【選手がレポート!・猿レポ】ジャパンラグビー リーグワン ライジング2025 九州電力キューデンヴォルテクス対ルリーロ福岡戦

チーム・協会
初めましての人もこんにちは。
試合後レポート(猿レポ)を担当させていただきます、プロップの猿渡です。
10月4日(土)、ジャパンラグビー リーグワン ライジング第2戦目、 ルリーロ福岡(以下、 LR福岡)との試合が、福岡県にある“JAPAN BASE” で行われました。

【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

LR福岡は、ヴォルテクスと同じく九州・福岡を拠点に活動しており、ディヴィジョンこそ異なりますが、共に九州のラグビーを盛り上げる仲間でもあります。
さらに、LR福岡には昨シーズンまでヴォルテクスに在籍していた荒牧選手と江里口選手が所属。
私自身も、かつて同じチームで戦った選手が多く在籍していることもあり、個人的にも特別な思いを抱く一戦でした。

この試合は、互いにこの夏を乗り越えて成長した姿を、チーム同士・選手同士で確かめ合う良い機会。とはいえ、勝負の世界においては譲れないものがあります。
必ず勝利を掴み、その内容もこれからのお互いの成長の糧として積み重ねていきたい。ラグビーを通じ、福岡を、そして九州全体をさらに盛り上げていきたいと思います。


LR福岡戦の試合メンバーはこちら
https://www.kyudenvoltex.com/game/p146

《試合内容・結果》

荒天の空模様。
天気予報は見事に的中し、まさにバケツをひっくり返したような大雨。
さらに15時の試合開始予定時刻の前には雷鳴が轟き、安全確保のため試合開始は2度の延期。

迎えた16時、どんよりとした曇り空の下でようやくキックオフの笛が鳴り響きました。
2度の試合延期による影響も心配されましたが、両チームの闘志の炎はちょっとやそっとの暴風雨では消えません。
雨によるハンドリングエラーは普段よりも多かったものの、その分、ボールキャリーやタックルといった接点の激しさが際立ちます。
互いに攻め合いながらも得点に結びつかない時間が続く中、前半17分、ついに試合が動きました。
先制したのはLR福岡。
スクラムから狭いサイドを突き、ヴォルテクスのディフェンスの裏へ意表を突くキック。絶妙な位置に落ちたボールをヴォルテクスが処理しきれずペナルティを犯すと、そこからの速攻でトライを許し、スコアは0-7に。
しかし、ここからがヴォルテクスの真骨頂。
前半23分、ラインアウトモールをトライライン目前まで一気に押し込み、そこからバックスに展開。テンポ良く裏に抜け出すアタックを重ね、最後はウイング・髙屋直生選手がトライ。
これで7-7の同点に追いつくと、続く26分、28分にも連続トライ。詰まっていた栓が抜けたように勢いに乗り、あっという間にスコアを19-7と逆転します。
そして前半終了間際、ここまでを締めくくるように再びラインアウトモールから押し込み、フランカー・山田有樹選手がトライ。
26-7と大きくリードして前半を折り返します。

メンバー外全員で試合運営のサポート 【©九州電力キューデンヴォルテクス】

後半最初に得点を挙げたのは再びLR福岡。
後半8分、ヴォルテクスのペナルティを起点に陣地を前進し、ラインアウトモールから展開してトライ。スコアは26-14に。
しかし、ヴォルテクスもすぐさま反撃。後半10分、ウイング・西浩人選手が相手ディフェンスの裏にキックで転がしたボールを追いかけ、トライゾーンで押さえきって後半初得点。スコアを31-14とし、再びリードを広げます。

ところがここから流れが一転。ヴォルテクスのディフェンスが噛み合わない時間帯が続いてしまい、16分、19分、30分と立て続けに失点。スコアは33-33、試合は振り出しに戻ります。

中尾康太郎選手【スクラムハーフ】 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

残り時間わずか。次に得点を取った方が勝利を掴む。そんな緊張感が会場を包む中、LR福岡が怒涛の勢いで攻め込みます。
それでもヴォルテクスは粘り強くディフェンスを重ね、相手に決定的なトライを許しません。
そして試合終盤、LR福岡がスペースへ蹴り込んだボールをめぐって激しい競り合いに。その中で素早く反応し、相手ボールを見事にターンオーバーしたのはチャーリー・ワージントン選手。
奪い返したボールをしっかりキャッチし、そのままスピードに乗って一気にトライゾーンへ。相手ディフェンスを振り切り、劇的なダイビングでゴールラインを越え、価値ある独走トライを決めました。スコアも40-33と再びリードを奪います。

