2025年第36節鹿島アントラーズ-横浜FC「まだ足りない何か」

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたおかきさんによる記事です。】
ただただ虚無だった。鹿島戦から2週間もしてからやっとそれを思い出そうとしている。昭和の大作家みたく原稿用紙に何度も書いては丸めてボツにするように書いては消してを繰り返していた訳ではなく、そこから離れていたように思う。何も手につかないではなく、何も手に付けたくない。
鹿島戦の前から咳が少し出るようになり、翌日から完全に寝込んだ状態になり、実質水曜くらいまで起き上がれなかった。そうやってコンディションに問題を抱えると試合のことはどんどん遠くなっていく。回復途上で、意を決しても今度は心が追い付かない。これで4回目のJ2降格。どう道筋を辿っても、言葉を紡いでも最後は「弱い」に帰結してしまう。前回の降格は、目の前で数字上の可能性もなくなる試合だった。そういう意味で、潔く敗戦を受け入れるしかなかったが、病の床に臥せながら迎えた降格は無常さ、後悔などが脳裏を何度も過った。

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後半マリノスが2点目を決めるのを見てDAZNをそっと閉じた。横浜の試合であればどんな点差であっても視聴を続けていただろうが、ほかのクラブの試合はそこまで執着はない。これで2025年も横浜はJ1に残留することができなかった。それでも、自分の目で結果を見るまで認めたくなくて、試合が終わっているであろう16時過ぎに試合結果を検索すると、京都は粘りを見せるどころかマリノスがさらに突き放して0-3の3連勝で試合を終えている。前日1-2と敗れ、10月の福岡戦以降未勝利となった横浜とは対照的だった。

両者が勝ち続けて勝ち点差が縮まらないのであれば仕方ない。直近5試合で得た勝ち点はマリノス12、横浜4では差は縮まるどころか開く一方で、これでは降格するのは当たり前だった。奇しくもその23年の降格と同じ、またしても立ちはだかったのは鹿島だった。

悪夢の再来

サイドラインにルキアンが立っていた。交代の相手はアダイウトンだろう。左サイドの攻撃を何度も許している。左ウィングバックの細井のポジションが低い位置にある。ここに蓋をする必要がある。前半鹿島の右サイドバックは小池だったが、彼に変えて後半鹿島は濃野を入れる。ここから試合が動き出す。前半、小池が中々前線に絡んで来ない分、横浜としては鹿島の攻撃を厚くさせずに守り切れた部分があったが、後半濃野になってから左サイドからの攻撃を受け続けた。右サイドには鹿島・鈴木がいたが彼の存在感を上回っていた。

後半15分に鹿島レオ・セアラにシュートを打たれる。ややコントロールショット気味に蹴られたボールはGKスォオビィクの正面で事なきを得るが、ゴールに迫られているが、ボールを外に出して交代させるような意図はない。むしろ攻撃を継続しようとロングボールを蹴っては奪われて鹿島の攻撃を許してしまう。

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そして後半17分不安は現実のものになる。左サイドをあっさりと侵入を許し、そこから1枚ずつマークがずれ、真ん中で待っていたレオ・セアラにパスが渡った時はフリーに。ゴールの正面からしかも隅を狙ったシュートを放たれたらGKスウォビィクもさすがに成す術なし。今シーズン18ゴールを決めていたストライカーは難なく19ゴール目を陥れた。

ルキアンを投入した直後の後半20分にも鹿島に追加点を許してしまう。コーナーキックの際に、岩武がマークしていた鹿島・知念に振り切られ、ジャンプしたユーリの後ろのスペースに入り込まれヘディングシュートを許してしまい失点を重ねた。

選手交代をしてその直後に追加点を許した柏戦の悪夢の再来のようだった。

弱さを受け入れるのは辛い

2点差になった直後、横浜も反撃に転じた。細井のロングスローのこぼれ球を最後はボニフェイスが押し込んで1点差。2年前、目の前の試合で10数点を奪って勝った上で対象チームの敗戦なら残留という事実上不可能なミッションに比べたら、残り25分くらいで2点を奪うことの方がハードルは低い。マリノスは京都に勝ってくるだろう。だから横浜も逆転してついていかなければならない。もっと言えば、この状況から勝てないクラブが残留する資格はないとすら思っていた。この試練を乗り越え先に、初めて残留を達成できるのだと。

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福森を入れてキックの精度を高めようとし、遠藤を前線の近いところに入れてかき回しにいく狙いはわかったが、福森はともかく遠藤のシャドーは空回りし機能しなかった。窪田は裏のスペースへの嗅覚はあるが、遠藤は足元にボールが欲しいタイプ。肝心な彼の足元にボールが入る回数は限られていた。

ロングスローでゴールを陥れた後も横浜は攻勢を続けた。むしろ鹿島を押し込む時間帯もある。ただ、三浦監督になっても解消されなかったボックス付近で相手をどう揺さぶるかという課題は解決できないまま、引き気味になった相手にカウンターでゴールを目指してきたチームがチャンスを作ること自体容易でなく、サポーターからは何度もため息が漏れる。

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最終的には伊藤翔やケガから復帰したばかりの村田も投入したが次のゴールが遠いまま試合終了。2年前、最終節で鹿島に敗れて数字上の可能性もなくなった日と違い、マリノスは翌日試合があり、この日の結果だけでは降格は決まらないため選手たちはやや神妙な面持ちではあった。それはサポーターも同様で歌を歌い続ける訳でもないし、罵声が飛ぶこともなかった。

