“言葉”が変えるスクラム─畠山健介FWコーチがフェニックスにもたらした変化【東京山九フェニックス】プロップ対談
元日本代表プロップとして数々の功績を残した畠山健介FWコーチの就任は、チームに何をもたらしているのか。
選手たちはその存在をどう受け止め、どんな変化を感じているのか。
今回は特別対談として、畠山コーチ自身の率直な想いとともに、3名のプロップ選手が語る“現場のリアル”を掘り下げていく。
技術論にとどまらず、言葉の力、距離感、そして「8人で組む」ことの本質まで――。
フェニックスのフォワードが目指す未来、その輪郭が少しずつ浮かび上がる。
畠山:就任して間もないので本当に大それたことはなく、とりあえず、三連覇中の強いチームなので、自分が入ってレベルを下げたくないなと思いますよね。あとは、選手のレベルアップに繋がればいいな。少しでも役に立てばいいなっていう、本当にそれだけです。
髙木:私は二文字で「最・高!」って思いました!
畠山:それでいうと、今回の就任は急遽決まったこともあるので、就任が決まってから事前に知ってたのか聞きたいです。
岸本:フロントのメンバーだけは2日前くらいに聞いてました。
畠山:俺がまだ話を進めてる段階じゃない?それ。笑
髙木:そう、まだ最終決定ではないから本当に決まるか分からないけど…って段階での話でした。
岸本:私たちも「は・た・け・やま? あの?」って感じでした。笑
髙木、小牧:そうそう!笑
髙木:もうやばいっす。大学1年の頃かな。
畠山:あの話めっちゃいいじゃん。ポジション変更のエピソードを話してあげてよ。
髙木:もともとプロップじゃなくてウィングだったんです私。大学でラグビーを始めてウイングだったのに、夏に急にプロップの先輩がいなくなっちゃったんですよ。それで、チーム内でどうする?ってなって、とりあえず全員スクラム組まされたんですよ。それでヒットしたのが私で「やれ」って言われて、マジ嫌だったんですプロップ、見た目とか笑
一同:その言い方やばい(大爆笑)
髙木:私デブじゃなかったんです。当時は65キロぐらいしかなかったんですよ。で、プロップはデブっていうイメージだし、なんか集まってるから夏とか臭そうみたいな、嫌なんですよそういう人の汗がつくとか。
だから当時ちょっと「えぇ…」ってなってた時にお母さんと秩父宮でサントリーの試合を見るきっかけがあって、そこでケニーさん(畠山コーチ)のプレーを見て「え、かっこよくね?みたいになって。
そこで初めて好きな選手ができた。それがケニーさんだったんです。
小牧:見たことはあります。
畠山:過去のプレイ映像でしょ?
小牧:いや、私はラグビー始めたのが中学生なんですけど、中3の夏に最後の大会で怪我しちゃって、その時にちょうど2015年のワールドカップが開催されていて、あの日本代表vs南アフリカの試合を初めて深夜まで起きて見たんです。なんか深夜まで起きたワクワク感と、勝ったっていう「え!?」みたいな。勝つとか思ってなかったから正直。笑
畠山:いや、失礼っ!笑
岸本、髙木:目の前にいるのに!笑
小牧:まだ、そこまでまだラグビーに熱意がない時だったから「負けるやろ」って感じで勝つこと期待せずに見ていたから、その感動がすごくて。それで、コーチとして来ることが決まった時は「あの?」って思いました。火をつけてくれた人と言っても過言ではないですね。
岸本:知ってます。
畠山:あんま彩華ってそういう話しないんだよね。チームを盛り上げようとするタイプだから、あんまり自分の話をしないっていう。なので、改めてどう?
