「やってきたことは間違っていない」

静岡ブルーレヴズ
チーム・協会

プラン通りの40分

前半は15-8とレヴズがリードした。

主役は、開幕のイーグルス戦以来3試合ぶりに復帰したCTBセミ・ラドラドラだった。

ワイルドナイツが5点を先行したあとの前半10分、右サイドを豪快に突破したラドラドラが、タックラーをうじゃうじゃ引き付けておいて、タッチ沿いを駆け上がったFLヴェティ・トゥポウへオフロードパスを送る。

これは惜しくもタイミングがあわずボールが直接タッチに出たが、直後の13分、今度はトゥポウの豪快突破からのオフロードパスを受けたラドラドラがトライゾーンへ走り込む。しかし今度はTMOでスローフォワードと判定されトライは取り消しになってしまう。

しかしレヴズそしてラドラドラに落胆という文字はなかった。

21分、PKからのタッチキックで攻め込んだ相手陣22m線付近のラインアウトからラドラドラ、クワッガ・スミス主将が力強く前進。相手ゴール前のラックからSH北村 瞬太郎がボールを持ち出し、右にパスを出したところに走り込んだのがラドラドラだった。相手パスを受けながら、ボールを鷲掴みにした右手をトライラインに向かって伸ばし、ゴールポスト真下にボールをたたきつける。今度こそトライ!

サム・グリーンのコンバージョンが決まって逆転だ。
「自分がボールを持てば、必ず2~3人は集まってくるから外のスペースが空く。コールがあれば信じてパスを投げるだけです。今日は新年最初の試合だし、絶対に勝とうと話していました」とラドラドラ。

アタックだけではない。190cm110㎏の巨体で爆弾タックルを見舞い、相手ランナーの突破に反応して戻りながら相手パスをカットしてピンチを救う。

首の負傷からの復帰戦とは思えないラドラドラの獅子奮迅の働きは、開幕から3連勝で首位に立つワイルドナイツからの勝利を予感させた。

「自分がボールを持てば、必ず2~3人は集まってくる」 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

想定外に見舞われた40分

だが、折り返した後半の40分間は、想定していなかった出来事がレヴズの勢いを殺いでいった。

48分、LOマリー・ダグラスが相手LOハアンガナへタックルした際、肩が相手の首に入ったとしてイエローカード。

さらに同じタイミングでHO日野 剛志がHIA(頭部負傷アセスメント)交代。複数の選手交代とポジション移動がチームを混乱させた面はあっただろう。

直後、攻め込まれたラインアウトから同点トライを許すと、それまでは圧倒していたスクラムでも反則を取られてしまった。

「チームとして準備してきたことが出せなくなってしまった。HIAでチームに迷惑をかけてしまって、悔しいです」

日野は唇をかんだ。

HIAで一時交代を余儀なくされた日野 剛志(中央) 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

日野が一時交代した理由はスマートマウスピースに衝撃が検知されたため。

ラグビーの国際統括団体ワールドラグビーは、脳震盪対策の一環として、エリートレベルの試合に出場する選手に、ICチップつきのスマートマウスピースの使用と、衝撃が検知された場合は一時交代して脳震盪症状の有無を確認するプロセスを義務付けた。

安全は何よりも優先する以上、日野が交代を命じられたのはやむをえないことだが、ハードワークでFWを締める存在のダグラスがイエローカードを受け、さらにクワッガ・スミス主将が交代で抜けるという3つの事態が同時に訪れてしまったのはさすがに想定外だった。

「フロントローも、いろいろなパターンで組む練習はずっとやってきたんですが…」と日野。

WTBのマロ・ツイタマ選手もスクラムに入った 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】

レヴズのこの日のフロントローは、先発が山下 憲太/日野 剛志/稲場 巧という身長170cm台のコンパクトトリオで、リザーブが茂原 隆由/リッチモンド・トンガタマ/ショーン・ヴェーテーというビッグトリオ。

