セ・リーグのDH制導入で野手の指名順位が上がる? 〜2025年独立リーグ注目の100人(野手編)〜

チーム・協会

徳島時代の井上絢登(DeNA) 【©株式会社IBLJ】

 前回に引き続き、NPBドラフト会議に向けて独立リーグで注目したい100人をピックアップする。今回は野手編。

 2025年8月4日、NPBのセ・リーグ理事会で「2027年からのDH制導入」が決定した。上の写真はDeNAで今季一軍での初本塁打を放った井上絢登の四国IL・徳島時代のスイングだが、彼のような打撃に特徴のあるタイプは一軍での出場のチャンスが増えるはずだ。

 DH制の導入でレギュラー野手の打席機会が増えることは、各球団のドラフト戦略にも大きく影響する。おそらく、近い将来レギュラーを狙えると評価された野手の需要が相対的に上がるのではないか。もし、セ・リーグの各球団が有望野手の指名順位を上げることになれば、パ・リーグ各球団も野手の評価を上げて指名せざるを得なくなるだろう。

 下記リンクのDELTA社の分析記事のように、ドラフトでは将来的な価値を持つ野手が過小評価されがちという調査はあるが、2025年はその力学がどう変化するか。

2025年の独立リーグで注目の野手50人

※四国IL=四国アイランドリーグplus、BCL=ルートインBCリーグ、KAL=九州アジアリーグ、NLB=日本海リーグ、HFL=北海道フロンティアリーグ、KDL=さわかみ関西独立リーグ。IPBL加盟の各リーグから提供された情報をもとに作成しており、球団HPの値とは異なる場合がある。 【©一般社団法人 日本独立リーグ野球機構】

 それでは独立リーグの注目野手を見ていこう。投手同様に50人をピックアップした。

 リストは生年月日順で、年齢区分には2026年4月1日時点での満年齢を記載している。これらの野手を下記の4区分に分けて紹介したい。

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①22歳以下の内・外野手(大学4年生の候補と同期、またはそれ以下の世代)
②23歳の内・外野手(大卒1年目の世代)
③24歳以上の内・外野手(大卒→社会人2年目の世代以上)
④捕手


 年齢区分の分け方は投手と同様で、2024年に独立リーグから6名の指名があった捕手は、年齢区分を問わず別枠で紹介する。

 過去の独立リーグ野手の指名は脚力などの一芸を評価された選手が多かったが、近年は必ずしもその限りではなく、大学、社会人のドラフト候補と総合力で勝負できる野手も多く在籍している。

ブレイクしたスピードスター・三上愛介

三上愛介(愛媛) 【©愛媛マンダリンパイレーツ】

①22歳以下の内・外野手(大学4年生の候補と同期、またはそれ以下の世代)

 まずは最も若い世代から見てみよう。

 入団3年目の三上愛介(四国IL・愛媛)は今年ブレイクを果たした外野手だ。今季からレギュラーに抜擢され、1、2番を打ちリーグ2位の43盗塁を記録。6月に行われた四国IL主催の測定会では、プルダウン(助走つきの送球速度計測)で最も速い159キロをマークした強肩でもある。試合内外で要領の良さが垣間見え、様々な環境に適応できる能力も強みだ。

 同じく大学3年生と同世代の外野手では幌村黛汰(NLB・富山)池内匠生(KAL・火の国)が主力選手としてチームを引っ張っている。幌村は22盗塁に対して盗塁死が0と、走塁センスが光る。

 高卒1年目の世代では岩本琉至(徳島)が筆頭候補。8月から出場機会を増やし、8月29日の香川戦では代打で本塁打も放った。三塁を主に守っているが遊撃手が本職。走攻守で様々な可能性を感じさせる。

 昨年高校を退学し、独立リーグで腕を磨いている市山鉄志朗(KDL・堺)は2008年生まれの17歳。高校2年生と同世代ながら、9月25日から栃木県で行われる日本独立リーググランドチャンピオンシップ(GCS)にも出場する堺の主力選手として成長している。大舞台でスカウトに名前を売りたいところだ。

 その他、190cm105kgの大坪梓恩(NLB・石川)や185cm100kgの寺井広大(徳島)など、大柄で打撃に魅力のある若手がどのように評価されるか注目したい。ともにリーグ戦では飛距離の出る本塁打を放っており、ロマン溢れる大砲候補として希少価値が高い。

BCL測定会での打球速度No.1・三方陽登

三方陽登(栃木) 【©株式会社ジャパン・ベースボール・マーケティング】

②23歳の内・外野手(大卒1年目の世代)

 まず「一芸」で注目したいのは、5月に行われたBCLの能力測定会でNo.1の打球速度を計測した三方陽登(BCL・栃木)だ。

 この測定会はBCLが8球団から選手42名を選抜し、エイジェックスポーツ科学総合センターにて実施したもので、今年が初めての試みとなった。

 弾道測定器「トラックマン」を用いた置きティーの試打で、全体の最速168.3キロなど上位の記録を独占したのが三方だった。元々は投手で、大学の途中から本格的に野手に転向。打者としての実戦経験はまだ浅いが、将来性を買う球団はあるだろう。