岸本:私も日菜多と一緒で、高校の合宿中に南アフリカ戦があって自分もNo.8からプロップに転向した時期だったので、畠山健介といえば、私の中で「ラグビー選手」としてNo.1の存在でした。
畠山:じゃあ、みんな畠山チルドレンじゃん。全員プロップになっちゃったのか。申し訳ないな。笑
畠山:うーん、やっぱり自分の未熟さを知りましたね。
やっぱこの自分の持ってる正解とか自分でやってきた経験は間違いなく持ってるんですけど、それが彼女たちに当てはまるとは限らない。
もともと男子はそのイメージがあって、地域によって例えば南アフリカを指導する、ニュージーランドを指導する、日本を指導するってなると、体格とか条件が一緒ではないっていうのが理解していたつもりなんですけど、同じ日本でも男女でそこは筋肉量だったりとか体格とか、あとは考え方とかでも違いがあるので、その部分で自分もまだまだ知らないことがあるんだなと、コーチングのレベルが未熟だったのかなと思いました。
イコールじゃない、同じラグビーといっても奥深いなと思って。
岸本:シンプルで明確。質問したことに結構スパッと答えてくれるし、いろんなアプローチをしてくれるので、自分の中で飲み込みやすい。かなって
畠山:最後の方、不安になってない? 不安になりすぎて「これで合ってるかな?」みたいに迷っちゃってるから。笑
でも、嬉しいですよね。
畠山:メグ、この間言ってくれたじゃん試合前に
髙木:それは技術的なものじゃないけど……
畠山:いや関係ない関係ない。そこは編集で上手くやってくれるから!笑
髙木:私的には、もう本当にすごい人なんですよ。だから、すごい人が言ってくれる発言って「すごい人が言うから正しい」って思っちゃうみたいな部分があるけど、でも(畠山コーチを指差して)この人!
髙木:この人は気持ちがこもっている、「本当に思ってる」って思わせてくれる。なんて言うんだろう、そういうの…
畠山:説得力みたいな?
髙木:そう、説得力がある!
畠山:なんで自分で言った感じみたいになるの!笑「俺の言葉は説得力があるよね」って自分で言うの一番ダサいやつ(一同大爆笑)
髙木:でも、勇気を与えてくれる。それはメンタルの部分もだし、実践的なことも。この前の対戦相手は、FWほぼ全員が日本代表選手みたいなメンバーだったんですけど、そのチームよりも「フェニックスの方がずっと強いよ」って言ってくれて。
どんなコーチでも根拠のない「大丈夫だ」って言葉はかけてくれるけど、ケニーさんの場合はフォワードメンバーのグループLINEでも的確にアドバイスしてくれる根拠があったり、コーチ就任してまだ短い期間だけど、すごい信頼できてるっていう…「そう、なんか天狗になってない!」
畠山:急に上から! 俺、天狗になってそうなイメージだった?笑
畠山:今、これ読んでる人なんにも伝わらないから笑 まあ嬉しいですよね。なんか感じる部分があるっていうことなのかなと思うので。
髙木:選手としてすごい実績があって、その経験に基づいた言葉だから説得力があるということもあるけど、それ以上に寄り添いがすごい上手い。選手との距離感が「女子だから近づかないでおこう」とかも感じないし、気持ちのいい距離感を保ってくれるから接しやすいって感じています。すごいコミュニケーション能力が高い。
畠山:いや、でも僕はすごい気を遣ってます。すごい難しい。でも、やっぱフォワードだからってのもあると思います。バックスは距離が遠いんですよ。ラグビーでも遠ければ遠いほど良いわけじゃないですけど、でも距離があることでプレーの選択肢が広がる。
でもフォワードって基本的に距離が近いんでスクラムもラインアウトも。だから近いのが当たり前というか。ラグビーのグラウンドでは横に常に誰かいるから、僕が何か言ってもそこまで違和感がないのかなと。
小牧:ユーモアのある例えやセンスのある言葉で教えてくれるので、イメージしやすいです。それと、コーチングの場面では新しい発見をさせてくれるなと感じています。
今までもスクラムで色々なコーチングを受けてきたんですけど、言われることって基本的に同じことや似たようなことを言われていて「姿勢を低くしよう」とか「足の角度が」とか、そういう話がどこのスクラムのセッションでもあるけど、でもケニーさんは今までとちょっと違うことを教えてくれるなと。
例えば、1番やったら絞られないように必死に肘を挙げようとするけど、相手の胸を狙って締めて相手の中に入っていくとか。スクワットポジションを取ろうとしていたけど、それよりも横とのコネクトを意識して、こっちに向かって押そうとか、新しい発見をすごいもらえたなって短期間でも感じます。
フォワードコーチでもプロップ出身ってあんまりいないんですよ。なんで、細かいことまで教えてもらえるなって思っています。
まず自信がある人は「俺やっぱすげえ」「俺はスクラム押せる」みたいな根拠があるんですけど、言語化せずに押せてる。自分の感覚でやってる。もう一方の優しい人は「みんなのおかげで押せてるから」と謙虚になりすぎて言語化しない「みんなのおかげ」っていうところで。
本当は僕以上に強い人やスクラム経験のある人ってたくさんいるんですけど、その2種類のタイプが多くて言語化までしない。「できない」じゃなくて「しない」人が多いかなってのは思います。
自分の場合は、常に考えながらラグビーやってきたつもりなので、なるべく伝えたい。例えが多いというのも、なるべくそれを理解してほしいので。例えすぎてもうわけ分かんない時があるんですけど。例えが重なって「何だっけ?何すんだっけ?」みたいな。笑
岸本:チームとしても個人としても、まとまりが出来てきたと感じています。今までも「8人でまとまること」はもちろん意識していて、自分たちで「どうやってまとまったらいいか」を考えていたんですけど、ケニーさんから細かい擦り合わせとか教えてもらって「まとまってる押せてるな」って日々感じるようになりました。フロントだけじゃなくて後ろのメンバーも「まとまってヒットできてる」と感じていると思います。
でも、その意味が分かってなくて、それをちゃんと言葉でも言ってくれたし、実際に一緒に組んで「こうだよ」って感覚を掴ませてくれたりとかして気持ちが楽になりました。
「頑張るんだけど頑張らないでいいんだ」という風に思えるようになってからは、スクラムでこう「こうやってみようかな」とか「じゃあこうした方がいいのかな?」っていうのを考えられるようになりました。
——具体的にどんなコーチングを?