小見出しの「弱さを受け入れるのは辛い」とは、とある知り合いのサポーターの言葉である。自分が応援しているクラブが弱いと辛いと思えることの方が多いはず。勝てない、点とれない、守れない、その繰り返し。それでも、横浜が1999年当時プロサッカークラブとして最後の受け皿になっていた時代から25年が経過して、日本のサッカーは裾野が広がりJ3も出来た。JFLでもJリーグ入りを目指すチームが増えた。そういったクラブを応援しているサポーターからすれば、J2降格すらまだ羨ましい存在に映るかもしれない。彼らが行きたくても行けない場所に立っている。

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「ただ、」とそのサポーターは続けた。「弱いのは、チームであってサポーターではないから。」と。最近のJ1クラブでは客数や順位がまるで自分の力のように振る舞うサポーターがいるが、正直そういう世界とは無縁のサポーターでありたい。チームの力や成績に関係なく応援するというのはそういう世界だと信じている。実際チームとしての成績は、ここ数年はJ1とJ2を行き来しているが、アウェイでの動員は徐々に増えている印象がある。アウェイに出かけてまで応援したい人が増えているのは、サポーターの密度が濃くなっているからである。

鹿島から帰り道でもずっと考えていた。それでもまだ足りない。J1で史上初めて横浜は最下位ではないが、そんなこと誇りですらない。戦力の問題は常につきまとうが、横浜より予算や人件費が低いクラブが残留するのを見ていると今年の編成もやや歪なものを感じていた。

まだ足りない何か

そして三浦監督は契約満了でクラブを去ることになった。これは仕方ないだろう。四方田監督解任後、低迷するクラブを途中から指揮したことに謝意はあるが、降格そのものより戦いの引き出しの少なさはモチベーターの部分を加味しても次の1.5年を任せるのは厳しい。結局課題だった攻撃面は何も改善されなかった。これで四方田監督が抜け、そのヘッドコーチが抜けたことで来期は全く別のチームとなるので、1.5年後にJ1昇格を目指すことのできる監督を探してくる必要がある。また目先の勝利だけでなく、2年後3年後戦えるチームにするにはどうするか。編成面の課題も多い。
育成組織は充実の一途であるが、若手は守備陣に多くまたそれを持て余す状態。選手の登録は多いが、横浜でプレー機会の多い選手は少なく来季加入が決まっている特別指定の細井がポジションをつかんでいるに過ぎない。期限付き移籍で若い選手の出場機会を増やす方針は賛同できるが、それにしても数だけは多い。林、ショーン、杉田、松下は期限付き移籍しており、来期は佐藤と細井の加入、2種登録の佃も上がってくるだろうか。松下や橋本も含めると、スタメン組を合わせるとディフェンスラインだけで3セット近く作れてしまうが、正直育ててきた感じがない。
その一方で、では目の前の結果との天秤にかけることもしなければならない。若く育成組織出身だからとそれだけでリーグを勝ち抜けないだろう。

つまり、編成と予算と育成方針のバランスをもう一度再整理しないといけない。少なくとも四方田政権においては、J2では予算上位で選手の力をそのまま順位に反映させて昇格に導いたがそれは裏を返すと予算なりの戦いしかできないともいえる。相対的に予算下位になるJ1では歯が立たなかった。沼や魔境といわれるJ2を2回昇格させたのは素晴らしい実績ではあるが、J2の場合上位6チームに入るのと予算は比較相関関係があり、予算が多ければ上位6チームに入る可能性が高いといっても過言ではない。今、これを書いているそばから水戸がJ2優勝を決めた報が流れてきた。J2の予算でもボトムハーフにある予算でも優勝した。それを見ていると、もちろん選手への人件費以外での影響もあると思うが、適正に人件費に予算を使っているのか考えてしまう。J1に昇格すると別チームのようになるのは、どういった契約や囲い方をしているのか。23年チームの仕組みを大きく変化させ、さらに22年昇格の立役者だった長谷川が開幕前から負傷離脱し、夏には札幌へ移籍、開幕から10試合未勝利でシステム変更したのはよかったが、当初の構想ではないサッカーを採用したので相性の良くない選手は出場機会を失い挙句降格。25年も攻撃の核だったカプリーニ、髙橋を残留させられず、攻撃はまるで違ったチームになってしまった。
そこでまた新監督を連れてきて、J2上位の予算をかけてJ1に昇格したとしても同じことの繰り返しにしかならない。エスカレータークラブになれたことを誇るのはもう止めよう。そこから先に進めない停滞感をその言葉で慰めていてはいけない。

カテゴリこそ違えど、富山は最終節で3点差の勝利でJ2残留を決めた。シーズン初めて4ゴール、そして3連勝という一気の捲り。そこまで苦しかったが逃げずに戦ったから最後女神がほほ笑んだのかもしれない。横浜は柏に先制点を許して、匙を投げた人が多くいた。もっと言えば匙を投げる人がいてもいいが、それ以上に投げない人を増やさないとずっとこのままな気がしている。外野には言わせたいことを言わせておけばよい。自分たちができることにもっとフォーカスするべきだった。

J2で勝てるのになぜJ1で勝てないのか。何が足りないのか。この答えを探しに1年半またJ2に行くことになった。サポーターも目線をあげる必要がある。勝ってただうれしいではなく、その勝ち方でJ1で勝てるのかという目線を持てるか。19年22年24年とJ1昇格を果たしながら、J1では1度も残留することが出来ず降格なのだから、チームだけに限らずクラブの方向性もこれでいいのか疑う必要はある。

降格は決まった。でもフットボールは続く。降格したからと言って、私たちの道は変わらない。

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