私のミッション・ビジョン・バリュー2025年第6回 齋藤俊輔選手「なんとかなる」

水戸ホーリーホック
チーム・協会

【ⒸMITOHOLLYHOCK】

水戸ホーリーホックでは、プロサッカークラブとして初めての試みとなるプロ選手を対象とした「社会に貢献する人材育成」「人間的成長のサポート」「プロアスリートの価値向上」を目的とするプロジェクト「Make Value Project」を実施しています。

多様性と交流を基盤に、様々な業種の講師を招聘し、異業種の方々の価値観や使命感に触れることで、プロアスリートとしての存在意義や社会的な存在価値を選手たちに問い続けます。

その一環として、キャリアコーチと選手が継続的に面談をして「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の策定をする取り組みが昨年から行われています。

ミッション・・・社会の中での自分の役割
ビジョン・・・ミッションを実現した理想の未来像
バリュー・・・日々のこだわり、行動指針

原体験を振り返り、自らのサッカー選手であるうえのスタンスや価値観、使命感を見つめなおすことでピッチ内外でのパフォーマンス、言動、行動の質の向上につなげていこうという取り組みです。

2025年も選手・スタッフの今季策定した「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を紹介していきます。
2025年第6回は齋藤俊輔選手です。

(取材・構成 佐藤拓也)

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Q.2年連続でのMVVインタビューとなります。ずっと継続して面談を行ってきたのでしょうか?
「いや、昨年はMVVを完成させて終わりました。で、今年はあらためて、昨年作ったMVVを見ながら、『どう?』という感じで面談を1カ月に1度ペースで行ってきました」

Q.いつ頃からスタートしたのですか?
「キャンプ後からですね」

Q.昨年の面談とどのように変わりましたか?
「今年はMVVを作るような話はなく、最近の変化など今の自分の中を整理するような面談を行ってきました」

Q.あらためて、昨年作成したMVVを見て、どのように感じていますか?
「考えていることは、そこまで変わるものではないなと感じました」

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Q.では、昨年のMVVがこの1年で齋藤選手にとって、どのようなものになっていったかについて話を聞かせてもらいたいと思います。まず、MISSIONについて、「水戸の人を笑顔にする」。こちらはいかがでしょうか?
「今、その通りになってきているんじゃないかと感じています。今季はいい順位にいて、明らかにお客さんも増えていますし、水戸の町の中で応援してくれる人も多くなっていて、水戸に興味を持ってくれる人も増えているように感じています。このMISSIONは自分が思っていた形に近づいているという実感があります」

Q.実際、観客が増えていることは齋藤選手の力になっていますか?
「明らかに以前と比べて、スタジアムの雰囲気が変わってきた。それは僕たちにとって、ものすごく大きな力になっています」

Q.雰囲気の違いを感じていますか?
「最も感じたのは、第21節徳島戦ですね。あのときは1点リードされて、自分は後半途中にベンチに下がって、試合を見ていたんですけど、サポーターの応援の迫力がすごくて驚きました。あの雰囲気があったから、最後の最後に同点ゴールを決めることができたと思っています」

Q.齋藤選手は今季チーム2位の6ゴールを記録しています。ゴールでサポーターを笑顔にすることもできていますね。
「やっぱり、ゴールの瞬間が一番盛り上がるし、笑顔になると思っているので、そこは常に意識しています。ただ、今季ホームでは1試合しか点を取ってないんですよ。だから、ここからホームでもっとゴールを決めたいという思いは強いです」

Q.水戸はサポーターと接する機会が多いチームです。昨季と今季でサポーターからかけられる言葉も変わったのでは? より大きな期待を感じるようになったのでは?
「ファンやサポーターからの期待をものすごく感じるようになりましたし、増額してくれるパートナー企業も増えていて、いろんな人たちの『力になりたい』という思いを強く感じています。そういう方々を笑顔にしたいという思いが大きな活力になっています」

Q.自分の力で笑顔にできるという実感も昨季よりも得ることができているのでは?
「そのために自分ができることはピッチの上で結果を出すことだけ。それでみなさんを笑顔にできたら、本当に嬉しい。残留争いをしていたら、期待感も昨年と変わらなかったと思います。この順位にいるからこそ、多くの人に応援されるようになったと感じています」

