ユース出身プロが語る、15年に渡る絆と「本気でダーツに懸けた青春」(対談:林雄太×嶋内優樹)

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出会いから15年、ユース時代から切磋琢磨して歩んできた道

今年のプロダーツJAPANは、ベテラン勢と若手選手が入り乱れる大混戦。今回は若手世代を代表して、ユース出身の林雄太選手(U-22トーナメント2019/シングルス3位)と嶋内優樹選手(U-19トーナメント2011/優勝)に話を聞いた。

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実はこの2人、興味深い共通点がある。JAPANに初めてフル参戦したのが共に2018年。翌2019年のランキングは林選手が22位、嶋内選手が23位。2024年は林選手が15位、嶋内選手が17位。ユース時代から青春すべてをダーツに賭け、互いに切磋琢磨してきた2人に話を聞いた。

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同世代の「ダーツがすごくうまいやつ」

―実はプライベートでも交友が深いお二人。初対面のことは覚えていらっしゃいますか?

嶋内:俺が16歳くらいのときですね。岡山のユース大会やったっけ。もう15年くらい前?

林 :初対面はそう! で、そのあと桃加(妹・林桃加選手)がU-19トーナメントの決勝大会に出たときに優樹くんがおって。当時って、ユースはレーティング14ですごい上手い!って感じで。でも優樹くんは17あって。「こんな上手い子がいるんや!」ってびっくりした。

嶋内:俺は「兄妹で二人ともめっちゃ上手い」っていうのが印象でしたね。地元の高知では同い年で投げる人が周りに全然いなくて。同年代の人のプレイが見たい、戦いたいと思って県外の大会自分で調べて。参戦したらいつもいたのが雄太でした。昔からかなり印象に残ってましたね。

JAPAN第4戦、初優勝した林雄太を祝う妹・林桃加選手。兄妹の活躍を見守るダーツファンが一様に笑顔になった瞬間だ。 【©一般社団法人J.D.U All Rights Reserverd.】

林 :その次の年かな。burn.ユースの西日本予選決勝の相手が優樹くん。そこから結構仲良くなって。

嶋内:スポンサーも同じだったしね。今はユースでスポンサーついている選手も増えたけど、当時は結構異例で。注目もされるし、特別な感じがしましたね。

ユースからプロになるまで

―改めて、JAPANプロになるまでの経緯を聞かせてください。

嶋内:中1からダーツを始めて。16~17歳ぐらいでレーティング18行ってたんですけど、当時のJAPANプロは受験できるのが18歳以上で。18歳でプロになって、20歳からはダーツバーで働きながらお客さんとひたすら投げてました。でも「ちゃんと自分の実力を知りたい」っていう気持ちがずっとあって。それで2018年に、お店のオーナーさんやお客さんに「JAPAN全戦出ます!」って宣言しました。自分が逃げられないように周りに言い続けて(笑)。

―フル参戦初年度で年間ランキング18位。素晴らしい成績です。

林 :ほんまや、すごいな!!

嶋内:全戦出るだけでも大変だけど、北海道とか遠征費すごいですからね(笑)。「もうやるしかない」っていう環境を周りの人にも作ってもらったっていうのは、成績にも繋がったかなって思います。

― 一方で林選手は、変わった経験をされたと伺いました。

林 :高校生の時にJAPANプロの年齢制限を調べたら、当時の規定は「20歳以上」で。大学は行くつもりなかったし、高校卒業後の2年間どうしようって困ってたら、香港のマサ・ルイ選手のお母さんが連絡くれたんです。「ユウタ、一年間香港に留学しにおいでよ」って。 マサのお母さん、ダーツのユース選手をすごく応援されてる方で、俺が中学くらいの頃から家族ぐるみでお世話になってるんですけど。

嶋内:あ、それで香港行ったがや!?

林 :そうそう。実は高校卒業のタイミングで、プロ取得が19歳以上に変更されて。でももう香港行くつもりだったからその年にテスト受けるつもりなくて。そしたら親父に「お前いつになったらプロ資格取んねん」って急かされて(笑)。急遽その日にテスト受けて、プロテスト合格しました。

嶋内:マジで!? すっご!!!!(笑)

林 :だから2017年は開幕6戦だけ出てるんです。8月からは香港。キャリーケース1個と30万円だけ持ってダーツ留学してました。

― ちなみに林選手、英語や中国語は…?

林 :全然(笑)。英語なんて「now」と「was」しか知らん(笑)。お世話になってた社長さんのお店(ダーツショップ)で日本語が話せるスタッフさんに教えてもらいながら、中学英語のドリルやってました。香港行って2ヶ月目にはバイト始めて。

嶋内:え、バイトどこでしちょったと?

林 :香港の会社のラーメン屋でホールしてた。

嶋内:英語喋れへんのにホール!?

