【週刊グランドスラム328】王子への転籍、都市対抗優勝、ドラフト指名、夏秋連覇へ――怒涛のシーズンを過ごす九谷 瑠

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7回から無失点リリーフで一回戦突破に貢献し、チームメイトとタッチする王子の九谷 瑠。 【写真=古江美奈子】

 第50回社会人野球日本選手権大会5日目に、今夏の都市対抗覇者・王子が登場した。日本製鉄山口を相手に2点リードの9回表、マウンドには橋戸賞の九谷 瑠。この日が26歳の誕生日でもある右腕は二死一、二塁のピンチを招くも、山下蒼生の一、二塁間への打球をセカンドの山口乃義が好捕して一塁へ送球する。間一髪アウトで試合終了かと思われたが、日本製鉄山口ベンチからのアピールでビデオ判定が行なわれた。数分間、京セラドーム大阪が緊張感に包まれた後、「判定通りアウト」がアナウンスされる。マウンド上の九谷は、グラブをポンと叩いてガッツポーズ。4対2で王子が一回戦を突破した。
「都市対抗は事前に東京ドームでの練習がありましたが、日本選手権ではそれがなく、マウンドの状態を確かめながらの投球になりました。なかなかストライク先行でいけず、抜けてしまう無駄な球もあったかと思います。やはり初戦は難しい。トーナメントの怖さもあるので、9回は慎重に投げました。何とか抑えられてホッとしています」
 そう話す九谷は、先発した樋口 新の後を受けて7回表から登板した。3回を投げ、3安打無失点。「次回登板までに、マウンドとの相性を調整しなければ」と反省を口にしながらも、「大阪大谷大時代の知人も、たくさん応援に駆けつけてくれた。成長した姿を見せられたかな」と笑顔で語る。
 九谷は大学4年間を近畿学生リーグ2部で過ごし、2022年に矢場とんブースターズへ入部した。翌2023年のクラブ選手権では、準々決勝でマツゲン箕島硬式野球部から完投勝利を挙げて準優勝に貢献。2024年の愛知県連盟会長杯一回戦で、王子を相手に好投したのをきっかけに、今春から王子へ転籍した。都市対抗では先発とリリーフで4試合に登板し、3勝を挙げて21年ぶり2回目の優勝へと導く。力強いストレートと制球力を武器に橋戸賞に輝いた右腕は、10月23日に実施されたプロ野球ドラフト会議で、東北楽天から6位指名を受けた。
「矢場とんブースターズでお世話になった上司の方々から、激励の言葉をいただきました。王子のみんなからも『おめでとう』と喜んでもらえた。一緒に戦う最後の大会となり、寂しい気持ちもありますが、5連勝に貢献できるように頑張ります」

京セラドーム大阪で観戦した一年後はマウンドに

 今年の九州大会では、ENEOSと日本通運を相手に先発。好投して優勝に貢献すると、最高殊勲選手賞を獲得した。東海地区以外のチームとは初対戦で、「名前負けしそうになった」と話していたのが、半年前とは思えないほど懐かしく感じる。取材時の印象も大きく変わった。マウンドで養った自信が、こうも人を成長させるのか。
「ドラフト後にたくさん取材していただきました。慣れたつもりはないのですが……色々な方のインタビューを参考にしながら、何とか応えられるようになってきました」
 ちょうど一年前、王子への転籍が決まった11月に京セラドーム大阪で日本選手権を観戦した。「スタンドから観ていた一年後、マウンドに立っているなんて想像していませんでした」と言う。都市対抗優勝、そして、プロ入りの夢を叶えた九谷は、まさに怒涛のシーズンを過ごしている。「来年から舞台は変わりますが、この勢いを失わずに1軍で投げたい。ただ、その前に、この日本選手権で勝つこと」と、表情を引き締める。
 ユニフォームの左袖には、都市対抗優勝チームにのみ与えられる黒獅子エンブレムをつけて戦う。
「重みがあります。ただ、僕らが挑戦者ということに変わりはない。そこを履き違えないように、あと4勝。チームの目標である5連勝を目指して戦っていきます」
 都市対抗に続き、2025年シーズン、さらに自身の社会人生活最後の大会を笑顔で締め括れるか。二回戦は、11月8日第1試合でNTT東日本と対戦する。
取材・文=古江美奈子

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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