Q.昇格争いを繰り広げる中、昨季と違う気持ちでプレーできているのでは?
「リーグを通して、徐々に出場機会が増えていって、『できる』という自信をつかめるようになっています。自分を出しやすくなりましたね。おびえながらプレーするのではなく、自分の良さをどんどん出せるようになっているように感じています」

Q.それは自信を深めたということですかね?
「それが一番大きいと思っています。試合で自分の力が通用するということが分かったことが大きいですね」

Q.どういったプレーに自信をつかんでいますか?
「スピードに乗ったドリブルを仕掛けたとき、奪われる場面が少なくなりました。困ったら、そういうプレーをすれば勝てるという自信を持てるようになったことが大きい。一つアドバンテージというか、逃げ道を作れたことによって余裕を持ってプレーできるようになりました」

Q.これから「大きな笑顔」を見るための戦いとなりますね。
「残り10試合ですけど、1試合1試合しっかり勝っていけば、目標に近づいていく。だからこそ、どの試合も気を抜くことなく、戦っていきたいと思います」

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Q.次はVISIONについて聞かせてください。「この街がサッカーを中心に回っている」。こちらはどうですか?
「今年は徐々にそうなってきているのを感じています。自分たちの結果について昨年と比べて、地域の人たちがすごく興味を持ってくれるようになった気がします。本当にありがたいことですし、もっともっと注目度を高めていきたいと思います」

Q.地域の盛り上がりをどういったときに感じますか?
「町で声をかけられる機会が増えましたし、メディアで取り上げられる機会も増えている。周りから見られる目の変化を感じています」

Q.それだけにプレッシャーも感じるようになったのでは?
「自分はあまりそこまでプレッシャーを感じるタイプではないので、変わらずにプレーできていると思っています」

Q.昔からあまりプレッシャーを感じないタイプなのですか?
「ピッチに入ったら感じない性格なんです。昨年の序盤は怖さを感じることもありましたけど、最近はそういったことは何も感じずにプレーすることができています」

Q.今月開幕するU-20ワールドカップ出場の可能性もあります。代表に選ばれたら、活躍できる自信があるのでは?
「2月に開催されたアジアカップのときより自信はついています。今、J2で活躍できているからといって、日本国内の話なので、海外の選手相手にどれだけ活躍することができるかを感じたいと思います。なので、絶対に選ばれたいですね」

Q.水戸の一員として、U-20ワールドカップに出場して活躍することによって、水戸の注目度も高まると思います。
「個人として活躍することもそうですし、水戸がチームとしてJ1昇格することもそうですし、個人もチームも価値を高められるときだと思っているので、しっかり結果を残して、より高みを目指したいと思っています。そうすれば、自分ももっともっと羽ばたけると思いますし、水戸ももっともっといいクラブになっていくと思います」

Q.これから町の中で水戸ホーリーホックをどんな存在にしていきたいですか?
「鹿島アントラーズと並ぶ存在にしていきたいです。そのためにもまずはJ1に昇格しないといけない。だからこそ、今年は昇格して、鹿島に近づきたい」

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Q.次はVALUEについて聞かせてください。たくさんあるので、一つずつ聞かせてください。まず、「恥のない行動をする」。昨年より意識するようになったことはありますか?
「今年感じているのはスタジアムやクラブハウスに来てくれる子どもが増えたということ。そういう子たちへのファンサービスはしっかりやろうと思っていますし、子どもたちに憧れられるような言動を取らないといけないと思っています」

Q.2つ目は「水戸を明るくしたい思いに対して恥じない行動をする」。
「これはVISIONと重なるところが多いですね」

Q.3つ目は「小さいことを積み重ねる」です。
「小さなことの積み重ねがピッチに出ると思っています」

Q.「小さいこと」とはプレーに関してでしょうか? それともピッチ外の行動でしょうか?
「どっちもですね。日常生活もありますし、サッカーのことも、体のケアのことなどいろいろあります。そういった細かなことの積み重ねが試合に出ると思っています」

