は2025シーズンとほぼ同じメンバーで臨むことになる。
キーパー
早川友基
◯有力
▲微妙
梶川裕嗣
△バックアップ
山田大樹、☆藤井陽登
※☆は新加入
バックアッパーだったウィジョンを放出して、代わりに大卒ルーキーの藤井を入れて4人体制をキープ。レギュラーはもちろん昨季のMVPにも輝いた早川で間違いない。問題は2番手の争い。早川の海外移籍も見越しておこなければならないし、早川がこのまま代表に選ばれ続けるようだと、百年構想リーグの最終盤はW杯前の準備期間と被るために早川不在で戦うことになるからこそ、その穴を誰で埋めるのかというのが注目なのだが、現状では昨季からの流れでベテランの梶川がリードしている状況だ。山田と藤井はそこから一歩遅れをとっている状況だが、その差は正直あまりないと思うので、2番手から4番手は何かのきっかけで入れ替わりが発生する可能性は大いにある。
センターバック
植田直通
◯有力
キム・テヒョン
▲微妙
関川郁万
津久井佳祐
△バックアップ
千田海人
☆大川佑梧
☆元砂晏翔仁ウデンバ
※☆は新加入
※()はサブポジションとしてこなせる選手
軸は植田で間違いない。昨季もフル稼働したが、守備能力はJリーグトップクラスであり、ボール保持やリーダーシップという面でさらに成長を続けるこの男を超えるのは簡単ではないだろう。その相方だが、昨季からの流れでリードしているのはテヒョン。韓国代表にも選ばれた成長株がレギュラー候補の筆頭だ。とはいえ、その座も決して安泰とは言えず、ケガからの復活を目指す関川や4年目の津久井も組み立ての面ではテヒョンを上回っており、彼らがポジションを奪っても不思議ではない。バックアップに甘んじている千田も試合に出ても遜色ないレベルの高さを見せており、選手層は厚い。大川、元砂のユース組はまだまだこれからという感じである。
右サイドバック
◯有力
濃野公人
▲微妙
小池龍太
△バックアップ
(津久井佳祐)
松本遥翔
(安西幸輝)
※☆は新加入
※()はサブポジションとしてこなせる選手
右サイドバックは本職3人を擁しているが、現時点でリードしているのは濃野。攻撃性能はトップであり、その前に出ていける推進力が高く評価されている。昨季途中の不調からも脱却しており、小池とのポジション争いでも一歩前に出ている印象だ。とはいえ、小池も様々なポジションで計算できる選手として重宝されており、右サイドから組み立てていきたい時には優先して起用されるはずだ。この2人以外は現時点ではバックアップの域を出ておらず、津久井は緊急時&クローザー要員、松本はまだ若手枠という扱いだ。安西も復帰すれば、小川との共存でこのポジションで起用される可能性もゼロではない。
左サイドバック
◯有力
小川諒也
▲微妙
(小池龍太)
溝口修平
△バックアップ
安西幸輝 ※離脱中
※☆は新加入
※()はサブポジションとしてこなせる選手
昨季最終盤にレギュラーを奪還した小川が現時点では一番手だ。器用さは欠けるものの、左足の精度と身体能力の高さは抜けたものがあり、コンディションが上がってきたことでチームにも大分馴染んできた印象がある。ただ、組み立てのサポートという意味では小池に分があるし、攻撃センスや高い位置での選択肢という部分では溝口にもチャンスはある。特に左サイドハーフに大外で受けたがるエウベルが入る場合は、溝口の方が合うかもしれない。安西はまだ実戦復帰できておらず、開幕にはポジション争いに加われるか微妙なところ。段階的にプレータイムを増やしていくことになるだろう。
ボランチ
◯有力
三竿健斗
知念慶
▲微妙
樋口雄太
柴崎岳
舩橋佑
△バックアップ
※☆は新加入
※()はサブポジションとしてこなせる選手