畠山:さっきの「8人で組む」部分で言えば、特に1番のメグと日菜多に関しては色々と伝えています。
ここすごい重要なポジションなんですね。僕の理論では、1番の左プロップがめちゃくちゃ重要だと思っているので。自分が3番だったからこそ、相手の1番の気持ちがわかる。1番がしてほしくないこと「これをされたら嫌だな」っていうのを知ってるので、それを逆算する。
——フロントだけじゃなく、2〜3列目の人たちも一体感を感じている?
畠山:僕もフロント出身なんでフロントローへの指導は手厚くなってしまうんですね。
バックローとかにも伝えたいんですけど、人数の観点とか練習時間の兼ね合い、あとポジション毎に優先しなきゃいけない練習があったりとかもあって、なかなかスクラムに関してはまだ伝えきれてない部分があるので、少しずつやらせてもらえたら嬉しいなと思っています。
畠山:まず、骨格、筋肉量、身体の構造が違うので、イコールではない。その上で、日本の男子の指導はそこまで経験がないので、まだちゃんとした比較ができないですが、総じて言えるのは「みんな安定して組もうとする」印象があります。その割には低く組む、これはすごい矛盾してる。
前に押さなきゃいけないのに、後ろ姿勢になって安定しようとする。そういった矛盾したセットアップ(スクラム)が横行していると感じています。
まとまらなきゃいけないのに、さっき言ったみたいに1番は割れたりとか、3番はあっちこっちいったりとか、後ろは次のことを考えてたりとか。矛盾が蔓延してるなって感じますね。
その後のプレーを考えてしまう気持ちも分かるんですけどね。でも、スクラムにまずフォーカスするためには、やっぱりそれなりの理屈がないといけない。
いつか筋トレやスクラムのトレーニングをしたらできるようになるかもしれないけど、今はそれができないのに頑張って組もうとするから、落ちるし怪我につながる。そういう部分はすごいもったいないなと思います。
——その話を聞く限り、まだまだ伸び代がある?
畠山:もう伸び代しかないです、僕の考えでは。僕が思い描いているビジョンを100%としたら、今はまだ10〜15%ぐらいしかできていなくて、本当はもっとやりたいこともあるんですけど、15%もいってない。10%もできてるかなってくらい
そのためには選手たちには男女関係なく求める筋量の部分は取り組んでほしいなって思いもあるんですけど、今はシーズン中だし、代表へ行ってたメンバーは試合も重なってる。
そして、あと大事なのはシーズン中のこのタイミングで何かを抜本的に変えるってことの勇気が僕も持てないです。選手たちも迷ってしまう。だから本当に影響のない範囲でマイナーチェンジを今はするしかないっていう印象ですね。じゃないと選手たちが混乱しちゃう。そうなると僕も混乱しちゃう笑
——選手のみなさんは今後の成長や可能性についてどう感じていますか?
小牧:今の話を聞いて、逆に「そこまでやったんや」と思いました。今はまだ10%とか15%しかできていないのかと。
もっとやるべきことあるし、ケニーさんには私たちの可能性が見えてるんだなと思いました。そういう意味で、今後の成長が楽しみだし、頑張りがいがあるなと。
髙木:うんうん、テンション上がる!
岸本:次は何を学ぶんだろう?みたいな。コミュニケーションの楽しさももちろんあるけど、成長する楽しさみたいのもあると思います。
——フォワードの練習はキツイことも多いと思うが、チームの雰囲気も良くなってきている?
