【駅伝】 伊勢路での経験を箱根路に活かす 全日本大学駅伝総合10位と健闘

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【日本大学】

大学三大駅伝の第2戦、「第57回全日本大学駅伝」が2025年11月2日、愛知・熱田神宮から三重・伊勢神宮までの8区間106.8kmキロで行われた。関東地区予選を勝ち抜き、3大会ぶり43回目の出場となった日本大学陸上部特別長距離部門は、2週間前に行われた箱根駅伝予選会の疲れも残る中で、出走した8選手がそれぞれの区間で力走し、チーム目標を上回る10位でフィニッシュ(5時間15分37秒)。総合力の高さを示し、2ヶ月後に迫る箱根駅伝に向けて弾みをつけるものとなった。伊勢路を走り終えた選手たちに感想を聞いた。

1区[9.5km] 総合10位・区間10位 山口 彰太 選手(スポーツ科3・佐野日大)

【日本大学】

1区を走ることになり「正直、驚きました」という山口彰太選手は、「3区か4区の中継ぎのところかなと考えていたところ、まさかのスタートを任されることになりました」。 スタート前、出場校を紹介するテレビ中継の演出で、1区を走るランナーが1人ずつテレビカメラの前に立った。「自分ではけっこう笑顔のつもりだったんですが…」という彰太選手だったが、緊張のためか、その表情は少し強張っていた。

午前8時10分、気温13度、曇天に号砲が鳴り響き、全27チームのランナーが一斉にスタートした。
8区間の中で最も距離が短いコースだが、4kmあたりまではゆっくり落ち着いたペースでの集団走が展開され、その中で彰太選手は後方に位置取っていた。「スローペースになることも頭にあったので、前の方で混み合うよりも、後ろからついていって後半に備えようと考えていました」

次第にペースが上がり、集団が縦長になっていくが、彰太選手は8kmあたりでも7・8番目をキープ。しかし、終盤のアップダウンで先頭グループがスパートをかけると、その差が少しずつ開いていった。
「中盤くらいまでは、後ろでしっかり足を溜めていけましたが、ペースが変わった時にちょっと足を使ってしまい、ラスト1kmのスピード勝負で負けてしまいました。そこが反省点です」

それでも、トップと8秒差の11位で双子の弟の聡太選手へタスキをつなぐ。高校時代以来となる兄弟タスキリレーの実現に、「出走区間が決まった時は言葉に表せなかったし、実際にリレーできてうれしかった。前のグループと少し離れてしまいましたが、12位以内というチーム目標には、ギリギリの位置で渡せたと思います」と顔をほころばせた彰太選手。初めての大舞台について、「シード圏にいる大学の選手と走るのは初めてでしたが、彼らとの力の差を実感しました。調子もいい中で臨めただけに悔しい」とレースを振り返る。「練習に対する意識や姿勢、そして試合に臨む準備など、もう1段階切り替えていかないと、箱根駅伝で目標とするシード権は難しい。これから、練習や生活の質を高めていかなければいけないと改めて感じました」と、2カ月後の戦いに向け決意を新たにしていた。

2区[11.1km]総合11位・区間 12位 山口 聡太 選手(文理3・佐野日大)

「自分としては1区を希望していたのですが、箱根予選会の走りがあまり良くなかったので、2区になるのかなと思っていました」という山口聡太選手。双子の兄の彰太選手からタスキを受け取り、高校時代以来の兄弟リレーが実現したものの、「自分のことに集中しすぎて…」と、気にかけることもなく、「彰太が運んでくれたいい流れを、しっかり次につなげようと思って走りました」。

【日本大学】

箱根予選会から2週間後のレースのため、疲労がないわけではなかったが、「しっかり調整できて、調子も上がってきていたので、前半は1km2分50秒くらいで押していきたかった。後半はペースが落ちて単独走になってしまい、前とも距離が開いて後ろもいない状況で、(3区の)天野には走りづらい位置でタスキを渡してしまったなと思います」と反省を口にした。

今大会を振り返り、「区間賞を獲った選手とは1分20秒ほど離れているので、個人としてはまだまだ力が足りない。チームとしても大きく外してはいませんが、上位校とは勝負できていない」と悔しさをにじませた。「箱根本戦に向けて、もう一回、しっかり練習を積んでいきたいなと思います」と、あと2ヶ月での積み上げを目指す。

3区[11.9km] 総合14位・区間 15位 天野 啓太 選手(法3・岡崎城西)

