知性と闘志を胸に──古田真菜が語る、支える強さと成長の哲学【東京山九フェニックス】インタビュー
ファンの間で「マナ様」と呼ばれる古田真菜は、チームの精神的な支柱でもある。
2歳からラグビーボールを追い、数々のケガを乗り越えながらも、常に思考を止めず、
チームの中心で身体を張り続けてきた彼女の言葉には、経験に裏打ちされた重みがある。
2歳から始まった“ラグビー人生”
家族全員がラグビーに親しむ環境で育った。
父が草ラグビーをしており、週末は家族で試合観戦をして過ごすことが多かったという。
「小さい頃はバッタを捕まえたり、ボールと一緒に寝転がったりしている感覚で通っていました(笑)」
転勤の多い家庭だったが、愛知・大阪・福岡と環境が変わってもラグビーを続けた。
「どの転勤先もラグビーが盛んな地域だったのは幸運でした。環境に恵まれていたと思います」
兄は2024年まで横河電機アトラスターズでプレーし、妹は主婦となった今も育児をしながら草ラグビーを続けているという。
バスケットとの両立、そして友人のひと言でラグビーを継続
「中学ではバスケを続けようと思っていました。でも、ラグビースクールで一緒だった野田夢乃(現フェニックスHC)に“当たり前にラグビーするでしょ?”って言われて(笑)。それで続けることにしました」
中学時代は平日に女子バスケ部、週末は「かしいヤングラガーズ」と「福岡レディース」で活動。
「日曜は午前がスクール、午後が福岡レディース。毎週そんな感じでした」
男子に混じってプレーしながらも、女子ラグビーの大会にも出場。
「女子選手が少ない時代でしたけど、だからこそ仲間のつながりが強かったです」と振り返る。
高校で芽生えた“本気のラグビー”
女子部員が在籍していた筑紫高校への進学を選んだ。
数名の女子部員が男子と混ざって練習するラグビー部だったが、
「福岡は女子が男子チームでプレーするのが普通で、特別なことではありませんでした」と笑顔で話す。
学生時代に男子のスピードと強度を経験したことが、古田の原点にもなっている。
今も共に戦う仲間と過ごした大学時代
「当時は女子チームが少なく、セブンズアカデミーの選手の多くがアルカスにいたので、“ここでトップ選手と一緒にやりたい”と思いました」
大学では後にフェニックスでも共に戦う野田夢乃HCや黒川碧選手とともに寮生活を送り、
「寮での時間もすごく楽しかった。練習も試合も、常に誰かと切磋琢磨できる環境でした」と語る。
仲間と共に過ごした濃密な時間が、彼女のラグビー観とプレースタイルを形づくった。
15人制への情熱が導いたフェニックスへの移籍
「当時のアルカスは7人制中心の環境でしたが、私は15人制の代表を目指したくて。
海外留学も考えましたが、最終的には15人制に力を入れているフェニックスへ移籍しました」
「また夢乃と碧と一緒にプレーしたいという気持ちも大きかったです」
15人制に懸ける強い想いと、仲間と再びフィールドに立ちたいという気持ちが、フェニックスへの決断を後押しした。
理想のプレーヤー像 ― コンラッド・スミスとジョナサン・セクストン
「彼の考えて動くプレーやワークレートの高さ、チームのために動く姿に強く惹かれ、こうなりたいと思いました」
また、スタンド時代の憧れはアイルランド代表のジョナサン・セクストン。
「プレーの細部までこだわる姿勢に惹かれて、ワールドカップの時に“頑張ってください”とSNSでDMを送ったこともあります(笑)」
目指すのは、個人の技術を超えて潤滑油のようにチームを支える存在だ。
強みは「タックル」と「パス」 ― 努力で築いた技術
さらに、彼女の代名詞でもあるタックルは、幼少期の指導者の言葉が原点にある。
「“一つのトライより、一つのタックルが流れを変える”と教えられて、意識が変わりました」
大学では2度の前十字靭帯断裂を経験。
「ケガのリハビリ中に動作の大切さを学びました。身体能力ではなく、動きの質を磨くことでタックルの精度を上げました」
ケガや壁を乗り越えるたびに磨かれてきた技術と知識――それこそが、古田真菜の最大の強みである。
チームメイトとの絆、そして仲間への信頼
凜日とはよくご飯を食べに行きますし、優奈とは陶芸に行ったり、桃子さんにはご実家でご飯をご馳走になったりします(笑)」
チームの雰囲気についてはこう語る。
「フェニックスは全員が気さくで、誰とでも行動できる。仲の良さがチームの強さに繋がっていると思います」
互いを尊重し支え合う関係が、フェニックスというチームの温かさと結束を生み出している。
“強く、巧く”――今シーズン掲げる成長のテーマ
代表活動で学んだ“ボディコントロール”を生かして、より力強いプレーを目指します」
さらに、W杯で共に戦った長田いろは選手からの刺激も大きい。
「彼女のジャッカルの技術を間近で見て、試合中の1プレーが試合を動かすことを改めて感じました」
経験を重ねるごとにプレーの幅を広げながら成長を続ける――それが今季の古田真菜のテーマだ。
チームの注目ポイントとフェニックスらしさ
スピードと技術、そして笑顔で戦うチームなので、プレーだけでなく表情にも注目してほしいです」
フィールドの上では真剣に、試合が終われば笑顔に――そのギャップこそが、東京山九フェニックスの“らしさ”である。
冷静と情熱を併せ持つ“考えるセンター”として
理論と感性を併せ持つプレースタイルは、チームに安定感と創造性をもたらす。
「プレーでも考え方でも、後輩の手本になれるように。
これからはチームの中心として、フェニックスを引っ張っていける存在になりたいです」
その言葉に、頼れる“司令塔”の矜持がにじんでいた。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