林 :その店二郎系で、紙に注文書くシステムやったからギリいけたけど、質問されたら何もわからんかった(笑)。そのあとも色々バイトしながら、現地で留学資金稼ぎました。ただねぇ…「ダーツ留学」って言った手前、お店のお客さんからも熱烈に送り出してもらって。香港でも毎日10時間くらい投げてたのに、レーティング17から13まで落ちたんです。プレッシャーで(笑)。

嶋内:環境の変化もあったし、ストレスやばいな(笑)。

林 :そんなこんなあって、帰ってきて2018年からは全戦出てます。香港でいろいろ経験したので全戦出ること自体は、俺は全然苦じゃないすよ!

「18戦出て、やっとプロ」

林 :そもそも俺は「プロになる=全戦出場する」っていうのが当たり前みたいな感覚やった。

嶋内:「18戦出て、やっとプロ」って感じよね。俺も全部出るまで「プロです」ってそんなに言いたくなかったなぁ。


― なるほど、お二人にとっては2018年が「プロ元年」だったわけですね。

嶋内:プロ資格取り立ての頃は「プロ選手になった」っていうより「やっと戦える舞台に立ったな」って感じでした。

林 :俺、小5までサッカーやってて。辞めてからはずっとダーツ漬けで。小学校も中学校も高校も、卒業文集に全部同じこと書いたんですよ。「将来の夢はダーツプロになって優勝する、自分のお店をやります」って。

嶋内:すげえ! 両方とも叶っとる(笑)

林 :彼女も作らんでずっとダーツに打ち込んでたし。同じくらいの熱量でダーツ続けてるのは優樹くんと直也(鈴木直也選手)くらい? あとは同世代というより、ユースの先輩が野毛くん(野毛駿平選手)って感じですね。

選手の年齢が幅広いプロスポーツ、憧れの選手たちと同じ舞台で戦うリアル

―憧れの選手について伺ってもいいですか?

嶋内:俺は治樹さん(村松治樹選手)ですね!

林 :俺はえぐちょさん(江口裕司選手)です。俺の紫のユニフォームは、えぐちょさんからきてます。ほんまにイベントも行くぐらいのファンで、初めて握手してもらった時手震えました(笑)。

嶋内:俺はその時は星野さん派やったわ~!(笑)

林 :「どっち派?」みたいなの、あったよね(笑)。

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嶋内:俺がレーティング13とかの頃に、星野さんが高知に来てくれて。初めて一緒にダーツ投げさせてもらって。「トップの世界ってこんなにすごいんだ…!」って実感しました。治樹さんもユースの頃から目をかけてくださって。2人のバレル買ってみたり、スローイングとかグリップ真似してみたり…(笑)。

林 :最近マジで身に染みて思うことがあって。海外の大会に出るとき、治樹さんや鈴木未来さん、ポール・リム選手と一緒にご飯に行ったりするんです。ふとした時に「俺、普通に治樹さんと飯食ってるな…」って(笑)。あのポール・リムが俺の名前呼ぶんですよ、「ユウタさん」って! ポール選手なんか、PDCの9ダーツの動画とか、SUPER DARTSで審判してたのを見てるわけで。もちろんずっと優勝目指してやってきたから、有名な先輩方と戦って、自分が勝って…っていうのは当たり前のように想像しながらダーツやってきたんです。でもね、そんなすごい人たちがまだ現役で、一緒にダーツして、試合で当たって…なんて、昔の俺やったら考えられへん状況だなって思います。でも、現実なんだなぁって。

嶋内:それこそ最近、JAPANで治樹さんと当たることが多々あったんですよ。憧れというか、尊敬してる人なんで…一緒に戦えるっていうのがほんまに嬉しいです(笑)。

―今シーズンは林選手が優勝、嶋内選手は初の決勝戦進出で準優勝されました。

JAPAN第9戦。初めての決勝戦に挑んだ嶋内選手。 【©一般社団法人J.D.U All Rights Reserverd.】

嶋内:雄太が先に優勝して、同じユースからやってきた仲間としては、悔しい気持ちもあったんですけど…正直めちゃくちゃ嬉しかったです!

林 :俺も優樹くんが決勝行った時、めっちゃ応援してた。というか俺、準決勝で「これ勝ったら決勝戦は優樹くんとや」って思ったのもあってちょっと力んだ(笑)。

嶋内:俺も、「逆山に雄太おる!!」ってめっちゃ意識してたで(笑)。

林 :いや、みんなもね、真面目にダーツしてると思うんです。でもね、やっぱり俺らが一番真面目(笑)。「こんだけ真面目にやってきてる俺らが勝たなおかしい」ってずっと思ってますよ。

嶋内:ほんまにダーツしかしてこなかったもんな。1日10時間とか普通やったもんね。決勝戦リベンジしたいなぁ。まだ後半戦も残り試合あるしね。
―他のプロスポーツに比べると、ダーツは現役選手の年齢が幅広いスポーツです。先輩の壁は厚い、と感じたことはありますか?

