「年齢を重ねても競う楽しさを ー マスターズスポーツから考える日本の現状ー」 大体大先生リレーコラム 大阪体育大学・中山健教授(スポーツ社会学)
1.スポーツ社会学から見る中高齢者の競技志向スポーツ
突然ですが、皆さんは中高齢者の運動・スポーツと尋ねられたらどのようなスポーツをイメージするでしょうか?私が高校生時代や大学生時代を過ごした1990年代当時は中高齢者のスポーツの代名詞と言えば、競技系ではゲートボールやグランウドゴルフ、健康系ではウォーキング、散歩や軽体操でした。しかしながら近年では、中高齢者のスポーツ愛好家の中でも、これまでは若者が実施する競技スポーツとして認識されてきた種目を、競技志向で実践する人々が注目されるようになってきています。本コラムでは、スポーツ社会学の研究テーマのひとつでもある中高齢者の競技志向でのスポーツ実践とその性差について考えることで、スポーツの新たな価値を考えてみたいと思います。
※リンク先は外部サイトの場合があります
2.日本のマスターズスポーツの現状と性差
日本国内では、公益財団法人日本スポーツ協会が主催する総合スポーツ大会として『日本スポーツマスターズ』(原則35歳以上であるが、競技毎に出場可能年齢が定められている)が2001年に宮崎県で開催されて以来、競技志向の高いシニア世代のスポーツ愛好者の受け皿として四半世紀に迫る歴史を刻んできました。この大会には40歳台から50歳台の参加者の多いことが報告されています。競技種目数は、2001年宮崎大会の12種目からはじまり、競技種目の追加および入れ替えをしながら13種目で推移してきました。その参加者数は5000人台からはじまりコロナ禍前の2019年大会では8000人台まで参加者数を増やしてきました。平均では7200人弱の参加者数です。その中で男女比を比較してみると女性参加者数は平均約2400人、男性参加者の平均約4800人の約半数で推移してきました(表1参照)。
3.競技スポーツと社会のこれから
本コラムの冒頭において、スポーツ社会学を学ぶ意義は、現在のスポーツ状況の説明や批判的分析を通して、社会における新たなスポーツのあり方を構想したり、提案したりすることにあると述べました。本コラムを通して、中高齢者における競技志向スポーツ実施者の性差を確認することができました。この現状を変えるきっかけともなり得るスポーツ愛好家の世界大会が開催されます。2027年5月に近畿圏を中心に開催される『ワールドマスターズゲームズ関西』では、競技志向の中高齢者が世界中から集いスポーツ交流します。この大会の参加者や観戦者または視聴者のスポーツへの価値意識を明らかにすることは、日本における中高齢者の競技志向スポーツ実施に関して新たな科学的根拠を提示することになります。スポーツ社会学を学ぶ意義のひとつと言えるでしょう。
引用参考文献
※リンク先は外部サイトの場合があります
<キーワード>
中高齢者 マスターズスポーツ スポーツ価値意識
中山健(スポーツ科学部教授)
講義科目は『スポーツ社会学』と『マーケティング•リサーチ法』を担当。近年の研究テーマは、「中高齢者の身体活動•運動とジェンダーとの関連性」、「訪日外国人旅行者の武道ツーリズムの動機」、「オーストラリアのライフセービングクラブにおける文化資本の継承」。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