まずはやってみること!スピアーズアカデミーが取り組む「ジュニア」の未来
みんなに知ってほしい「空白」
日本ラグビー界において中学生カテゴリーを指す言葉なのだが、このジュニアは、
小学生カテゴリーに比べて受け皿となる組織や団体が少ないため、ラグビー人口が一急激に減ってしまうカテゴリーでもある。
その競技環境、機会の少なさから、日本ラグビー界のジュニアはこうも呼ばれている
「空白のカテゴリー」と。
今、その空白の中で、ラグビーをしている中学生がいる。
その中学生の中には、もっとラグビーをしたいと思っている中学生がいる。
そして、もっと中学生にラグビーができる機会を作ってあげたいと思っている大人たちがいる。
クボタスピアーズ育成部門は、2025年1月にジュニアカテゴリーにおける地域一体型育成組織の構築を目的として、ホストエリアの千葉県で活動する3つのラクビーチームとパートナーシップ協定を締結。
「もっとラグビーをやりたい!」という子どもたちに、平日の夜、ラグビーの場とスキルアップの機会を提供しながら、さまざまなチャレンジをしている。
LEAGUE ONEジュニアマッチが目指すもの
東京都府中市で「JAPAN RUGBY LEAGUE ONEジュニアマッチ2025」が開催された。
記念すべき第一回となるこの大会には、リーグワンで関東に籍を置くチームの中から、日野レッドドルフィンズ、埼玉ワイルドナイツ、東京サンゴリアス、ブレイブルーパス東京、浦安D-Rocks、相模原ダイナボアーズ、そしてクボタスピアーズアカデミー(順不同)の7チームが参加。
・参加したすべての選手が夢を持ち、挑戦し続けることでラグビーの魅力を広める。
・それぞれの舞台で活躍できるジュニア世代の人材を育成する大会にする。
・ラグビーの発展と社会に貢献できる人材育成を目指す。
・全ての選手、コーチ、スタッフを尊重し、多様性を受け入れる環境を作る。
・参加チームとの繋がりを大切にしラグビーを通じて青少年の健全な育成に寄与する。
込められた想いは、未来ある中学生たちのへの純粋な期待であると同時に日本ラグビーの将来に対する危機感。
この大会がリーグの動きを待たず、各チーム育成部門関係者が自発的に声を掛け合い開催に至ったという経緯からもそれは窺えるし、開催に向けて中心的役割を担ったスピアーズアカデミー代表・栗原アシスタントGMの
「リーグの発展、日本代表の強化を掲げるのであれば、子どもたちの環境充実は無碍にできないですし、リーグワンのチームとしての使命だと思っています」
という言葉は、現場の声としてより緊張感を持って響いてくる。
そんな想いを抱きながらも、主役である中学生たちに向けられた「この機会を楽しみ、仲間を増やして帰ってほしい」という言葉は、偽らざる本音だったに違いない。
スペシャルな機会に、スペシャルなチームで
「はじめまして…」
緊張した面持ちで挨拶を交わす両チームのアカデミー生たちが、一緒にウォーミングアップをし、少しずつ体を動かしていく。ぎこちないやり取りを両チームのコーチ陣は温かい眼差しで見守ったり、一緒になって盛り上げたり。それぞれのスタンスでジュニアの選手たちにアプローチをしていく。これもこの大会、このチームならではの光景。
「はじめまして」と出会った1時間後には同じチームで試合をするのだから遠慮なんてしている場合ではないと頭では理解していても、なかなかそうは動けないもの。初戦となったブレイブルーパスアカデミー、二戦目のワイルドナイツジュニアユースとのゲームで悔しい想いを重ねたことで、両チームのアカデミー生はより一つのチームになろうと奮闘し、少しずつ少しずつ連携を深めていった
そして迎えたこの日のラストマッチ。浦安D-Rocksジュニアとの一戦…声を出してつながり、終始押され気味の展開となるも、後半にはチーム初となるトライを奪取!さらに終了間際にはゴール前のディフェンスで守り切る集中力も見せた。
「負けた事は悔しいけど、ダイナボアーズの人たちと一緒にできて楽しかった!」
「来年へ向けてリベンジしたい気持ちになりました」
「最後の方はチームとして戦えた感じがあったし、楽しかったです」
試合後、ダイナボアーズとスピアーズアカデミーの中学生たちの表情を見る限り…勝ちよりも深い「価値」を手に入れたように感じた。
大会プログラムを見た時に「あれ?合同チームなのか…」と、ちょっとした戸惑いがあったのは事実。しかし、全ての試合を見終えた頃にはこの日一番得るものが大きかったチームはきっと、スピアーズとダイナボアーズの中学生たちだと考えるようになっていた。
伸びしろしかない
「この中学生たちをどうやって先に繋げていくか。軸足を置いているスクールでの試合もあり、なかなか難しいですけど…こうしてチーム単位でやれる機会が増えると良いですよね。あの子たちには伸びしろしかないですから」
と話し、9月から育成部門に着任した鈴木貴士コーチは
「試合前に緊張する子、しない子。どちらが正しいということはないんです。どういう状態がその子にとって良い状態なのかは人それぞれなので。私たち大人やコーチ陣は、このジュニア年代にどれだけこういうことを経験する機会を作ってあげられるか。それしかないですよ。やっぱり経験てものすごく大きいんでね」
いずれも、この年代がいろんな経験ができる機会を作ることの重要性を熱く語っていた。
クラブチームに所属して毎日のようにラグビーをしている子もいれば、スクール生として週に数回という子もいる。中には週に一度だけ、なんていう子もいるだろう。
いろんなスタンスの中学生たちが、集い、一体になり、戦い、そしてまた一つになる。
そうした経験は、貴重な機会をさらにスペシャルなものにするに違いない。
種を蒔く。未来へ向けて。
この大会を目にしたことで、これまでと全く異なる視点、考えが芽生えた。
今大会で出た課題をクリアし、このジュニアマッチをチーム関係者、保護者だけではなく、多くの人に見てもらえるように盛り上げていくなんていう話も、決して荒唐無稽なものではなく、普及と言う観点からすれば、もしかしたら攻めの一手かもしれない。
もし、これからジュニアラグビーを見る機会があったなら。
勝敗ではなく、強い弱いではなく、上手い下手ではなく、純粋にラグビーやっている中学生たちみんなを応援してほしいと心からそう思った。
最後に、栗原アカデミー代表からのメッセージを。
「まずは、やってみること!今回のジュニアマッチやってみて分かったこともありますし、この重要性をリーグも認識してくれたのではないかと思っています。スピアーズも引き続き子どもたちへフォーカスした取り組みを行いますのでよろしくお願いいたします!」
まかれた種は、広く遠くへ。
いつか実を結ぶ未来へ向けて、スピアーズアカデミーの奮闘は続く!
文:オフィス男気大陸
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