『リーグワンでナンバーワンのフッカーに』堀越 康介

チーム・協会

キャプテンは交代すれども、再びリーダーグループの一員となった堀越選手。新しいシーズンに向けて、昨シーズンの悔しさをどう活かしていくのでしょうか。

【東京サンゴリアス】

グラウンドにいて怖かった
――ラグビーチームは負けず嫌いの集まりだと思うんですが、昨シーズンはハングリーさが足りなかったということで、負けず嫌いの度合いが弱かったんでしょうか?
いちばんは、自分たちのやっていることに対しての自信だったり、やっていることに対する不安どこかにあって、それが試合に出てしまったんじゃないかなと思います。

――なかなか勝てなかったあと3連勝した時でも、まだ「これだ」というものが掴めていなかったんですか?
掴めていなかったと思います。僕らは「何で勝つ」という、本当にしんどいプレッシャーの中で立ち返る場所がなかったと思います。それはもちろんアタッキング・ラグビーであり、やってきたことは絶対に間違いじゃなくて、みんなが一生懸命にやっていました。ただ結果が出ていないと、どこかで自信がなくなったり、「これで本当に合っているのかな?」とか、そういう思いになるのが当たり前だと思います。キャプテンはそこでコーチ陣との潤滑油でありつなぎ役なので、「みんなでやろうと」と言うんですけれど、自分としてもやっている身なので難しかったです。
同じ絵を見るこがとても大事ですし、もっとトップダウンで行くリーダーがいても良いと思います。昔で言ったら啓希さん(宮本)とか、僕は重なってはいませんが、グラウンドにいて怖かったですもん。「サンゴリアスって何だよ。あっち向いたりこっち向いたりやってないで、一緒にやんだろ。キャプテンが言ってんだから、みんなでやろうぜ」と。だから、今シーズンではそういう役を僕がやりたいと思っていますし、ケイノ(サム・ケイン)のことをサポートしたいです。シーズン中はどのチームも強くて、プレッシャーをかけられれば多少の波は出てくると思うので、そこでサポートしたいですね。そしてキャプテンが外国人になりますが、日本人選手が多いチームなので、そこのサポートもしていきたいですね。

――昨シーズンは大切なところでのミスも起きていたと思いますが、何が原因だったんでしょうか?
勝ちに徹するというか、そのプレーが大事な場面で出るとか、「だから大事なんだ」と考えてやっている選手がまだ少なかったんだと思います。ナレッジもそうですし、事前でのコミュニケーションがどうだったのかもそうですし、そういう場面が来ることを想像しながら練習をしていたのかということもあると思います。ひとつのボールキャリーやパスミスもそうです。昔は本当にひとつのブレイクダウンが甘ければ、練習を止めて「何だそれ、お前。グラウンドを出ろ」で終わりで、だからみんなが一生懸命にやりますよね。その厳しさが良い癖になって、それが試合に出ます。ただ今の時代はそういうやり方は珍しいんじゃないですかね。

【東京サンゴリアス】

――新しいトニー・マッガーン アシスタントコーチはどうですか?
まだ本性は出ていないですけれど、めちゃくちゃ怖いらしいです(笑)。ショーン(マクマーン)と新しく入ったジェホ(サム・ジェフリーズ)がレベルズ時代に一緒にやっていた時のヘッドコーチだったみたいで、「めっちゃ怖い」って言っていました。

◆自分のパフォーマンスをめちゃくちゃ上げる
――今シーズン、リーダーグループ(響)のメンバーになって、前キャプテンとして意識しているところはありますか?
いちばんは自分のパフォーマンスをめちゃくちゃ上げること。それが自分の中でいちばん大事なこととしてあって、あとはキャプテンのケイノとはふたりでミーティングなどもしていて、「これをサポートして欲しい」とかがケイノからもあったので、キャプテンをサポートするところ。あと自分がキャプテンをやってきて、ここをサポートして欲しかったなというところもあったので、そこもケイノと話をしながらやっていきたいなと思います。

――それは、例えば厳しいことを言ったりすることですか?
厳しいことを言ったりするだけじゃないと思いますけれど、いちばんはチームとして同じ方向を向かせることだと思います。それが響の役割だと思います。