Q.積み重ねるために具体的に取り組んでいることは?
「毎朝ロッカーを掃除するようにしています。そういうことを怠らないことはできていると感じています」

Q.次は「責任を持つ」ですが、こちらはどうでしょうか?
「このMVVを作るための面談は高校3年生の冬からはじめました。この言葉に関しては、これからプロになるという覚悟を込めて、決めました」

Q.実際、プロ2年目で「責任」という言葉は変化してきていますか?
「プロである以上、ピッチで力を証明しないといけない。そこで価値が生まれる。そこは今季できていると思うので、もっともっと高めていくと同時に続けていくことを意識しています」

Q.それこそ、仲の良い渡邉新太選手は「責任感」の塊のような存在です。刺激を受けているのでは?
「新太君が一番先頭に立って行動すれば、みんなもついていく。それだけ信頼されていることはすごいと思います。そこについていかないと、試合に出られなくなるということも感じています。あの年齢で誰よりも必死にプレーするからこそ、チームが引き締まっていると思っています」

Q.そして、「プロで活躍している姿を見せる」。こちらはいかがでしょうか?
「それがサッカー選手の価値ですし、試合に出て活躍することが生きていく道。それはできるようになってきたと感じています」

Q.昨年途中から試合に出られるようになって自身の変化を感じていますか?
「そこまで変わっていないですね。ずっと同じ気持ちでやれています」

Q.数字を求められるポジションですが、現在の数字をどのように評価していますか?
「ゴールという数字を残せていることはいいことだと思っています。数字が出ていなかったら、こんなに試合に使ってもらえなかったと思います。試合に出るためにも数字を残し続けないといけない」

Q.自陣からボールを運んで、ミドルシュートを突き刺した第27節鳥栖戦のゴールは素晴らしかったですね。
「もう一度同じことをやれと言われてもできないぐらいのゴールだったと思っています。自分がボールを持ったときに前にボールを運ぶことを考えましたが、それからは感覚的にプレーをしました。気づいたら足を振っていたという感じでしたね。同じことはできないですね(笑)」

Q.プレミアリーグのプレーを見ているようでした。どの辺からシュートを意識しましたか?
「櫻井辰徳選手と入れ替わってからカウンターになることが分かったので、自分で行こうと思いました。でも、そこも感覚でプレーしていました。無意識のまま、ドリブルしてシュートをしていました」

Q.GKの前でボールをバウンドさせることも狙ったのでしょうか?
「あれも無意識です。コース的にあそこしかなかったので、あそこに速いボールを打とうと思って足を振りました。我ながらいいシュートだったと思います」

Q.プロのアタッカーとして、戦術的に動くだけでなく、個で打開することも求められています。今、そういうことをコンスタントに出せるようになっていますね。
「そこは昨年との違いだと感じています。今年はそういうプレーを出せるようになったし、うまく結果に結びつけられるようになったと自分でも感じています」

Q.昨年の初ゴールは大きなインパクトを残しましたが、その分、その後プレーを警戒されて、なかなか活躍できなくなりました。そうした中、今季は相手の対策を上回るプレーを出せるようになっています。
「第14節山口戦でゴールを決めてから、相手の守備の対応が変わったように感じましたし、第22節秋田戦と第23節富山戦で連続してワンタッチゴールを決めた次の第24節熊本戦では自分に足を振らせないような対応をしてきたように感じました。それだけ警戒してくれるようになったことはアタッカーとして嬉しいことですが、だからこそ、こじ開けられるようになりたいという思いが強くなりました」

Q.次は「苦しいときでも自分を貫く」です。「苦しいとき」はありましたか?
「昨年の序盤は試合に出られなくて苦しかった。その中でも自分のプレースタイルを捨てなかったからこそ、今があると感じています」

Q.今年もリーグ序盤はあまり齋藤選手の良さを出せていなかったように感じたのですが。
「自分でもそう感じていました。ただ、第14節山口戦できっかけを作ってから、上がっていくことができました。あのゴールがなければ、今どうなっていたか分からないですね」

