【マイルCS南部杯】「千六が一番良い」川田騎手も会心の笑顔、ウィルソンテソーロ復活のGI級2勝目

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マイルで復活! ウィルソンテソーロがマイルチャンピオンシップ南部杯を制しGI級レース2勝目を挙げた 【Photo by T.Moriuchi】

 秋のダートマイル王決定戦、第38回JpnIマイルチャンピオンシップ南部杯が10月13日(月)、岩手県・盛岡競馬場1600mダートで行われ、川田将雅騎手騎乗の4番人気ウィルソンテソーロ(牡6=美浦・高木登厩舎、父キタサンブラック)が優勝。最後の直線で外から豪快に差し切り、昨年のJBCクラシック以来となる復活のGI級2勝目を挙げた。良馬場の勝ちタイムは1分34秒3。

 ウィルソンテソーロは今回の勝利で通算25戦9勝、重賞は通算5勝目。川田騎手、同馬を管理する高木登調教師ともに同レース初勝利となった。

 4馬身差の2着には御神本訓史騎手が騎乗した5番人気シックスペンス(牡4=美浦・国枝栄厩舎)、さらに4馬身差の3着には藤岡佑介騎手騎乗のペプチドナイル(牡7=栗東・武英智厩舎)が入線。1番人気に支持されていた武豊騎手騎乗のサンライズジパング(牡4=栗東・新谷功一厩舎)は3着からクビ差の4着に敗れた。

初騎乗時からつかんでいたマイルへの適性

川田騎手は2年前の初騎乗時からウィルソンテソーロのマイル適性をつかんでいた 【Photo by T.Moriuchi】

 昨年のJBCクラシック覇者で、GI級はこれまで2着が5度。さらに今年は3戦して複勝圏内にも入れない3連敗とはいえ、ハイレベルだったサウジカップでは4着だ。実績的にはこのメンバーで1頭抜けた存在と言っていい。

 ところが今回、単勝オッズはなんと4番人気。これは近走の結果以上にこれまでの戦歴からマイルという距離が嫌われてのことだったのだろう。つまり、ウィルソンテソーロには1600mは短い、と。

 しかし、そんな下馬評とは全く逆の手応えを持っていたのが鞍上の川田騎手だ。

「世界でも戦いながら、千八、二千と走ってくれてはいる馬なのですが、千六が一番良いと常々思ってはいたので、とにかく気持ち良く競馬さえすれば結果は伴えるなとレース前は思っていました」

 その根拠は初コンビを組んだ2023年5月のJpnIIIかきつばた記念。1500mのこのレースでウィルソンテソーロは重賞初制覇を達成するのだが、「それでもちょっと力んで(距離が)長いくらいでした」。その後、2000m前後の距離で好成績を残していたのはベストの適性がそこにあったわけではなく、「長いこと時間をかけてしっかりと我慢できるようにと作ってきての千八、二千でした」というのだ。

「気持ち良くゴールを通過できた」

ウィルソンテソーロは最後の直線であっという間に突き抜けた 【Photo by T.Moriuchi】

 それだけに今回は待ちに待った“適性ベスト”のマイル戦。「今日は我慢することなく、とにかくこの馬が気持ち良く走れるリズムで」という川田騎手の言葉通りの競馬となった。

 レースは昨年のGIフェブラリーステークス覇者ペプチドナイルが果敢にハナを主張して逃げる形。それを追ってシャマル、クラウンプライド、シックスペンス、ヘリオスがひと塊となり、ウィルソンテソーロはその先行勢の5頭を見る形で進めた。

「とてもリズム良く走ってくれていました。手応え通り、リズム通りだったのでもう安心して直線を向きました」

 最後の直線に入り、初ダート戦のシックスペンスがペプチドナイルを交わしにかかるところを、さらに勢いよく大外を駆け上がっていったのがウィルソンテソーロと川田騎手。この2頭を一気にパスすると、あっという間に4馬身もの差を広げてゴール板を疾走した。余力十分、まさに快勝のひと言だ。

「いつもは出し切る形で千八、二千と走っていましたが、今日は出し切るというよりは気持ち良くゴールまで来れました。疲れ果てたという感じではなく、気持ち良くゴールを通過できたなと思います」

今後の目標はJBCクラシック連覇へ

今後はJBCクラシック連覇を目標にする公算が高い 【Photo by T.Moriuchi】

 1年ぶりの勝利自体もさることながら、完璧なレース、そしてようやくベストの距離で本来の力を発揮できたことに川田騎手も会心の笑み。春の中東2戦の敗戦は仕方ないとしても、前走のJpnI帝王賞でも2番人気を裏切る5着だったことで心配されていたが、まだまだウィルソンテソーロの力は現役ダート馬のトップクラスであることを証明した。川田騎手も「これからも彼らしく頑張ると思いますので、その時にまた応援してもらえたらと思います」と盛岡競馬場に詰めかけた大勢のファンに呼びかけた。

 高木調教師によれば、今後はダート競馬の祭典・JBCのメインレースであるクラシックに登録する模様。今年のJBCクラシックは11月3日に船橋競馬場1800mで開催されることになっており、川田騎手の言葉通りなら再び距離との戦いにも挑むことになる。しかし、そこは人も馬も百戦錬磨だ。万全の態勢と対策で連覇を狙いに来るだろう。

初砂シックスペンス2着好走「大谷翔平するしかないな」

初ダートでも2着好走のシックスペンス、新たな芝・砂二刀流ホース誕生か 【Photo by T.Moriuchi】

 一方、ウィルソンテソーロと同じくらい競馬ファンに驚きを与える走りを見せたのが、2着に奮闘したシックスペンスではないか。芝のGIIを3勝しているキズナ産駒。だが、今春のGI大阪杯7着、GI安田記念12着と結果が出なかったことから、ここでダートに初参戦。名伯楽・国枝栄調教師の見立てがズバリと当たったわけだ。

 初めてのダートにも脚もとを苦にすることなく、スピード十分に2番手を追走。そこからダートGI馬のペプチドナイルを捉えてさらに4馬身突き放すのだから、たいしたものだ。国枝調教師はレース後、「大谷翔平するしかないな」と独特の表現で今後は芝・砂の二刀流で行くことを示唆。今回の2着好走をきっかけにシックスペンスの将来の展望が大きく開けたことは確かだ。

 また、追い込み届かず1番人気で4着に敗れたサンライズジパング騎乗の武豊騎手は「千六はこの馬に忙しいですね。ラストはいい脚を使っているので、距離が延びればもっと動けると思います」とコメント。この後に控える中距離GI戦での巻き返しを期待したい。(文:森永淳洋)
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