【阪神JF】「愛されキャラ」のスターアニス、“28年ぶり”混戦断つ末脚で桜花賞の主役候補に

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スターアニスが阪神ジュベナイルフィリーズを制し2歳女王に 【photo by H.Yamanaka】

 JRAの2歳女王決定戦、第77回GI阪神ジュベナイルフィリーズが12月14日に阪神競馬場1600m芝で行われ、松山弘平騎手が騎乗した2番人気スターアニス(牝2=栗東・高野友和厩舎、父ドレフォン)が優勝。中団待機から馬場の外を力強く突き抜け、2歳牝馬の頂点に立った。良馬場の勝ちタイムは1分32秒6。

 スターアニスは今回の勝利でJRA通算4戦2勝、重賞は初勝利。松山弘平騎手、高野友和調教師ともに阪神ジュベナイルフィリーズは初勝利となった。

 1馬身1/4差の2着には川田将雅騎手騎乗の4番人気ギャラボーグ(牝2=栗東・杉山晴紀厩舎)、さらにクビ差の3着には西村淳也騎手騎乗の6番人気タイセイボーグ(牝2=栗東・松下武士厩舎)が入線。1番人気に支持されていた北村友一騎手騎乗のアランカール(牝2=栗東・斉藤崇史厩舎)は後方から追い込むも5着に敗れた。

「本当に強いレースをしてくれました」

松山騎手がとびきりの笑顔を浮かべてのウィニングラン 【photo by H.Yamanaka】

 今年の2歳牝馬はフィロステファニ(GIIIアルテミスステークス)、フェスティバルヒル(GIIIファンタジーステークス)と有力馬に故障馬が相次ぎ、実に28年ぶりに重賞馬が不在の女王決定戦となった。そうなると、来春のクラシックを見据えてもメンバーのレベルとしてはどうなのだろうと、不安になる向きもあるかもしれないが、2歳女王となったスターアニスは“ニューヒロイン”にふさわしいパフォーマンスを見せてくれたと言っていい。

 それは勝利へと導いた松山騎手のとびきりの笑顔からも十分に伝わってくるというものだ。

「本当に馬が強かったなぁと。いい脚を使ってくれましたし、本当に強いレースをしてくれました。返し馬からすごく良かったので、僕も自信を持って乗ることができました」

イメージ通りの競馬、外から一気の差し切り

最後の直線は外から末脚全開、力強い差し切り勝ちを収めた 【photo by H.Yamanaka】

 レースは好スタートからスッと控えて、道中はちょうど中団。序盤に内に押し込まれそうな場面もあったというが、松山騎手の狙いは距離を稼げる“内”よりも、この馬の持ち味を100%生かせる“外”だった。

「トビがすごく大きくてきれいな馬なので伸び伸びと走らせてあげたいと思っていました。いい脚を使える馬ですし、あまり内にこだわるよりも、しっかりと最後は馬場のいい外に出してあげようと思っていました」

 そして、「イメージ通りにできた」と思い描いたままの競馬を演出。4コーナーで外をグンと上がっていくと、最後の直線はワンテンポ呼吸を置いての追い出し。スターアニス自身も鞍上のGOサインに即座に応え、鮮やかな差し切り勝ちを決めたのだった。

「手応えも良かったですし、追い出しも我慢するくらいの余裕がありました。最後も馬が反応してくれて、本当に強かったですね」

天性のスピードと、マイルもこなせる性格の良さ

普段はおっとりとした「愛されキャラ」だというスターアニス 【photo by H.Yamanaka】

 スターアニスはデビューから1200m戦を2戦続けて走り、2戦目の小倉で7馬身差の楽勝。続く3戦目の前走、1400mのGIII中京2歳ステークスはレコード決着の中で同タイム2着と天性のスピードをすでに見せていた。一方で母エピセアロームが1200m芝の重賞で2勝という血統だけに、戦前は初の1600mへの距離延長が懸念されてもいた。だが、そんな周囲の声をよそに陣営側はマイルへの対応に自信を持っていたという。

「千四でしたが、前走の感じからはマイルも大丈夫だと思っていました」と松山騎手。高野調教師も「もともと能力がありますし、競馬が下手な馬でもない。こなしてくれるという希望的観測はありました」。

 ジョッキー、トレーナーが口を揃えて認める能力の高さ。そして、同じく2人が揃って声に出したのがスターアニスの“性格の良さ”だった。この2つが上手く噛み合っている馬だからこそ、初のマイルも全く問題にしなかったのだろう。

「本当に賢くて、普段はおっとりとしている馬。気負い過ぎないのがこの馬の良いところですね」(松山騎手)

「競馬ではものすごいパフォーマンスをする馬ですが、普段はすごく可愛い馬ですので、これからも愛されていくキャラクターなのではないかなと思います(笑)」

 短距離をレコードで走れるくらいのスピードがあり、マイルでもきっちり折り合って力を出せる性格の良さと操縦性。重賞馬が不在の混戦メンバーの中、押し出されるように頂点に立ったわけではなく、スターアニスは2歳女王になるべくして就いた器だと言っていいのかもしれない。

同じ舞台の桜花賞へ「一番勝つ確率の高い方針で」

来春の桜花賞に向けて、高野調教師(右から2人目)は「期待に応えられるように」と抱負を語った 【photo by H.Yamanaka】

 そうなると、同じ阪神1600m芝を舞台にした3歳春の牝馬クラシック第一冠・桜花賞も、最有力候補の1頭となるだろう。高野調教師もその心構えだ。

「もちろん、春に狙うべきレースはここと同じ舞台ですから、今回結果を出せたことは強い材料になると思います。体はまだ牝馬らしく切れ長ですが、これから筋肉もついて大きくなっていくと思います。一番勝つ確率の高い方針でやってきたい。立場上、主役になると思いますので、その期待に応えられるように管理していきたいと思います」

 先に挙げたフィロステファニ、フェスティバルヒル、加えてデビュー戦を鮮烈な勝利で飾ったイクイノックスの全妹イクシードの戦線離脱により混迷となった中で現れた“スター”候補。来春の桜花賞をめぐる勢力図は、まずはスターアニスが中心となって描かれていきそうだ。(取材・文:森永淳洋)
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