昨季様々な組み合わせが試されたポジションであり、昨季中盤から軸に据えられた三竿ですらレギュラーの確約はない、激戦区のポジションの一つだ。順当にいけば、レギュラー候補は三竿と知念のコンビ。ボール奪取力に長けており、強度が高く、プレーエリアも広い。その上でボールスキルがどんどん向上しており、ライバルたちとのその部分での差も縮め続けている。
樋口は彼らよりボールスキルが高く、強度もそれなりに出せて、プレースキックも蹴ることができる。より攻撃的に、ボール保持を意識したい時には樋口が起用されることになるはずだ。
柴崎と舩橋はプレー強度の面で課題があり、得意とするボールスキルの面でも他のライバルたちの成長により、相対的な強みを見せづらくなってきているだけに、正念場だ。柴崎は一つのパスでシュートまで繋げる一撃必殺のスルーパスがあるが、舩橋は組み立ての面で自身が入ることのメリットをこれまで以上に打ち出せないと、昨季のようなプレータイムを得るのは難しいかもしれない。
サイドハーフ
◯有力
(鈴木優磨)
☆林晴己
エウベル
▲微妙
チャヴリッチ ※離脱中
(小池龍太)
△バックアップ
(☆吉田湊海)
(樋口雄太)
(溝口修平)
(荒木遼太郎)
師岡柊生 ※離脱中
松村優太 ※離脱中
※☆は新加入
※()はサブポジションとしてこなせる選手
最激戦区のポジションである。本来であれば昨季終盤に覚醒の兆しを見せた松村が軸となるのだが、負傷離脱中で百年構想リーグ期間中はいない可能性が高く、そのため2つとも椅子が空いている状態だ。その中で一番手は、荒木トップ下起用によってこっちに回ってくるであろう優磨。攻撃陣の中でチーム最多の出場時間を誇る彼を外す選択肢は考えづらく、本職ではないが起用されないということはないだろう。優磨が入る場合、彼を左サイドに入れるのであれば、右サイドは現状ルーキーの林が一番手になってきそう。攻撃陣に大駒が多い中では彼のような労働者タイプが必要になってくるし、林自身も自身の武器を見せ、ここまで良いアピールをしている。もっと攻撃的にいきたい場合は、優磨を右サイドに置いて、エウベルを左に入れることになるだろう。
2列目は離脱者が多いポジションなのでまだまだなんとも言えない部分である。チャヴリッチが戻ってくれば林との激しいポジション争いになるだろうし、小池は助っ人陣やルーキーの林と違って計算が効くはずなので、重宝される場面もあるはず。ユースから上がってきた吉田はまずこのポジション、特に左サイドで起用されることになるだろう。プロでも通用する部分は十分にあるはずで、チャンスは決して少なくない。師岡も復帰してくれば、両サイドでレギュラー争いに加わってこれるはず。樋口や溝口、荒木といった本職以外の選手たちが起用される可能性もあるが、選手の数自体は揃っているので、スタートからこのポジションで起用されるケースはあまり多くはないかもしれない。
フォワード
レオ・セアラ
◯有力
鈴木優磨
荒木遼太郎
田川亨介
▲微妙
△バックアップ
徳田誉
☆吉田湊海
(チャヴリッチ)
(師岡柊生)
※☆は新加入
※()はサブポジションとしてこなせる選手
4-2-3-1採用時のトップ下で起用される選手もここに含んでいる。軸はレオ・セアラと優磨で間違いない。昨季の得点王に輝いたレオ・セアラは言わずもがなであるし、優磨も「有力」に置いたがそれは2列目起用の可能性があるからで、レギュラーを外されるということは考えづらい。ただ、昨季終盤に存在感を高めた荒木と田川は優磨をサイドハーフに回してでも先発起用したいと思わせるような扱いになってきており、荒木は主軸としてフル稼働できるかどうかの大きなターニングポイントであるし、田川も数字さえもっと残せれば、準レギュラーの立ち位置からもっと序列を上げられるチャンスとなる半年間になっている。徳田はまだ長い時間プレーすることに慣れていないので、しばらくは昨季終盤同様スーパーサブの扱いになるだろう。吉田はまだフィジカル面でプロレベルで通用するか疑問符が残るので、そこが解消されるまでは前線起用の優先度は下がるかもしれない。チャヴリッチや師岡はこのポジションの方が本職ではあるのだが、メンバーが充実していることもあって、2列目の方で起用される可能性が高く、スタートからこっちで起用される可能性は低いだろう。
