念願の「NPBドラフト1位」は誕生するか? 〜2025年独立リーグ注目の100人(投手編)〜
ドラフト「最下位指名」からNPB連続試合無失点記録を達成
石井は2020年のドラフト8位で、この年の全球団での「最下位指名」だったが、2023年には阪神が椎葉剛(四国IL・徳島)、ロッテが大谷輝龍(NLB・富山)を2位で指名、2024年もDeNAが加藤響(徳島)、楽天が中込陽翔(徳島)を3位で指名するなど、独立リーグの存在感は年々上がっている。
過去、独立リーグからドラフト1位指名選手は誕生していないが、今年はその光景が見られるか。ドラフトで注目の100人を投手編、野手編に分けて紹介する。
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2025年の独立リーグで注目の投手50人
リストは生年月日順で、年齢区分には2026年4月1日時点での満年齢を記載している。これらの投手を下記の3区分に分けて紹介したい
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①22歳以下(大卒候補と同期、またはそれ以下の世代)
②23歳(大卒1年目の世代)
③24歳以上(大卒→社会人2年目の世代以上)
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独立リーグは社会人や大学と異なり在籍1年目の選手でも指名が可能。「大卒未満」の年齢の選手を指名できる特徴がある。
2025年のフレッシュオールスターで161キロをマークした阪神の工藤泰成(徳島)のように、大卒時に指名されなかった選手が1年でNPBを目指せる場でもある。
2024年にソフトバンクから育成で指名された大友宗(BCL・茨城)、川口冬弥(徳島)のように、年齢的にはラストチャンスの即戦力候補ながら育成で指名されることが許される環境でもある。
このように、独立リーグは指名対象選手の年齢帯の幅が広く、候補選手を同じ土俵で紹介しづらい。そのため今回は3区分に分け、比較対象となりそうな高校、大学、社会人の選手にも言及しながら候補選手を紹介していく。
過去の傾向から「球速」「年齢の若さ」「体格」はドラフト候補の重要な条件となっており、今回もその観点を重視して選んでいる。
「マッスルストレート」を継ぐ20歳、篠崎国忠のポテンシャル
阪神の工藤泰成はフレッシュオールスターのお立ち台で自らの直球を「マッスルストレート」と命名したが、このキャッチコピーは石井大智の直球にも使われている。ボディービルの大会で優勝したこともある楽天の中込陽翔を含め、筋骨隆々は四国IL出身投手の特徴のひとつだ。
今年、その系譜を継ぐ一番手は高卒2年目の右腕・篠崎国忠(徳島)だ。ストレートの最速は157キロで、平均では148.1キロ。四国ILが2024年から行っている測定会のデータでも前年に比べ除脂肪量が大幅に向上しており、コツコツと筋肉量を上げるトレーニングができるマインドも評価されるだろう。
今年のドラフト候補では高校生だと最速158キロの石垣元気(健大高崎)、大学生だと最速164キロと言われる堀越啓太(東北福祉大)らが球速で注目されているが、篠崎はまだ20歳という年齢と、彼らと比べて193cmと長身で、まだトレーニングによる余白を残している部分をどう評価されるか。
四国ILでは篠崎と同学年の髙橋快秀(徳島)にも注目だ。最速は153キロでスライダー、カットボールなど変化球にも魅力がある。また、愛工大名電時代に甲子園ベスト8の右腕・山田空暉(四国IL・愛媛)もチームの主戦として順調に成長している。後期にリリーフで大活躍中の高卒1年目・林颯太(愛媛)も面白い存在だ。
BCLでは高卒1年目ながら登板機会の多い左腕の福井聖理(BCL・神奈川)も挙げておきたい。往年の岩瀬仁紀(元中日)を思わせる腕の振りで多彩な球種を操る。