林 :俺、ずっと周りから言われてきたんですよ。「20代前半ではJAPANは勝てへん」って。

嶋内:あー俺もそれ言われたことある。

林 :ダーツの実力っていうより、どっちかっていうとメンタルの話です。30代からメンタルや生活に余裕が出てくるから、それが試合でもいい結果に繋がるっていう。確かに、10代~20代前半って「とにかく早く勝ちたい」って思ってました。でも今、20代の強い選手も増えてきてるじゃないですか。

嶋内:前は35歳~40歳くらいの選手がすごく活躍されてる印象あったんですけど、最近は強さがばらけてるというか。若い人も先輩も強い人いて、年齢関係なくなってる気がしますね。

生涯現役を誓って

―まだまだ現役生活が長いお二人です。今後の目標について訊かせてください。

嶋内:俺はやっぱり、目の前の目標はJAPAN優勝です。年間ランキングを狙いながら、周りの選手たちが参戦しているハードダーツのアジアツアーも経験していきたいです!

林 :俺は2年半くらいアジアツアー回ってるんですけど、お金も時間もかけて行っている経験が、JAPANの成績に繋がってるって感じてます。JAPAN優勝はこれからもっとしたいし、年間1位も取って…。でも一番の目標は、俺を見て「ダーツのプロになろう」って思ってくれる人が増えることですね。いつまでも応援されるプレイヤーでいたいです。

嶋内:応援してくれる人がいるから頑張れるよね。しっかり結果を出して、若い子たちに「プロになりたい」って思ってもらえるような選手になりたいですね。

林 :生きてる限りダーツがしたいです。多分もう俺、ダーツ辞めることないんで。生涯現役やと思います。プロを続けるからには夢を与えられる選手でいたいし、ダーツ業界も変えていきたいです。
―どうすればもっと若い選手がプロダーツの世界に入ってきやすくなると思われますか?

林 :やっぱり若い子が出られる試合がたくさんあるといいですね。ただ、やっぱり子どもたちから見てダーツ業界がクリーンじゃないとダメですね。選手は立ち振る舞いも気をつけなきゃいけないし、何より「ダーツは食っていける職業」っていうのを見せて夢を持ってもらわないと。

嶋内:ダーツ自体が少しずつ知名度も出てきて、俺も雄太もそうですけどスポンサーさんや関係者のみなさんのおかげで大会にもたくさん出られる環境になっていて。賞金が増えていくのも見てきたんで、仕事として夢があるのは大事やなと思います。あと、やっぱりクリーンなのは大事やと思います(笑)。勝負の世界なので熱くなるのはわかるんですけど、態度に出すのはプロとして違うと思います。

林 :ほんまそうやね。クリーンにしたい!

嶋内:正直試合で負けたら自分のせいだと思いますし。負けたら俺だって腹立ちますけど、その悔しさをバネにして結果を出せばいいと思います。俺が治樹さんや星野さんに憧れたみたいに、「この選手みたいになりたい」って思ってもらえるように頑張れば、若いプレーヤーも増えてくると思います。「憧れの人のひとり」になれたら良いですね。

林 :俺らだけじゃなくてね、若いプレイヤーがランキングで上がってこれるように頑張らなきゃね(笑)。選手人生が長いことは、ダーツのいいとこなんで。

嶋内:ダ―ツ楽しいですし、年齢層が広いスポーツだからこそ、世代が違う方と仲良くなれると思うんです。いろんな意見が聞ける機会が多いし、そういう環境が自分を成長させてくれると思ってます。俺がアカンことしたら先輩方が怒ってくれますし。大人になってから叱ってもらえることってなかなかないですし。

林 :今から30年やっても、57歳のダーツプロなんて全然いるもんな。

嶋内:ポール選手目指すなら、俺らあと40年頑張らな(笑)。

林 :でも好きなことであと40年食っていけるってこれ以上幸せなことないから。ダーツ嫌いにならない限りは全然苦じゃないと思いますね。
―それでは最後に、残りの試合に向けての意気込みとファンの皆さまに向けてメッセージをお願いします。

嶋内:いつも応援ありがとうございます。頑張っていくので、これからもよろしくお願いします!

林 :今年はまだ年間チャンピオン狙える位置にいるので、最後までそれを目指して、自分の夢を叶えて、応援してくれる人と一緒に喜べたらいいなぁと思います。これからも応援よろしくお願いします!

嶋内:決勝、しようね!

林 :決勝やろう(笑)。

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※本インタビューは、JAPAN 第11戦終了後に行いました。
ユースからダーツ一筋にずっと走り続けてきた2人の決勝対決を待ち望んでいるダーツファンも多いはず。そしてプロダーツの未来を担う2人の活躍を、ぜひ会場や生配信にて見届けてほしい。

次戦、プロダーツJAPAN第15戦は11月15日(土)開催。会場は宮城・夢メッセみやぎ(展示ホールBC) です。
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著者プロフィール

「SOFT DARTS PROFESSIONAL TOUR JAPAN」はプロ登録選手が参加できる年間を通じたダーツトーナメントです。 我々は、本大会を通じ、ソフトダーツ界全体のさらなる飛躍と、「真のプロ」たる実力を持ったプレイヤーの発掘及び支援を目指して参ります。

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