加藤誠央選手【フルバック】 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

しかし、九州勢同士の意地のぶつかり合いはこれで終わりません。
試合終了間際、再びヴォルテクスのディフェンスの乱れから LR福岡にトライを許してしまい失点。最後のコンバージョンキックは外れ、最終スコアが40-38となり、ヴォルテクスが2点差での勝利。
激しい雨にも、相手の猛攻にも真っ向から立ち向かい、ヴォルテクスが意地と底力を見せつけた、まさに死闘の一戦となりました。


《個人的見解と次戦に向けて》

天候の影響で、試合開始がまさかの2度の延長。雷も鳴り響く中、開催そのものが危ぶまれるような状況でした。
そんな中でコンディションを整え続け、集中を切らさずに試合に臨むのは正直、簡単なことではありません。
ですが、逆に言えばリーグワンの本番でも同じような状況が起こる可能性は十分にあります。
そう考えると、今回の経験はチームにとって大きな学びであり、貴重な“実戦練習の場” になったと思います。
試合内容としては、前半に一気に流れを掴んで大きくリードを奪うことができたものの、後半は一転。LR福岡の勢いに押され、終盤には追い上げを許してしまう展開となりました。
結果的には2点差での勝利。
勝ちは勝ちですが、課題も多く見えた試合だったと感じています。

前回に続き2試合連続でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれたチャーリー・ワージントン選手【フルバ ック】 【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

一つひとつのプレーに光と影があったように、良い部分・修正すべき部分がはっきり出た内容。今回の反省をしっかりと振り返り、次の試合に向けて必ず成長に変えていきます。
そしてまた、勝利で応援してくださる皆さんに喜んでもらえるよう、チーム全員で努力を積み重ねていきます。


《今週の個人的Pick up Player》

今回、私が選ぶPick Up Playerは2人。どちらも今シーズンからチームに加わった、フレッシュな社会人1年目のルーキーです。

まず1人目はフッカーの藤田幹太選手(以下、藤田選手)。
スクラムを組むフロントローの舵取り役でありながら、ラインアウトでは正確無比なスローでボールを支配。さらに、僕と同じフロントローとは思えないほどのフィットネスを誇り、グラウンドを縦横無尽に駆け回ります。正直、同じポジションとしては「ちょっと待てや!」と言いたくなるくらい動きます。

続いて紹介するのはセンターの吉田輝雅選手(以下、吉田選手)。
彼の持ち味は、一つのポジションにとらわれないユーティリティ性。複数ポジションをそつなくこなす高いスキルを持ちながら、普段はおだやかで少し控えめ。
しかしひとたびラグビーになると、スイッチが入ったかのように“勝負師モード” 全開。相手が誰であろうと一歩も引かず、勝利をもぎ取るまで食らいつくその姿勢は、思わず私たちの闘志も触発させてしまうほど。
今回は、そんなフレッシュかつ個性あふれる2人のルーキーにスポットを当てて紹介していきます。

まず最初に紹介するのは藤田選手。

【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

プロフィールはこちら。
https://www.kyudenvoltex.com/player/364

福岡県出身、筑紫高校から日本体育大学へ進学し、その後ヴォルテクスに加入した選手。ヴォルテクスに加入して1シーズン目になる選手です。
藤田選手の持ち味は、先にも少し触れた通り、セットプレーのコントロールと、そして圧倒的な運動量。ディフェンスでは、その運動量を武器にピッチのあらゆる場所に顔を出し、何度もタックルしてはすぐ次のプレーへ。淡々とハードワークを積み重ね、チームを支えています。
また、スクラムやラインアウトといったセットプレーに対しても探究心が強く、練習後もスローイングの個人練習を欠かしません。他のフッカーの先輩たちに素直にアドバイスを求めながら、自分のスキルとして吸収していく姿をよく目にします。
スクラムではチームの舵を取るフッカーとして、仲間を活かすためのコミュニケーションも欠かしません。全体練習後には、同じフロントロー陣を巻き込みながら「ここもうちょい下げよう」「いやそこは押そう!」なんてやり取りを繰り返し、細かい部分まで突き詰めています。
あーでもないこーでもないと言い合いながら、着実に前へ。まさに“前進あるのみ” の男です。

