【選手がレポート!・猿レポ】プレシーズンマッチ 九州電力キューデンヴォルテクス対横浜キヤノンイーグルス戦

チーム・協会
初めましての人もこんにちは。
試合後レポート猿レポを担当させていただきます、プロップの猿渡です。

11月2日(日)、2025-26プレシーズンマッチ第2戦目、横浜キヤノンイーグルス (以下、横浜E )との試合が、大分県にある“豊後企画フィールド” で行われました。

【©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

今シーズン、ディビジョン1昇格を目指す我らヴォルテクスにとっても、現在ディビジョン1に所属する横浜Eとの一戦は、どれだけ通用するか、どれだけ勝ち切れるかを試す大切な機会となります。
積極的に、そして貪欲に勝負を仕掛け、勝利を掴み取る。その先にある“成長” と“勢い” を確かな形にして、さらに強く、さらに高く。
シーズンへと続く道を、自分たちの手で切り拓いていきます。

横浜E戦の試合メンバーはこちら
https://www.kyudenvoltex.com/game/p162

《試合内容・結果》

先日、今回と同じ豊後企画フィールドでヴォルテクスが10月13日~18日に合宿を行ってから約半月。
その間に、ガラリと表情を変えたグラウンド。30度を超える厳しい残暑はすっかり姿を潜め、この日の最高気温はおよそ17度。
ディビジョンの垣根を越えて行われた今回のプレシーズンマッチには、約800人を超える観客が集まりました。
観客席はびっしりと埋まり、座れなかった人たちはグラウンドを囲うように思い思いの場所から観戦。その中心にあるグランドには、無数の熱い視線が注がれていました。
そして、試合開始の時刻が近づくにつれ、冷え込む気温を跳ね返すように熱気が高まる中、試合開始の笛が鳴り響く。

今試合、先制点を奪ったのは横浜E。
前半6分、横浜Eの持ち味である強いフィジカルと連続攻撃で何度も攻め込まれ、ヴォルテクスは自陣ゴール前での粘りのディフェンスを強いられます。
最後のトライラインを越えさせまいと低いタックルで食らいつき続けましたが、プレッシャーの中でペナルティを犯してしまい、ゴール前ラインアウトからのモールで押し込まれ、先制のトライを許し、スコアは0–5。

その後はしばらく両チームの激しい攻防が続き、鈍い衝突音がグラウンドに響き渡ります。

プロップのファイアラガ・望・サムエル選手 【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

息を呑む観客の中、均衡を破ったのはヴォルテクスでした。
前半20分。ヴォルテクスボールのスクラムで圧力をかけて押し込み、バックスへ展開。そのまま勢いに乗った連続攻撃で相手ディフェンスのギャップを突き抜け、NO.8 アレックス・ウォーカー拓也選手がチーム初得点となるトライを決めます。
ゴールキックも成功し、スコアを7–5として逆転に成功。

しかし続く前半24分、ヴォルテクスが蹴り込んだボールを横浜Eがキャッチし、キックカウンターから連続攻撃を展開。
ヴォルテクスの持ち味である固いディフェンスで応戦するも、大外に生まれたわずかなスペースを突かれ再びトライを許し、スコアは7–12。
その後も互いに攻めては守る展開が続きますが、追加点は生まれず前半を折り返します。

ウイングの早田健二選手 【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

後半、横浜Eはほぼ全員を入れ替え。
対するヴォルテクスはほとんどのメンバーをそのままに、前半の勢いを維持して試合を再開します。
序盤は互いにスコアが動かない中、ヴォルテクスも途中から続々とメンバーを交代し、フレッシュな選手たちがグラウンドへ。
流れをつかもうとする中、後半15分。ヴォルテクスのペナルティから前進した横浜Eがラインアウトを選択。用意していたサインプレーを成功させトライ。
続く23分、26分にも立て続けにトライを奪われ、スコアは7–29と一気に差が広がります。

