私のミッション・ビジョン・バリュー2025年第11回 山本隼大選手「pleasure」

水戸ホーリーホック
チーム・協会

【ⒸMITOHOLLYHOCK】

水戸ホーリーホックでは、プロサッカークラブとして初めての試みとなるプロ選手を対象とした「社会に貢献する人材育成」「人間的成長のサポート」「プロアスリートの価値向上」を目的とするプロジェクト「Make Value Project」を実施しています。

多様性と交流を基盤に、様々な業種の講師を招聘し、異業種の方々の価値観や使命感に触れることで、プロアスリートとしての存在意義や社会的な存在価値を選手たちに問い続けます。

その一環として、キャリアコーチと選手が継続的に面談をして「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の策定をする取り組みが昨年から行われています。

ミッション・・・社会の中での自分の役割
ビジョン・・・ミッションを実現した理想の未来像
バリュー・・・日々のこだわり、行動指針

原体験を振り返り、自らのサッカー選手であるうえのスタンスや価値観、使命感を見つめなおすことでピッチ内外でのパフォーマンス、言動、行動の質の向上につなげていこうという取り組みです。

2025年も選手・スタッフの今季策定した「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を紹介していきます。
2025年第11回は山本隼大選手です。

(取材・構成 佐藤拓也)

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Q.MVVの作成について、面談はいつぐらいからスタートしましたか?
「昨年の12月からはじめたんですけど、面談担当者の変更もあって途中でストップしていて、今年の7月からあらためてスタートして、9月にMVVが完成しました」

Q.面談で自分の過去やサッカーへの思いを話してみていかがでしたか?
「なんでサッカーをはじめたのかとか、何のためにサッカーをしてきたのかとか、実際にプロになってどんなところを目指していきたいのかとか、個人的なことよりも、周りの人たちにどういう影響を及ぼしたいかとか、水戸をどういう街にしたいかを考えて話をしました。サッカー選手ですけど、サッカーのことだけでなく、この地域のことやサポーターのみなさんのことなどあらためて考える機会になりました」

Q.大学時代からそういったことを考えてルーキーイヤーを迎えられたことは良かったのでは?
「これまでのサッカー人生を振り返って、きつい時期もありましたけど、なぜそういう時期を乗り越えることができたのか。そして、なぜ、プロになれたのかを考えたとき、自分の思いがすごく大きかったというか、自分のためだけでなく、周りの人のためにもということをすごく考えていたことに気づきました。自分だけの力ではなく、周りの人の支えがあってプロになれたことを再確認して、ルーキーイヤーを迎えられたことは良かったと思っています」

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Q.まず、MISSIONについて聞かせてください。「サッカーを通じて、多くの人にエネルギー、生きる糧を与える」。こちらはどういった思いが込められていますか?
「スタジアムに見に来てくださるサポーターや応援してくださるサポーターのみなさんは、普段は仕事があったり、学生として学校に行っていたりするわけで、水戸の試合の結果によって、その後、『今週も頑張ろう』と思ってもらえることが自分としてはすごく嬉しいんです。SNSでも『水戸を応援することが生きがい』と言ってくれるような投稿を見て、心を打たれました。その思いを込めた言葉です」

Q.水戸はサポーターと距離の近いクラブです。特にアツマーレでは練習後、サポーターとコミュニケーションを取っていますね。
「試合前のアップ前に選手が一言話をすることになっていて、自分も話をしたときがあるのですが、それをクラブのYouTubeで見てくれた方がアツマーレで『生きる糧になった』と言ってくれたんです。自分の思いが伝わったことが嬉しかったですし、そう感じてくれたことも嬉しかった。プロになってから、そういうことの大切さを感じるようになりましたね」

Q.実際、勝ったときやゴールを決めたときのサポーターの喜ぶ姿を見て感じるものもあるのでは?
「自分のゴールであれだけのサポーターのみなさんが喜んでくれる姿を見たとき、幸せを感じています。サポーターの力になれていることを実感しますね。ああやって喜んでくれる姿を見たいという気持ちが自分の原動力になっています」

Q.山本選手自身、今まで誰かからエネルギーをもらった経験はありましたか?
「はじめて名古屋グランパスの試合を観に行ったときのことはよく覚えています。ゴールが決まったときのスタンドの盛り上がりがすごかった。その雰囲気を体感して、鳥肌が立ちました。1つのゴールでこれだけ多くの人が喜んでくれるのかということに驚かされました」

Q.今季はサポーターもどんどん増えています。より多くの人に喜びを与えられている実感があるのでは?
「本当に多くのサポーターのみなさんがスタジアムに来てくれて、自分たちのプレーを見てくれることに喜びを感じています。だからこそ、結果を出さないといけないという責任も感じています」

Q.これからより大きな歓喜に向かっての戦いとなりますね。
「サポーターのみなさんが増えていることは僕たちの大きなモチベーションになっていますし、サポーターのみなさんが作り出す雰囲気が本当に素晴らしくて、試合前に気合いを入れてもらっています。だから、毎試合サポーターの前でプレーするのが楽しみなんです」

