「えがお共創プロジェクト」から発信する誰でもサッカーを楽しめる環境

川崎フロンターレ
チーム・協会

【©KAWASAKI FRONTALE】

2025年10月18日(土)、明治安田J1リーグ第34節vs清水にて2019年から継続的に実施している「えがお共創プロジェクト」が開催された。感覚過敏などにより外出やスタジアムなどでのサッカー観戦が困難な発達障がいのある小学生の子どもとご家族を対象に株式会社川崎フロンターレ、株式会社JTB、全日本空輸株式会社、富士通株式会社、株式会社世界文化ワンダーグループ、三井不動産商業マネジメント(ららテラス武蔵小杉)が共催し、有限会社コス・インターナショナルの協力でサッカー観戦を楽しめる環境を作るプロジェクトである。

誰でもサッカー観戦を楽しめるのを当たり前に

Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsuに設置されたセンサリールーム 【©KAWASAKI FRONTALE】

発達障がいのなかに特定の感覚刺激に敏感な感覚過敏を持つ人が多くいることはご存知だろうか。聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚など、複数の感覚領域で見られ日常生活に困難やストレスを引き起こすことがあるという。これらのほとんどは、本人にしかわからない苦痛であるため周囲の理解が不可欠。そういったなかヨーロッパの最高峰プレミアリーグでは20チーム中14チームがセンサリールームを常設している。

このセンサリールームとは、誰でも安心してサッカー観戦ができるように大音量や眩しい光、人混みを避けた、遮音設備や照明が工夫された部屋のこと。

ここ数年でJリーグでもセンサリールームの設置が増えてきているが、もっと認知を広げて誰でもサッカー観戦を楽しめることを当たり前にしたい。そういった考えのもと、川崎では各社と協働し2019年から「えがお共創プロジェクト」を継続的に開催。本イベントを担当するフロンターレスタッフの大木淳平さんが「僕らだけでは成り立たないですし、協力してくれている方々がいてこそのイベントなので感謝しています」と話すように多くの方の想いが込められている。

「障がいをもっている方々やそのご家族は安心してスポーツ観戦するのが難しい場合もあります。そのなかで、えがお共創プロジェクトでは安心して観戦できるように環境を整えています。試合が終わったとき、勝敗は関係なく試合観戦できてよかったと嬉しい言葉を毎年いただいているので、ありがたい限りです」(大木さん)

サポーターとしての想い

サポーターと子どもが一緒にサッカー観戦 【©KAWASAKI FRONTALE】

そのなかでサッカー観戦の魅力を伝える重要な役割を担ってくれているのがフロンターレのサポーター。応援の歌詞カードを配り、親御さんが安心して観戦できるように本来のGゾーン(応援中心エリア)ではなく、えがお共創プロジェクトに参加した子どもたちと一緒に、ホームゲームの楽しさを共有してくれている。活動が始まった当初は「障がいについて深く知らない自分たちが手伝ってもいいものなのか」と悩むこともあったそうだが、とにかく「子どもたちにも、親御さんにも喜んで帰ってもらいたい」という一心で参加し続けている。

参加者たちは当日、ウォーミングアップに向かう選手たちをピッチで迎え入れたり、子どもたちがわかりやすいように、ひらがな表示された大型ビジョンの選手紹介を楽しんだり。試合中もサポーターと一緒に手拍子をしながら応援する楽しさを体感。子どもたちも「すごく楽しい!」と笑顔に溢れていた。また親御さんも「なかなか普段は大勢のなかで見る、待つというのが難しいので観戦できたことが嬉しいです。あまり出かけることも少ないですし、今日は安心して試合を観られたのが一番大きかったです」と笑顔を見せていた。

【©KAWASAKI FRONTALE】

サポーターを代表して小俣海人さんは、ある想いを語ってくれた。

「Jリーグが百年構想を掲げているなかでヨーロッパ、プレミアリーグではえがお共創プロジェクトのような観戦シートが常設されていて当たり前になっています。えがお共創プロジェクトは広がってきていますが、まだまだ。日本でも当たり前になって誰でもサッカーを楽しめる場所を作っていけるように、等々力からどんどん発信していきたい。

僕らにとってはスタジアムにいるのは当たり前。でも今日来てくれている子は、この一瞬が大事なんです。もちろん自分が戦っているチームを応援しなければいけない立場ですが、それ以上に大事なものがここにあるんだと思います」

クラブがサポーターと一緒に活動することでフロンターレの魅力はどんどん伝わっていく。スタジアムで時間を共にすることで発達障がいの子どもたちの特性を理解できれば「障がい」は「個性」へと変わり、お互いの壁も取り払われていくだろう。「えがお共創プロジェクト」を継続していくことで、みんなが描く「誰でもサッカーを楽しめる」環境を作っていけるはずだ。

(取材:高澤真輝)
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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