持丸昭人「キャプテンとしての責任を背負いながら」東海大学付属諏訪(長野県)
チームを率いる小滝道仁コーチは、持丸選手が入部した頃を懐かしんでこう話します。「全国で優勝して『やれる』という自信があったと思いますが、先輩たちのディフェンスが強烈すぎて全くボールを運べなかった。今はそのディフェンスを彼が受け継いで実践しています」
9月14日、リーグ初戦は北陸(福井県)との対戦でした。インターハイ4強進出の強豪校に対して、東海大学付属諏訪はしっかりと対策を練った上で挑みます。持丸選手は相手のポイントガードを徹底マークし、相手に自由を与えません。「自分は一番前にいるので、みんなから見られているディフェンスをしっかりやればチーム全体のディフェンスも良くなる」という信念の下、高い強度での守備を徹底します。
ディフェンスからリズムをつかんだ東海大学付属諏訪は、第1クォーターを18-15とリードします。しかし、第2クォーターは形勢逆転。相手の速いパス回しや高さを生かした攻めに苦しみます。オフェンス面でもボールが停滞し、パスミスやタフショットも増えていきます。
持丸選手はこのゲームで得られた収穫と課題をこう語ります。「ゲームの入りは良かったです。相手を止めて、リバウンドも拾えていました。ただ、第2クォーター以降で北陸のオフェンスを防げませんでした。強豪校相手のゲームでは試合の中で波が出てしまいます。そこをこれからしっかりと改善していきたいです」
それでも、その波を最小限にできるようチームメートに積極的に声を掛け続ける持丸選手の姿は印象的で、小滝コーチも「大人になったなと感じます」と目を細めます。「チームメートへの伝え方など、彼の中でいろいろな葛藤があると思います。以前は少し自分勝手な面もあり、矛先を違うところに向けてしまうこともありましたが、今は自分だけの視点ではなく『チームのために』という視点で行動できています」
誰よりもハードワークをするプレースタイルだからこそ、キャプテンとしての言葉にも説得力が伴います。そのことを理解しているからこそ、試合はもちろん毎日の練習でも全力を出し切っています。
今夏のインターハイ、東海大学付属諏訪は仙台大学附属明成(宮城県)に60-72で敗れてベスト16に終わました。持丸選手にとっては「自分の力不足をすごく感じた試合」であり、入学からの2年半を振り返っても「満足感や達成感はありません」と言います。
「東海大学付属諏訪でしか得られない成長も間違いなくあった」という感覚はありますが、3年生の持丸選手は高校バスケ生活のクライマックスを全力でやりきることにフォーカスしています。「とにかく一戦一戦をしっかり大事に戦って、その試合で出た課題を改善できるように取り組み、より強いチームになっていきたいです」
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