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Q.次はVISIONについて聞かせてください。「水戸ホーリーホックが生活の一部になる」。こちらはいかがでしょうか?
「MISSIONでも言ったように、週末の水戸ホーリーホックの試合を楽しみに1週間頑張ってくれる人たちがたくさんいてほしいという思いがあります。水戸の街全体で常に水戸ホーリーホックの話題で溢れてもらいたいですし、ポスターとか、フラッグとかでいっぱいになってもらいたい。そういう街になってほしいという思いがあります」

Q.昨年水戸に特別指定選手として加入したときと現在とでだいぶ印象が変わってきたのでは?
「周りからの見られ方が変わってきた実感はあります。昨年は結果的に苦しい状況が続きましたが、今年は上位争いを続けることができています。なので、地域の方だけでなく、地元の友達からも『調子いいね』『頑張ってるね』と言ってもらえる機会が増えました。この結果によって、新しいサポーターが増えていると思いますし、『毎試合応援に行こう』と思ってくれる人がさらに増えればいいなと思っています」

Q.先日、クラブスタッフやアカデミースタッフと合同のミーティングを行い、あらためて「J1昇格」を目指す意義について話し合ったそうですが、現場以外のスタッフの思いを聞いて、さらに思いが強まったのでは?
「本当に強まりました。特に印象に残ったのは、イベントなどで水戸ホーリーホックのOBの方が紹介される際、他のチームに在籍した経歴があると、そのチームのOBとして紹介されて、水戸のチームの名前が出ないことが多かったという話でした。『今回、昇格すれば、そういった状況を変えられると思うから、頑張ってください』とスタッフの方から言われて、胸に刺さりました。水戸ホーリーホックでプレーしていたことを周りからリスペクトされるようなクラブにしたいと感じました」

Q.クラブの歴史を新たに築くことでクラブの価値をさらに高めたいという思いが強くなっているのですね。
「特にJFL時代から選手として在籍していた鳥羽俊正さん(現アカデミーヘッドオブコーチング)の話から、『水戸愛』が伝わってきました。自分たちが結果を出すことによって、OBの方々が報われるというか、OBの方々の評価が変わるという話をされていて、自分たちはOBの方々が作ってきた歴史を背負って戦っているんだなということを感じました」

Q.歴史を変えるチャンスですね。
「そうですね。水戸ホーリーホックというクラブだけでなく、水戸という街の歴史を変えられるチャンスだと思っているので、責任と自覚を持って戦っていきたいと思います」

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Q.そして、VALUEは「常に自分を信じる」「自分がどうなりたいか、どこを目指しているのか考える」「ワクワクさせるプレーを魅せる」の3つです。まず、「常に自分を信じる」について聞かせてください。
「VALUEに関しては、これまでのサッカー人生において自分が大切にしてきたことを考えて、この3つの言葉を選びました。『常に自分を信じる』は周りにいろんな人がいるので、どうしても周りからの評価が気になってしまうのですが、最後は自分を信じてやり抜くことを大切にしてきました。これまで、試合に出られない苦しい時期もありましたけど、それでも『プロになりたい』とか、『プロになって活躍したい』といった思いを持ち続けてきたから、プロになれたと思っています。結局、周りは助けてくれないというか、最後は自分の力で這い上がらないといけない。自分のサッカー人生を表している言葉ですね」

Q.そういった苦しい時期を乗り越えて、プロにたどりついたのですね。
「特に中学時代は苦しくて、けがもあって、あまり試合に出ていなかったんです。高校では全国の強豪校に行きたかったんですけど、家族としては地元の愛知県の高校に行ってほしいという考えがあったみたいなので、愛知県内では強豪で、かつ、文武両道の名古屋高校を選びました。中学に所属していたチームから多くの選手が県外の強豪に進みましたが、その人たちに負けたくないという思いがありました。成長できるかできないかは自分次第だと思っていました。この3年間を頑張って、プロの世界を目指したいと思って名古屋高校に進みました。そこで自分を信じて頑張れたから今があるという自負はあります」

Q.大学時代もその思いを持ち続けたのでしょうか?
「自分が専修大学に入学したときは関東2部リーグに所属していたのですが、その後に3部に降格してしまい、大学3年のときに2部昇格プレーオフに進出したんですが、勝つことができず、昇格を逃してしまいました。そこで自分を疑うというか、『このままで大丈夫なのか?』『プロになれるのか?』と悩む時期がありました。でも、大学時代は『プロになりたい』という思い一心で生活していて、その思いをずっと持ち続けて、ぶれることなくやってきました。3年生になると就職活動がはじまるのですが、自分はプロになることしか考えていませんでした。プレーオフが終わった後に水戸の練習に参加する機会があり、そこで内定をいただくこととなりました。大学3年間頑張ってきて良かったなと思いました。表面だけでなく、自分がこれまで頑張ってきたことを評価してくれた水戸の強化部の方に感謝しています」