Q.そして、「今の現実から逃げない」です。
「試合に出られていないときとか、調子の悪いときに愚痴をこぼして、矢印を外に向けるのではなく、自分に矢印を向け続ける。自分が試合に出るためにどうするかを昨年の序盤は本当にずっと考えていました。あの時期を乗り越えていなければ、今はありません。苦しかったけど、大切な時間だったと思っています」

Q.高卒1年目でも、出場機会がなかったことに悔しさを感じていたのですね。
「悔しかったというより、苦しかったですね。チームの戦力として見られていないことがプレーヤーとしてすごくきつい時間でした」

Q.だからこそ、そこに戻りたくない思いが活力になっている?
「本当にそうです。試合に出られなくなったら、本当に嫌ですし、あの経験をもう二度としたくない」

Q.そのためにも「逃げない」ことを大切にしているのですね。
「そうですね。つらい時期は昨年よりも短いので、今年は気持ちよくプレーすることができています。それがいいプレーにつながっていると思います」

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Q.スローガンについて聞かせてください。「なんとかなる」。この考えは今年も変わっていないですか?
「変わりませんね。どんなにつらくても大丈夫だろうと思うことができています」

Q.自分を信じることが大事だということでしょうか?
「自分次第でどうにもなれる。うまくいかなくても死ぬわけではないので、やるだけです」

Q.シーズン前に思い描いていた状況よりいい状況を作れていますか? 現状をどのように捉えていますか?
「正直、昨年のように途中出場が多いシーズンになるかなと想像していたのですが、シーズン通していろんなことが重なって、そういうところでしっかりチャンスをつかめたと思っています。これからさらに結果を出して、“自分のチーム”にしていきたいと思います」

Q.津久井匠海選手の移籍によって、先発として起用される機会が増えました。そこがターニングポイントになりましたか?
「津久井選手が移籍したときに、サイドMFの選手が少なかったので、『自分がやらなきゃ』と思いましたし、自分が攻撃を引っ張っていかないといけないという思いもありました。その後、サイドMFの選手が何人か加入しましたけど、ポジションを失いたくないという思いが力となりました。そういうところが『責任』につながって、『自覚』が芽生えるようになったと感じています」

Q.自分を信じた結果、チャンスをつかむことができたのですね。
「ちゃんとサッカーと向き合って取り組んでいなかったら、津久井選手が移籍したタイミングでも使われなかったと思います。日々、しっかり向き合えていたから、森さんが使ってくれたと思っています。チャンスをつかむのも、自分次第だとあらためて感じました」

Q.最近はトップ下でもプレーしています。
「ゴール前で自分の持ち味を発揮できるようになってきているので、そこでいかに怖い選手になれるかを考えています。第28節山口戦では決めることはできませんでしたが、惜しいミドルシュートを2本放つことができました。あそこでああいうプレーをするのが自分の特長だと思っていますし、それを森さんが理解してくれて、ゴールに近い位置で起用してくれているんだと思っています。だからこそ、ゴールという結果を残したいですね」

Q.ここから「なんとかなる」がどこまでいくか楽しみですね。
「今シーズンは2桁ゴールを達成したいです。ただ、自分の結果よりもチームのために走って、潰れ役でも構わないので優勝したいです」


Q.残り試合に向けた意気込みを聞かせてください。
「残り10試合、苦しい試合が続くと思うんですけど、自分がチームを救えるようになりたい。このクラブでJ1に昇格して、J1で戦ってみたい。チームのために走って、1戦1戦勝っていきたいです」

Q.あらためて、MVVの意義をどのように感じていますか?
「よくMVVを見て、振り返ることがあるんですよ。このMVVは試合に出られていないときに作ったものなので、当時の気持ちを思い出すことができますし、自分の原点を思い出すことができるので、大きな意義を感じています」
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著者プロフィール

Jリーグ所属の水戸ホーリーホックの公式アカウントです。 1994年にサッカークラブFC水戸として発足。1997年にプリマハムFC土浦と合併し、チーム名を水戸ホーリーホックと改称。2000年にJリーグ入会を果たした。ホーリーホックとは、英語で「葵」を意味。徳川御三家の一つである水戸藩の家紋(葵)から引用したもので、誰からも愛され親しまれ、そして強固な意志を持ったチームになることを目標にしている。

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