「トップタイトルを懸けてる以上、友好的なテクニカルマッチになるハズがない。彼も前回以上に攻撃的になるだろうし、俺も同じだ」10月13日 (月・祝)両国、TAKESHITAとのIWGP世界ヘビー戦を前に、ザック・セイバーJr.に直撃インタビュー!

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いよいよ開催目前!10月13日 (月・祝)『KING OF PRO-WRESTLING 2025』両国国技館大会でのKONOSUKE TAKESHITA戦を前に、IWGP世界ヘビー級王者・ザック・セイバーJr.に現在の心境をインタビューで直撃!

撮影/山本正二

■『KING OF PRO-WRESTLING 2025』
10月13日 (月・祝) 14:30開場16:00開始
東京・両国国技館
※「砂かぶり席」「ボックス席」は完売。「マス席4人用」は残りわずかとなりました

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■今回のナリタが一番手ごわかったのは、自分自身のスタイルで挑んできた局面だった

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――さて、ザック選手。まず9.28神戸大会のタイトルマッチについてうかがいます。2度目の戴冠となった今回の防衛戦で、2度目の防衛の相手は成田蓮選手でした。振り返ってみて、この試合をどうご覧になりますか?

ザック ナリタのもっとシリアスな一面を引き出せたと思ってるよ。たとえば彼が(ジョン・)モクスリーとやったタイトルマッチと比べてみても……。

――昨年の『レスリングどんたく』5.4福岡大会ですね。

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ザック 今回の試合の方がずっと集中していて引き締まっていた。むろんHOUSE OF TORTUREの試合だから多少の小細工はあるのは当然だけど、全体的に見ればレスラーとしてかなり成長してきたよ。ただリング上での「自分は誰なのか?」っていう部分には、まだ迷いがあるように見えるけどな。

――テクニカルなレスラーでありながら、非常に反抗的なユニットに所属している点は、かつて鈴木軍にいたあなたと。重なる部分がありますね。

ザック イエス。俺はスズキグンにいたとき、ユニットの一員でありながら自分のスタイルを磨き込むことができた。でもナリタは、まだそこまでうまく自分のバランスを取れてない気がするな。

――ここ数か月でH.O.Tの試合ぶりには変化を感じますか? 『G1 CLIMAX』優勝決定戦(8.17有明アリーナ)では、EVIL選手にも声援が多く飛んでいました。

ザック 彼らはビジュアルもいいし、意図せずしてちょっと“おもしろい”んだよ(笑)。仲間意識やサポート体制もあるし、ファンから見ても魅力的に映る部分がある。ただ、彼らは毎回同じパターンに頼りすぎて、結局は裏目に出ることが多いんだ。

今回のナリタが一番手ごわかったのは、自分自身のスタイルで挑んできた局面だった。だから、どこかで彼らのやり口は結局は、無意味になっていくと思うよ。

――9.28神戸大会の直後には1.4東京ドーム大会のチケットが発売され、24時間で通算2万枚以上の売り上げを記録しました。過去最大級の『WRESTLE KINGDOM』になる可能性もあります。IWGP世界ヘビー級王者として、この大会に特別な意味を感じていますか?

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ザック 今回は1日開催ってだけでも規模が大きいのに、タナハシ(棚橋弘至)の引退とウルフ・アロンのデビューが重なるんだから、とんでもなく重要な大会だよ。だからこそ世界ヘビー級のタイトルマッチは、その舞台にふさわしいものじゃなきゃいけない。タナハシの引退試合、ウルフのデビュー戦、そして世界王座戦。この3つが並べば最高のドーム大会になるはずだ。

――たしかに引退試合は話題になりますが、団体の未来を考えれば、1月5日以降、そして2026年につながることも大切ですよね。

ザック まさにその通りだよ。今回がひさびさの大観衆になるなら、タナハシを応援してきた昔からのファンも戻ってくるだろうし、ウルフ目当てでプロレスを普段見てない人も来る。だからこそチャンピオンとして、その注目を最大限に活かすのが俺の役割だし、若手レスラーにとってもこれ以上ないチャンスになるんだ。

■声援はとくに気にしない。ただ、もしEVILには声援が飛んでいたのに、今回は俺よりTAKESHITAを選ぶなんてことがあったら……ちょっと気分を害するかもな

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――10月13日(月・祝)両国国技館大会では、KONOSUKE TAKESHITA選手とのタイトルマッチが組まれています。あなたは中国遠征から戻ったばかり、TAKESHITA選手はアメリカにいます。シリーズで前哨戦のないまま両国に突入するのは久しぶりのことなのですが、このことについては?

ザック 前哨戦が必ず必要ってわけじゃないけど、俺はとにかくたくさん試合をしたいタイプなんだ。今回のツアーに出なかったのは俺の判断じゃなくて、TAKESHITAが不在だからっていう現実的な理由だと思う。ただ、挑戦者がいようがいまいが、本来チャンピオンは全大会に出るべきだと思うけどな。

――TAKESHITA選手がシリーズに帯同していないことについて、批判する声もありますが?

