【ママさんバレーボール】白いボールを追いかけて⑬ 三重編 ママさんバレーボール2025 GRACE CUP LEAGUE in 伊勢
チーム・協会
【プロフォートサニー―】
1963年にできた施設なので、とうに還暦を過ぎている。巨大な山小屋風の建物は天井が切り立ち、建築時にさぞやモダンな風貌だったろう。改修や補修を重ねてきたが、館内には「高校生以上シュート練習禁止」「ドアにボールを当てないで」といった貼り紙が。昨年も書いたが、アリーナというよりは体育館という呼び名がふさわしい。ロビーには21年前のアテネ五輪で金メダルを獲得した地元三重県のレジェンド、女子レスリングの吉田沙保里さんと女子マラソンの野口みづき選手のサイン色紙がある。そんな2人の鉄人の勇姿が見守る三重県伊勢市の三重交通Gスポーツの杜 伊勢体育館に深まる秋の一日、集ったのは20代から70代のママさんバレーボーラー約250人だ。
会場となったのは築60年超えの伊勢市体育館
【プロフォートサニー】
50歳以上の年齢別大会として続いてきた「いそじ大会」の発展的解消にともない、昨年から生まれた「GRACE CUP LEAGUE」は、一日2試合を行う親善大会。移動や宿泊に無理がないようにと東日本、中日本、西日本で年に3回開き、普段交流のない府県外や遠方のチームと触れ合おうという試みだ。伊勢市での開催は昨年12月以来の2回目、今年は10月の秋田に続き今回の伊勢、そして12月には岡山県である。いわゆる一般の18歳以上の部12チームと50歳以上の部9チームに分かれ、3コートで交互に試合を行った。親善とはいえフルセットマッチ、粘りのラリーがそこここで続く。
WIN'Sのセッターで大黒柱の栗栖選手①
【プロフォートサニー】
18歳以上の部に6チームが参加して刈谷クラブとこうなんが2勝した愛知県勢はママさんバレーどころにふさわしくレベルの高いチームばかりで、平均年齢36.3歳のWIN’S から同50歳の岡崎みなみ まで個性もとりどりだ。豊橋市内の選抜的な編成のWIN’Sは、20代3人を揃える若いチームだが、中心は52歳のキャプテンの栗栖陽子さん(52)。背番号1のセッターはネット前にかまえるまさに大黒柱で、ママさんバレー歴20数年の「鉄人」だ。第1戦は第1セットを取ったものの徐々に相手ブロックにつかまり、滋賀に1-2と逆転負け。「緊張しすぎ。もっと楽しもう」という栗栖さんの声がけで臨んだ第2戦は、同じ滋賀勢を相手に第1セット中盤の競り合いを奥間智穂乃さん(27)の強打で抜け出すと、第2セットは初戦で不調だったサーブも決まり、最後はブロックで1勝をつかみ取った。Vリーグのデンソーでもプレーした森聖子監督は「初戦は気持ちが引いてしまったが、次の試合はクイックも出て自分たちのバレーが出せました」と話した。
岡崎みなみは駒を欠きながら奮闘した
【プロフォートサニー】
秋田大会にも一般とシニアの2チームが参加した岡崎みなみは、もう一つの部にいてもいいベテラン揃い。秋田ではシニアでプレーしていた石川和子監督の下、チーム最年少の木戸実咲さん(30)の強打を前面に、年齢の若いチームを相手にした第1戦は全員で粘ったが、第3セットに再逆転を許して18-21で惜敗。第2戦はさらに若い滋賀と対戦し、第1セットは19点まで追いすがったが、及ばなかった。それでも「エースがケガをしていて急造だった割にはよくやれた。3セットまでできて満足です」と石川監督は笑顔だった。
矢作東は単独校区で一体感も十分
【プロフォートサニー】
同じ岡崎市から参加の矢作東 は親子3組がいるファミリー集団。単独校区の中で結束を深めてきた。今大会は滋賀と奈良を相手に1勝1敗。第1戦は2-0で快勝、第2戦も0-2だったが16点、17点と粘りを見せた。第2戦の終盤には長身レフトの坂口彩さん(32)の母、松本佳子さん(57)がピンチサーバーで出てエース。一度はリードしたが、逆転で屈した。落合明美監督は「若い選手もいてなかなか遠征はできない中で、こうした経験は貴重。一日で参加できるのはありがたいです」と話す。
