早大ラグビー部 大学選手権、早明頂上決戦で敗北 国立に『荒ぶる』響かず
全国大学ラグビーフットボール選手権大会 1月11日 対明大 国立競技場
『荒ぶる』を響かせるための決勝での勝利。そのたった一つの勝利はまだ遠かった。43489人が見届けた大学ラグビーの頂上決戦は紫紺のジャージに軍配が上がった。立ち上がりで3点を決め、先行した早大。しかし、明大のキック戦術に押し込まれ、自陣でのプレーを余儀なくされる。25分に今試合初トライを奪われると、続く34分にも失点。早大はトライチャンスを得られないまま前半を3ー14で終えた。続く後半も明大に先制を浴び、徐々に早大アタックに焦りが見え始める。ハンドリングエラーも増える中、反撃のきっかけとなったのはFB矢崎由高(スポ3=神奈川・桐蔭学園)のラン。ようやくトライを生み出すと、早大らしい継続アタックが復活。フェーズを重ねて何度もラインブレイクするが、最後まで明大の守備を崩し切ることができず無念のノーサイド。『荒ぶる』は響かず、昨年同様、そして日本一に輝いた6年前のあの日から実に4度目の決勝敗退となった。
ここからは明大のキック戦術に押し込まれる展開が続くが、LO栗田文介(スポ4=愛知・千種)のスティールなどでピンチを脱していく。しかし15分、早大は中盤のマイボールスクラムで故意に崩したとみられてしまい、明大にゴール前まで侵入を許す。モールから辛抱強くタックルし続けた早大だったがついにゴール中央へのダイブを許してしまい、4点を追いかける展開となった。中盤での攻防が続く中、25分に早大はまたも敵陣中央で反則を得る。1点でも点差を縮めたい早大はショットを選択。しかし、野中のキックは左に逸れ、惜しくも追加点とはならない。
プレー再開後はまたもキックの蹴り合いとなるが、空中での接触プレーにテレビジョン・マッチ・オフィシャル(TMO)が適応され、矢崎にシンビンの判定。スーパーエースを10分欠くこととなった。ミスが続き、思うように試合の流れをつかめずにいた早大は30分、明大のロングキックに押し込まれ、ボールをこぼしてしまうと紫紺のジャージにインゴールでボールを抑えられ、不運なかたちで失点を許した、かに思われた。TMOにて明大のノックフォワードの判定となり、救われた早大。しかし、陣地を思うように回復できず、34分にゴールラインを駆け抜けられ、スコアは3ー14に。
早大はいくつかのフェーズを重ねた後にハイパントキックで一気に前進することを試みていたが空中戦を得意とする明大BK陣に阻まれ、思うようにチャンスを生み出すことができない。ノータイムのホーンがなると同時にSO服部亮太(スポ2=佐賀工)が中盤からドロップゴールを狙うが、得点にはならず前半が終了。11点のリードを奪われ、後半に突入する。
19分、自陣でのスクラムで反則を取られ、明大は3点の追加に成功する。時間を使われながら点差を広げられ、早大としては苦しい展開に。時間を考えれば早い段階での反撃のトライが欲しい早大だったからこそ、アタックには焦りが見え始める。24分には服部が自ら仕掛け、前進するがフォローが間に合わずスティールされてしまう。つかみかけた反撃の糸口を早い段階で摘まれ、グラウンドには閉塞感が漂う。
しかし31分、自陣のスクラムからボールを展開した早大は矢崎が一気にスピードを上げ、ディフェンスを振り切る。フォローに走っていたWTB鈴木寛大(スポ3=岡山・倉敷)がさらに前進すると、最後は内側を走っていたSH渡邊晃樹(スポ2=神奈川・桐蔭学園)がインゴールに飛び込んだ。すぐに野中がキックを決め、スコアは10ー22。残り時間は少なくなっているが逆転可能な点差。ボールを保持し、フェーズを重ねるアタックに切り替えた早大はらしさの溢れる攻撃をようやく展開し始めた。35分、ハーフライン上でのラインアウトから左右にフェーズを重ね、飛び出した明大ディフェンスのギャップを見逃さなかったのはやはり服部。試合終了間際ながらも輝きを失わないその鋭角のステップでラインブレイクし、22メートルライン付近まで前進。勢いを増すアタックとともに、会場も最終盤に向けて熱気を帯びていく。しかし、全速力の攻撃はボールを落ち着かせることが難しく、無念にも落球してしまう。
