データ野球の未来を見た瞬間 MLBはどこまで数値に支配されているか

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チーム・協会
【これはnoteに投稿された拓斗さんによる記事です。】

MLBは「想像以上に数値(データ)で運用されている」

先日、アップされたこちらの対談動画。私はかなりの衝撃を受けた。
正直、ここまで“数値が現場を動かしている”とは思っていませんでした。

NPBで野球データと言えば、公開されている数字や映像から「こういう傾向ではないか」と推測し、考察することが多いと思います。

しかし対談で語られていたMLBの世界は、考察のレベルを超えて、運用そのものが数値を前提に組まれている。この点が非常に印象的でした。

1. 試合前の段階で「予測」が前提になっている

対談では、試合前にAIが「この打者に対して投げた場合、期待OPS(予測OPS)などがどれくらいになるか」を提示し、
その情報を1番打者から9番打者、さらには控え選手まで含めて揃えた状態で、監督・コーチが試合に入るという話がありました。

つまり、危ない相手が見えたら「このバッターは危険だから、ここは交代」みたいな判断を“試合が始まる前”に組んでおく。

極端に言えば、AI采配化がかなり進んでいるのではないか。
選手の調子とか、その場の空気とか、気迫とか、そういう「人間の揺れ」より先に、数字が道筋を引いてしまう。

ここが既にMLBで近い形が現場に導入されている事。
ここがまず、私たちが想像する野球観と大きく違う部分と感じた。

2. 1球ごとに「スコア化」され、評価へ繋がっていく

さらに衝撃だったのは、投球が球速・回転・エクステンション・変化量などの要素でスコア化され、
平均を基準に「何点」という形で可視化される、という話です。

この仕組みが進むと、評価は「結果」だけではなく、
投げているボールの質を点数で管理する方向に強く寄ることになります。

その延長線上として、スカウトの人数が減っている、という話も出ていました。
「見て判断する」より「数値で判断する」比重が増えていくのは、構造として自然です。

ここから何が考えられるかというと、点数が高い投げ方が“正しい”になりやすく、投手のスタイルは厳選され、到達すべきゴールが限りなく少なくなる。効率化の裏側で、野球が本来持っていた“別の勝ち筋”が見えにくくなる危うさもあるのではないか。

3. ただし、選手側の実感は「数字が全てではない」

一方で、菊池選手自身は、AIの予測が「状況」「気迫」「ランナーの有無」「リリースの見え方」といった
数字にしにくい要素を排除した上で出ていることにも触れていました。

だからこそ、菊池選手目線としては「数字に出ない部分も大事にしてほしい」という感覚が残る。
また、スカウトの中にも「打たれた後の表情」や「翌日の準備」を見ている人がいる、という話が出ていたのも象徴的でした。

つまり、今起きていることは単純に「データが正しい」ではなく、
データで到達できる範囲が広がるほど、逆に“到達できない領域”もはっきり浮かび上がってくる、という構造だと思います。

私の結論:データは「ゴール」ではなく「過程」

今回の対談を聞いて、私の中で整理できた感想はこれです。

データは選手を良くするための過程であって、ゴールではない。

ただし、勝ち負けが0か100で評価される以上、
現場は「勝つ確率を上げる」方向に最適化され、AI予測のような“管理された運用”が強くなっていく。
これは未来目線では、ある意味「当たり前」になっていく流れなのだと思います。

実際、今の若い世代はデジタルツールに慣れており、
私の体感だが、高卒1年目でもトップ層のような思考を当たり前に取り入れているケースが増えている。
私が「意識が高い」と感じるのは、過去の基準で見ているからで、彼らの基準では自然なのかもしれません。

ただ、その「当たり前」は、失うものもあります。
バントや盗塁が「非効率」とされ、戦術が削れていく方向も、まさにその一例でしょう。

最後に

私は「指標が高いから使え」「使わない監督はおかしい」という言い方が好きではありません。
データが強力であるほど、そこから短絡的な断罪に飛ぶと、一気に思考が雑になるからです。

今回の対談は「MLBがデータに支配されすぎている」というイチローさんの指摘を思想ではなく“運用の現実”として、より鮮明に理解することが出来た気がしました。

非常に興味深い対談なので皆様もよろしければ。
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