Q.「自分を信じる」という言葉への思いがさらに強まったのでは?
「プロになってからの方が『自分』を持つ大変さを感じています。周りから言われて何かをやるのではなく、常に『自分』で考えてアクションを起こしていかないといけない。自分自身でやり抜くことを考えています」

Q.2つ目は「自分がどうなりたいか、どこを目指しているのか考える」。こちらはいかがでしょうか?
「大学時代、なかなか公式戦で勝てなくてきつい時間が多かったんです。サッカー以外に逃げたくなることもありました。サッカーをやめてしまうチームメイトもいました。でも、きついときこそ、自分が子どもの頃から憧れていた場所を考えるようにしていました。そうすることによって、『やらないといけない』とか、『ここで落ちるわけにはいかない』と自分を奮い立たせることができました。きついときこそ、自分がどうなりたいとか、何を目指すのかという思いが大事になる。だからこそ、この言葉を大切にしています」

Q.苦しい時期、自分と向き合って乗り越えたのですね。
「あと、父親の存在が大きかったですね。父親の影響でサッカーをはじめて、そこからいろいろ教わってきましたし、『何を目指すのか』を考えることの大切さも父親から言われ続けてきました。だからこそ、父親にプロになっていろんな景色を見せたいという思いがありましたし、もっと大きな舞台に立つ姿を見せたいという思いが原動力になってきました。父親のおかげでそう思えるようになったと思っています」

Q.現在、目指しているところは?
「まずはチームでJ1に行くことですね。それが一番大きな目標です」

Q.3つ目は「ワクワクさせるプレーを魅せる」です。
「今年は本当に多くのサポーターが試合を見に来てくれて、そういった方々に『もう一度、山本のプレーを見たい』とか、サッカーをしている子には『山本みたいになりたい』と思ってもらえたら嬉しいなと思っています。高校の監督からも言われたのですが、プロになって、お手本や見本になれる選手になることが大事だと思っています。それはピッチ上のプレーだけでなく、ピッチ外の言動や生活態度も含めて、『山本選手みたいになりたい』と思ってもらえるように、ワクワクさせるプレーを魅せたいと思っています」

Q.それはどういうプレーでしょうか?
「前にボールを運ぶ推進力や相手とぶつかっても倒れずにドリブルしていくところが自分の強みだと思っています。なおかつ、アシストやゴールという結果をもっともっと見せたいと思います」

Q.あれだけ強度の高いプレーをして、フル出場を果たすこともあります。体力にもかなり自信を持っているのでは?
「元々足がつりやすいタイプだったんですけど、トレーニングやケアで克服してきました。やっぱり、津久井(匠海)の影響は大きいですね。昨年まで水戸のサイドMFは途中で交代することが多かったんですけど、津久井はフル出場することが多く、刺激を受けました。それまでサイドMFだから、60~70分間で出し切ればいいかなという考えだったんですけど、それ以降、90分間走りきらないといけないという思いを持つようになりました」

Q.そういう意識でだいぶ変わってきた感じですか?
「意識も大事ですけど、プレーの判断が大きいと思います。あえて自分で行かない状況を作るなど、状況によってプレーを使い分けるようにしています」

Q.走り抜くところも山本選手にとって、『魅せる』部分ですよね。
「終盤のきつい状況でも強度を出してプレーすることも自分の武器だと思っています。そういうところもサポーターのみなさんに見てもらいたいと思っています」

【ⒸMITOHOLLYHOCK】

Q.スローガンは「pleasure」。これは「喜び」という意味でしょうか?
「『喜び』や『楽しみ』という意味ですね。それをサポーターのみなさんに与えたいという思いが強く、それを言葉にしました」

Q.それは勝つことでしょうか?
「一番は勝つことです。森監督も常に『勝つことへの執念』を強調していて、まず結果で示すことが大事だと思っています。どんなに内容が悪くても、勝てば、サポーターのみなさんは喜んでくれる。だから、結果にこだわりたいと思っています。そのうえで、個人の良さやチームの良さを出して、90分を楽しんでもらいたいと思っています」

Q.サポーターの反応はプレーに影響しますか?
「ホームゲームはもちろんですが、アウェイゲームにたくさんのサポーターが来てくれると、すごくテンションが上がります。『やってやろう』という気持ちが強くなります。サポーターのみなさんの存在は僕にとってすごく大きいです」

Q.これからさらに大きな「pleasure」を得るための戦いが続きますね。
「水戸の歴史を変えられる可能性が目の前にある。残り6試合、このまま突き抜けたいと思っています」
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著者プロフィール

Jリーグ所属の水戸ホーリーホックの公式アカウントです。 1994年にサッカークラブFC水戸として発足。1997年にプリマハムFC土浦と合併し、チーム名を水戸ホーリーホックと改称。2000年にJリーグ入会を果たした。ホーリーホックとは、英語で「葵」を意味。徳川御三家の一つである水戸藩の家紋(葵)から引用したもので、誰からも愛され親しまれ、そして強固な意志を持ったチームになることを目標にしている。

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