残りおよそ10分。点差は22点。
それでもヴォルテクスは決して諦めません。夏を越え、合宿を乗り越え、鍛え上げてきた走力と粘りを武器に、最後まで攻め続けます。
そして後半31分。ラインアウトからバックスに展開し、細かくパスをつなぎながら確実に前進。
ロックのレイ・タタフ選手が相手ディフェンスを半身で抜け出すと、フルバックの加藤誠央選手がオフロードパスを受け取り、約40メートルを駆け抜けてトライ。
スコアを14–29とし、反撃の火を灯します。

センターの金堂眞弥選手 【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

そして迎えた後半41分。ここからは約5分間、息をつく暇もない激しい攻防の応酬。
試合の残り時間はほとんどなく、展開が切れればその瞬間に試合終了という時間帯。
それでも横浜Eは簡単に試合を終わらせることなく、最後まで追加トライを狙って勢いあるアタックを仕掛け続けます。
ヴォルテクスは何度もゴールライン目前まで攻め込まれながらも、体を張った粘りのディフェンスでトライを許しません。

ギリギリのところでボールを奪い返すと、ヴォルテクスの好判断のキックでグラウンド中央までエリアを取り返す。
しかし、タッチラインを割らないそのボールを横浜Eが拾って再びカウンター。攻守が何度も入れ替わり、グラウンド全体が緊張に包まれます。
両チームとも疲労は極限。それでも誰一人として走ることをやめず、トライを諦めない。
ボールが外に出れば試合終了という状況でも、ヴォルテクスは「最後まで戦い抜く」強い意志を貫きます。まさに意地と意地のぶつかり合い。

そんな連続したプレーが5分以上も続いた終盤、徐々に横浜Eのディフェンスの足が止まり始めます。
そのわずかな隙を逃さず、ヴォルテクスが外側の大きなスペースへ展開。
フランカー・中島謙選手からのオフロードパスを受け取ったウイング・萩原蓮選手がそのまま走り切り、執念のトライを奪います。
まさに「最後の一秒まで走り抜いた」ヴォルテクスの粘り勝ち。
この約5分間のノンストップの攻防を制し、スコアを19–29とします。
そしてゴールキックの成功と同時に試合終了の笛が鳴り響きました。

フランカーの中島謙選手 【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

スコアの逆転こそ叶いませんでしたが、最後まで諦めずに戦い抜いたヴォルテクスの姿勢は、会場全体に深い印象を残したはずです。

《個人的見解と次戦に向けて》

ディビジョン1に所属する横浜Eを相手に、ヴォルテクスとして粘り強く守り抜き、果敢に攻め込むシーンもあれば、短い時間でトライを奪われる場面もありました。
それでも試合を通して、相手に対して、そして自分たちに対してチャレンジし続ける姿勢を示すことができた試合だったと思います。

ロックのレイ・タタフ選手 【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

これまで積み重ねてきた取り組みを信じて実行し、敗戦という結果ではありましたが、終盤には何度もゴールラインに迫る相手のアタックを弾き返し、逆に連続してトライへとつなげる場面もありました。
最後まで簡単には終わらせない強い意志と意地を見せることができたのではないかと思います。
この経験はチームにとって大きな自信となる一方で、ディヴィジョン1昇格を目指すうえで越えていくべき課題も改めて明確になった試合だったと感じています。

こうした姿勢を“想い” だけで終わらせることなく、結果へとつなげるために。プレシーズン残り3試合も全力で戦い抜き、さらなる成長と成果を貪欲に追い求めていきます。


《今週の個人的Pick up Player》

今回、私が選ぶPick Up Playerは2人。

まず1人目は、今シーズンから新たにヴォルテクスに加わったNo.8、Rahboni Warren-Vosayaco (ラーボニ・ウォーレン-ボスアヤコ)選手(以下、ボニ選手)。
圧倒的な身体能力に加え、まるでスプリンターのような爆発的スピードを兼ね備えたパワフルな選手です。
さらにフォワードだけでなくセンターなどのバックスもこなす“二刀流” ぶり。体格もスピードも反則級で、グラウンドに立つだけで相手にプレッシャーを与える存在です。