 一方で、総合的に評価が高いのは履正社時代に夏の甲子園優勝も経験した池田凜(徳島)。明大では出場機会に恵まれなかったが、徳島では主に3番・二塁で経験を積んでいる。リーグダントツの80個の四球を選ぶ選球力は魅力で、時に逆方向へもアーチを放つ長打力もある。挫折経験をバネにしたエリートはひとつ上のレベルでも結果を残せるはずだ。

 他にも、四国ILの測定会で最も速いスプリントのタイムを記録した山本倫彰(徳島)やリーグ2位の10本塁打を放った加田拓哉(徳島)、NLBの前期MVP・瀧野真仁(富山)、BCL東地区(BC-East)の盗塁王・遠藤桃次郎(栃木)、守備力に定評のある遊撃手・車谷仁(堺)など、個性的な選手が揃っている。

三拍子揃ったアスリートタイプ・笹浪竜

笹浪竜(徳島) 【©徳島インディゴソックス】

③24歳以上の内・外野手(大卒→社会人2年目の世代以上)

 最後のチャンスに賭けるこの世代では、まず笹浪竜(徳島)を取り上げたい。

 1番・中堅手としてシーズンを通して好成績を続け、打率.376で首位打者を獲得した。OPS1.072もリーグトップで、選球眼や長打力も申し分ない。測定会でのスプリントのタイムも山本に次いで日本人2位と走力も優れている。

 今年の独立リーグで総合的にトップの外野手と言ってよく、どの順位で評価されるかが注目される。「24歳の左打ちの外野手」という近年のNPBのドラフトで指名されづらい属性ではあるが、果たしてどうか。彼の指名状況が他の選手の順位にも影響を与えそうだ。

 四国ILでは後期シーズンに調子を上げてきた主将の今村龍之介(徳島)にも注目。打球速度はピカイチなだけに、最後までアピールを続けたい。また、後期だけで7本塁打を放ち、シーズンOPS1.027でリーグ2位につけた髙橋駿介(愛媛)も指名の可能性はあるだろう。

 その他、NLBでOPSトップ2の三好辰弥(富山)上田大誠(石川)という両主砲、遊撃手としてチームを引っ張る岸本大希(徳島)日下部由伸(BCL・信濃)島村大樹(四国IL・高知)楠本龍聖(栃木)や、BCLの測定会で三方の次に打球速度が速かった鈴木智也(栃木)、四国ILの年間盗塁のリーグ記録を更新した上野雄大(愛媛)にも注目したい。

強肩強打の「コジランチャー」兒島健介

兒島健介(姫路) 【©一般社団法人関西独立リーグ】

④捕手

 捕手ではまず兒島健介(KDL・姫路)に注目したい。今年からIPBLに加盟したKDLで打撃各部門の上位につけており、強肩も魅力。リーグがスポナビで掲載している動画では「コジランチャー」と名付けられているが、全国区になるか。

 KDLでは高卒1年目の大型捕手・川合祐聖(堺)にも注目。堺の捕手は昨年、松本龍之介がヤクルトの育成4位で指名されており、2年連続での指名を目指す。

 同じく高卒1年目の富浜琉心(BCL・群馬)は帝京時代から打撃に定評があり、180cm84kgのがっしりした体躯はNPBの選手にも見劣りしない。群馬の捕手は富岡駿ら層が厚く、富浜がマスクを被る機会は多くないが、NPB各球団にドラフト候補としてリストアップされているはずだ。

 四国ILには島原大河(愛媛)釣谷俊介(高知)福井玲央(香川)ら打撃の良い捕手が多いが、年齢層は高め。指名を手繰り寄せるための猛烈なアピールを最後の瞬間まで続けたいところだ。

 その他、高卒3年目の世代でチームの屋台骨を担う田村剛大(BCL・埼玉武蔵)森本耕志郎(石川)、今年からBCLに正式加盟した山梨のキャプテン・吉原大稀など、今年も多彩な顔ぶれが揃っている。

 捕手は基本的なスタッツだけでは能力を測りづらいポジションであり、25日からのGCSはアピールの大チャンス。昨年のGCSでも、優勝した信濃の田島光祐(オリックス)と愛媛の矢野泰二郎(ヤクルト)が指名を勝ち取っている。今年も栃木の地で、人生を変える活躍が見られるか注目したい。

(文責:IPBLアナリティクスディレクター・金沢慧)
※データは2025年9月19日終了時点
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一般社団法人日本独立リーグ野球機構(IPBL)は、支えてくださっている地域住民の皆様にとって「おらが街の野球チーム」として愛され、 皆様に勇気を与えられるような球団・リーグとして永続できるよう、傘下の全員が一丸となり活動します。 また、各独立リーグが協力し合い、野球を通した人材育成及び野球界の発展に貢献していきます。

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