アカデミーオフィスに響く、中田浩二、柳沢敦の声の真意とは。「4人、お願い!」。トップとユースの密な連携から生まれる、選手強化の秘密。

鹿島アントラーズ
チーム・協会

【@KASHIMA ANTLERS】

アカデミーオフィスのドアがバタンと勢いよく開いた。

「4人、お願い!」

その声の主はフットボールダイレクターの中田浩二。ときに、昨季までユース監督を務め、今季からトップチームのコーチに就任した柳沢敦のときもある。驚く間もなくスタッフが反応し、候補となる選手の名前が次々に挙がっていく。

そんな光景が、アントラーズアカデミーでは日常となっている。トップとユースの間に境界線はない。互いの現場が常に行き来しながら、選手を育成しチームを強化していく。

「浩二さん(中田FD)やヤナさん(柳沢コーチ)が“バーン”と入ってきて、『何人貸して!』って言ってくれるんですよ」と、アカデミーマネージャーの鈴木修人は笑みを浮かべる。

「でも、それが自然なんです。報告や調整も即座にできるし、ミーティングを開くまでもない。日常的に顔を合わせて、会話が生まれているからこそ、動きが早いんです」

今シーズン、ユースの選手たちが日替わりでトップチームの練習に参加している。ケガ人が多く出た事情はありつつも、多い日には4〜5人、ときには高校1年までもがトップレベルを体感する日々だ。

「学校との両立もありますが、鬼木監督をはじめ育成出身のスタッフが多いので、ユースの選手も安心して練習できています。昨年までユースを指導していたヤナさんやソガさん(曽ケ端準GKコーチ)は、ユースの細かい事情を分かってくれています。田中マコさん(田中誠コーチ)、中後さん(中後雅喜コーチ)はアフタートレーニングまで丁寧に付き合ってくれる。トップに行くことでモチベーションも上がり、ユースチーム全体に競争が生まれています」

一方、中田FDはその連携を、クラブ全体のあるべき姿として明確に位置づけている。

「トップとアカデミーを分けて考えるのではなく、トップの人数をある程度絞って、足りない部分はユースからどんどん参加してもらう。いい選手がいれば、年齢に関係なくトップでプレーする。それが世界では当たり前になっています。17歳、18歳の選手が主力としてチームを引っ張る。アントラーズもその流れのなかにあると思っています」

今シーズン、2025年4月29日に行われた横浜FC戦でJ1デビューを果たした吉田湊海選手 【@KASHIMA ANTLERS】

実際に今年は、ユース2年元砂晏翔仁ウデンバがトップの公式戦でベンチ入り、2年の吉田湊海は初出場を果たした。

「ユースの中野監督も“どんどん呼んでください”と言ってくれているし、ヤナさんもトップに上がったことで、トップとユースの現場間の調整もうまくいっている。非常にいい形で回っていると思います」

こうした連携の背景には、“継続して見続ける”というアントラーズらしい姿勢がある。

中田FDは時間があればユースの試合を直接視察。また全国各地でスカウトが視察した情報をもとに、月1回のスカウトミーティングでジュニアからユースまでの選手情報を共有する。

「結局のところ、日々のコミュニケーションが一番大事。試合を見て、話して、次につなげる。その繰り返しです。鈴木アカデミーマネージャーも現場をよく見てくれているし、自然に連携が取れています」

鈴木アカデミーマネージャーもまた、その“顔の見える関係”こそがクラブの強みだと感じている。

「結局、浩二さんが見てくれているという安心感がある。だから、現場はストレスなくやれるんです。本当にありがたい環境です。トップがアカデミーを信頼してくれている。それが何より大きいと思います」

アントラーズの育成現場には、特別な仕組みも派手な言葉もない。あるのは本質。日々の声のかけ合いと、継続して見続けること、そして信頼の連鎖だ。

トップとユースがひとつになって選手を育てていく。その確かな日常の積み重ねが、未来のアントラーズを、そしてクラブの強さを支えている。

残り4試合、2位と勝ち点7差の首位! 次節11月22日(土) 11:00キックオフ!

高円宮杯 JFA U-18 サッカープレミアリーグ 2025
第19節 11月22日(土) 11:00キックオフ
鹿島アントラーズユース vs 川崎フロンターレU-18
会場:メルカリスタジアム
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著者プロフィール

1991年10月、地元5自治体43企業の出資を経て、茨城県鹿島町(現鹿嶋市)に鹿島アントラーズFCが誕生。鹿角を意味する「アントラーズ」というクラブ名は、地域を代表する鹿島神宮の神鹿にちなみ、茨城県の“いばら”をイメージしている。本拠地は茨城県立カシマサッカースタジアム。2000年に国内主要タイトル3冠、2007~2009年にJ1リーグ史上初の3連覇、2018年にAFCアジアチャンピオンズリーグ初優勝を果たすなど、これまでにJリーグクラブ最多となる主要タイトル20冠を獲得している。

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