各校の主力が集まる3区を任された天野選手は、「最低限、シード権が狙えるいい位置でタスキを次へ渡せるようにしたい」と意気込んでいた。
前半は思う通りのペースで走れたが、単独走のためか「ちょっと気持ちが先走ってしまった」と、5km過ぎぐらいからペースが落ちてきた。「そこから自分自身が耐えられなかった。7・8kmあたりで後ろに追いつかれてからは、粘るだけの走りになってしまい、かなり足を使ったので最後は苦しかった。ちょっと情けない走りでした」と、固い表情でレースを振り返った。

【日本大学】

箱根予選会のダメージはさほど残っておらず、「走らなければいけない状態で走れなかったというのは、まだまだ自分の力不足だと思います」と言いながらも、「単独走が初めての経験だったので、課題も見つかりました。前を見据えて走るということを考えながら、しっかり単独走の練習も積み重ねていきたい」と話す天野選手。「ここからの2ヶ月間で、みんなの期待に応えられる走りができるように頑張っていきたいと思います」と、箱根本戦に向けて前を向いた。

4区[11.8km] 総合13位・区間 13位 主将・中澤 星音 選手(経済4・一関学院)

【日本大学】

後半のアップダウンや風の影響を受けやすいポイントがあるタフなコースの4区は、中澤主将に託された。
3区で順位を3つ落とし、前を走る大東文化大とは10秒差、中央学院大とは14秒差でタスキを受けて走り出す。
「キャプテンとして少しでも差を詰めて次へつなぎたい、そこを意識して前を追いかけていこうと思いながら走っていました」

第4中継点の手前、数100mで中澤選手がスパートした。中央学院大と学連選抜を一気に追い抜き、13位に浮上してタスキを5区・長澤選手へ。「大東文化大との差が開いてしまったのは申し訳なかったですが、次の6区へしっかりタスキをつなげてほしいという思いを込めて渡しました」
「自分自身はもう少し上を目指していたので、悔しい結果になってしまったというのが正直なところです」と、唇を噛んだ中澤主将は「次に向けて、もう1回しっかり調整していきたいと思います」と、箱根駅伝での雪辱を誓った。

5区[12.4km] 総合14位・区間 14位 長澤 辰朗 選手(文理2・中越)

【日本大学】

第5中継所でタスキリレーを終えると、コースへ向かって一礼をした長澤選手。初めて走った3大駅伝は「課題が残るレースでしかなかった」と不本意なものだった。

「どの区間を走ることになっても頑張ろうと思っていたし、やるしかないんだという気持ちで臨みましたが、最初からずっときつかった。点数的には20点・30点のレベルで、全くダメでした」

中央学院大と競いながら前を行く大東文化大を追いかけたが、思うようにペースは上がらない。最後まで捉えることができず、中央学院大にも先着を許して順位を1つ下げた。「雰囲気に呑まれたわけではないですが、駅伝ならではの洗礼を受けたような感覚です」と話す長澤選手は、「もう1回、ちゃんとやっていかないとダメだなと気づかされました。これからは、駅伝の走りができるように準備していきたいと思います」と箱根本戦に向けての成長を誓った。

「一人でちゃんと、淡々と押せるというところを、もっと頑張っていきたい。自分の走りを、普通のレースではなく、駅伝仕様にしていかないと、この先走れないと思う」と、危機感も口にした長澤選手。2ヶ月後、どんな成長を遂げて箱根路を走るのか、期待が膨らむ。

6区[12.8km] 総合13位・区間 11位 副将・大仲 竜平 選手(スポーツ科4・北山)

「どこの区間を走ることになっても、自分の走りに徹して頑張ろうという気持ちでいました」という大仲選手がタスキを受け取った時、前を走る中央学院大とは21秒、その先の大東文化大とは35秒差だった。「前の2校が見えていたので、そこを少しでも詰めていこうと思っていました。前をしっかり追っていくという基本的なレースプランは、箱根駅伝においても同じなので、本番を意識して走りました」
持ち味の粘り強く安定した走りで前を追った大仲選手は、2校を捉え切ることはできなかったが、1つ順位を落とした大東文化大に13秒差、中央学院大に18秒差まで詰め寄り、終盤の追い上げに向けていい流れを生み出した。

「予選会の疲れは他の大学も同じ条件なので、しっかり走れないとダメだと思います」と話し、総合10位という結果に対しては「目標が12位だったので、それを上回ることができたという点では、チームとして箱根につながる走りができたと思います」と、前向きに捉えた大仲選手。本戦までの2ヶ月について聞くと、「昨年の二の舞にならないよう、体調管理をしっかり徹底し、怪我をしないように注意しながら練習に取り組むこと。箱根駅伝に向けて全員が同じ方向を向いてやっていきたいと思っています」と、力強い言葉が返ってきた。

7区[17.6km] 総合10位・区間 2位 シャドラック・キップケメイ選手(文理3・イリギタティ[ケニア])