奈良の強豪、ベレッツァネオは2勝
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その第2戦の相手だったベレッツアネオ は奈良県生駒市の強豪で、今大会も1セットも落とさず2勝。徐々にスピード豊かな攻守が出て隙を見せなかった。普段の練習ぶりがうかがわれる戦いぶりだったが、見先希美代キャプテンはこう話す。「市内、県内ではなかなかできない経験ができるのがありがたい。全国大会に出るたびに交流して知り合い、滋賀や京都のチームと練習試合をしています」。次の岡山大会も参加の予定だ。 奈良では50歳以上の部で城西 が2勝。全員のまとまりで勝ち抜き、最後はエース中島奈美さん(51)のアタックで決めた。浦西恵子監督は「できすぎの結果ですが、全員がボールをつなぐバレーをやってくれた。サーブもよかった」。大和郡山市内で活動する古豪の力を示した。
奈良の名門チーム、城西はチーム一丸で2勝
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18歳以上の部で愛知勢を相手に2勝したのが、平均年齢40歳あまりという能登川(滋賀)。全員のレシーブ力で池内志保さん(31)らサウスポーの巧打を生かして徐々にペースをつかんだ。第1戦はWIN’Sに先行されたが、第2セット以降に盛り返し、第2戦も同じ愛知の岡崎みなみを寄せ付けなかった。これまで経験した全国大会は2回。昨年参加した愛・チャンピオンズリーグで岐阜のチームに競り負けた悔しさを晴らした格好だ。大澤弥生監督(70)は「初戦の愛知は初めての相手だったので戸惑ったが、ブロックを修正できた。徐々にレシーブもよくなったのが勝因」と話す。翌々日にある県内の大会に勢いをつけた。 滋賀勢は50歳以上の部でも元気だった。近江八幡市から来た桐原クラブ は前線に長身アタッカーを揃える攻撃力で2勝。初戦はスロースタートだったが、なんとか勝利。看板アタッカーの一人であるキャプテンの野々村都さん(52)は「エンジンのかかりが遅いので、全員でリズムを出したい」と話したが、その言葉通り、第2戦はレシーブの守りからペースを上げて快勝した。普段は別々のチームでプレーしているエースが集まった、この大会仕様のチーム。その分、連携には欠けるきらいもあるが、チームの総合力は示した。
桐原ク(滋賀)は徐々にペースを上げた
【プロフォートサニー】
同じく滋賀勢で2勝したのが、マックス。昨年、変則的に開かれた55歳以上のいそじ大会(福島)で優勝したチームのうち60歳代のセンターラインの3人を残し、別メンバーで臨んだ。今大会は岐阜勢2チームを相手に少失点で快勝。福島に続き、キャプテンでセッターの田代智美さん(62)の変幻自在のトスさばきが目立った。かつては県内の強豪高でインターハイを舞台に活躍し、ママさんバレー歴は30年近く、娘はVリーガーというバレーの申し子。現在はママさんバレーとともに、マスターズ大会にも臨む。「体のどこを診ても悪いところがないので、もう少しがんばりたい。来年はこの大会に60代のチームで出ようか、と」。そう静かに話す田代さんはピンポイントのトスだけでなく、第2戦の勝負どころではサーバーとして驚異的な連続ポイントを繰り出して、会場を唖然とさせた。 細身の鉄人が若い年代のチームと対戦する。そんな幅広の大会であってもいい。 取材・文/伊東武彦
マックスのセッター田代選手①は健在
【プロフォートサニー】
・18歳以上の部 2勝=ベレッツァネオ(奈良)、能登川(滋賀)、こうなん、刈谷クラブ(ともに愛知) 1勝1敗=瀬田東スポ協(滋賀)、矢作東、WIN‘S(ともに愛知)、日吉クラブ(滋賀) 2敗=若葉クラブ、岡崎みなみ(ともに愛知)、ベガ、加茂女(ともに岐阜) ・50歳以上の部 2勝=桐原クラブ、マックス(ともに滋賀)、城西(奈良) 1勝1敗=Agains、まじょんな、AVANCE(以上岐阜) 2敗=岡北倶楽部(愛知)、ゆいまーる(岐阜)、ゆうがお(滋賀)