途切れぬ挑戦──水谷咲良が描く、成長の軌跡と進化【東京山九フェニックス】インタビュー
東京山九フェニックスの若手注目株・水谷咲良(みずたに・さくら)。10歳でラグビーと出会い、中学で海外留学を決断。
そして今、チームだけでなくセブンズ代表としても日本女子ラグビーの最前線を走る。
その歩みの根底には、常に“挑戦”があった。
ラグビーとの出会いは母親の勤務先
「なぜ誘われたか分かりませんが、当時まだ女子でラグビーをしている人が少なかったことや、レスリングで全国優勝していることも知っていただいていたので、コンタクトスポーツも大丈夫と思ってもらったのかもしれません。」
3歳から始めたレスリングで全国優勝を経験しており、勝負への強い意識と身体の使い方を磨いてきた。
そんな下地が、関係者の目に止まり、自然とラグビーへの道につながったのかもしれない。
偶然の出会いが、挑戦の原点となり、ラグビーが人生の軸となる最初の一歩だった。
中学生で決断した、ニュージーランド留学
中学2年生の時「もっとラグビーがうまくなりたい」という思いから、三重で活動する女子ラグビーチーム「パールズ」GMへ相談。
国内での転校も検討したが、最終的にはニュージーランド留学を決意した。
14歳で単身での海外留学には当然不安も感じたが、母と祖母が背中を押してくれた。
留学先は、ニュージーランド国内で優勝経験もある名門・ハミルトンガールズ ハイスクール。
「最初は英語も話せず、練習も週2〜3回しかなくて、“せっかく来たのにラグビーできないじゃん”と思いました(笑)。でも、その時間のおかげで自分で何をすべきか考えて動く力がついたと思います。」
15人制と7人制のシーズンが分かれているニュージーランドでは、オフにバスケットやタッチラグビーをする選手も多く、他のスポーツを通して、視野の広さやハンドリングの精度が高い印象だったという。
「そういう意味でも、ニュージーランドは1人1人のレベルが高かったので、色々な人のプレーを見て吸収できたかなと思います。」
異国の地で得たのは、技術以上に“自分で考え、行動する力”だった。
成長を求めてフェニックスへ
「自分をもっと成長させたいという気持ちが強かったので、海外でプレーすることや県外でプレーすることを考えていました。大学進学も検討したのですが、知り合いからフェニックスの話を聞いて“魅力的なチームだな”と思って加入したのがきっかけです。」
実際に加入して感じたのは、オンとオフの切り替えの明確さ。
「練習外では和気あいあいとしてますが、練習に入ると全員のスイッチが入る。全員が同じ目標を持っている素晴らしいチームです。」
中でも同世代の西 亜利沙選手とは、ユースの代表時代からの仲。オフにはカフェへ行ったり、時には一緒にTikTokダンスを撮ったりと、公私で良き関係を築いている。
自ら成長の環境を選び、切磋琢磨できる仲間との出会いが新たな挑戦を後押しした。
注目の若手・山本 梨月選手に期待
プレー面だけでなく、彼女の姿勢にも強く惹かれているという。
「うまくいかない時も、自分にフォーカスして改善しようとする。すごく負けず嫌いで、芯のある選手です。」
練習中には、後輩からも意見をもらう場面もある。
「プレイ面でも彼女から質問してくれたり、逆にアドバイスをしてくれることもあります。これからも切磋琢磨して勝ちにこだわった試合をしていきたいです。」
若手の成長がチームを刺激し、互いに学び合う関係性がフェニックスの強さにつながっている。
ゲインラインを切り拓く、“ショートの強み”
「仲間が相手を釣ってくれた時にショートで入ってゲインするのが好きなんです。そのままトライできる時もありますが、できなくてもウイングのトライに繋がるような勢いを出せるので、チームにモメンタムを生み出せることが自分の強みです。」
その一瞬のタイミングを合わせるため、内側の選手とのコミュニケーションを欠かさない。
「ボールが出る前から“どこまで仕掛けるか”を伝えて、タイミングやポジショニングがズレないように意識しています。」
チームの流れを変える一歩。彼女が作ったモメンタムが、勝利へとつながる確かな推進力になる。
15人制への挑戦とフィジカル強化
「セブンズより走る量が減った分、体を大きくしたくてウエイトを増やしました。体重は6kgアップ。コンタクトの強度も上がったと思います。」
大きな相手との接触にも負けないフィジカルを磨きながら、攻守両面で進化を続けている。
フィジカルの強化がプレーの幅を広げ、挑戦の積み重ねが確かな自信を生んでいる。
四連覇への意気込み
そのために欠かせないのは、日々の積み重ねだ。
「練習後の反省と改善を大切に、チームとしても個人としても成長していきたいです。15人制ではシステム理解も大事なので、常に頭を使ってプレーしたいですね。」
日々の努力が歴史をつくる。積み上げた挑戦が、チームを頂点へ導く力となる。
オフはダンスでリフレッシュ
オフの日は、お昼頃まで寝て、ご飯を食べてNetflixを観て、また寝るという“かなりのインドア派”。
「寝るのが好きなので寝られるだけ寝続けています。笑」
上京して一人暮らしの今は、あまり得意ではない自炊でも栄養バランスは意識して高タンパク・低脂質の食事を心がけているという。
リフレッシュの時間も、次の挑戦への大切な時間。日常の積み重ねが彼女の強さを築いている。
挑戦の、その先へ。
積み重ねてきた努力は確かな自信となり、彼女を次のステージへと押し上げていく。
“挑戦”という言葉を体現し続ける若き才能の成長は、これからも止まらない。
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