なぜ運動したくてもできないのか?年代による運動をしない理由の違い
健康への関心は一定程度ある反面、運動実施の習慣化には至っていない人が多く、やりたくてもできない“ジレンマ”が課題として浮かび上がり、そのジレンマの要因を探るために運動の促進・阻害要因との関連を分析しました。結果、年代によって運動非実施の要因が異なることがわかりました。
本文:水野 陽介(笹川スポーツ財団 シニア政策オフィサー)
健康への関心が低い「低関心」群の割合は7.0%にとどまる
健康への関心が高い「高関心」群でも、3割弱が運動を実施していない
■行動変容ステージモデルの段階
・前熟考期:わたしは現在、運動をしていない。また、これから先(6カ月以内)もするつもりはない。
・熟考期:わたしは現在、運動をしていない。しかし、これから先(6カ月以内)に始めようとは思っている。
・準備期:わたしは現在、運動をしている。しかし、定期的ではない。
・実行期:わたしは現在、定期的に運動をしている。しかし、始めてからまだ間もない(6カ月以内)。
・維持期:わたしは現在、定期的に運動をしている。また、長期(6カ月以上)にわたって継続している。
「前熟考期」は低関心群で70.3%と最も高かったが、中関心群では31.1%、高関心群でも11.4%を占めた。「前熟考期」と「熟考期」を合わせてみると、低関心群で8割、中関心群で5割、高関心群も3割弱(前熟考期11.4%、熟考期16.3%)が運動の実施には至っていない。
主な運動阻害要因は「無精」「疲れる」「動機がない」「時間がない」
運動非実施の要因は年代によって傾向が異なる
すなわち、運動に対する積極性は20歳代までをピークに50歳代まで下がるが、60歳代以降では顕著な低下はみられない。運動に対する消極性は30歳代まで高いが、40歳代以降では低下がみられる。しがたって、運動非実施の要因はやる気があってもやれない30歳代と、やる気が起こりにくい50歳代を中心として特性の異なる課題が存在するのではないかと考えられる。
■調査概要
【調査名】健康関心度とスポーツライフに関する調査Ⅱ
【調査方法】インターネットモニター調査
【調査対象】全国18歳以上の男女(性・年代による人口構成比割付)
【有効回答数】5,272
【調査項目】就業状況/運動・スポーツ実施状況/運動・スポーツ実施時間/運動・スポーツ実施種目/運動不足感/主観的健康感/健康関心度尺度/運動促進要因・阻害要因尺度 など
【調査期間】2024年8月1日(木)~6日(火)
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