Bリーグ選手が被災地・能登へ。バスケによる復興支援が取り戻した子どもたちの笑顔「自分もこんな大人になりたい」
しかし、Bリーグの選手たちが人々を魅了しているのは、コートの中だけではない。震災の被災地の訪問など、社会貢献活動でも多くの人々を勇気づけ、笑顔にしている。その活動内容や、能登半島地震で被災した子どもたちが語った心温まる言葉などを紹介する。
行くべきか迷いもあった、震災から半年後の訪問
「被災した皆さんが少しでも辛い日常から離れて、みんなで楽しめる時間を作ることができたらいいなという思いで訪問をさせていただきました。最初は震災から間もない時期でしたから、自宅が損壊していまだに避難所暮らし、仮設テント暮らしをしている人たちもいました。そうした状況で、私たちの活動は果たして子どもたちに喜んでもらえるのかという不安も正直ありました。でも実際に行ってみると、子どもたちが笑顔で楽しんでくれていて、行ってよかったなと感じました」(井坂さん、以下同)
選手たちの訪問を喜んだのは子どもたちだけではない。輪島中学校を訪れたときのことだ。体育館ではちょうど避難者向けに設置された段ボールハウスを片付けているところだった。
横浜アリーナでプレー! 笑顔を取り戻した子どもたち
「もともと能登はバスケットボールが盛んで、強豪チームもある地域です。それが、地震によって集団避難をしたり、引っ越しを余儀なくされたりして、チームが解体されてしまったケースもあります。さらに体育館は避難所として使用されているので、バスケットボールをするような環境ではないという話を伺いました。
そこで、少しでも希望を持ってもらえたらという思いから、この企画を準備させていただいたんですが、みんな横浜に来るのはほぼ初めてで、都会の風景に緊張してカチンコチンになっていました。でも選手たちの協力のもと、本番のファイナルコート上での試合では、しっかり3ポイントも決めるほど、子どもたちも積極的に楽しもうというような雰囲気に変わっていきました」
そんなふうに、子どもたちが久しぶりに思い切り体を動かして笑顔でいる姿を見て、学校関係者の方が「こんな光景が見られるとは思わなかった」と涙を流していたそうだ。
選手会の発案で被災地訪問へ
たとえば、「PEOPLE(人類)」では、障がいのある子どもとその家族を試合に招待して、スポーツを通じた相互理解、共に手を取り合える社会の実現を目指すなどの活動をしている。また、「PLANET(地球)」では、気候変動対策(CO2削減)や、循環型社会の実現を目指した地球に優しい活動に取り組む。そして、「PEACE(平和)」は、復興支援、街づくり、防災にまつわる活動。まさに能登復興支援がこれにあたる。
「私たちは、単にバスケットボールの試合をお届けするのではなく、オフコートでも社会が抱えるさまざまな課題解決に向けてアクションを起こしていくという思いから、B.HOPEをスタートさせました」
訪問当日、石川県出身の選手をはじめ、さまざまなクラブの選手が被災地に駆けつけた。震災は一瞬のできごとだが、真の意味での復興には長い年月が必要になる。B.HOPEでは、被災地支援だけでなく、災害が発生した際に「備える人・動ける人・助ける人」が増えることを願って、さまざまな活動を続けていくそうだ。
井坂さんは、能登の復興支援で出会った子どもの、ある言葉がとても印象に残っているという。 「辛いこともあるけれど、自分も将来、こうした支援ができるような大人になりたい」
支援してくれるB.HOPEの選手やスタッフに対する感謝を伝える際、自分の未来に向けて語ってくれたこの言葉。「辛い経験を、しっかり自分の糧にしようとしていて、子どもたちは強いなって思いましたし、その強さこそが未来につながる種なのではないかと感じました」と井坂さんは振り返る。そして、未来をつくる子どもたちの心に、希望や強さの種を蒔く。それこそが、スポーツ団体が復興支援を続ける意義でもあるのだろう。
text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
写真提供:B.LEAGUE
※本記事はパラサポWEBに2025年12月に掲載されたものです。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