私のミッション・ビジョン・バリュー2025年第5回 板倉健太選手「責任・感謝・楽しむ」

水戸ホーリーホック
チーム・協会

【ⒸMITOHOLLYHOCK】

水戸ホーリーホックでは、プロサッカークラブとして初めての試みとなるプロ選手を対象とした「社会に貢献する人材育成」「人間的成長のサポート」「プロアスリートの価値向上」を目的とするプロジェクト「Make Value Project」を実施しています。

多様性と交流を基盤に、様々な業種の講師を招聘し、異業種の方々の価値観や使命感に触れることで、プロアスリートとしての存在意義や社会的な存在価値を選手たちに問い続けます。

その一環として、キャリアコーチと選手が継続的に面談をして「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の策定をする取り組みが昨年から行われています。

ミッション・・・社会の中での自分の役割
ビジョン・・・ミッションを実現した理想の未来像
バリュー・・・日々のこだわり、行動指針

原体験を振り返り、自らのサッカー選手であるうえのスタンスや価値観、使命感を見つめなおすことでピッチ内外でのパフォーマンス、言動、行動の質の向上につなげていこうという取り組みです。

2025年も選手・スタッフの今季策定した「ミッション」「ビジョン」「バリュー」を紹介していきます。
2025年第5回は板倉健太選手です。

(取材・構成 佐藤拓也)

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Q.今回、MVVを作成するにあたって、面談をいつ頃からどの程度行いましたか?
「水戸への加入内定が決まった後、12月ぐらいからスタートしました。そこから5~6回面談を行い、4月ぐらいにMVVを作成することができました」

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Q.まず、MISSIONから聞かせてください。「たくさんの人を笑顔にする」。この言葉にはどういった思いが込められていますか?
「自分が子どものときによくJリーグの試合を見に行っていたんですけど、すごく楽しかったですし、『自分もサッカー選手になりたい』と思うようになりました。だからこそ、自分がこの立場になって、子どもたちをはじめ、サポーターの方々などたくさんの人を笑顔にさせたいと思っています。ピッチ内だけでなく、ピッチ外での行動でも笑顔にさせる。それも自分のミッションだと思っています」

Q.「笑顔」にさせるために必要なのはやはり勝利という結果でしょうか?
「もちろん、結果も大事だと思っていますし、勝ってサポーターと喜びを分かち合うのがサッカー選手として最高の瞬間です。ただ、勝つこともあれば負けることもあるので、どんなときでもあきらめずに戦う姿勢を見せることや、ピッチ外での立ち居振る舞いも見られていると思うので、そういうところでも、一人でも多くの人を笑顔にするために行動したいと考えています」

Q.そういった考えは学生時代から持っていたのでしょうか? それとも、プロになってから持つようになったのでしょうか?
「学生時代も家族とか、周りの人とか、チームメイトとか、友人とか、そういった方々に喜んでもらいたいとか、恩返ししたいという思いでプレーしていましたが、本当にそういう思いを持つようになったのは、プロになってからですね。特に先日マツ君(松原修平選手)が話していた『サポーターは人生をかけて応援してくれているし、スポンサーの会社は社運をかけて支援をしてくれている』という言葉が印象に残っていて、そういう方々を喜ばすために僕たちはすべてを出し切らないといけないと思っています。学生時代は『自分のため』という思いでサッカーができていましたが、プロはそれ以上に周りの人への思いを強く持ってサッカーするようになりました」

Q.板倉選手自身、ピッチ外では常に「笑顔」ですよね。そういったところも意識しているのでしょうか?
「そういう性格なんだと思います(笑)。ただ、やっぱり笑っていた方がいいと思いますし、自分が笑顔でいることで明るい雰囲気を生み出せると思っているので、できる限り、笑っていたいと思いますね」

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Q.次はVISIONについて教えてください。「サッカーの魅力、人生が楽しいと思える人を増やす」。こちらはいかがでしょうか?
「小学校のとき、自分の能力が足らずつらい思いをしたことがあったんです」

Q.どんな「つらい思い」だったのでしょうか?
「当時、強豪チームに所属していて、試合に出ることはできていたんですけど、周りの選手たちのレベルが高く自分だけチームに入れていない感覚があったんです。8人の中で自分以外の7人でサッカーをしている感じでしたし、能力が足りない分コーチからも厳しい言葉をかけられることが多く、周りに負い目を感じて楽しんでサッカーができなかったんです。やらされている感覚が強かった。結局、中学は自分以外の7人はJリーグの下部組織に入ったんですが、僕は入れず、地元のチームに入ることとなりました。でも、そのチームの雰囲気がすごく良くて、心の底から楽しんでサッカーすることができるようになりました。その違う環境で自分は成長することができて、山梨学院高校に進学することができました。あらためて、『サッカーを楽しむ』ことが大切だと思いましたし、自分がつらい思いをしたからこそ、今苦しんでいる子どもやサッカーを楽しめていない子どもたちに楽しんでサッカーをすることの大切さを伝えたいんです。そして、楽しくサッカーをする子どもたちを増やしたい。そう思って、この言葉を選びました」