髙木:めちゃくちゃ他人事じゃないですか!笑
畠山:鬼の他人事ですね。笑
はっきり言って辛いです。僕が来た時も「フォワードなんか辛い。楽しくない」って言ったら「いや、そんなことない」みたいな声もあったんですけど、僕の経験上、辛いことしかないです。
だって辛いし走らせなきゃいけないし、押し合わなきゃいけないし、ミスしたら怒られるし。なのに、バックスがミスしたらフォワードがスクラム組まなきゃいけない。笑 でも、だからこそタフじゃなきゃいけないですよね。それでも、ラグビーは男女問わず、はっきり言ってフォワードが強くないチームは基本強くない。フォワードが弱いチームで強いチーム見たことない。
だから、そういう意味でもフォワードがタフであること、強いことがすごい大事だと思いますし、フェニックスが強くなれば、ライバルチームはフォワード強化をやらなきゃいけないっていう女子ラグビーのベンチマークになると思っています。彼女たちもその責任感を持っているので、プレッシャーもあると思うけど。
あとやっぱりさっきも言ったように、距離が近いんで仲間がいるんですよね近くに。
フォワードだから分かる共通の痛みや辛さみたいなのがあるんで、共感できる仲間が近くにいるから続けられている部分はあると思う。
畠山:いやでもダメですね。楽しいってことはまだまだできるってことだから。笑
楽しんでもらってちゃダメ。もっと歯を食いしばる瞬間が「ケニーさんいるとしんどいですよ」みたいな。「でもなんか成長を感じるんですよね」ってならないとダメですね。楽しいって言われてちゃダメだな俺もまだまだ。笑
選手3名:や、やばい…(苦笑)
岸本:印象に残ってて、チームが変わったなって思うのは、ラインアウト練習の時でも「ボールを落とさない」ボール落としたら罰ゲームっていうルールで、常にボールを落とさないように意識すること。
畠山:ミスはしてもいい。でも、狙ったところにいかないと取らなかったり、カバーしないとかそういうことが見受けられた。で、それが地面に落ちる。それをなくそう。っていうことです。
それは「練習でしないことはゲームでは出ない」という考え。もちろん、たまに練習でやらない人が急に試合で大活躍することってあるんですけど、そんな運だよりのラグビーでは勝てないんですよね。そういう些細な本当に細かいところを、まずは伝える意図です。
こういったフィードバックをもらえると「あ、これはいいんだ」「有効なんだな」と気付けてありがたいですね。でもこれ、ラグビー選手だからまだいいんで、これが付き合ってる男だったら、めっちゃ細かくて超ウザいと思いますよ。笑
岸本:絶対イヤだ笑
小牧:フォワードに限定した話ではないんですけど、チームとしてのコンタクト練習の強度がすごい上がったなと感じています。
畠山:昨日の練習もすごい強度が高かったよね? びっくりした。でもそれは「強度を上げろ」と伝えているわけではなく、もともとできる選手なんですよ彼女たちは。
小牧:練習に参加してくれるケニーさんが熱いから、私たちもその熱量についていって、選手も良い感じに上がっているのを感じます。練習の映像とかを見ていても分かるくらい。
畠山:昨日の練習は試合より激しかった。この間の試合であれやったら余裕で勝てたぞくらいの。めちゃくちゃ激しかったよね。なんかどうしたの急に?くらい。笑
岸本:すごかったですね。
畠山:まあ、前回の敗戦が悔しいっていうのもあると思うし、次は絶対負けられないって思いもあるでしょうけど、昨日の練習の質は高かったので、あれを試合でもやって欲しいって思っています。質の高い練習を積み重ねることで、さっきメグの話にも出たけどコーチが「大丈夫、やっていることやってれば」みたいな言葉を伝えた時の説得力につながりますね。
髙木:意識づけのところでは、ケニーさんが来てすごい変わってたと思います。普段の練習でスターティングメンバーがアタック、リザーブやノンメンバーがディフェンスってチーム分けになることが多いのですが、ケニーさんが来てくれてからディフェンスをやってるメンバーの意識が変わったなと。
今までは、言葉を選ばずに言うと「リザーブやノンメンバーだから仕方ない」という気持ちが多少はあったと思うんです。でも、ケニーさんが一緒に練習参加して「お前ら最高だよ」「ここからもう一回行こう!」みたいなポジティブな言葉をかけてくれることで、メンバー入りできなかった選手たちもテンションがすごい上がってる。
ディフェンスの時にもすごい褒めてくれたり「ここはもうちょっとこうした方がいいよ」とか良いアドバイスをくれるので、選手のテンションも上がる。
今までもやってるつもりだったけど、もっと声出して隣の選手とコミュニケーションを取らなきゃなって。基本的なことだけど、このレベルまで徹底するんだなみたいな部分は学びました。バックスのメンバーも「ケニーさん来て良かったね」みたいな話は聞きます。
でも、やっぱラグビーのいいところだなと思うのは、誰か共通の知り合いがいる。「僕の先輩が高校で先生やってます」とか「お兄ちゃんがそのチームでやってた」とか。ラグビーの良さみたいなものを間接的になんか知れるので、改めてラグビーはいいスポーツだなと感じましたね。
——フェニックスのフォワードの未来、どんな姿を目指していますか?