そんな藤田選手、フロントローらしく“食べること” が大好き。私も完全に同意です。
そして趣味はお笑い鑑賞。推し芸人はダイアン、ヒコロヒー、マユリカ。
先日、偶然すれ違ったとき、ダイアン津田さんのガチャガチャ景品を手にしていて「あ、本当に好きなんだな」と確信しました。
お笑いライブを観に行くこともあるそうで、ゆくゆくはM-1グランプリの観覧に行ってみたいとのこと。
さらに海外旅行にも行きたい、美味しいものも食べたい、叶えたい夢はまだまだたくさん。でもそのどれもが、「まずはラグビーで活躍すること」から始まります。
高いワークレートで努力を積み重ね、そのすべての夢を現実に変えていく。そんな藤田選手のこれからの活躍、間違いなく要チェックです!

次に紹介するのは吉田選手。

【©九州電力キューデンヴォルテクス】

プロフィールはこちら。
https://www.kyudenvoltex.com/player/397

神奈川県出身、東海大相模高校から明治大学へ進学し、その後ヴォルテクスに加入した吉田選手。ヴォルテクスに加入して1シーズン目になる選手です。
持ち味はなんといっても、どこのポジションでもこなせる高いスキルと、スイッチが入ると普段の温厚な姿からは想像できないほどの、負けず嫌いな熱い闘志。
先日行われた練習のメニューの一つで、3人1組になってブレイクダウンの練習を行う場面がありました。
その3人組の残り2人が、私と同期の中靏憲章選手と松下彰吾選手という、闘魂バリバリのベテランコンビ。しかしただのベテランと侮るなかれ。この2人、とにかくぶつかることが大好きで、「痛い?それ美味しいの?」くらいの勢いで突っ込んでくる圧倒的強者です。
そこにルーキー吉田選手が参戦。
正直「大丈夫か…?」と思って見ていたのですが、いざ始まると、ベテラン2人を相手に一歩も引かず、むしろ真っ向勝負。何度ももみくちゃになってもすぐ立ち上がり、何度もぶつかって、最後は見事にベテラン2人を制していました。
その姿はもはや“新人” ではなく、気持ちは“闘士”。交代の間で見ていた周りの選手たちも、その熱量に感化されて一気に練習の温度が上がったことを覚えています。

そんな吉田選手の好きなことは「歌を歌うこと」。
好きな歌手はback numberで、十八番はBEGINの『三線の花』だそうです。いや、そこはback numberじゃないんかい!とツッコミを入れたくなったのは、ここだけの話。
週末は朝早く起きてウエイトして、サウナ行って、ご飯食べて、夕日や夜景を眺めるのがルーティンとのこと。なんですかその“整いルーティン”。完璧すぎません?
さらに今後は「JAZZを弾いてくれて、それを聴きながらご飯を食べられるお店に行ってみたい」とのことで、どうやらロマンチックな一面も隠し持っているようです。
ラグビーだけでなく、生活の面でもマルチに魅力を発揮する吉田選手。まさに“ユーティリティプレーヤー” そのもの。これからも、まだまだ知られていない一面をたくさん見せてくれそうです。
そんな吉田選手のこれからの活躍にも要注目です!

《最後に》

次のプレシーズンマッチ第1節は、10月25日(土)に広島県にある「Balcom BMW Rugby Stadium」で中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)と対戦予定です。
互いにチームの母体が電力会社ということで、この戦いは電力ダービーとなる一戦!互いに意地をかけた刺激的な弾ける試合になること間違いなし!

【©Kyuden Voltex Photo by N.TAKAYAMA】

ぜひ会場にて引き続き皆様の熱い応援の程、宜しくお願い致します!

『猿渡 康雄ってどんな人?』
と思われる方もいらっしゃるかと思いますのでこの場を借りて私のInstagramのURLを貼らせて頂きたいと思います。
興味のある方はぜひチェック&フォローをお願いします!
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著者プロフィール

国内最高峰のラグビーリーグ「リーグワン」に所属するラグビーチーム。九州全域(全県)をフレンドリーエリアとし活動しています。

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