Q.高校、大学はどうでしたか?
「中学校でサッカーの楽しさを思い出し、そのままの思いでサッカーに打ち込むことができました。だから、高校でも、大学でも、すごく成長できたという実感があります。サッカーを楽しむことが成長の重要な要素だと思っています。中学校以降、『サッカーをやめたい』と思ったことは一度もありませんでした」

Q.それだけ小学校のときは楽しめなかったのですね。
「でも、小学校のときの経験も今に活きていると思えているんです。コーチも根気強く周りと同じように高いレベルで指導をし続けてくれましたし、忍耐力とか、我慢強さとか、諦めないとか、そういう強さも身に着いたと思っています。あそこでサッカーをやめることなく、しっかりやり切ったから今がある。高校や大学も苦しい時期もありましたが、そこで投げ出してしまうような選手もいたんですけど、自分はまったくなんとも思わなかったというか、乗り越えることができました。あの経験も無駄ではなかったと思っています」

Q.それこそ、今、昇格争いのプレッシャーに苦しんでいるように感じます。乗り越えるために『楽しむ』は重要なポイントになりそうですね。
「自分でもそう思っています。今、苦しいですけど、それでも試合は来るし、勝つために必死にトレーニングをしています。2試合連続終了間際に失点して勝利を逃していますが、そこを改善できたら、楽しさに変わると思うんです。だから、飽きないんですよね。サッカーをしていたら、次々に課題が出る。課題はクリアするためにあると思っているので、苦しい状況にぶつかっても『楽しみが増えた』と思うことができています」

Q.飯田貴敬選手は「プロ1年目から昇格争いを経験できるなんて素晴らしいこと」と言っていました。
「タカ君(飯田選手)からいろいろアドバイスをもらっていますし、『昇格争いできるなんて一生に一度あるかないか』と言っていました。だから、この経験をすごく大事にしたいですし、そのために1日1日を大切にしたいとより思うようになりました。あと、この経験ができることに幸せを感じるようになっています」

Q.この経験を乗り越えて目標を達成することで、より多くの人にVISIONの発信ができるようになりますね。
「本当にそう思っています」

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Q.次はVALUEについて聞かせてください。「責任、感謝、楽しむ、協調性」。こちらはいかがでしょうか?
「サポーターの人やスポンサーの方々が人生をかけて応援してくれているわけで、『責任』という言葉の一言で終わらせていいかどうか分からないですが、責任を持ってプレーしないといろんな人を落胆させてしまうこととなる。だからこそ、責任を持って、いろんな人たちの思いを背負ってピッチに立たないといけないですし、みなさんの前でサッカーしないといけない。プロ1年目の新人ですけど、その思いは日々忘れないようにしています」

Q.学生時代とプロの一番の違いはそこにあるのでは?
「本当にそう思います。ワンプレーワンプレーの重みが違いますよね。お互いが命がけで、人生をかけて戦っている。だからこそ、試合で相手を上回るための練習がすごく大事だと、より一層感じるようになっています。日々責任感を持って取り組まないといけないですし、そこに年齢は関係ないと思っています」

Q.『感謝』はいかがですか?
「責任と似ているんですけど、サポーターの方やスポンサーの方、家族や今までの同僚とか、今まで一緒にサッカーをしてきた仲間やスタッフへの感謝を忘れずにサッカーをし続けないといけない。今、プロのピッチに立てている理由はそういった人たちの助けがあったからこそだと思っているので、感謝の気持ちを絶対に忘れてはいけない。自分がプロに近づいたターニングポイントは全国高校サッカー選手権で優勝して、選抜チームに入れたことだと思っています。選手権では初戦で怪我をして、決勝まで欠場したんですよ。決勝に出場して、2試合出ただけなのに選抜チームに選んでもらえたんです。でも、決勝に進出する前に負けていたら、選抜チームに選ばれてないと思いますし、プロになれていなかったと思っています。全国優勝できたのも、選抜に入れたのも、仲間が決勝まで連れて行ってくれたおかげなんです。自分だけの力ではプロになることはできていないと思っているので、本当にチームメイトに感謝しています」

Q.そして、先ほどお話いただいた「楽しむ」ですね。
「やはり、そこはサッカーにおいてすごく大事なこと。サッカーをはじめたきっかけも楽しいからだったと思うので、その気持ちを忘れないようにしたいですし、成長するためにも、まずはサッカーを楽しむことを意識しようと思っています」