畠山:色々な可能性があるんで色々なことを考えていますが、まず「手の付けられないチーム」になりたいなと。周りのチームからしたら「フェニックスのマイボールになっちゃうと手に負えない」「どうする?あれ」って感じにしたい。
あと今はペナルティ後の選択肢が、タッチ出したり、クイックで行ったりと多彩なんですけど「まずスクラムでしょ」っていうマインドにしたいです。
南アフリカじゃないですけど、ゴール前にいったらもうマストでスクラム組むみたいな。そういうところまで持っていけたら最高です。
リーグワンで言うと、昔のヤマハ、今の静岡ブルーレヴズがスクラムの重要性を説いたみたいに、女子ラグビーもやっぱりスクラム強化にちゃんと取り組まないとダメだよねっていう牽引する存在ですね。
それって、トップのチームしかできないんですよ。トップって三角形で言うと頂点にいるけど、トップのチームって実はその業界のボトムも上げる存在で、トップの人たちしかボトムを底上げできないから、その責任がフェニックスの選手にはあるんだよ。みんなが頑張って勝ってスクラムの重要性と、女子ラグビーのスタンダード(ベンチマーク)を引き上げるんだ。という存在になって欲しい。
岸本:そんなチームになりたい!
畠山:あるよね!バックスから「フォワード、スクラムいける?」ってリクエストされること「じゃあお前ら組んでみろよ!」って思うやつ笑
髙木:もうバックスが見てもわかるぐらいスクラムが強い状態。だからペナルティの時に「スクラムでお願いします」みたいな感じになりたい。
畠山:わかるわかる。いや、すごいいい表現だと思う。日菜多はどう思う?
小牧:私もスクラムを、はい。
畠山:日菜多はフィールドプレーが好きだから、スクラムはまぁまぁみたいな感じの前菜で「私のメインはボールキャリーのとこだから」みたいな印象が。笑
でも、それはそれで良いと思う。
小牧:現時点で、スクラムには課題や伸び代も感じているので強化したいと思っている。
さっき「フォワードが強いチームが強い」って話題が出たけど、自分自身も同じことを思い続けているし、15人制ラグビーを始めた時からずっと言われ続けていることなのと、実際にこの前のW杯でもそこが課題でチャンスが生まれなかったっていう原因でもあるんで、そこは私の課題でもあるし、日本のラグビー界でもスクラムが強いプロップが必要やし、それが求められているものやから、そこはケニーさんが言っていたトップチームが引き上げていかないとって言葉が刺さりました。
その中で、スクラムだけは唯一“力”で。理論とか細かいテクニックも存在するんですけど、力でねじ伏せられると何もできないっていう、理論を超えた先にあるもっと本能的なものに近いんですよ。
そこで力が強いチームがゲームを支配にできる。勝つか負けるかではなくてゲームを支配するのはやっぱりスクラム強い方なんで。
日菜多のフィールドが得意なのはもうもちろん尊重した上で、さらにその上に行くためには、やっぱそこは避けて通れない。ディフェンスは避けることができても、これからは避けることはできないですね。
ちょっと上手いこと言ったつもりなんですけど…
インタビュアー(スクラムハーフ経験者)には刺さらなかったみたいで。
やっぱりスクラムハーフは次のフェーズを見ているな。笑
岸本:上手い!笑
誰か一人が頑張るのではなく、8人で力を重ねること。
できないことを無理にやるのではなく、できる高さ・できる形を積み上げていくこと。
その積み重ねが、フェニックスのスクラムを、そして女子ラグビー全体の基準を押し上げていく。
まだ道半ば、それでも選手たちは、確かな手応えと未来への確信を抱いている。
このチームが描く「手の付けられないフォワード」の姿は、そう遠くない将来、ピッチ上で現実のものとなるだろう。
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