フィギュアスケート・三原舞依が届け続ける“髪”と“感謝”。ヘアドネーションに込める想い
小さな力でも届けたい。35cmに託した三原選手の想い
「“こんな素敵な活動があるんだ”って衝撃でした。小さい力でも誰かの役に立てるならいつかやってみたい、とその頃からずっと思っていました」
幼い頃から母にさまざまなヘアアレンジをしてもらい、髪の扱いやケアの大切さを自然と学んできた三原さん。髪の毛には“誰かを笑顔にできる力がある”と感じていた。
初めてドネーションに挑戦したのは2018年。医療用ウィッグは一般的に31cm以上の長さが必要とされるが、せっかく寄付するなら、使う方がより自然に見えるようにという思いから、彼女は35cm以上を目標に伸ばすことを決めた。以来、「髪にハサミを入れるとき=ドネーションのとき」というサイクルができ、今年の夏で5回目の寄付を達成した。
「ボブで練習していると、チームの方が“ドネーションしたんだね”って声をかけてくれたり、“新鮮!”って言ってもらえたり。そんな反応も嬉しいです」
現在の髪もすでに結べるほどに伸び、6回目に向けて丁寧にケアを続けている。フィギュアスケーターとして髪を伸ばすことは、競技の負担にならないのだろうか。
「私、髪が伸びるのが早くて、1年半〜2年で目標の長さになります。長くなると乾かすのが大変なときもありますが、少しでも良い状態で届けたいという気持ちがとても強いですね。最近は無意識のうちにポーチからコームを出して髪を梳いているくらい、ケアが習慣になっています」と笑う。
誰かの笑顔の源になりたい
「私1人だけではウィッグを作れません。でも、ヘアドネーションが広がれば、待っている方々へ届けられる数も増えるはず。その思いもありSNS(※所属チーム公式インスタグラム)でも発信を続けています」
その発信をきっかけに、ファンや友人から「私も寄付しました」と知らせが届くこともあるという。
「私自身、つらい時や悩んでいる時に、応援してくださる皆さんからの言葉に本当に救われてきました。恩返しというわけではないけれど、私なりの形で感謝を伝えたい。誰かの笑顔や元気につながるなら嬉しいですし、これからもできる限り続けたいと思っています」
氷上で届ける“感謝”の表現
「滑りながら今までの様々な想いを巡らせたり、26歳までスケートを続けられている喜びを噛み締めたり、リンクの周りの木々を眺めて季節の移り変わりを楽しんだり。今シーズンは幸せを感じる瞬間がたくさんあったのでスケートで表現したいです」
ショートプログラムは『戦場のメリークリスマス』、フリースケーティングは『ジュピター』を使用する予定。どちらのプログラムにも、支えてくれた人々への感謝が込められている。
「全日本は私にとってとても特別な場所。感動してもらえる演技をしたいですし、ステップシークエンスは特に注目していただきたいです。私はステップが大好きなので、表情も含めて楽しんでいただけたら嬉しいです」
髪に託す優しさと、氷上で輝く感謝の想い。三原舞依の表現は、競技の枠を越え、人と人をつなぐ温かな力を持っている。
text by Uiko Kurihara(Parasapo Lab)
画像提供/三原舞依(シスメックス)
※本記事はパラサポWEBに2025年12月に掲載されたものです。
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