練習では違うトリオで組むケースも想定していろいろなパターンで組んでいたというが、「最初は僕が2番に入ってマネジメントすることが多かった。リッチモンド(トンガタマ)には不慣れな形からスクラムを組ませることになり、気の毒なことになってしまった」

不測の事態に見舞われてもレヴズ戦士は懸命に戦った。

だが、ワイルドナイツの試合巧者ぶりは一枚上だった。イエローカードで数的優位を得た10分間に2トライを奪うと、15人対15人に戻った直後にも抜け目なくトライを畳みかけた。

最終スコアは22-37。

リーグワン初代王者であり今季も首位を走るワイルドナイツは、ベストの戦いができなければ勝てる相手ではなかった。

試合直後にハドルを組んだ。同じ絵を描いて進み続ける。 【Photo by SHIZUOKA Bluerevs/Yuuri Tanimoto】


「でも、全然ネガティブにはなっていません」と日野は言った。

「3連敗にはなったけれど、スクラム自体は今シーズン4試合目で一番良かった。最後は簡単な失点を重ねてしまったけれど、アンラッキーな面もあって、ボールの弾み方が少し違っていたら違う展開になっていた。

前の2試合と比べて、同じ負けでも手応えはある。やってきたことは間違っていない。

今日はワイルドナイツのおかげで、ブレイクダウンのスタンダードもあげることができた。来週も同じように準備して、スタンダードをもっと上げていきたい」

勝利という結果を

4節を終えて1勝3敗、8位という成績は望んでいたものではない。

だがリーグワン各チームの強化ぶり、充実ぶりを考えれば、想定外とまではいえない。

道は険しい。勝利という結果は出ていない。

だが試合の随所に小さな勝利はたくさんあった。自分たちを信じ、進歩していることを疑わずに歩みを進めていけば、必ず道は開ける。

空腹は最高の調味料だ。

17日、ヤマスタでのダイナボアーズ戦で2026年最初の勝利をレヴニスタたちに届け、ともに美酒に浸ろう。

【(C)SHIZUOKA BlueRevs】

大友 信彦(おおとも のぶひこ)
1962年宮城県気仙沼市生まれ。早大第二文学部卒。1985年からフリーランスのスポーツライターとして活動。『東京中日スポーツ』『Number』『ラグビーマガジン』などで取材・執筆。WEBマガジン『RUGBYJapan365』スーパーバイザー。ラグビーは1985年から、ワールドカップは1991年大会から2019年大会まで8大会連続全期間を取材。ヤマハ発動機については創部間もない1990年から全国社会人大会、トップリーグ、リーグワンの静岡ブルーレヴズを通じて取材。ヤマハ発動機ジュビロのレジェンドを紹介した『奇跡のラグビーマン村田亙』『五郎丸歩・不動の魂』の著作がある。主な著書は他に『釜石の夢~被災地でワールドカップを~』『オールブラックスが強い理由』(講談社文庫)、『読むラグビー』(実業之日本社)、『エディー・ジョーンズの日本ラグビー改造戦記』(東邦出版)など。
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著者プロフィール

JAPAN RUGBY LEAGUE ONEに参戦している静岡ブルーレヴズ(旧:ヤマハ発動機ジュビロ)の公式アカウントです。 「静岡ブルーレヴズ/SHIZUOKA BlueRevs 」というチーム名には、変わらない為に変わり続ける、伝統を受け継ぎ、なお「革新」を恐れない精神を象徴する “Blue” と、困難な目標にワクワクして挑み、高ぶる「情熱」を象徴する “Revs”が、一体として込められています。また、ホストエリアとなる「静岡」に貢献し、愛されるチームとなるべくその名を冠しています。 いままでヤマハ発動機ジュビロとして築き上げてきた伝統や技を活かしながらも、新たな挑戦とともに静岡から、心躍る最高の感動を世界へと届けていきます。 静岡ブルーレヴズの活躍にぜひご注目ください。

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