未だに12点を追う早大だが、時間は刻一刻と過ぎていく。15を超えるフェーズを重ね、フルタイムを告げるホーンがなる中でFL粟飯原謙(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がラインブレイク。日本一の可能性は潰えたが、赤黒のジャージはトライを取ることを諦めない。グラウンドに立つ15名の選手たちは最後まで戦い抜いたが、ついに明大のディフェンスを打ち破ることはできず、ゴール前でノックフォワード。拳を天に突き上げる明大とは裏腹に、早大の選手たちは崩れ落ちた。最終スコアは10ー22。6年ぶりに『荒ぶる』を響かせることは叶わなかった。
幾度も流してきたその涙は勝利への執着心を強め、一枚岩で戦う早大を作り上げた。日本一に輝くことができなければ、これまでの努力は間違っていたのだろうか。『荒ぶる』を響かすことができなければ、これまでの日々は水泡に帰すのだろうか。そうではない。野中組で形作られた新たな文化の数々、そしてまたもあと一歩のところで敗れた強烈な悔しさ。これらは必ず、次の世代へと受け継がれる。3度目の正直、来年こそは『荒ぶる』を響かせてくれると信じる。
コメント
◆大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)
今日の試合はリードされることも想定していて、終盤でもチャンスがあると思ってみていましたが、明治大学さんのコンタクトの圧力が強かったです。選手たちはよくやってくれましたし、彼らのアグレッシブさを出せなかったのは自分の責任だと思います。4年生や健吾は本当にいいものを残してくれたので感謝しています。
ーー立ち上がりからキックを多用されてましたが、どのような意図でしたか
エリアを取るために競りにいって、敵陣でのセットプレーを増やしたいという意図でした。
ーーアグレッシブさを引き出せなかった原因は何だと思いますか
キックとランのバランスです。ボールを持って走る時間の長さのバランスは難しいのですが、準決勝、準々決勝は上手くいっており、マイボールのラインアウトの数が想定よりも多かったです。そういった中で、特に前半はボールを持つ時間が想定よりも少なく選手たちが受け身に回ったかなと思います。
ーーハーフタイムではどのような修正を図りましたか
ゲームプランはそのまま遂行して、ボールを持った時のアグレッシブさが足りてないからそこは上げていこうと話しました。
◆CTB野中健吾主将(スポ4=東海大大阪仰星)
前半のアグレッシブさが明治さんの方が上だったと感じています。それをみんなから引き出せず、チームを引っ張れなかった自分のリーダーシップに関してみんなには本当に申し訳ないです。ここまでチーム全体で成長出来たことは胸を張れると思います。
ーー明治大学のディフェンスを崩す状況が限定されていましたが、プレッシャーは感じましたか
簡単にいかないことはわかっていたので我慢しようと話していたのですが、我慢しきれなかった球際のミスが自分たちのマイナス面だと思います。プレッシャーも感じましたが、自分たちのミスだと思います。
ーー敵陣に入ってからのキックを用いた場面はどのような判断ですか
エリアは意識していたので、チームとしての遂行力はあったと思います。敵陣で戦い続けることを意識してのキックだったのでミスではないと思います。
ーー3年生以下へメッセージをお願いします
決勝での経験は無駄じゃないですし、2年連続で経験できているのは本当に貴重なものだと思います。また来年に繋がると思うので、この先もこの経験を活かして頑張ってほしいと思います。
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