152キロをマークした右腕・黒野颯太(NLB・石川)やリーグの奪三振ランキング1位を争う左腕・後藤源英(KAL・大分)、長身右腕の茂木涼(KDL・姫路)、シーズン途中に外野手から投手に転向した中圭佑(KDL・堺)など、今秋の指名だけでなく来年以降に向けてチェックしたい素材が各リーグに揃っている。
四国の両輪、左の渡邉都斗と右の斎藤佳紳
この世代では四国ILの渡邉都斗(高知)と斎藤佳紳(徳島)がリーグでの実績を多く積んでいる。
左腕の渡邉は最速150キロの速球が全体の約7割を占める投球スタイル。加えてカットボール、スライダー、フォークなど変化量がはっきりした球種も複数持っており、配分の工夫次第で上のレベルでの対応も期待できる。
徳島で3年目を迎えた斎藤はストレートの平均球速が148.2キロと四国ILの日本人投手では篠崎と双璧の数字。7月からは先発でも投げ始め、2度のソフトバンク三軍との試合では合計11回を投げて11奪三振で1失点と好投し、どちらの試合も勝利投手となった。
ともに際立った一芸というよりは総合力で勝負できるタイプであり、2024年ならDeNAから指名された若松尚輝(高知)の立ち位置に近い。彼らが支配下で指名されるかは、NPB各球団の四国ILへの評価を測る基準となりそうだ。
BCLのセーブ王・大生竜万(BCL・埼玉武蔵)は真上から腕を振り下ろし、直球とスプリットで空振りを奪う投球が魅力。溝端雄慎(KDL・兵庫)は最速151キロの速球に加えスライダーの曲がりも大きい。まだ筋肉量を増やす余地のある体躯にもポテンシャルを感じる。
他にも190cmを超える大型右腕のシャピロマシュー一郎(富山)と安藤銀杜(徳島)、最速156キロ右腕の金城朋弥(高知)、公式戦未登板だが潜在能力の高い小林禅(徳島)、最速151キロ左腕の土岐尚史(四国IL・香川)など、魅力あふれる投手が多い。
BCLで他を寄せ付けなかった冨重英二郎
筆頭は冨重英二郎(神奈川)だ。大学、社会人を経て入団1年目の左腕で、開幕から8月16日までの7度の先発で37イニングを自責点1という圧巻の投球を見せた。
すべて先発登板でありながら最速151キロ、平均143.8キロはBCLの左腕で最速。リリース位置が低く、ホームベース上での入射角が小さいストレートは魅力で、成績だけでなく球質やフォーム面でも近年のNPBの球団好みではないか。スライダーのストライク率も高く、計算できる球種が複数あるのも強みだ。
社会人の左腕では竹丸和幸(鷺宮製作所)と同学年、増居翔太(トヨタ自動車)より1つ下の学年であり、スカウトは彼らと比較しているだろう。もし竹丸や増居がドラフト1位候補となるなら、冨重にも可能性はあるはずだ。
大卒3年目の世代では石野田拓斗(茨城)が最速154キロの速球と高速スライダーを武器に守護神として活躍。在籍4年目の左腕・加藤翔汰(高知)は年々球速が上がり、最速152キロにまで到達した。いずれも年齢がネックではあるが、候補にはなるだろう。
なお、仮にNPBのドラフトにかからなくとも、彼らは韓国での活躍の可能性も出てきている。韓国野球委員会(KBO)は2026年から韓国プロ野球でのアジア枠の導入を発表しており、独立リーグで実績を残している20代中盤から30歳前後の投手は格好のターゲットとなるのだ。
実際、2024年にはSSGと斗山に期限付き移籍をした白川恵翔(徳島)が活躍しており、独立リーグのトップレベルならKBOで通用するという実績はある。
リストに入れている堀越歩夢(BCL・栃木)や平間凜太郎(高知)のようなベテランは各リーグのストレート平均球速で日本人のトップ5に入る投手であり、かつ若い投手に比べて経験値も大きい。
10月23日(木)に行われるドラフト会議は一つの分岐点だが、その場はゴールではない。ドラフト会議をきっかけとして、彼らがNPBやその先の様々な場所で活躍することを期待したい。
(文責:IPBLアナリティクスディレクター・金沢慧)
※データは2025年9月13日終了時点
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