世界屈指の売上シェアを誇る半導体メーカーの日本法人が京都サンガF.C.のスポンサーになった意外な事実、思いとは。~スポンサーインタビュー vol.04~
中山社長は京都出身でサッカーもされていたそうですが、まず経歴を教えていただけますでしょうか。
サンガの曺貴裁監督も出場した京都の小学生の大会「KBSカップ」にも出場され、ベストイレブンに選ばれていますね。
サンガの細川浩三取締役は同じ学校の1学年下で、中学時代は京都選抜でチームメートだったそうですね。
細川取締役は『1つ上の年代は頭が良かった』と。京都サンガと京セラと学校法人立命館による「スカラーアスリートプロジェクト」の立ち上げに携わる際、当時の中山社長含む学年が文武両道に努めていたことが頭に残っていたとおっしゃっていました。
ではサンガとはどうつながったのでしょうか。
飯野:皆さんとは三洋、京セラとずっとつながっていて、私が通信・IT業界を離れてサンガに移るというので、激励会を開いてもらったんですよね。
中山:当時のパートナーだった飯野さんに激励と感謝を伝えたいというところが背景です。そこで飯野さんからスポンサーシップの提案を受けました。
中山社長と飯野社長の出会いはいつですか。
中山:海外商品企画の責任者をやっておられましたよね。携帯電話の部品の1つが、私たちが当時の三洋電機さんに購入いただいていたチップです。およそ1年に1回、新しいチップが出ますが、そのご紹介やご提案を飯野さんにしていました。
飯野:クアルコムさんとは京セラに行ってからも付き合いがありました。(米国の京セラのグループ会社社長として)カリフォルニア州サンディエゴ市に行くと、同じ市にクアルコムの本社があり、クアルコムから転職してきた社員がいたり、クアルコムに転職していく社員がいたり。単に部品を売買する関係ではなく、世の中に新しいサービスを拡げていく同士のような存在だったので、違う会社の人たちという印象ではないんですよね。
中山:私たちが開発したCDMAという通信方式について、最初に契約を結んでくださったのは京セラさんでした。そして三洋電機さんも当時は大事なパートナーだったんです。
飯野:それらの歴史があって、今回のスポンサーシップにつながると思っています。
中山:飯野さんがされることに対して、全く関係のない会社さんとお話をするのとは感覚が全然違いますね。極めて近いパートナーなんです。
飯野:クアルコムさんはマンチェスター・ユナイテッドやF1のスポンサードをされていて、Jリーグのサンガは難しいのかなと思っていましたが、日本法人として決断していただくことができました。本当に嬉しかったですね。本業での中山さんたちは、日本のメーカーを活躍させたいと思いながら全力で伴走してくれる会社なんです。今回のスポンサードの件でもその姿勢は同じなんだなぁとしみじみ思いました。
中山:おっしゃる通り。いい意味で本店のことはあまり意識しないですね。もちろんお金などのやり取りはありますが、リージョン(地域)での仕事のやり方は任されていますので、どれだけ日本のお客さんが活躍されるかが、とても私たちの中では大事です。
京都サンガを応援する決断の背景を教えてください。
飯野:新鮮ですよね。アメリカのカリフォルニア州に拠点を置くグローバル企業の日本法人がスポンサーに入る例は、Jクラブでは多くないと思います。京都サンガというクラブを使っていろんな共創をして、成功事例にしていきたいなと思います。
中山:我々は世界で3番目の半導体メーカーですが、『座って左うちわ』のような会社ではありません。いつも新しいことをやっています。チャレンジをさせてもらえるような会社、チームが好きですね。
飯野:その点は今の京都サンガの立ち位置や、曺監督のサッカーと相性が合います。サッカーやF1にスポンサードしている狙いも教えてもらえますか。
中山:例えばメルセデス・ベンツで言うと、彼らは車の高いブランドを持っています。ちなみにメルセデスの前はフェラーリをスポンサードしていました。速い車は通信のスピードとイメージが重なりますよね。世界ではスポーツカーに対する広告投資をやっていますが、日本法人としてはしていません。私がスポンサードをしているのはサンガさんだけ。サッカーは『考えるスポーツ』であり、機敏な動きが混じった複合的な頭のスポーツだと思っています。それはコンピューティングと同じですよね。私たちはコンピュート会社というのが今の立ち位置で、スナップドラゴンは、スピードや考える力を示す上で、サッカーにはふさわしいと思います。
マンチェスター・ユナイテッドのケースと同様に、サンガのユニフォームに名前が入るかどうかも気になります。
飯野:今現在でいうと、パンツの裏に空きがありますよ(笑)
現状でのスポンサードの内容を教えてください。
中山社長がサンガを通じて成し遂げたいことは。
世界都市でもある、いわゆる京都ブランドも意識されますか。
飯野:本社にスポンサードを説得する上で、京都の名前は日本を代表するブランドですから、やりやすかったのではないですか。
中山:京都と言うと誰でも知っていますから説明しやすかったです。あとは、私が京都生まれですというのは言いました(笑)。
京都の「革新」という気質と親和性を感じます。サンガが歴史あるクラブながら、今挑戦を続ける部分でも合致している印象があります。
飯野社長は今後、今回のスポンサードを追い風にどう成長を目指したいですか。
中山:毎年少しずつスポンサードの規模を上げていけるように努力していきます。
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