Q.「協調性」についてはいかがでしょうか?
「サッカーはチームスポーツなので、1人1人の思いがありますけど、結局最後はチームが一つになって試合に向かわないといけない。それはピッチ内だけでなく、ピッチ外も同じだと思っていて、ピッチ外でプロアスリートとしての行動ができていないとか、試合のための準備ができていないとか、そういう選手がいたらチームとしてうまくいかないと思います。試合に勝つためにも、チームとして一つになることが本当に大事だと思っています。協調性のない人は責任を持っていない人だと思っています。そこはつながっているんです。責任を持って、いろんな人のために、水戸ホーリーホックのために戦うということを考えると、無意識に協調性を持てるようになると思うんです。だから、『責任』『感謝』『楽しむ』『協調性』はすべてつながっていると思うし、一つも抜けてはいけないと思っています。だから、この言葉も入れました」

Q.高校時代は全国優勝を果たし、大学時代は関東1部昇格を経験しました。何かを成し遂げるチームは一体感がありますし、そのために全員が『協調性』を持って行動しているのでは?
「本当にその通りです。高校時代も大学時代も、ありがたいことにタイトルを取ることができました。そういうチームは一つの目標に向かっていると思われがちですが、優勝を目指して一つになるというより、次の試合に向けて、全員でしっかりいい準備をすることができていたんです。特に高校時代は全国大会中、連泊をしていた中で試合に出ている選手だけでなく、出ていない選手も本当にまとまることができていて、目の前の相手に対しての準備がしっかりできていたんです。それが優勝した要因だと思っています。そして大学時代は毎週のトレーニングでの競争がすごかった。それでまとまりが生まれていました。全員が協調性を持っていたので、それが結果につながっていた実感がありました」

Q.勝つために一つになるというより、一つになることによって結果がついてくるという感じだったのでしょうか?
「もちろん、結果を求めて一つになろうという思いもありましたけど、いい準備やいい取り組みができていたから、結果を出すことができたという感覚がありました」

Q.今、水戸でもそういうことが求められていますね。
「自分としては、今の水戸と学生時代にタイトルを取ってきたチームの雰囲気は似ていると感じています。今、チームとして昇格争いを繰り広げていますが、開幕に向けて、僕たちが意識していたのは目の前の試合に勝つためにいい準備をすることでした。それを繰り返してきたからこそ、今の順位があると自分は思っています。『今』に対して、しっかり向き合えているところが大学・高校と似ているなと感じています。今できることに集中して取り組むことができていますし、全員が同じ方向を向いている。試合に出ている選手だけでなく、出ていない選手も日々いい準備をしている。その中の一人として、毎日目の前のことに集中することができています。なので、これからチームはいい方向に向かうと思っています」

【ⒸMITOHOLLYHOCK】

Q.最後にスローガンについて聞かせてください。「責任・感謝・楽しむ」。ここまで話をしてきた内容ですね。この3つの言葉を選んだ理由は?
「自分がプロになって、自分をサポートしてくれる人が本当にたくさんいるんだなと感じることができています。なので、この3つの言葉を選びました」

Q.この3つの言葉が板倉健太選手を形成しているのですね。
「中でも『感謝』と『楽しむ』はよく口にしているんですけど、本当に今の自分があるのは家族や仲間やたくさんのスタッフだと思っています。そういった思いと同時に、『楽しむ』ことも大切にし続けています。自分を表現する3つの言葉だと思っています」


Q.最後にここからの意気込みを聞かせてください。
「残り10試合となりました。開幕からここまであっという間だったという感覚でした。ここから上位陣との対戦も残っていますし、今壁にぶち当たっているところもありますけど、先ほど話をした通り、とにかく『今』を大事にして、今できることをしっかりやり切ることが大切だと思っていますし、目の前の相手を倒すことだけに集中していい準備ができれば、おのずと結果はついてくると思っています。結果を意識しすぎないというか、今できることを一つひとつやっていく。そして、逆境を楽しんで、残り10試合戦い抜ければ、みんながつかみたいと思っている結果をつかめると信じています。そこを意識してやっていきたいと思っています」
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著者プロフィール

Jリーグ所属の水戸ホーリーホックの公式アカウントです。 1994年にサッカークラブFC水戸として発足。1997年にプリマハムFC土浦と合併し、チーム名を水戸ホーリーホックと改称。2000年にJリーグ入会を果たした。ホーリーホックとは、英語で「葵」を意味。徳川御三家の一つである水戸藩の家紋(葵)から引用したもので、誰からも愛され親しまれ、そして強固な意志を持ったチームになることを目標にしている。

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