【ジャパンダートクラシック】「本当に強い」ナルカミ圧逃で三冠阻止、レモンポップ後継馬への第一歩
ナルカミは今回の勝利で通算6戦5勝、重賞は前走のJpnII不来方賞に続き2勝目。戸崎騎手は前身のジャパンダートダービー時代から通算3勝目、管理する田中博康調教師は同レース初勝利となった。
一方、羽田盃、東京ダービーに続くダート三冠制覇を狙った横山武史騎手騎乗の1番人気ナチュラルライズ(牡3=美浦・伊藤圭三厩舎)は3馬身差の2着に敗れ、史上初の快挙はならず。さらに9馬身差の3着には佐々木大輔騎手騎乗の2番人気ルクソールカフェ(牡3=美浦・堀宣行厩舎)が入った。
三冠逃した横山武史騎手も脱帽「勝ち馬が強すぎた」
史上初の三冠制覇を逃し、悔しくないはずがない。それでも横山武史騎手は愛馬ナチュラルライズをねぎらうとともに、ライバルの走りを称えた。それほどまでにこの日のナルカミは強かったのだ。
レースは内めの5番ゲートからポンと飛び出したナルカミがハナへ。ただ、何が何でも逃げるという作戦ではなく、この馬のリズムで行かせた結果、自然な運びでハナに立つ形となった。戸崎騎手が序盤の展開についてこう振り返る。
「スタートを出たら自ずと行けるのかなと思ったのでその作戦を取りました。まだ揉まれた競馬をしていなかったので、砂をかぶったりというのは極力避けたいなとは思っていました」
無理して行っていない分、折り合いはバッチリ。レースを外ラチ沿いから見つめていた田中博調教師も「ジョッキーとの呼吸もしっかり合っていて、この子の最高のパフォーマンスをお見せできた結果だと思います」と絶賛の内容だった。
逃げて上がりも最速、田中博調教師「心肺機能が強い」
「前走よりも馬が良くなっていて、リラックスして良い感じで走ってくれていました。抜群の手応えという感じで直線を迎えられたので、これは押し切れるのではないかなと思っていました」
戸崎騎手のコメントからも全く危なげのないレースだったことが分かる。結局、ナルカミがマークした上がり3ハロンのタイム39秒0はメンバー中で最速。逃げた馬が上がりも一番速いというのだから、これでは他馬はなす術がない。改めて横山武史騎手の言葉を借りれば、この日のナルカミはやはり「強すぎた」ということだ。
もちろん、この一戦がたまたま強かったわけではなく、もともとナルカミは昨年11月のデビュー戦となった京都1800mダートで1分51秒2という破格のタイムをマークし、2着馬に2秒0もの大差をつける衝撃的な走りで話題となった。2戦目では若さを見せたか7着に敗れたものの、ひと息入れた4月の3戦目からこの日も含めて4連勝。田中博調教師はこれまで手掛けてきた重賞馬と比較しても「特別に心肺機能が高い馬」と、その能力を高く評価している。
次走は国内・海外含めたGIのいずれかに
「今日のレースは僕自身も楽しみにしていて、本当に強い内容でした。今後の走りにも期待したいです」
その今後について、トレーナーは具体的なレース名こそ明言しなかったもののGIのいずれかになるだろうことを示唆している。
「これだけ強いパフォーマンスを見せられたので、次もGIという舞台になるのは間違いないと思います。プランはいくつかあるのですが、オーナーサイドとしっかり相談した中でそのプラン通りに行けたらいいなと思います」
共同インタビュー後の囲み取材で、その“プラン”の中身については年内ならチャンピオンズカップ、東京大賞典、さらに来年の海外も含まれることを語った田中博調教師。オーナーであるゴドルフィンとの協議の結果、どのレースをベストとして選択するのか楽しみに待ちたい。
そして田中博厩舎&ゴドルフィンのダートホースと言えば、真っ先に思い浮かぶのがレモンポップ。GI級を6勝、23年&24年JRA最優秀ダートホースに輝いた偉大な先輩に追いつき、追い越す活躍を見せることはできるか。ナルカミにはその可能性が秘められているはずだ。(取材・文:森永淳洋)
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