続いて紹介するのは、ヴォルテクスのディフェンスの要。フランカーのColby Fainga'a (コルビー・ファインガア)選手(以下、コルビー)選手。
過去にはリーグワンのディビジョン3で“ゴールデンショルダー賞” (リーグのカテゴリー別でベストタックラーに贈られる賞)を受賞した経験を持つ、まさに“ハードタックル職人”。
相手チームからも「できれば正面には立ちたくない」と言われるほどの存在です。

そして実は私、ボニ選手とは同じ9月28日生まれ、コルビー選手とは同い年1990~1991年生まれという共通点が。
生まれた国こそ違いますが、勝手ながら「これはもう運命のトライアングルだな」と感じています。
今回は、そんな縁を感じずにはいられないこの2人の選手にスポットを当てて紹介していきます。

まず最初に紹介するのはボニ選手。

【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

プロフィールはこちら。
https://www.kyudenvoltex.com/player/382

オーストラリア出身で、ラグビーを始めたのはなんと4歳の頃。
地元の学校を卒業後、2014年からオーストラリアの「サザンディストリクツRC」でプレーをスタート。その後、2016年に初めて来日し、現在の浦安D-Rocksの前身にあたる「NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス」を皮切りに、「宗像サニックスブルース」や日本のスーパーラグビーチーム「サンウルブズ」にも所属しました。
さらに、オーストラリア国内ではスーパーラグビーの強豪「ワラターズ」や「ウエスタン・フォース」でプレーし、フランスの名門「CAブリーヴ」での経験も持つボニ選手。
世界各国のリーグを渡り歩きながら磨かれたそのプレースタイルはまさに“経験値の塊”。

そして今年、30歳を迎えた節目のシーズンにヴォルテクスへ加入。今シーズンがチームでの1年目となる、経験豊富で頼もしい新戦力です。
ポジションはNo.8ですが、実はバックスのポジションまでこなしてしまうユーティリティプレーヤーのボニ選手。
そのスピードたるや、40mを5.1秒で駆け抜ける驚異の加速力。ボールを持てば相手をなぎ倒し、かわした瞬間にはもう誰も追いつけない。
まさに“フォワードの皮をかぶったスプリンター” です。
実際にスピードトレーニングなどで一緒に走ることもあるのですが、同時にスタートしたはずなのに、気づけば「あれ、どこ行った?」というくらいの差をつけられて置いていかれます。
同じ二本足で走っているはずなのに。。笑

そんなボニ選手、先ほども少し触れた通り、初めて日本に来たのは2016年。一度は母国へ戻りましたが、通算で見ると日本生活は意外と長め。
初来日の20歳の頃には、日本の“清潔さ” と“街の美しさ” に衝撃を受けたそうで、「どこを見てもキレイ!」と感動していたとか。
そして今でも変わらず心に残っているのが、日本人の“優しさ”、特に“子どもに対する温かさ”。その優しさがボニ選手の日本愛を深めているようです。
趣味は写真と音楽。
週末には家族と一緒にビーチやお気に入りの場所を巡って、美しい景色の中でランチを楽しむのが定番。
好きな日本食は、寿司と焼肉!
今は日本語も勉強中で、「もっと日本のことを知りたい」と話してくれました。
きっとこれから、“日本の好き” “ヴォルテクスの好き” をどんどん増やしてくれるはず。ピッチの上でも、そして日常でもボニ選手のこれからの活躍に要注目です!