――それはキャプテン、バイスキャプテン、響メンバーが一枚岩で、方向を100%理解して、それを選手に浸透させていくということですか?
そうですね。巻き込んでやっていきたいですね。若手も、響だからということではなくて、「一緒にやろう」「どうやって一緒に練習していく?」「どういう気持ちでやっていく?」と、そういうことをみんなを巻き込みながら、やっていきたいなと思います。それがひとつの僕のリーダーシップになると思います。

――そういう面ではキャプテン時代と変わらなさそうですね
正直、やることは変わらないですね。

【東京サンゴリアス】

◆トライを狙いに行きます
――2シーズン前は全試合に出場したくさんトライを取って、昨シーズンは出場試合が減った上にトライも減りました。そこについてはどう考えていますか?
別にトライを取るポジションでもないですし。

――2シーズン前はトライ王かと言われるくらいトライを取っていましたね (プレイオフ含め13トライ)
神がかっていたんですかね。そういうシーズンもありますよね(笑)。トライを取ることが僕のパフォーマンスにはならないので、そこまで気にはしていません。
――結果的にトライ数が多かった時はたまたまということですか?

たまたまというか、みんなのおかげじゃないですか。昨シーズンは新しくヘッドコーチが変わって、やることも変わりましたし、ある程度自由を持たせてもらったところから、チームとしてどうかということになっていたので、そういうこともあるんじゃないですかね。

――今シーズンにトライが多いかどうかは、やってみないと分かりませんか?
やっていないと分からないですね。でもトライを狙いに行きます。

◆ゲームチェンジの部分をみんなが分かること
――毎シーズン、ゼロからのスタートだけれども、前のシーズンでやってきたことをベースに次のシーズンはやるべきだと以前に話していましたが、そこについてはどうですか?
いま出来ていると思います。今の練習ではそれがとても意識できていると思います。

――手応えはどうですか?
練習ではとても良いトレーニングが出来ています。今シーズンの始動の初日から良い練習が出来ています。

【東京サンゴリアス】

――勝てなかったことについては、何が足りなかったとか、明確になっているんですか?
みんなが思っていることは絶対的にディフェンスだと思います。チームと個々のスキルの両方です。

――チームとしてのディフェンスは?
今とても落ちてきていますね。分かっている人だけが分かっている状態ではなく、ナレッジを上げていっています。分かっていない人も同じように上げて行って、分からないことがあればちゃんと質問して、みんなでやっていこうというようになっています。昨シーズンは水曜日が休みでしたが、今シーズンは月~金まで休みなしでやっていて、水曜日にその時間を設けています。ディフェンスのナレッジを強化する時間に使っています。

――個々のディフェンスについてはどうですか?
個としても練習でブロックに入っていますし、あとは自主練の時間で何が大事かを見つけてやることが大事かなと思います。

――いざという時にミスをしないようにするような秘訣みたいなものは、そこに入っているんですか?
入っていると思います。毎シーズンそうなんですけれど、試合の中でどこかでゲームチェンジする時に、例えばこっちがゲームチェンジを起こした時、良かったのにひとつのペナルティーで相手に得点を取られた時、逆にこっちが良いディフェンスしてペナルティーを取って得点した時など、そのゲームチェンジの部分をみんなが分かること。練習から「ここが大事なんだ」「ここが大事だから集中しよう」とか、そういうちょっとしたプレーなんですけれど、ひとつの小さいことが試合が終わった時に「あれがめちゃくちゃ大きかったよね」と思えるように、良い方向にと響でもやっています。「ここでやったら、ペナルティーになるよ」とか、そういうナレッジの部分はみんなで取り組んでいる最中です。

【東京サンゴリアス】

◆スティールを強みに
――個人として今までやっていなくて、新しく始めたことはありますか?
ジャッカル(スティール)ですね。

――それはなぜですか?
もともと僕の強みに出来ると思っていて、身体も小さいし、下で素早く動けるし、身体も強いと思っているので、実際に昨シーズンのレヴズ戦でも僕がジャッカルして試合を終わらせたこともありました。ぼんやりと強みに出来ると思っていたところ、コーチ陣からズバッと言われて、僕は一言も強みにしたいと言っていなかったんですけれど、コーチ陣から「スティールを強みにしろ」と言われて、「そのために何々をしろ」と言われました。じゃあ、強みにしちゃおうと思いましたね。