当日のメンバー変更により、各校のエースが集う勝負所の7区に、満を持して出走したキップケメイ選手。13位でタスキを受けた時は、「前までは差がなかったので行けると思いましたが、その先(11位・東海大、1分46秒差)はどこまで行けるかわかりませんでした」。
それでも、「コンディションは良かった」というキップケメイ選手は圧倒的なスピードで前との差をグングンと縮め、東海大の先を走っていた城西大までも抜き去った。4つ順位を上げて10位に浮上、11位東海大に11秒差をつけるとともに、シード圏内8位までは1分16秒差に迫った。
区間2位の好記録については「良かった」との一言だったが、初めての全日本大学駅伝について「レースは楽しかったけれど、キツかった」と本音がこぼれた。3度目となる箱根駅伝でも、頼れるエースの活躍がチームの躍進につながるはずだ。

8区[19.7km] 総合10位・区間 9位 鈴木 孔士 選手(法4・中越)

「自分で志望していた8区を走れて良かった」という鈴木選手。10番目でタスキを受けた時は「もう前を追うことだけを考えていました。後ろを振り向かず、前だけですね」と、最長区間を走り出した。
「前半からもう少し速いペースで行っても良かった」という鈴木選手は、途中、追い上げてきた城西大にかわされて1つ順位を落としたが、ペースの上がらない日本体育大を捉えて再び10位に浮上。「城西大に追いつかれたところで粘ってついていければ、もっといいタイムが出たかもしれない」と話し、「16km過ぎからの登り坂も結構辛かったし、時間が掛かり過ぎました」と悔しげな表情を見せた。
ゴール地点の伊勢神宮内宮に続く直線道路では、前を走る城西大の背中を捉えていたが、その差を縮めることはできず、11秒差の10位でフィニッシュ。「もう少し行ければよかったのですが、少し距離が足りなかった。あと200・300mあれば抜けたかもしれません(笑)」

総合10位という結果について鈴木選手は、「箱根でシード権を獲りにいくというところを見据えれば、まだまだチームとしての力不足を感じます。他校の選手たちはみんなどんどん速くなっているので、自分たちもそれにどんどん追いついていかないといけない」と力を込める。個人では区間9位という好走だったが、「目標タイムより20秒くらい遅かったので自分自身も力不足。ここからもっと上を目指して、他大学の選手たちに勝てるように頑張っていきます」と、箱根駅伝に向けて決意を新たにしていた。

ゴールを目指しラストスパートをかける鈴木選手 【日本大学】

新雅弘監督 (1983年・経済学部卒)

「全日本駅伝は初めての経験だったので、よく分からないまま終わりました」と、レース後、選手たちと談笑する新監督の表情は、いつにも増してにこやかだった。
この日のメンバー選考は、箱根駅伝のことやコースへの適正を考慮したと言い、「メンバーを外れた4年生には上尾シティハーフマラソン(11月16日)で走ってほしいし、1年生も使いたかったけれど、ハーフを走ってないので、今回はいろいろ経験している選手、未経験の選手を組み合わせて編成しました」

総合10位に食い込み、シード圏内8位(順天堂大)まで、あと1分4秒と健闘した選手たちを「粘り強い走りができました。3区で落ちた時も、そのあと盛り返すことができたところにチーム力がついてきたと感じます。これが本当の総合力ですね」と称えた。その一方で、「まだ結果を求める段階のチームではありませんが、通過順位と区間順位がほぼ一緒なんです」とも。「今回の経験を活かしてまた来年、予選会を通過して挑戦したい。選手たちもいい勉強、いい経験をしたと思いますが、私が一番いい経験をさせてもらっています(笑)」
全日本が終わり、いよいよ本格的な箱根モードに入る。これからの日々は、選手たちの口からも聞かれた「単独走」を課題として強化に取り組んでいくという新監督。「箱根はみんながハーフを走らないとダメですから、メンバーはまたフラットなところから。上尾ハーフで適性を見ながら考えていきます」と、チーム内での競争を楽しみにしているように笑った。


箱根駅伝本戦まであと2ヶ月。チームの成長も、メンバー争いも、さぁラストスパートだ。

全日本大学駅伝を走ったメンバー(キップケメイ選手を除く) 【日本大学】

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著者プロフィール

日本大学は「日本大学競技スポーツ宣言」を競技部活動の根幹に据え,競技部に関わる者が行動規範を遵守し,活動を通じた人間形成の場を提供してきました。 今後も引き続き,日本オリンピック委員会を始めとする各中央競技団体と連携を図り,学生アスリートとともに本学の競技スポーツの発展に向けて積極的なコミュニケーションおよび情報共有,指導体制の見直しおよび向上を目的とした研修会の実施,学生の生活・健康・就学面のサポート強化,地域やスポーツ界等の社会への貢献を行っていきます

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