【ボッチャ】日本独自の熱狂を (前編)|「究極のインクルーシブスポーツ」ボッチャの進化

チーム・協会

【©︎日本ボッチャ協会】

リオ2016パラリンピック競技大会以降、3大会連続でのメダル獲得によって、パラスポーツとして日本国内でも市民権を得ているボッチャ。パラリンピック正式競技として1988年のソウル大会から採用されているが、日本代表出場の歴史は比較的浅く、2008年北京大会で初出場となる。そんな歩みの中で、日本のボッチャ界は2015年に一般社団法人日本ボッチャ協会が設立されて以降、10年間で大きく、そして独自の進化を遂げてきた。このコラムでは、前編・後編にわたって、日本独自の熱狂を育む、ボッチャというスポーツの進化について語っていく。

認知度2%から50%への急上昇と日本独自のインクルーシブ大会

大きな契機は、なんといっても東京が2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市に決定したことだろう。2013年9月以降、パラスポーツへの注目度は少しずつ、確実に上がっていく。日本ボッチャ協会が一般社団法人化された2015年の翌年、リオ2016パラリンピックでは団体BC1/BC2チームが日本に初のメダルをもたらし、これを契機にボッチャの認知度もじわりじわりと向上していく。2016年時点での国内におけるボッチャの認知度は約2%しかなかったが、東京2020大会を迎える頃には約50%まで急上昇した。

時を同じく、2016年には全国の特別支援学校の生徒を対象とした「全国ボッチャ選抜甲子園大会(ボッチャ甲子園)」がスタート。このボッチャ甲子園は今年8月の大会で第10回を迎え、これまで日本代表「火ノ玉JAPAN」の若手選手たちの登竜門となっている。昨年若干18歳でパリ2024パラリンピックにて7位入賞を果たした一戸彩音も、同大会で2度の優勝を経験している。

火ノ玉JAPANの次世代エース・一戸彩音はボッチャ甲子園で2回の優勝を果たした 【©︎日本ボッチャ協会】

一方、ボッチャは障がい者スポーツの枠を超え、健常者にも浸透しつつある。2017年からは、障がいの有無や年齢、性別を問わず誰でも参加可能なチーム戦のインクルーシブ大会「BOCCIA JAPAN CUP」(昨年度までは「BOCCIA TOKYO CUP」)が開催されている。東京2020大会で杉村英孝が金メダルを獲得したことも話題を呼び、参加チーム数は飛躍的に増加した。また、2021年に新設された「オープンチャンピオンシップ」も毎年参加者を増やし、その存在感を高めている。

オープンクラスは日本選手権からスピンオフ

このオープンチャンピオンシップは、もともと日本選手権の一クラスであった「オープンクラス(OP座位/OP立位)」がスピンオフする形で誕生した大会である。オープンクラスとは、障がい者手帳を持ちながらパラ種目のBC1~4クラスに該当しない選手たちのために作られた日本独自のクラスだ。先週末、カルッツかわさきで開催された第5回大会には過去最多の166名がエントリーし、これまでの2日間開催から初めて3日間開催へと拡大された。

参加選手数の増加にとどまらず、その競技レベルも着実に向上している。優勝した選手たちは対戦相手の分析や戦略立案に努め、真剣勝負の中で勝利を掴んでいる。

オープンチャンピオンシップではプレースタイルにも多様性が見られる 【©︎日本ボッチャ協会】

「究極のインクルーシブスポーツ」として拡張し続けるボッチャ

ボッチャ甲子園では、全国の特別支援学校に通う子どもたちが障がいの程度に関わらず、スポーツとしてボッチャに触れ、チームメイトとともに目標に向かって挑戦する機会を創出。オープンチャンピオンシップでは、BCクラスに限定せず日本一を目指す真剣勝負の舞台を提供。いずれの大会もハイレベルな戦いが展開され、これまでボッチャに触れたことのない人々も惹きつける魅力を放っている。

日本ボッチャ協会の三浦裕子事務局長は、こうしたボッチャ人口の広がりと大会の魅力について次のように語る。

「ボッチャは、年齢や性別、障がいの有無に関係なく、真剣勝負ができる。どんな人にも寄り添い、誰もがヒーローになれるスポーツであるという点に大きな魅力を感じています。ボッチャ甲子園やオープンチャンピオンシップ、そしてチーム戦でのBOCCIA JAPAN CUPなど、日本独自の進化を遂げ『究極のインクルーシブスポーツ』と呼ばれる所以を証明しています。

小学生や高齢者、障がいのある選手がハイレベルなパフォーマンスを見せてくれると純粋にすごいなと思いますし、どの大会でもひた向きに頑張って、感情豊かな姿を見ると応援にも熱が入ります。自らプレーを楽しむことはもちろんですし、戦術やそれぞれの投球スタイルなどから自分の『推し』を探すことできっと観る楽しみも味わえると思います。」

BOCCIA JAPAN CUP 2025では招待枠のタイ代表チームが優勝|大会の多様性を象徴する表彰式での一幕 【©︎日本ボッチャ協会】

このように、日本のボッチャは独自の進化を遂げ、競技としての裾野を広げてきた。

そして2025年、一般社団法人日本ボッチャ協会設立10周年を迎えた今年、日本のボッチャシーンは新たなフェーズへと歩みを進めようとしている。その象徴的な大会が、来年新設される「BOCCIA GRAND PRIX」だ。今週10月4日(土)にはそのプレ大会が東京・丸の内の丸ビル1階「マルキューブ」で開催される。

(後編へ続く)
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著者プロフィール

 日本ボッチャ協会は「一緒があたりまえの社会にする」を合言葉に、日本国内の肢体不自由児者を中心とした障がいのある方の競技力向上と、すべての障がいのある方、及び障害がない方に対しても、広く一般的にボッチャの振興と普及を図りボッチャを通じて障がいの有無関係が無いインクルーシブな社会を実現を目指します。更に、より密接に共生することのできるように様々な活動を通じて社会を創造します。  「パラリンピックにおける金メダルの獲得」。そして「ボッチャを国民的スポーツへ」。それが日本ボッチャ協会が掲げるビジョンです。

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