次に紹介するのはコルビー選手。

【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

プロフィールはこちら。
https://www.kyudenvoltex.com/player/375

オーストラリア出身で、ラグビーを始めたのは5歳の頃。幼少期はラグビーとサッカーを並行して取り組んでおり、本格的にラグビー一本に絞ったのは高校に入ってからだそうです。
フォワードながらキックがうまいのも、そのサッカー経験があってこそ。正直、試合中にあの精度のキックを見ると「本当にフォワード!?」とツッコミたくなります。
地元の学校を卒業後、18歳のときにオーストラリアのスーパーラグビーチーム「ブランビーズ」でプロデビュー。
その後は同じくオーストラリアの「レベルズ」へ移籍し、さらに舞台を世界へと広げます。
アイルランドの「コナート」(ユナイテッド・ラグビー・チャンピオンシップ所属)、そしてフランスのトップ14リーグの強豪「リヨンOU」で活躍。
世界のトップレベルで培われた経験とディフェンスの強さは、まさに“生きるタックル教本” といっても過言ではありません。
そして現在、ヴォルテクスで4シーズン目、今年度で35歳を迎えるコルビー選手。その豊富な経験と的確な判断力で、若手にも大きな影響を与えています。

そんなコルビー選手の週末の過ごし方は、まさに家族ファースト。8歳から2歳までの4人の子どもたちを持つ“頼れるパパ” としての顔も持っています。
子どもたちのスポーツ活動でスケジュールはびっしり。「オフの日って本当にオフあるの?」と思うくらい、家族のために全力です。
それでも少し時間ができれば、福岡周辺の新しいカフェやレストランを探したり、大濠公園などの公園や遊び場を巡ったり。
ただ散歩しながら街を探索する時間も大好きなのだそう。忙しい毎日の中でも、家の近くにあるお気に入りのコーヒーショップで一息つく。
そんな“コルビー流リラックスタイム” も大切にしているとのことです。

また、日本に来て驚いたことのひとつが、子どもたちの自立の早さ。
幼い子が一人で登校したり、コンビニで買い物する姿を見て「日本ってすごい!」と感動したそうです。
その文化を自分の家庭にも取り入れ、子どもたちに“自分のことは自分で” を教えるようになったとのこと。
そのおかげで、子どもたちはどんどん自信をつけて、素晴らしい生活スキルを身につけているそうです。

家では優しいパパ、グラウンドでは頼れる戦士。そんなギャップもまた、コルビー選手の大きな魅力のひとつです。
家族との時間を大切にしながらも、ひとたびピッチに立てばチームを引っ張る兄貴分として、鋭いタックルで相手を止めるその姿はまさに“ディフェンスの要”。
それでいて、ピッチを離れれば穏やかな笑顔と優しい人柄で周囲を和ませてくれる。どこか“癒し” すら感じさせる存在です。

家族にもチームメイトにも全力で向き合うコルビー選手。
これからも日本の文化に触れながら、“日本の好き” “ヴォルテクスの好き” をどんどん増やしていってくれるはず。
これからのコルビー選手の活躍に注目です!


《最後に》

次の2025-26プレシーズンマッチ第3戦目は、11月14日(金)に宮崎県にある「アミノバイタルトレーニングセンター宮崎」でトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)と対戦予定です。
横浜Eと同じくディビジョン1に所属するトヨタV。先日行った大分合宿では、偶然にも同時期に合宿をしていたトヨタVとフォワード同士の合同練習を実施しました。
そして今回は、その延長線上にある“チームとしての真っ向勝負”。
自分たちがやるべきことにチャレンジし続け、持ち味を全力でぶつけ合う。
トヨタVに対して勝っている部分をさらに伸ばし、そうでない部分は恐れずに見つめ直し、修正していく。
リーグワン開幕へ向けて、ひとつでも多くの「成長」と「結果」を積み上げるために、この試合も全員で全力を尽くし、勝利を掴みにいきます。

【︎©Kyuden Voltex Photo by MasafumiONO / CPI inc.】

ぜひ会場にて引き続き皆様の熱い応援の程、宜しくお願い致します!


『猿渡 康雄ってどんな人?』
と思われる方もいらっしゃるかと思いますのでこの場を借りて私のInstagramのURLを貼らせて頂きたいと思います。
興味のある方はぜひチェック&フォローをお願いします!
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著者プロフィール

国内最高峰のラグビーリーグ「リーグワン」に所属するラグビーチーム。九州全域(全県)をフレンドリーエリアとし活動しています。

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