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ザック ただ、それを怠慢だって批判するのは安易すぎるよな。彼は3つの会社の契約を抱えてるからこそ仕方ない部分もある。でも新日本プロレスのリングに上がる時は必ず全力以上を出してくる。それこそが大事なんだ。

――ただ、一部のファンの間では、TAKESHITA選手を「外敵」と見る声もあります。『G1』優勝決定戦で彼がブーイングを受けた場面もありました。

ザック いや、全然驚かなかったね。形式的には新日本の選手でも、あの試合は事実上インター団体戦みたいなものだった。だから、新日本の道場を経たEVILの方を応援するのは自然だよ。たとえ今のEVILがヒールでもね。それにTAKESHITAのセコンドにロッキー・ロメロがいた時点で、ファンの答えは出てただろうな(笑)。

――なるほど。あなたはヒール的なスタイルにも対応できますが、今回の試合ではTAKESHITA選手が「バッドガイ」になると思いますか?

【新日本プロレスリング株式会社】

ザック そこがおもしろいんだよ。俺は自分自身を証明するために、思い切りヒールに振り切るつもりだけど、それをファンがどう受け取るかはわからない。去年ナイトウ(2024年10.14両国大会、内藤哲也とのIWGP世界ヘビー級選手権)と闘った時だって、あんなに支持がある選手相手に、俺への声援が多くて驚いたくらいだ。

そういうのは、すべて“自然”に起きることだし、俺はとくに気にしない。ただし、もしEVILには声援が飛んでいたのに、今回はファンが俺よりTAKESHITAを選ぶなんてことがあったら……ちょっと気分を害するかもな(苦笑)。

■俺は1.4東京ドームで王座を防衛したい。そのためには、まず『G1』覇者を倒さなきゃいけないからな。

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――今年はどれくらい海外で試合をしましたか?

ザック 数えてないけど……12か13か、そのくらいかな。試合に加えてセミナーやトレーニングの手伝いもしてるからね。

――TAKESHITA選手もAEWを中心に世界的に活動していますが、あなたとはアプローチが違いますよね。

ザック そうだな。俺はあくまで「新日本のザック・セイバーJr.」として活動している。対してTAKESHITAは「DDTでもAEWでも新日本でもない、自分自身のKONOSUKE TAKESHITA」という立ち位置でいたいんだろう。

俺はそういう姿勢を批判する気はない。ただ、俺は野毛道場出身じゃなくてもキャリアの大半を新日本で積んできたし、ずっと日本に住んでいる。遠征からハネダやナリタ空港に戻ってくると「帰ってきた」と感じる。それが自然とアイデンティティになるんだよ。

だから世界を回りながらも、常に新日本を拠点にして活動できてる。TAKESHITAの場合は拠点が海外にあるぶん、それは難しいんだろうな。

――これまでTAKESHITAとの対戦成績は1勝1敗。たがいに意識を失うような試合内容でしたが、両国ではどうなりそうですか?

【新日本プロレスリング株式会社】

ザック フフフ。むしろ以前よりも激しい試合になると思うよ。トップタイトルを懸けてる以上、友好的なテクニカルマッチになるハズがない。彼も前回以上に攻撃的になるだろうし、俺も同じだ。俺は東京ドームで王座を防衛したい。そのためには、まず『G1』覇者を倒さなきゃいけないからな。

――昨年は『G1』優勝者として東京ドーム前に挑戦表明し、王座を奪取しました。そのやり方は一部から「『G1』の価値を下げる」という声もありましたが、TAKESHITA選手も同じプレッシャーを感じると思いますか?

ザック まあ、人それぞれに意見はあるだろう。東京ドームまで待てば試合の規模は大きくなるけど、勝てる保証はない。俺は「チャンピオンとして東京ドームに立つこと」にこそ価値があると思ってたし、それは今も変わらない。そこはTAKESHITAも同じだと思うよ。

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――1.4東京ドームへの展望について。ゲイブ・キッド選手や辻陽太選手はIWGP GLOBALヘビー級王座を足がかりにIWGP世界ヘビー級王座挑戦を口にしています。あなたはそのことについてどう考えていますか?

ザック まずは『キング・オブ・プロレスリング』(10月13日 両国国技館)を乗り越えないとわからないな。GLOBAL王者が素晴らしい戦いを続けるなら挑戦権を得る可能性もある。でも、その場合でもタイトルマッチは世界王座だけでやるべきだと思う。

――ダブルタイトル戦は避けるべき、と。

ザック そうだな。GLOBAL王座はまだ新しいベルトだし、ダブルタイトルにするのは早すぎる。そもそも『G1』だって、もともとは世界タイトル挑戦権が懸かってなかった。ただの名誉そのものだったんだ。

――なるほど。

ザック サッカーで言えばチャンピオンズリーグやFAカップみたいなもんだ。リーグ戦を勝てなくてもカップ戦で優勝する、それだけで大きな価値がある。だから別のベルトの王者が世界王座に挑戦する可能性は十分にある。結局は「どの若手が一番そのチャンスを欲しているか」なんだよ。
(了)
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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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