――今までやろうとしていなかったのはなぜですか?
特に練習もしていませんでしたし、練習でしていないのに試合でバッと出来ることなんてないと思っていたので、やらなかったですね。

――それでも静岡ブルーレヴズ戦では出来たので、例えコーチに言われなかったとしても、今シーズン取り組もうと思っていたことですか?
そうですね。やろうと思っていました。

――以心伝心みたいですね
そうですね。ビックリしました。

【東京サンゴリアス】

――1試合に何回したいなどと目指すものはありますか?
特にありませんが、ボールの内側にいる選手がジャッカルを狙って良い権利があるハンターなので、そのポジションについている時には狙いに行こうと思っています。

――1試合の中でどのくらい機会があるものですか?
結構あると思います。多いと20回くらいあるかもしれないですね。ディフェンスが多い試合では20回くらいあって、ディフェンスが少ない試合では5回とかになるかもしれません。

――その5回~20回の中で、何回くらいスティールを成功させたいですか?
まだ始動したばかりなので、分からないですね(笑)。若手の時みたいに、そんな大きいことは言えないですよ(笑)。「毎試合、2~3本取りたいですね」とか言いたいですけれど、言えないです(笑)。ただ、ジャッカルにプラスで、そのブレイクダウンをカオスな状態にする、スローボールにすることは僕の得意なプレーでもあるので、ジャッカルが無理だったらスローボールにする。

――ゴチャゴチャしたところに必ずいるということですね
そうですね。だけれど、その前に良いタックルをしてくれないと無理ですし、ゲインを切られていたら無理なので、そこは最初にチームのシステムをいちばんにしながら、個人的にはそこを狙っていきたいと思っています。

【東京サンゴリアス】

◆プライドがないシーズン
――タックルについてはどうですか?
良くなっていると思います。

――自分が良いタックルをすれば、他の選手がスティールしやすくなるということですよね
その通りです。

――そこは楽しみですね
そうですね。楽しみを見つけました。スティールです。

――しばらく優勝から遠ざかっていて、ファンの皆さんを待たせてしまっているわけですが、今シーズンこそはというところは?
今シーズンこそは国立で笑いましょう!

――その宣言のもとは何ですか?
今シーズンは良い意味でプライドがないシーズンだと思います。なんだかんだ言って、みんなの中に「俺たちはサンゴリアスだから」というものがあるんですよ。昨シーズンで勝てていない弱いチームということを、僕は痛いほど感じました。それがみんなも分かってきたと思いますし、「サンゴリアスにいても別にラグビーが上手くならない」と思う選手が増えたと思います。それはとても大事なことだと思っていて、みんなサンゴリアスに来たら勝手にラグビーが上手くなるとか、日本代表に選ばれるとか、そういうチームではなくなってきているので、このチームでどう自分が成長して、このチームのために何をしたら優勝できるのか。そういう選手が増えてきていることはポジティブなことだと思いますし、そこの思いの強さは他のチームよりも強いと思います。

――日本代表についてはどうですか?
めちゃくちゃ狙っています。今シーズンは人生で最高のベストなシーズンにしないと、日本代表は絶対にないと思っているので、そこは100%意識しています。今までの人生の中でいちばん良い選手になる。リーグワンでナンバーワンのフッカーになることを目指します。

【東京サンゴリアス】

――最後にケイン新キャプテンへのメッセージを
ケイノ (ケイン) らしいリーダーシップで、チームを引っ張っていって欲しいです。

(インタビュー&構成:針谷和昌) [写真:長尾亜紀]
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著者プロフィール

東京サントリーサンゴリアス(英: Tokyo Suntory Sungoliath)は、東京都港区、府中市、調布市、三鷹市をメインのホストエリアとし、ジャパンラグビーリーグワンに所属するラグビーチームである。 略称は「東京SG」。 練習グラウンドはサントリー府中スポーツセンターに置かれている。 チームは「日本ラグビーを牽引し、世界にチャレンジするクラブへ」という理念のもと、「強く、愛されるチーム DREAM WITH US」をビジョンに掲げている。 また、「PRIDE」「NEVER GIVE UP」「RESPECT」を胸に刻み、変わらぬスタイルである「AGGRESSIVE ATTACKING RUGBY」を貫き、頂点を目指して挑戦を続ける。

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