「引退後の人生も豊かに」。三足のわらじを履くサッカーチーム・FC越後妻有にみる、セカンドキャリア問題解決のヒント
棚田の危機を救う「大地の芸術祭」から誕生した唯一無二のサッカーチーム
そこで、担い手となる人を呼び込む方法として発案されたのが、FC越後妻有である。若いサッカー選手が移住して、練習に励みながら農業に取り組むことが、一つのキャリアモデルになるのではないか。そんな期待を込められて、FC越後妻有は「大地の芸術祭」から派生したプロジェクトの一環として、2015年に発足した。選手たちは「大地の芸術祭」を運営する団体・NPO法人越後妻有里山協働機構の一員となり、サッカーの傍ら、棚田の維持管理やアート作品のメンテナンスをするのだ。
「なんだかおもしろそう」という好奇心に背中を押され
「経験こそなかったものの、祖母がトマト農家で働いていたこともあり、幼い頃から農業を身近に感じていました」(山下さん)
アマチュアスポーツ界が抱える、知られざる「セカンドキャリア問題」
一方でFC越後妻有の選手たちは、NPO法人越後妻有里山協働機構に所属し、ほかの職員と同じ仕事をこなしている。40人ほどの職員を擁する組織で、サッカー選手であるか否かによる業務の垣根は存在しない。
元井監督は「責任のある仕事をしているからこそ、内面も鍛えられて、サッカー選手としても伸びていくという好循環が生まれている。地域住民の生活の中に入って仕事をすることで、選手たちが磨かれていくのを感じています」と語る。
つまり、このプロジェクトのメリットは、地域にとって若い労働力が得られることだけではない。選手にとっても、農業やアートに関わる仕事を通して社会経験を積むことで、人としても社会人としても成長できる機会となる。いわば、サッカーチームと地域の双方がメリットを得られる、ウィンウィンの仕組みなのだ。
スポーツ選手が地方でこのような取り組みを行うことで、地域や地域の人々にどんな影響を与えているのだろうか。後編では、FC越後妻有の選手たちが送る1日の様子や、地域との関わり方、そしてその影響力を詳しく紹介していく。
text by Miu Tanaka(Parasapo Lab)
写真提供:FC越後妻有
※本記事はパラサポWEBに2025年11月に掲載されたものです。
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