展望
編成面で言えば現時点では特に問題ないのだが、気になるのはプレータイムの多い主力レベルに30オーバーの選手が多いことと、20代中盤の選手で主力レベルの選手が早川以外いないことである。優磨や植田、三竿、レオ・セアラらの働きに文句はないし、現時点で明らかな衰えは感じられないが、今以上のパフォーマンスや稼働を求めるのは難しいのも事実。その上で、彼らの次を担ってほしいはずの世代がちょっと物足りないのだ。関川は大ケガがあったし、今年25歳の世代になる松村や荒木が昨季伸びてきているのも事実だが、早川やテヒョン、荒木には欧州移籍のリスクが付きまとっているし、その下の世代はプレータイムを増やしてきたら、同時に海外に行く可能性も高まってしまう。確実に数年間は主力としてプレーしてくれそうで、ここからさらに伸びしろがありそうな選手が関川や松村以外にもう何人か出てきてほしいし、出てこないと本当の意味で黄金時代を迎えるのは難しいかもしれない。
そういう意味では、4月中旬までの今回の移籍期間はともかく、今夏の移籍期間ではそうした選手たちを加えることで戦力アップを図りたい。20代前半の選手を獲ってきた方が伸びしろも稼働期間も期待値は高いのだが、彼らには海外移籍のリスクがある。それならば、20代中盤でまだまだ成長しながらも、主力として数年稼働してくれそうな選手たちを加え、優磨や植田の世代からの主軸の世代交代を関川らと共にスムーズに迎えられるようにしたいところだ。過去で言えば、新井場徹や西大伍、永木亮太のような選手たちだ。特に、ボランチにはこの手のタイプのプレーヤーを迎えたいところである。
百年構想リーグに話を戻すと、この期間では優勝を目標にチームは活動していくことになる。鹿島にとっては、すでにACLEの出場権は獲得しており、賞金以外の目に見えるメリットはない大会になるが、リーグ優勝で得た「勝ちグセ」を簡単には失いたくないのだろう。
その中で注目したいのが、ボール保持とハイプレスの質の向上であり、宮崎キャンプではそこをどこまで浸透させられるかがカギになってくるだろう。攻守に圧倒するチームを目指す鬼木監督のチーム作りが内容面で昨季道半ばに終わったのは、この2つが試合で上手く機能しなかったからであり、要はボールを持って押し込む→奪われたら高い位置ですぐに取り返す→もう一回押し込む、をエンドレスで続けるのが理想であるからだ。
その中でもボール保持、組み立ての部分には注目したい。ハイプレスは来季ACLEとの過密日程を考えると体力面や編成面から難しい部分が予想されるので、ボール保持の方がまだクリアしやすいからだ。理想としては、なるべく少ない人数でボールをクリーンに前に運ぶこと。運ぶ過程で失ってしまってはもちろんいけないし、ボールを運ぶことに人数をかけすぎてしまうと、相手を崩す段階で人数が足りなくなってしまい、ボールを失った時の即時奪回が難しくなってしまう。ボールと一緒に陣形も上がっていくことで、コンパクトな形のまま相手陣内に侵入していくことを目指していくべきであり、それをいかなる形でも発揮できるクオリティにどこまで持っていけるかどうかが、チームをより高いレベルに持っていけるかどうかの判断材料の一つになる。
※リンク先は外部サイトの場合があります
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